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表示はありませんが、こちらは二巻目です。
初めて読まれる方は必ず一巻を読むことをオススメします。
そして引き返すなら今です。
過去について確信をついていきつつ、兄であるユキの話も深く加わってくる今作。
これはやっぱりネタバレなしで、前作を読んだ方は何も見ずに読み続けて欲しいです。
色々と衝撃的でやはり重たく、苦しい。
みんな守りたいものがあって、でもアルファだったりオメガであることに苦しめられて、選択していく。
誰が幸せになれるんだろう、本当に幸せはあるのだろうか…。
ひとまず、オウギ×カナエは一段落(と思っている)。
けれど次の問題が…これまた、一番重たそうな兄編。
続巻が「さよなら恋人 またきて友だち-宮内ユキについて-」なので辛いことは確定していて、彼がどうなるのかとても気になるけれど読んだら絶対に落ち込んでしまう…。
いっそう、この作品に出会わなければ気になることもなかったのに…。
と、鬱々としてしまいそうな続巻でした。
けれどやはり、こんなお話を描けるって本当にすごいと思いました。
このオメガバース作品の中で一番苦手な要素があって個人的に好きじゃないです。その中でオウギがユキにカナエの過去のことで復讐をするなんてひどいと思った。前作でもクラスメイトの一人にもカナエのことでひどいことをしたのに懲りずに復讐するなんて本当にオウギはクズ野郎です。
1巻で散々な重さを見せつけ、いろいろと考えさせられるオメガバ展開させてくれやがりましたが、2巻は2巻で別の重さがある。
救われてるんだけど、誰も救われない感。
SNSでネガティブな投稿読みまくった時の感覚に似てる。
カナエは、オウギと番ったことでクラスメイトやαを全員おかしくさせたフェロモンの異常体質から解放される。むしろ、フェロモンが生成できない体になっていた。2巻でのカナエは話題の中心でありながら添え物だ。
その存在しないはずのカナエのフェロモンと街中で遭遇したことで、物語は大きく動き出す。
フェロモンを発していた人間は当然別の人間だった。
彼は誰なのか、どうしてカナエの匂いがするのか、些細なきっかけはやがて、カナエの兄・ユキを巻き込み重大事に発展していく。
これは、次回作「宮内ユキ編」で布石となる一石だ。
前作でもそうだが、あまりカナエとオウギのイチャイチャとか幸せな物語は期待しないほうがいい。
ハッピーエンドなのに、後味悪い系。メリバとも違う。バッドエンドとも違う。救われたのに、誰も救われていないような心地悪さがあるのだ。
物語としての重厚さは、おすすめできる。
ただ、私はこういった重たいBLが好きではないので、しゅみじゃないに評価を入れた。
BLとしてみなければ普通におもしろい作品だ。こういうところに、自分のBLに対する度量の狭さを感じるな。
前作に引き続き読み進めています。
あれから3年後のお話。
大学生になった2人の幸せそうな同棲生活からスタート。
が、それで終わるはずがなかった。
むしろ前作よりも更に重たく苦しく、誰も彼もがぐちゃぐちゃに歪んでいる。
衝撃的な展開だらけなのに、なぜか読むことをやめられない本当に不思議な作品です。
ある日街中で、もう嗅ぐことのないはずのカナエのフェロモンを嗅ぎ取ったオウギ。
知らなければ、ただ幸せなままでいられた。
けれど、綺麗に仕舞われていた灰色の部分を少しずつ暴いてしまうオウギ。
この辺りのミステリーっぽさが面白かった。
そこからカナエ、そしてユキの過去と、今まで知らずにいた秘密がどんどんと紐解かれていく。
前作で「αに飼われてΩの真似事をしている」とサラッと書かれていたユキの謎が判明していくのですが…
この兄弟、改めて読むとかなり悲惨ですよね。
バース性というものはここまで人生を狂わせてしまうのか。
オウギのユキへの徹底的な復讐も、過去のあれこれを知った上で…と考えるとまだわからなくもないのです。
ここで終わっていれば、ユキはカナエへの罪悪感から己を罰している美しくも悲しい人なんだという感想で終わっていたはず。
しかし、最後の最後でカナエとユキの子供・ルカが登場してしまう。
灰色の箱を紐解いて現れた爆弾級の秘密の存在。
これはオウギの心情を考えるとかなりきつい展開。
結果的にルカから片親を奪う事になりましたし…
けれど、知らずに居た時よりもカナエが愛しくて大事だと言うオウギ。
何も知らず、子供が欲しいと言われ無邪気に喜ぶカナエの姿。
もう本当にどろどろしていて、どうやって着地させるんだろう?という気持ちでいっぱいです。
何が正解か分からない。誰も彼もが不幸な気さえしてくる。
とてもざわざわとした気持ちにさせられる作品です。
次はユキ編だそうですが、ラストの時点で重苦しい予感がひしひしと…
でも読みたくなってしまう。
カナエには絶対に見せない・教えない・知らせない。
今作で唯一幸せそうなカナエ。
読後にカバーイラストを見るとなるほどなと。
しかし、後書きのルカ(Ω)の記述が不穏。
続けて続刊も読みたいと思います。
オウギがカナエと同じ匂いがするベータと遭遇した事により、カナエが隠している秘密とカナエからフェロモンが消えた原因を突き止める事になります。
それがとても痛々しい事実に突き当たるんです。でもオウギは何も知らないより、カナエの秘密を知れて良かった思うのです。
ルカがもう一生カナエに会えなくなってしまった事に悲しむユキと、カナエをルカから奪った事に苦しむオウギが切ないです。
明かりの付いた家にたどり着いた時に、疲れたとカナエに寄り掛かりオウギは君は僕の運命だ、子どもが欲しいと告げるのです。涙を流すカナエが幸せそうでした。
ルカを守って来たユキですが、ルカにユキの精神が守られていたんです。この父子にも幸せになって欲しいと思いました。