BLコミック&BL小説、業界最大級の品揃え!
本当に神作、名作・:*+.
何度も読み返し、好き過ぎて逆に?レビューが書けない…という状態でしたが、昨日また読み返してやっぱり大好きだ!と再確認したため、意を決して書いてみます。
もうこの作品の攻め、湯ヶ原が自分に刺さり過ぎて刺さり過ぎて…!!
「包容力」と書いて湯ヶ原と読む。
今まで読んできた全ての作品の中で一番好きな攻め様です…
春樹(受)の溢れんばかりの(というか溢れちゃってる)愛を受け止めサンドバッグになり、なおかつ同じだけの愛を返せる人はこの方しかいません(断言)。
内容です。
極度に惚れっぽく(そして冷めるのも早い)、一方的に恋をしては頼まれてもいないプレゼントを作り、恋人面でブログに上げて溢れる想いを紛らわせていた水沢春樹(受)。
しかしある朝、片想いの同僚の机でブログ用の写真を撮っていた春樹は、高校時代の同級生・湯ヶ原にその現場を見られてしまいます。
ヘッドハンティングで春樹の会社に転職し、その日が初出勤だという湯ヶ原。
実は高校時代も春樹は片想いの相手の机に手編みのセーターを突っ込むところを見られており、それ以来湯ヶ原を徹底的に避け、会話もないまま卒業していたのでした。
二度と会いたくなかった相手な上、最悪な状況に焦る春樹でしたが、湯ヶ原は「俺をサンドバッグにして想いをぶつければいい」と、意外な提案を持ちかけてきて…
と続くお話。
BがLするストーリーと共に、ポイントとなるのが
・春樹が極度に惚れっぽく、好きな相手が次々変わってしまうのはなぜなのか?
・誰に恋をしたのをきっかけに、手作りのものを贈りつける奇行が始まったのか?
という点。
これがもう、切なくて切なくて。。( ; ; )
家庭環境と、春樹が自分でも忘れていた高校時代の淡い交流の思い出が明らかにされるにつれ、切なさで胸が痛く泣きそうになりました。
高校時代、好きになった相手(全て男)に勝手にプレゼントを贈っても、気味悪がられてきてもらうどころかその日のうちにゴミ箱に捨てられたりしていたけれど。
湯ヶ原は「自分がサンドバッグになるから、明日からお弁当よろしく」と目尻に優しい皺の寄る笑顔で言い、嫌がらせのつもりで作ったハート❤︎だらけのお弁当を綺麗にたいらげ、ブサイクなうさぎとハートの入った手編みのセーターを喜んで着て、手作りブックカバーを毎日付けて持ち歩くのです。
そして、春樹から手作りのものを受け取る時に必ず言ってくれる「ありがとう、嬉しい」。
今まで一人自分の中で想いを昇華させるしかなかった春樹にとって、この言葉がどんなに嬉しかったことか…読みながらもう、ウルウルでした。
春樹が自分の気持ちを認め、素直になり、溢れる想いをシンプルな言葉に乗せて湯ヶ原に伝えるシーンは、結果は分かっているはずなのに自分も一緒にドキドキしてしまいました。
読み終わってからタイトル「優しくほどいて」を読むと、ああ、なるほどな、この作品にはこのタイトルしかない…
と心から思えますし、電子限定、攻めの湯ヶ原視点の「きつく縛って」もタイトル・内容が素晴らしいんです。
自分の中のあり余る愛を、相手に受け止めてもらえるという幸せ。
相手から、自分の中にある愛と同じだけの愛が返ってくるという幸せ。
そんな”幸せ”を感じ、じんわりと何かが胸に広がる、そんな作品です。
ぜひ、色々な方に読んでいただきたいなあ。
暴走する受けと、それを大らかに受け入れる攻めという組み合わせは、BL界隈ではよく見かけますよね。
この受けの暴走の暴走具合というものが、なかなか曲者でして。
過ぎると、攻めには「カワイイなー」と受け入れられても、読者からは「ナイわー」となる事態もあり得るわけです。
こちらの作品、受けである春樹、かなりの暴走っぷりです。
惚れやすく冷めやすい上に、愛情のぶつけ方がストーカーまがい、とハチャメチャなんですよね。
前半はそのあたりムムムとなって読んでいましたが、春樹の過去や背景が明らかになっていくと、後半は切なくて切なくて。
変なヤツから、可愛いヤツになり、ついつい一緒になって胸を痛めてしまいました。
最終的には湯ケ原の懐の深さに、こんな変(態)な春樹を受け止められるのは、オマエだけだ!という強い信頼を寄せてしまいました。
受けとめ…押し付け、かな。
歪な愛の形ですが、応援したくなる2人でした。
ただ、春樹目線のお話なので仕方ないとはいえ、飄々としている湯ケ原の心情がもう少しわかりやすいと良かったのになーとは思いました。
寒さこらえて編んでるわけじゃあないけどさ。
