電子版特典付
つゆきゆるこ先生のデビュー作だそう。
非BLでもこれBLやんっていう作品もありますが、本作は確かに非BLだと感じました。
様々な友情のカタチの短編集です。
公園仲間から旅仲間へ。
いじめっこといじめられっこからの友情。
異国での友情の芽生え。
問題児と優等生。etc…
本当に様々ですが、どのお話も「相手を知るところから関係が始まる」お話ばかりです。
よく知らない人だと外見や第一印象だけで判断してしまいがちですが、よく知ればそれは友情の始まりかもしれない。
そんな出会いの物語たちでした。
動物好き教師と犬飼い生徒のお話は少しBLっぽい雰囲気があったかも…というか、BLでも読んでみたいお話でした。
アフターストーリーも全てのお話のじゃないですが、その後をのぞけてほっこりしました。
ブロマンス好きな姐さんにもオススメです。
短編集なので全てがさらっと。だが内容は簡単に流して良い類のものじゃない。それぞれに対し、現代に合った教科書的な考え方の見本を示されているようだった。
様々な問題を孕んだ話が展開されており、核心に迫る辛い部分は描かれない。良いとこ取りともいえる内容なので、素直に読めば癒される良質な感情だけを受け取れる。
だが、その先にあるものを考えてしまうと、ハラハラモヤモヤヒヤヒヤが止まらない話の連続になっている。
例えば最初の「ストレンジ」。"オカマ"に理解を示さない母親が出てくるが、対する息子は無言を貫く。その"オカマ"と仲が良いとバレるところまでは描かれず、母親側の感情は放置されたまま終わる。特典の描き下ろしでちょろっと息子の中だけで出した答えは示されるが、特に何も解決していないし、セリフもありきたりすぎて優等生的なのが綺麗ごとに聞こえる紙一重。
「フレンド」の上田野も、金茶色の地毛が認められないから他の校則違反を犯す。そんなものは筋が通っていないし、ただのガキっぽい反抗。全体的に、まだ社会に出ていない学生に向けた救済の意味合いが強いように思えた。
他にもいろいろと、社会からはみ出してしまいそうな人々が登場する。そんな彼らに与えられるのは肯定ばかり。そのままの自分でいいんだよ、って今の時代が求める答えそのもの。そりゃあこの本も称賛され評価されるだろうと納得がいく。
自己肯定感を強めることにポジティブな感情を持っている人には刺さる本だと思う。時代に綺麗にマッチしているため、メディアが推したい内容なのも分かる。これで救われる人がいるだろうことも理解できる。ニアBLとして萌えを見出すのも楽しいと思う。まさに時代だなあという内容だった。
ここまで書いておいて私にハマっていないのは、上辺の綺麗ごとを素直に受け取れる性質ではないから。全肯定するより多面的な考え方ができる人間の方が好ましい。
さらに言うと、個性的な自分を貫く人物をあまりに肯定的に描きすぎることに疑問を感じる。多数派が我慢を強いられる世の中、この本もそこに加勢しているように思えてならない。真に受けず、軽く流して読めたら良かった。
とはいえ他人と関わることで人が変わっていく様子を短編で表現しているのはすごい。アフターストーリーがもっとたくさん欲しいと思ってしまう名残惜しさがある。どの人物も愛すべき点があり、掘り下げた物語を読みたいと思った。
BLカテゴリの本として読めば適度な萌えがあって良いと思う。一般カテで読むなら描写が浅く物足りない。ブロマンスというより爽やかな友情。入門編といった雰囲気で読みやすいのは良かった。
全部で6作品収録されています。1つひとつは短いですが、どれも爽やかな余韻の残る作品ばかりで、とても素敵な短編集でした。非BLではありますが、恋愛感情の介入しない男性同士ならではの絆や縁が描かれていて、十分に萌えられると思います。
◆ストレンジ(表題作)
私はやはりこれが一番好きですね。女装してバーで働いているクマさんに、少年が彼の落とした靴を拾って声をかけたのがきっかけで、2人の関係が始まります。バーの客にたくさん傷付けられて鬱屈していたクマさんが、少年とのやりとりによって徐々に明るさや生きる楽しみを取り戻していく描写が、きらきらしていてとても眩しく感じられました。恋人じゃないけれど、自分を否定せず受け入れて寄り添ってくれる相手がいること。かなり短い作品ですが、そういう関係性の素晴らしさを改めて教えられた気がします。
◆Friendsシリーズ
大柄で校則違反だらけの上田野と、顔はいいのに取っつきにくくて他人から誤解されやすい図書委員の大滝が、本をきっかけに仲良くなっていきます。見た目や第三者からの評価だけでは、その人の本質は理解できないもの。実際に付き合いを深めていって初めてその人の意外な一面を知り、その人との関係が自分の中で大切なものになっていくという過程が丁寧に描かれていました。先入観や偏見を持たないのは難しいけれど、ちょっとしたきっかけで自分の縁が広がるのって嬉しいよなぁと共感しました。
ブロマンスと紹介されていたので見てみました。
なるほど。
BLというよりも奇妙な近い友情、ほっこりする話、熱い人間関係の短編集でした。
エロも直接的な恋愛描写もないのでBL苦手な人も読めると思います。
がっつりBLが読みたい私みたいな人には物足りないかな、と思ったものの、でもたまにはこういう話もいいなあと思わせてくれる画力と構成力、ストーリーの温かさがありました。
私は前編と後編にわかれていた「フレンド」という話が好きです。
その名の通り友情もので、根暗で友達のいない図書委員と背が大きくて周りから怖がられている不良が友人になるまでのストーリー。馴れ初めから喧嘩、仲直りまでが丁寧に描かれていて良かったです。
あと叔父さんと甥っ子の話も好きです。
BLカテゴリーというか、
アオリにもあるように「人生最高の出会い」を纏めた短編集。で、出てくるふたりが(たまたま)どっちも男だった感じ。
もしこれが男女だとしても女女だとしても、二人の関係性がとっても素敵だから楽しめると思う。よって、not腐女子への宣教の足掛かりにできそう(^p^三^p^)
腐女子フィルタを通してしまうと、ふたりが今後くっついちゃってるんだけど、
そんな余白・余韻が楽しめる貴重な作品。
とりあえず、もう一冊買います( ◜ω◝ )