ボタンを押すと即立ち読みできます!
レーベル買いですが、近年で一番泣いたのが同レーベル「転じて恋と生き」で、二番目に泣いたのがこちらです。レーベルと相性が良すぎる。
「恋をするのは女の子なのに、性的興奮を覚えるのは男だけ」という、なんとも難儀な性癖の持ち主である高史(たかふみ)。
高史には、その体質を理解してくれている彼女・舞が居る。
そんなある日、高史がバイト先で気になっていた男・深町と寮と同室になり、体の関係を持ってしまう。
深町は深町で片想いの相手・貴文(たかふみ)がおり「セックスしただけ」「利害の一致」と高史を一蹴するが…。
なんといっても必然性のある「シンクロニシティ」を高史と深町の二人が引き起こすのが、運命的でロマンチックですごーく良かったです。
ともすればかなりLGBTQに寄ったお話になりそうなところを、このファンタジックな設定がちゃんとBLにしてくれてるのが嬉しかった〜。
そんなシンクロニシティを重ねる中で、二人が徐々に惹かれあっていく姿が、劇的でなく、ゆっくり静かに語られていくのが素敵です。
語りすぎず、語らなすぎず、ものすごくいい塩梅でした。
考える余地を残して欲しい時って少なからずあるので。
個人的に、深町が高史とセックスをする時に、「たかふみ」と言うのが切なくてとても良いな…と。
合法で、ノンケの片想い相手の名前を口にすることが出来るんだもんなあ。(いや合法もなにもないんだけど)
本人の意識的にはそれがあったんだろうと勝手に思っています。
なので、最後に描かれる、お互いの気持ちを発露させてしまうセックスの際、「これが最後」って気持ちで「たかふみ」と口にしたんじゃないかなあとか…
二回言ってるから、そこには高史も含まれてるんじゃないかなあとか…色々、こう、色々想像させられました。
こんなに切なくなるセックスシーンなかなか無い…。
それを踏まえての、貴文が深町に言った「男が好きなのは治らないのか?」「病院とか行った方が」という言葉、
これはヘテロセクシャルの人間が「自分の性指向が正しいから、良かれと思って」言ってることで、悪気が無い分、
それがどれだけ…どれだけの人間を傷つけてると思ったんだよ…!!!と読みながらマジ切れしそうなところでの、高史の(こちらの気持ちを代弁してくれる)激昂でまず号泣。
そこから、深町が高史に贈った言葉で更に追い討ちのように号泣……。
この物語で最も言いたかったこと、大事なことって、間違いなく「どんな自分でもいいんだよ」ってことなんだと思います。
誰よりも自分で自分を責め続けていた高史にとって、「そのままでいい」「でも、変わったっていいんだ」という、深町からの言葉が、どれだけ救いになったかと思うと…もう…思い出し泣きしそうなレベルなんですが…。
この言葉、きっと高史だけでなく、たくさんの人の心に届いていくんだろうなと思います。
私もなんだか思い当たることがありすぎて、だからこそ救われました。
色々と悩み多き人生でも、捨てたもんじゃないなと、心から思える。そんな作品です。
全部読み終わってからカバーと帯を見ると、また泣ける。
あ〜〜……よかったね……高史………。
高史と深町、舞や貴文、物語に登場した全ての人々の幸せを祈っています。
☆
すでに語り過ぎているのですが、追記です。
私はこの作品がBLとして発表されたからこそ、知ることができ、手に取ることが出来ました。
本郷先生が、BLとしてこの作品を描いてくださったことにただただ感謝です。
自分がBLを好きでよかった、そして先生がBLを好きでいてくださって、本当によかった、と思ったのでした!
※ネタバレ含みます。
万人に好かれなくてもいい、わかってもらえなくてもいい。
だけどもし、好きな人に好きだと言ってもらえたら。
わかってほしいと願った人がわかってくれたら。
いろんな人の気持ちになって読みました。
表紙の彼・高史の。彼の恋人・舞さんの。高史の手をとる深町の。
いくつものバイトをかけ持つ、大学生の主人公。恋心を抱く相手は昔から女性、だけど性欲は男性にしか向かないという悩みを抱えている。同居中の恋人は社会人で、彼の悩みを知っています。ある日、彼女の転勤により自分の住まいを探すことになるが、運良く友人から大学寮の部屋を借してもらえることに。しかしそこでルームメイトになった相手がなんと、バイト先のカフェでたまに見る「気になっていた」男で…。自分と同じ苦学生…。このふたりが、その後もなぜか行く先々で出会ってしまう。
ところで何回ページ開いたかなぁと思うその一つが、女装の回。あの深町がこの女装してると思うとなんだかたまらなくなります。肉食っぽくて。コーデが好みなのも相まって、ベスト「カッコかわいい女装」になりました。私の中で、ですけどね。
昨年出逢った、タカラモノのような作品です。
カバーデザイン:円と球
ジャケット、タイトルロゴ、帯のバランスに見惚れた忘れられない装丁。帯からあふれてくる言葉を感じ取った瞬間、読み終えてまた表紙に戻ったとき、私の涙もあふれました。
たった一つのYESをくれるのが
世界に君一人だけ
わかってくれる人は
好きになった人だった
◾︎高史(表紙)×巳晴 大学3年生
いや〜よかった
開いた途端に好きだとわかる作品てありますよね?それでした。目次のイラストも好きだったんですけど、高史の巳晴を見てる描写が完全に好き。
