電子特典&カラーイラスト付き
君に、最期を捧げるために、生きてきた――。
非常に独創的な設定で、音楽がテーマになっています。
素晴らしい歌い手、しかしその命をけずって歌わねばならない。それを救うのは作曲家、コンポーザー。
お互いに最も大切なものを活かすために自分の命を捧げる宿命となっています。
視覚的にも、体に五線譜が書かれているという発想がすごい。
そんなオリジナリティあふれる作品のなかに、シンガーとコンポーザーの恋愛が絡んできます。
しかしテーマが独特なだけにまずそれを語る必要があり、恋愛の方はあまり紆余曲折なく自然にお話にとりこまれていく感じ。
シンガーとコンポーザーの契約(オメガバースで言うところの番契約に相当)というところに、あえて恋愛要素を入れなくてもよかったかもしれない。
それくらい面白い設定。
独特な世界観のファンタジーです。
唯一無二の設定と言っても過言ではないでしょう……
五線譜の痣をもつコンポーザーのラルフと、
ヴェノムという病に侵されるシンガー・セスの物語。
ヴェノムを治療するのがコンポーザーです。
契約を結ぶとお互いにしか力が作用しなくなるのですが、
ラルフとセスは契約しています。
この設定がね、すんなり入ってくるかどうかなのですが、
多少理解に時間がかかりましたが大丈夫でした^^;
若干、ふに落ちない点もありましたが、
あまり深く考えずに読みました。
五線譜の痣か素敵で、そこに引き込まれました。
契約満了時のリスクを考えるとアンハッピーエンドもある?
と心配しましたが、一応ハッピーエンドだと思います。
1巻で終わりなので二人の関係性が薄いのですが、
これ以上長くなると飽きそうなのでちょうどよく読めました。
コンポーザー(作曲者)とシンガー(歌い手)という種族がいる架空の世界「ビアンシャンテ」が舞台のファンタジーです。
ざっくり言うと、シンガーは必ず罹る奇病があり、死に至るその病の進行を防ぐ薬(スコア)を作ることができるのがコンポーザーである、という設定。
設定は、作り込まれているといえば作り込まれているのですが、やや無理のある設定で、それを通すために説明ページが費やされている、という印象でした。
よく分からない設定もありました。特に「高名な歌い手ほど病の鎮静効果が高いのに、高名な歌い手ほど病の進行も早い」という設定が最後まで疑問でした。結局高名だと得なのか損なのか…。
あと、「音符の形の黒斑が身体中に浮き上がり、細胞が壊死する」という病気なんですが、その音符がビッシリ身体に浮き出している絵面が集合体恐怖症にはちょっときつい感じでした。もうちょっとさらっとした表現だと良かったな…。
攻めの家族がどうなったのかもよく分からなかった。息子が誰かと契約結んじゃったから捨てられたの?
受けと攻めについてですが、世界観と設定の説明にページが費やされすぎて割とあっさりくっついたような印象でした。お互いへの執着はやたら強いのに、そこに至るまでの付き合い期間が短いので、命かけて愛するくらい好き合っている説得力には欠けていた気がします。
再会ものだから、というには受けに昔の記憶もなかったようだし、攻めに至っては性的欲望すら皆無だったのにいきなり燃え上がった唐突感がありました。
とは言え、ほのぼのとした2人の関係は微笑ましかったし、当て馬にさえならなかった受けの幼なじみなどもなかなかいいキャラでした。
この特異な設定を一から作り上げる力は素晴らしいです。オリジナリティ溢れまくりで、今後が楽しみな作家さんです。
ネタバレ注意です。
あらすじについては、既にレビューで書かれている方がいますので省きます。
世界観や設定は、かなり綿密に考え作り込まれていると思います。
ただ、画力が…。
まだまだのびしろがあるというか…、これから上手くなっていくといいねって感じです。
これだけ設定が細かく、独特の世界観なので、もっと画力があると更に心に響くと思うのですが…。
コマ割りとかは、独特だし上手いと思うんですけどね。
あと、え?ってなったのが、二人が惹かれ合う描写。
攻のラルフが受のセスに惹かれるのはまあよしとします。
幼い頃にセスと契約したものの、セスの素性をよく知らず、どこにいるかもわからない自分の契約者のことを思いながら生きてきた訳ですから。
そりゃ、目の前にその契約者が現れたら嬉しくて惹かれるでしょう。
問題はセスです。
ずっと自分に契約者がいるとは忘れていた訳ですよね。
そこに突然、「君は僕の契約者だ」とラルフが現れる。
確かにラルフはイケメンで、作曲家としてもかなりの能力を持っています。
でもセスがラルフにときめく描写は全くありません。
なのに、幼なじみのシドから「お前、あいつのことが好きなんだろ?」と言われて赤面。
え、いつ好きになってたの?と。
何の伏線もなかったよ?