この主人公・水沢って…
ヤヴァい変人です。
異常に惚れっぽくてすぐ誰か(同性限定)を好きになり。
勝手にセーター編んで机に押し込んだり。
勝手に愛妻弁当作ってデスクに置いた写真を、勝手にブログにあげたり。
全て勝手に。
そんなストーカー気質の水沢に「俺がサンドバッグになってやる」と名乗りをあげたのが、高校の同級生でもある湯ヶ原。
水沢と湯ヶ原には因縁があって、はじめから水沢は湯ヶ原に対して何か見栄を張ったりとか、そういうのが一切無い。
そんなむき出しの関係性だから、ほぼ嫌がらせに近いハートだらけのキャラ弁や、ピンクのうさちゃんセーターを押し付ける水沢に、なぜかニコニコ受け取る湯ヶ原というコミカル空気もあるわけだけど。
コミカルならコミカルで貫いて欲しかったわけですが、後半なぜ水沢がこういうヒトになったかとか、こうなった最初の初恋などが説明臭く出てきてちょっとテンポが悪かった。
さて、湯ヶ原も十分変人で、アブない水沢をしっかり受け止めます。
Hシーンは湯ヶ原が酔ってる設定。でもここはシラフでも良かったかな…
ともかくも、これで水沢の不安定な精神がガッチリ安定すると思われるので、良かったね、ということで。
ラストの夢の中でのやり取りがとても優しくてうわ〜〜〜〜〜〜って胸があったかくなりました。
確かに現実でも言ってくれるであろう攻め様ですよ(*´ω`*)
受け様は、惚れっぽく冷めやすい恋愛遍歴のサラリーマン春樹。
惚れた相手の為に手の込んだお弁当や小物類大物類を作り上げては、SNSに上げて仮想恋人気分を味わって満足する日々を送っていた。
そんな中、高校時代苦手だった相手と同僚として再会する。
これが攻め様である湯ヶ原。
高校時代、片想いの相手に次々手編みのセーターを送り付けていた春樹は、その時好きだった相手の机の中にセーターを入れている所を湯ヶ原に見られたことがある。
そんな相手と再会し、全力で関わり合いたくないのに、湯ヶ原は春樹に、そのあふれる愛を俺にぶつけてくれ、と言い出してくる。
ウサギとハートが舞う嫌がらせ満載のデコ弁当やセーターを、湯ヶ原は嬉しそうに鷹揚に笑って受け取ってくれる。
手を出して「弁当下さい」と囁くとか、かわいくてきゅんきゅんσ(≧ω≦*)
サンドバッグになるぞ、と言ってくれ、春樹のどうしようもなくぶつけたくなる愛の衝動を笑って受けとめる湯ヶ原は、おおらかで包容力のあるいい男でした(≧▽≦)
人の懐にするりと入り込んで、また同じように自分の懐に入れちゃえる人たらしな人。
そのくせ、ベッドでは俺の方に引きずり込みたい、とか言っちゃうなんて、案外肉食なセリフにドキドキですよ(///∇///)
また、自分だけ気持ちよくなって終わりじゃ嫌だ、と必要なものを買いにダッシュする春樹の必死さ、なりふり構わず求める気持ちがかわいくて男前。
2人のえちシーンは、めっちゃ萌えの宝庫でしたσ(≧ω≦*)
その後春樹の見た夢がまたよかった。
しみじみよかったねぇ、とジーンとしちゃいました。
イラストは、橋本あおい先生。
湯ヶ原の採寸をするイラストがとっても好きです。
厚みのある身体つきの湯ヶ原がいいなぁ。
春樹を抱き締めてるイラストも、大きな背中の湯ヶ原がイメージぴったりで好き(⌒‐⌒)
春樹が愛したくて溢れそうになったときの自覚が、湯ヶ原くんと想いが繋がってからも「殴りたい」から来るのが切なかった…!らぶシーンでも「殴りたい」。拗らせた背景を思うと切ない、でも微笑ましくもありました。湯ヶ原くんのおかげで。
サンドバッグは自分で歩いて逃げない、て受け止めてくれる湯ヶ原くんが許容力の広い攻様で。しかも時々見せる春樹以上の執着がまたゾクゾクします。好きだぁ。
愛したがり屋の正体は重度の愛されたがり屋、湯ヶ原くんの名言でした。
湯ヶ原くん、いつも大きく受け止めてくれてるのに、えっちのときはわりと理性と皮一枚で、どうせ後で嫌ってほど泣かされる、とか、今ならやめてやれたのになあ、とか、ジワジワと追い込む台詞が多くて。春樹は余裕無さすぎてわかってないんだけど、読者が追い込まれます。バクバクなりながら読みました。
春樹は自分の行動に誰より自分で引いていて、でも止められなくて、その痛さ辛さがひしひし伝わってきました。湯ヶ原くんには、がっちり捕まえて束縛しておいてほしい。
海野先生の作品を選ぶのに、レビューでも迷って迷って、新しさと橋本あおい先生のイラストで選んでしまったのですが正解で良かったです。ウサギのダサセーターも、橋本先生の絵で見たかったなあ。