「シンクロニシティ」…共時性ってタイトルの通り、偶然に関係性が深まることが連続で繰り返されます。正直、創作物の偶然の連続って苦手どころか嫌いなのですが、この作品に限っては好きになっちゃったからもう仕方ない。
まず早々に彼女の舞さんがいることに驚く。商業BL漫画でこういう風に彼女を描く作品て珍しい!彼女との別れをきっちりドラマチックに描く…あのスノードームには嗚呼…とため息を漏らさずにはいられなかった。高史のシンクロニシティは、お茶漬けどうのと言ってた通り別に巳晴に限った話ではないようですが、舞さんとの間にもそんな瞬間があったのでしょうか。彼と彼女がそんな想いを重ねた末に付き合って、同棲もしてたと思うと、苦しいよ…
そもそも本郷地下先生て商業BL漫画を意識していないというか、実際非BLでも描かれてますし、「ふくふくハイツ」もニアBLな印象です。
遊園地で、普段so coolな巳晴が見せた"はしゃぎ"が可愛くてたまらない。
そんなにエッチな直接的描写はないのに「どうしたい?」「どうしてほしい?」のド雄な高史にクラクラくる…そうね、女性に対してその気持ちが湧かないだけで、彼は雄なんだよな…
女性とか雄とか書いといてなんですけど、そういった性別とは別のところにある尺度というか価値観というか、性別の良さとそれを考えない良さとを両方描いている作品です。でも別に性別を否定してるわけでもない、ん〜良い作品だ。
大学のお金持ちなお友達、一条くんがセクシーで気になります。
思ったより、評価低くて驚きました。
メトロとかと比べると、インパクトが弱くて
人間関係が微妙だからかなぁ
好みなのは同性ということは
このコはゲイってことなのかな?
と思いながら読み進んでいったら
欲情するのは同性、恋愛感情は異性
だという。
とりあえず、腐女子なんでそこもすんなり
了解しますやね。
でも、深町くんと出会って
怪しいほど偶然が重なって
最初からオープンにしてる深町君
そして、深町君も想いながらも叶わない同性のことを好きで、と
遠くから好みのフォルムとしてしか
見ていなかった深町君の
色々なことを知るたびに、
人としてのかたちを成してきて
やっと、性欲だけだったところに
好きの気持ちが追いついたんですよね。
ただそれだけのことなんだ。って。
あぁ頭のかたいやつ、っていうけど
思い込みってほんと厄介なんだなぁ
別れを言った時の彼女も多分嘘をついてたけど、
でも、性癖に理解あるところを示していても
最後までそれを治すものとしか見ていなかった彼女。
深町君の想い人も病気としか認められなかった
うぅー思い出してもめちゃめちゃ辛い…
同調しなくちゃと頑張っていた高史とか
独りになることで身を守ってた深町君とか
そんな優しくないことばかりで
それでも、このどうにもならない自分の性も含めて
この自分はアリでいいでしょ、と
あぁ予想もつかなかった奇跡のゴール❤︎
私は、先生の作品で一番好きだなぁ
とっても良かったです❤︎
約2年前に読破。
「シティ・ライツ・バースデイ」で本郷地下さんを知り、その内容に度肝を抜かれて「他著作も読みたい!」となり、本作にたどり着きました。
しかも2017年発売の作品で、しかも BL Award 2018 Best ディープ部門センシティブ系受賞作とは、いやはや時代だなぁ…すごい作家さんです。
(このページのどこにも受賞したことが書かれてないので、運営さん~、どこかに表示してほしいです…)
性的指向(※性的 "嗜好" ではない)は、変えたくても通常は自分の意思で変えることができないものです。
某ニュースサイトで以前、主人公と同じ悩みを抱えた方のインタビューを読みましたが、大変苦労されているようでした。
本作の設定とは少し違ってて、わかりやすく言うなら彼にふさわしいパートナーは「工事を望まないトランスジェンダーMtF」もしくは「顔つきが女性にしか見えない女顔のゲイ」、「男の娘・女装子」でした。
私のようなノンケ(=ヘテロ)女性向けにわかりやすく言い換えて説明するなら、今まで好きになった男性全員の体だけがもし女性のものだったら、と想像してみてください。
本作の主人公やインタビューの男性と同じように相当悩まれると思います。
そしてもしある日目の前に、頭のてっぺんからつま先まで理想の人物が現れたら…?
本作のその相手は男女両方からモテる描写があるので、設定とつじつまが合うように考えるなら若干女性顔なのでしょう。
本作を受け入れられるかどうかは、彼女持ちである主人公の浮気をどこまで受け入れられるかにかかっていると思います。
非常に珍しい設定のBLなので、ぜひこの機会に試し読みしてみてください(常に48ページもあります)。
さらに「商業特典まとめ本に収録した描き下ろし漫画」(22ページ、165円) でえいちな番外編も読めますのでそちらもぜひ。
ちなみに実際のゲイ風俗でも、プロフに「女装可」と書いたほうが多く稼げるとどこかで読みました。
多数派ではないにしろ、それだけ需要があるということですよね。
もちぎさん、もしくは新井祥さんのエッセイ漫画だった気がします。
ご興味ある方はそちらもぜひ。
<注意点>
本作はいわゆる「女装BL」ではないのですが、高給バイトにつられて仕方なく…という描写があります。