そして二人が体を重ねるまでが早い早い。
そしてセスの病の進行も速い速い。
歌い手としての能力が高いほど病の進行も速いとありますが、セスは母以上の歌い手なの?とまた疑問。
設定や世界観はとてもよく作り込まれているのに、ストーリーの展開は駆け足気味というか少し雑な印象です。
まだ続くっぽいですが、う~ん…続きを読むかは微妙ですね。
新しい設定のファンタジー。楽しむためには綿密に構築された世界観が大切なのですが、中々よく出来ていると思いました。まだ謎な部分も多いのですが、
・ビアンシャンテはコンポーザーとシンガーの2種族が生きる世界。
・コンポーザーは体に五線譜の痣をもって生まれ、シンガーは不治の病ヴェノムに犯される宿命。
・コンポーザーにはランクがあり、ラルフは最高ランクのS。
・ランクの違いは体に生まれ持つ五線譜の数にも表れている。
・コンポーザーは作ったスコア(曲)を体の五線譜に描いてシンガーに渡す事が出来る。
・シンガーと契約を結べるのはSランクのコンポーザーだけ。
・契約したシンガーに最後のスコア(曲)を渡すことで、病から永久に解放することが出来るが、変わりに自分は一番大切なものを失う。
・シンガーにランク分けは無いが、歌のうまい下手はあるらしい。セスはその歌声と天使の様な容姿でSランクのラルフを虜にしたと思われる。
・シンガーは歌うことで病を抑制することが出来るが、また歌うことで病が加速するので、歌うことからは逃れられない。
・病の進行は人それぞれで未だ解明されていない。
・契約したコンポーザーによって病から解放されたシンガーは声を失う。
・コンポーザーが契約の果てに失う一番大切なものは【命】だろうと思われている。
こんな感じの設定で物語が進んでいきます。契約した二人の関係はオメガバースの魂の番のシステムに似ています。それ故にコンポーザーは愛するシンガーのために死ぬことも厭わず、シンガーは自分が助かるためにコンポーザーの命を奪うことをためらう。恋人同士のどちらかが死んでしまうかもしれないという究極の選択でもあるわけです。Sランクのコンポーザーにとっての幸せは最後の一曲をシンガーに捧げること、ではシンガーにとっての幸せとは何なのか…。
とても魅力的な設定とストーリーなのですが、絵の表現力がこの世界観に追い付いていなくて、どうしても盛り上がりに欠けてしまったのが残念です。コンポーザーの五線譜がカクカクしている(この描き方が先生のデフォルトだと思うけど)し、セスが歌う場面はこの物語の一番肝心なシーンなのに、コマ割りが単調で迫力に欠けています。もっと大きなコマを使って、体の中からあふれ出す歌声や、スコアがなめらかに響き渡るように表現出来ていたら、五線譜に描かれた音符が力をもって生き生きと弾み、ビアンシャンテという世界に深みが出たのかなと思う。
絵はどんどん上手くなると思うので、これからが楽しみです。