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「家」に捉われた麗人は、支配者の執愛にどこまでも堕ちていく――。
motherの丸木先生。
安くない文章で、心地よい重さと硬さに惹き込まれます。
笠井あゆみ先生の相変わらず目を奪われる表紙、
中の挿絵も最強です。
この時代の紐パンのようなおパンティ、
受けはもちろんのこと、攻めが履いても最強。
ああ、笠井あゆみ先生は腐女子の見方。
時代物が苦手な私でもすんなり世界観に入れました。
華族としての矜持、堕ちるところまで堕ちるほんとギリギリでの救い…?
最後の最後までまとまらなくてハラハラしたけれど、希望通りに収まってくれて大満足。
おもしろかったです。
戦後の戦犯狩りがあった時代。
華族家の長男・千秋は、父が自殺。
病弱な姉と屋敷を守る為奔走するが、守り切れない。
そんな時に同級生の眞鍋が支援を申し出てくる。
眞鍋の真意を測り切れな千秋。
必死で藻掻くけれど、大事な姉が呆気なく病死。
独りぼっちになって、生き甲斐も失った千秋には、真鍋しかいなくなる。
色々ナンデモアリだった戦後の混乱期が背景。
退廃的ムードの中で光る存在の美貌の千秋。
千秋をずっと想っていた真鍋。
真鍋の罠にかかった蝶のような千秋は、もう逃げられない。
あとがきに、収録しきれなかった構想があったそうですけど、
最近の丸木先生はTLばかりで、BLは書いていないみたい、
続編を期待できそうもないのが残念。
同級生だが、旧華族と新華族で対立しながら過ごした過去。
それから戦後になって…
没落してしまった旧華族の千秋。細々と翻訳で生計を立てていたが、ある日、真鍋が屋敷を買い取ると言ってきて…
千秋はかなり容姿端麗、線は細いもののややもすると女性だけじゃなくて男も寄って来るほど。
対する真鍋も男としての貫禄と戦後うまくやって財力まで備えていました。そして二人には過去、抱き合った記憶が…
真鍋はずっと千秋のことが好きだったんですよね。だから、気持ちを抑えたいが、そうも出来なくて。対する千秋は、旧華族としてのプライドがあり、学生時代から成金の真鍋には負けられない気持ちもあり、でも気になる存在でもあり。小屋での出来事も記憶に残っていて。
真鍋に施されているという状況をなかなか認められず、真鍋の真意(千秋を好きだということ)を見ないようにしていたところもあったように思います。でも、ちゃんと想いが通じ合えてからは、翻訳だけじゃなく通訳としても働くことによって、真鍋の立ち位置もわかり、支えることで自分にも自信が持てたからうまくやっていけるんじゃないかなって終わり方でした。
笠井あゆみさんのイラストが素敵なんですが、KADOKAWAの電子書籍なので、ebookではまとめ収録でページジャンプになっちゃうのが辛い…やっぱり読んでてスムースに挿絵を見られるのが雰囲気が壊れなくていいのになぁ。
時代は戦後の日本。
母は幼い頃に亡くなり、父親は自殺。
残ったのは当主となった受けと、体の弱い姉だけ。
戦争前は華やかに暮らしていたのが一変し、苦難する受けの前に学生の頃ライバルとも思っていた攻めが姿を現します。
自分とは違って成功している攻めに取引を持ち掛けられ、渋々条件を吞みますが何故好条件を突きつけるのか。
それは自分の姉を好いているからだと納得しようとしたり、華族として尊厳や誇りなどに葛藤してグルグルしてます。
また、受けは姉を少し神聖視しているところがあったり…と、このお話で姉の存在が結構大きかったなと思いました。
この時代でなければもっと簡単で幸せだったかもしれないのに…と読みながら何度も思わせられました。
ただ、そんな窮地でも攻めが受けを大切に思っていることも伝わるし、不器用だけれど本当に一途だぁと思う反面、受けはなかなか素直になれません。
もちろんちゃんと攻めに執着心ありますが、男前で純愛さを感じました。
受けは悩み過ぎてしまうもありますが、芯も持っている。
そしてある出来事をキッカケに、受けが廃人も同然になります。
痛々しくて本当に可哀想な思いをしてる受けに胸が締め付けられました。
その後、どうなったのか…。
続きが気になる方は、ぜひ購入して読んでみてください。
全体的にダークめ。
雰囲気は「フェロモン探偵」より「mother」「ノエル」「隷属志願」の方が近いと思います。
イラストが秀麗で想像していた人物や雰囲気にとても合っていました。
あとがきで丸木先生がおっしゃっていた、ページ数の都合上入れれなかった攻め視点や学生時代のエピソードが豊富だったら、もっと深くこの作品を好きになれただろうなぁと思いました。
2017年刊。丸木先生にまた「してやられたくなった」ので購入したのですが、ちょっと毒が足りなかったし、攻め受けどっちにも今一つ萌えなかったので中立にしました。ひか○TVブックさんで購入、挿絵はカラー口絵1モノクロ8あり。本編+あとがき。
昭和22年、華族制度廃止により没落する一方の華倉家。金策に行き詰まり自死した父を見送り、体の弱い姉と二人、残された屋敷で暮らす千秋のもとを、学習院の同級生だった眞鍋が訪ねてきて、「この屋敷を買いたい」と言い出し・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
千重子(受けの姉、菩薩系)、荒井、佐久間(受けの同級生)、横田(怪しげな方)ぐらいでしょうか。千重子様がお気の毒でなりませんでした。
**内容に触れる感想
受けさんは華族の跡取りという矜持をしっかり持った方で、母替わりのような姉をとても慕って大切にしている方。姉を亡くした後の虚無感満点なところはめちゃくちゃシンクロして、良かったのですが、そっからのグダグダがイラついてしまいました。「ちょっとは考えろ、このボンボン!」と思ってしまって。
攻めさんはしっかり執着しまくり腹黒同級生?なんですが、その策士っぽいところが前面になかなか出てきていないように感じられて、物足りなくて。
千重子様がすごく好きだったので、もっと絡んでくるか、佐久間さんの悪事がもっと手酷いことになるか、うーん、もう一押し欲しい。千重子様エピをもっと読みたかったです。
最後の最後に「毒食わば皿まで」感が少し出ていましたが、ルビーさんだからか、期待していたより少し毒感が薄いかなと思いました。圧倒的な何かを読みたかったです、ちょっと残念でした。