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「家」に捉われた麗人は、支配者の執愛にどこまでも堕ちていく――。
う~ん……最後が。大きなことが起こりそうで起こらない、不安を煽って種だけまいて、回収が雑過ぎでは。精神的な決着重視なのかなとは思いつつ、布石部分にしっかりページを使ってこのラスト?と物足りない。雰囲気はとても好き。
没落華族のお坊ちゃまが、元同級生に囲われるお話。千秋と眞鍋はかつて対立していたとはいっても、千秋が一方的に屈辱を感じているだけで、眞鍋が酷い提案をしてきたわけではない。適度に千秋のプライドを守る形で屋敷を買う眞鍋は、最初は本当に純粋に千秋の傍にいたかったのかな、と思う。
千秋は世間知らずで姉を想う以外に強い意志はなく、思考も浅いとこをぐるぐるしてる。散々騙され他人を見る目を養ったはずが、まだまだチョロい。でもやらかして困ったことになるのは自分だけで、眞鍋の情報を漏らしても問題にすらならず、一人で空回っている。箱入り息子だなあという感じ。
千重子の死をきっかけに、話はダークな方向へ。眞鍋は知っていたのに助けてくれなかった、と怒る千秋だったけど、借金は千秋自身の責任だし共感できない。一方眞鍋は後ろ暗いことなど無いように晴れやかな態度で、ラブラブ全開。
で、結局そこから何のひねりもなく終わってしまった。元々なだらかに終わる作品が多い印象の作家さんだけど、今作はページ配分が引っかかる。あれだけ丁寧に盛り上げてこのまとめだと、放り投げたように見えなくもない。
それでも最後に告白し合う二人に感動できれば、楽しく読み終われたのかもしれない。千秋の告白は、ここまでの感情の流れと一致しない気がして、オチとしての納得感が無い。眞鍋は分かりやすくて良かった。
思わず注目してしまったのは、表紙・口絵・挿絵の褌。笠井さんて褌を一番美しく描いてくれる絵師さんだと思う。
motherの丸木先生。
安くない文章で、心地よい重さと硬さに惹き込まれます。
笠井あゆみ先生の相変わらず目を奪われる表紙、
中の挿絵も最強です。
この時代の紐パンのようなおパンティ、
受けはもちろんのこと、攻めが履いても最強。
ああ、笠井あゆみ先生は腐女子の見方。
時代物が苦手な私でもすんなり世界観に入れました。
華族としての矜持、堕ちるところまで堕ちるほんとギリギリでの救い…?
最後の最後までまとまらなくてハラハラしたけれど、希望通りに収まってくれて大満足。
おもしろかったです。
戦後の戦犯狩りがあった時代。
華族家の長男・千秋は、父が自殺。
病弱な姉と屋敷を守る為奔走するが、守り切れない。
そんな時に同級生の眞鍋が支援を申し出てくる。
眞鍋の真意を測り切れな千秋。
必死で藻掻くけれど、大事な姉が呆気なく病死。
独りぼっちになって、生き甲斐も失った千秋には、真鍋しかいなくなる。
色々ナンデモアリだった戦後の混乱期が背景。
退廃的ムードの中で光る存在の美貌の千秋。
千秋をずっと想っていた真鍋。
真鍋の罠にかかった蝶のような千秋は、もう逃げられない。
あとがきに、収録しきれなかった構想があったそうですけど、
最近の丸木先生はTLばかりで、BLは書いていないみたい、
続編を期待できそうもないのが残念。
同級生だが、旧華族と新華族で対立しながら過ごした過去。
それから戦後になって…
没落してしまった旧華族の千秋。細々と翻訳で生計を立てていたが、ある日、真鍋が屋敷を買い取ると言ってきて…
千秋はかなり容姿端麗、線は細いもののややもすると女性だけじゃなくて男も寄って来るほど。
対する真鍋も男としての貫禄と戦後うまくやって財力まで備えていました。そして二人には過去、抱き合った記憶が…
真鍋はずっと千秋のことが好きだったんですよね。だから、気持ちを抑えたいが、そうも出来なくて。対する千秋は、旧華族としてのプライドがあり、学生時代から成金の真鍋には負けられない気持ちもあり、でも気になる存在でもあり。小屋での出来事も記憶に残っていて。
真鍋に施されているという状況をなかなか認められず、真鍋の真意(千秋を好きだということ)を見ないようにしていたところもあったように思います。でも、ちゃんと想いが通じ合えてからは、翻訳だけじゃなく通訳としても働くことによって、真鍋の立ち位置もわかり、支えることで自分にも自信が持てたからうまくやっていけるんじゃないかなって終わり方でした。
笠井あゆみさんのイラストが素敵なんですが、KADOKAWAの電子書籍なので、ebookではまとめ収録でページジャンプになっちゃうのが辛い…やっぱり読んでてスムースに挿絵を見られるのが雰囲気が壊れなくていいのになぁ。
時代は戦後の日本。
母は幼い頃に亡くなり、父親は自殺。
残ったのは当主となった受けと、体の弱い姉だけ。
戦争前は華やかに暮らしていたのが一変し、苦難する受けの前に学生の頃ライバルとも思っていた攻めが姿を現します。
自分とは違って成功している攻めに取引を持ち掛けられ、渋々条件を吞みますが何故好条件を突きつけるのか。
それは自分の姉を好いているからだと納得しようとしたり、華族として尊厳や誇りなどに葛藤してグルグルしてます。
また、受けは姉を少し神聖視しているところがあったり…と、このお話で姉の存在が結構大きかったなと思いました。
この時代でなければもっと簡単で幸せだったかもしれないのに…と読みながら何度も思わせられました。
ただ、そんな窮地でも攻めが受けを大切に思っていることも伝わるし、不器用だけれど本当に一途だぁと思う反面、受けはなかなか素直になれません。
もちろんちゃんと攻めに執着心ありますが、男前で純愛さを感じました。
受けは悩み過ぎてしまうもありますが、芯も持っている。
そしてある出来事をキッカケに、受けが廃人も同然になります。
痛々しくて本当に可哀想な思いをしてる受けに胸が締め付けられました。
その後、どうなったのか…。
続きが気になる方は、ぜひ購入して読んでみてください。
全体的にダークめ。
雰囲気は「フェロモン探偵」より「mother」「ノエル」「隷属志願」の方が近いと思います。
イラストが秀麗で想像していた人物や雰囲気にとても合っていました。
あとがきで丸木先生がおっしゃっていた、ページ数の都合上入れれなかった攻め視点や学生時代のエピソードが豊富だったら、もっと深くこの作品を好きになれただろうなぁと思いました。
