電子限定おまけ付き
泣けるとか刺さる系の作品としてすすめられていたので
評価も高かったしと試し読みなどなしで購入しました。
結果、絵柄のブレというか、顔の向きと視線と身体の向きがあってないのが
シリアスな作品なだけにどうしても気になって集中できませんでした。
メリバや鬱エンドは好きですが、このお話の場合はそこまでいくまでの過程で、
中途半端に時代設定が近代な分、それはさすがに無理くない?と思う点がおおくてモヤッとしてしまいました。
話の内容もさることながら沢山の考察の中に、最後は夢で本当は二人は死んでいる。と誰かがレビューしていたのを見ました。私は二人がやはり助かって仲良く暮らしているというハッピーエンドを信じたいです。
昭和のドロドロ濃厚なメロドラマテイストで、ドクズの鬼畜の所業、不幸な境遇など醜悪なものをさんざん見せられての復讐、純愛、贖罪の流れに圧倒されました。
それまでの全てがフリになっていますね。
奏が不幸のスパイラルから復讐へ転化するところが爽快でしたし、それが愛へ変わるのは予想できたものの(ストックホルム症候群的な)まあフィクションだしと、おもしろく描かれているなと思いました。
何より最終章の「逃亡者」がよかった。
ドクズの凍月が献身的に奏を看護する。
それこそ人が変わったように。
長い間、孤独と戦い苦しみながら奏の帰りを待つ。
凍月なりに罪を償っている姿に胸を打たれます。
ま、全部こいつが悪いんですけどw
背景の海が2人の心を表しているようでとてもいい。メロドラマのエンディングという感じもするし。
奏が微笑んでいるのは、凍月を許しているのか、ざまあみろと思っているのか、一緒にいるのがうれしいのか…いろいろ想像できるのもいいなと思いました。
奏が目を覚ましたタイミングは私も、ウソやろ?!と思わず声に出て笑ってしまいました。
地獄を見た2人が真の愛を見つけたハピエンだと思います。
昔、菊池寛が、通俗小説・大衆小説、「真珠夫人」を書いて大成功した事を思い出しました。作家さんは文学をよく読んでいる方だと思います。明らかに、絵でお話を進めるタイプではなく、文字でお話を表現するタイプの方です。「残酷って、綺麗ですね。」など、文学的なテキストが並びます。内容は大メロドラマなので、メロドラマがお好きな方にはお薦めです。メロドラマには涙がつきもの。泣くことを覚悟して読んでください!つらいエピソード、てんこ盛りです!作家さんは、漫画の原作なども手がけていらっしゃるようですが、作家になっても成功されるのではないかと思いました。