おまけ付きRenta!限定版
既婚者叔父に恋した
妻を亡くした叔父×親に捨てられた子
35歳差に驚きましたが、やっぱり感動する。
こんなにすごいお話なのに初コミックなのに驚きです。
同著者「ダズリン スマイリードッグ」も読んで感動したので、この作者さんハズレなしです。
表紙は本編でも描かれたシーン。
読み終わった後に見て、良かったな…と振り返れる場面です。
叔父と暮らし愛を知った少年と、愛を怖がる大人。
この二人のやりとりにグッときて何度か泣きそうになりました。
もう読んでいると温かくなります。
挿入なし、エロがほぼなかったのが空気感を壊していなくて良かったです。
タイトルの通りかなり歳の差のある、年上攻めなので好みじゃ無いため少々不安はありましたが読んでみました。
表紙の男の子あつきは15歳で、このまま恋愛関係になってHなシーンがあったりしたらどうしよう…と思ってたんですが、その心配はありませんでした。
愛されずに育ち、母親の代わりに育ててくれた祖母さえも亡くしたあつきが引き取られた、血の繋がりのない叔父優に惹かれる物語でした。
2人だけの世界で、そのまま2人だけで生きていくっていう物語であれば、大丈夫なんかな…って心配になったと思います。
あつきが優の元を離れて、大学でいろんな出会いや体験をした後も、優に会いたい、大好きだと思っていてくれた事が嬉しかった。
描き下ろしでHのパターンかな、と思ってましたが優がリアルな45歳で笑いました。
ちょっとあつきが可哀想だったけど。
強引にあつきから襲うパターンも見たかったです。
優とあつきは結構な年齢差だったのですが
変なヤラしさがなくて
キレイな愛がふたりの間にはあったなと感じました。
あつきは母親に捨てられ、学校でもいじめられてきたので
周りの人間の顔色をいつもうかがっていて。
否定されることが多すぎて自分を下げた考え方をしてしまうのがとても悲しかったです。
そして優も亡くなった妻のことや自身もゲイであることなど抱えるものは重ためなので
静かな雰囲気のなかお話は進んでいきましたが、それぞれの苦しいエピソードに引っ張られることなくふたりの気持ちが丁寧に描かれていたなと感じました。
きっと幸せで穏やかな日々を過ごしていくんだろうなと思えるラストで良かったです。
簡単に思えて、実は最も難しいことのひとつが、「受け入れる」ことだと思います。
ただ、あるままを受け入れる。
余計なことは考えないで良くて、両腕を広げてこころに迎え入れるだけ。
それだけのことがどうしてこんなに難しいんでしょうね。
動作自体は簡単でも、両腕を広げるまでに考えたり、見極めたり、悩んだりしてしまうのがひとの常だからなんだろうなあ。
さて、こちらの作品はいろいろな意味での「受容」が描かれていました。
母に置き去りにされて、保護して育ててくれた祖母も亡くなって、引取先の押し付け合いを目の当たりににしていたあつき。
そんな彼を引き取ってくれたのは、母の妹の夫である優(すぐる)。
一緒に暮らしていくうちに、それぞれの気持ちが変化して…。
という始まりで、優はあつきの叔父だけど、叔母である月子がすでに亡くなっているため、あつきを引き取る謂れはありません。
ただあつきの祖母(優にとっては義母)との約束と、優自身、思うことがあったからで。
母に捨てられて、学校でもいじめられて、不登校になっていたあつきとの生活は、子育て経験もない男性が1人で担うのは大変そうだと思うけれど、あつきが特に腫れ物という感じの子じゃないので、野良猫手懐け系ではありません。
寝惚けた優があつきを月子と間違えてキスすることから、2人のバランスが崩れます。
あつきが一歩踏み出したことで、優が向き合わなければいけないことが浮き彫りに。
優を好きだというあつきの気持ち。
自分が居心地が良いという理由だけで、月子を犠牲にしたのではないかという後悔。
ゲイかもしれないということ。
支えられてばかりだった自分が、誰かの支えになれるのかということ。
何が大事で、何にこだわるべきなのか。
罪悪感というフィルターが取れたとき、それらがはっきり見えてきて、ひとつずつ、わだかまりが溶けて、受け入れていく姿が心に沁みました。
優の職場が自宅で営む薬局という設定が良かったです。
2人だけの閉ざされた世界というのが際立っていたし、一歩外へ踏み出したあつきにとって「帰る場所」のイメージがより強くなったような。
一方的に「支える」のではなく、「支え合う」という関係に踏み出せたのも良かった。
5年後の話より、帰って来た後の10年後くらいが見たかったかなあという気もしないでもないですが、そこは脳内補完で。
優しさに溢れた作品でした。
疑似親子ものでしかも年の差カップルなんだけど…なんだろう、その割に妙に健全な空気感のあるお話だと感じました。血が繋がっていないせいなのか、あまり禁忌、背徳という香りがしない。年齢的なことに関して謂えば叔父さん側にはだいぶ葛藤があったのだろうと推察されるのだが、基本的に甥視点なので、恋をしていると気づいてからは結構押せ押せな感じ。
妻を亡くした叔父、母に虐待されていた甥、という可哀想な二人が一緒に暮らすうちに惹かれ合って…というのは素敵だけど、個人的にこの手の不幸設定はちょっと飽きがきてる。可哀想な設定を盛れば、何かしらドラマが起こるだろうというような。
こういう、絶対に恋愛関係にならないはずの関係って、恋だと気づいたきっかけ(妻と間違えてキスされて…)ではなく、尊敬や家族としての思慕が恋愛としての「好き」になった理由、その瞬間を知りたい、と思ってしまう。
そこがフワッとしてるがゆえに、キス→自慰の流れが唐突に感じ、この状況だと、甥の中で叔父さんはいい人、理想の親、といったところからは逸脱しないのではという気がしてしまった。私の読解力が足りず、ちょっと入り込めなかったです。