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読後思ったことは「なんで此処に住んでんだよ親父!!!!」でした。
いや、分かりますよ。父もね、母との思い出の地に住み続けたいとは思うんです。でも海の近くに居を構えなくてもさ〜〜〜〜でもあれか?いずれは自然と引き寄せられちゃうの?どうなの?
すごく好きです。すごく好きですけど父へのモヤモヤを拭い去れない。勘弁してくれ父。
絵柄もストーリーにぴったりで、描き込みのバランスも大変良かった。恋愛感情が曖昧なまま進み、ライブ後に高まって致してしまうという音楽マンぽさ(偏見)もそれはそれで大変良く、じわじわじわじわと高まってたところからのズドン。ほんとズドン。
ラストは人によって解釈違うでしょうね。私も私なりに読み取ります。
表紙から受ける印象は、人魚姫。
タイトルも、泡沫。
しかし、読みはじめは儚くも寂しくもなく、逆。
声を喪ったミュージシャンが、ある日海で出会った綺麗な男の子との友情を通して再生していく、といった趣き。
そう、随分後の方までBLにならないんです。
友情にしては余りにも近い仲の良さだけれど。
自分が歌えなくなったことで、音楽から距離を置いている鉄太。
鉄太の弾くギターに惹かれて声をかけてきた凪。
凪の家は海辺のレストラン。
凪の柔らかな雰囲気に心を許し、酔いつぶれて心の中の苦しみを何もかも話してしまった鉄太。
翌日凪のベッドで目覚めた鉄太は凪の歌声に衝撃を受け…(←ナニも無いですよ)
…と、そこから凪に歌わせたい気持ちが急激に膨らみ、毎日に張りが出る鉄太。
再びの音楽への熱情、楽しい凪との時間。
凪の店でのライブも成功し、明るく楽しく生き生きとした物語世界はしかし、突然暗転する…!
ここは皆様のレビューを拝読していたので、ある程度予見はしていました。
しかし、わかってはいてもその突然さ、急転直下、その意味には震撼する。
凪にもあった過去のこだわり。
大切だったもの。
それよりも大きなものなっていた鉄太の存在。だからこそ。
ここは大きなネタバレはできません。
おとぎばなしの恐ろしく暗い側面が現れてきます。
ただ、凪の父親も味わった喪失の哀しみが鉄太を襲い、その喪失が正に「愛」ゆえであると理解した鉄太は、かつての声の喪失の後の無気力とは全く違う生き方を決意していきます。
この辺は恋愛要素が絡むからこその強い想いだと思うけど、この物語自体がBLであることは必要だったかしら??
私は…
多分もう二度と凪には会えない…と思う…
声を得た以上、喪失は続く。そう思います。
この作者の絵は、下手に見える崩した画風で、魚の絵が生々しく感じてしまう。
読んだらきっと心が震えると思う生き別れの悲恋。
凪の生き方は一粒の麦もし死なずば・・みたいな殉教に通じるものがある、他を活かす為の自己犠牲。
海の近くで父親とレストランを営む美しい青年、凪
喉の手術で歌えなくなったシンガーソングライターの鉄太
海で溺死した母を持つ凪は、海の水に触れてはいけない秘密がある
・・これだけ知っただけで、なんとなく結末の予想が付いちゃう。
titleの通り、ほんのひと時だけの交流で、泡がパチンとはじけるように生き別れで終わる恋。
人魚といえば、“美声と失声”のアンデルセンの物語や、美声で歌うローレライを思い出します。
凪は、「陸で生きる人」鉄太の為に、凪の大事なものと鱗一枚を残して消える。
父よりも大事な人が出来てしまった凪は、鉄太の為に自分の運命を受け入れる決心をする。
凪の笑顔は、切なくて眩しい。愛する人の為に命を燃やすって、こういう形なのかもしれない。
凪の父は、凪の母が残した大事なものを失ってしまう。
鉄太は、「凪の大事なもの」と一枚の鱗をよすがに、凪と何時かまたどこかの海で再会できる、と信じて生きる。
また再会できるといいな、と思いながら読了。
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泡沫:
「泡」も「沫」も訓読みで「あわ」
1 水面に浮かぶ泡 (あわ) 。「泡沫の如 (ごと) く消える」
2 はかなく消えやすいもののたとえ。
人魚:
人間の上半身と魚の下半身を持つ種族の名称。
男の人魚をマーマン(Merman)女の人魚をマーメイド(Mermeid)と呼ぶ。
「歌で人の心を魅了する」能力を有する。
使徒パウロの「目から鱗が落ちる」:
「迫害者サウロ」が改心して「使徒パウロ」が誕生する場面
”そこでアナニヤは出かけて行って、その家に入り、サウロの上に手を置いてこう言った。
「兄弟サウロ。あなたの来る途中、あなたに現れた主イエスが、私を遣わされました。あなたが再び見えるようになり、聖霊に満たされるためです。」
するとただちに、サウロの目からうろこのような物が落ちて、目が見えるようになった。”
新約聖書 使徒の働き 使徒の働き 9章 17-18節
久々に文句なく素晴らしい作品に出逢いました。
これはネタバレしない方がいいと思うので、ぜひ前情報なしで読んでほしい、そして多くの人にこの素敵な物語を読んでほしいなぁと思います。
歌えなくなってしまったミュージシャンが、一人の青年、凪に出会う。きらきらして、屈託なく、でも影も持っている、目が離せない凪。二人の紡いでいくお話が、一つ一つの会話が愛おしい。
背景も丁寧に描かれてて、街並みとかずっと眺めてしまう。登場人物の表情とか、セリフとか、そういうものを通じて作者さんの想いが強く伝わってきます。本当に素敵な作品です。
ラストは、、あれしかなかったと、今では思います。切ないけど、愛しい、そんな感じ。
まさかのファンタジーでした…
あらすじを読まずに読んだので驚きました。
表紙のイメージ通り人魚姫のようなお話です。
ラストに凪が鉄太に残したものに涙です…
歌えなくなった元ミュージシャン・鉄太
✖️
不思議な青年・凪
夢破れ、歌うことを諦めた鉄太だったが、
偶然出会った凪の声に惹かれ、
2人で夢を追いかけ始めます。
2人でいれば強くなれる…
しかし、目が覚めたとき凪は側にいなかった…
誰も凪のことを覚えていない。
そして明かされる、凪の正体とは?
鉄太の前から姿を消した凪が、
最後に鉄太に残した大切なものとは?
楽しかった2人の日々を思い出すと辛いです。
描き下ろしもない…
でも、ほんの少しの希望が残りました。
あとは、自分の中で想像を膨らませます。
久しぶりに心に深く残る作品に出会いました。
独特な世界観が素晴らしいソライモネ先生の作品を、
もっと多くの人に読んで欲しいです。