電子限定かきおろし付
「果ての荒野でバカンスを」と「屍と花嫁」がとんでもない神作だった赤河左岸さん。
オメガバはあまり好んでは読まないし、獣人も全然 興味の枠外だったので、本作も もともと読む気はありませんでした。
でもやっぱりすんんんnごい世界観なんですよねこの方…。興味の方が勝っちまいましたよ。
動物好きとしては、2話冒頭のしょんぼり耳と尻尾フリフリ、さらに3話の ぶるんぶるん で、すでに心を鷲掴みされましたw
やっぱり赤河さん良いw
ストーリーの方も、やっぱり赤河さんの色が色濃く出てますね…すごい。
「好き」という直接的な言葉を使わなくても、
「あぁ、AさんはBさんのことが、BさんはCさんのことが好きなんだな」
と、読者としてちゃんと理解できる描き方をされているし、見開きページも効果的に使われています。
つまり、漫画そのものの描き方が非常に上手い。
雨の中、やっと見つけた瞬間に目頭が熱くなりました。
決め手は「お前が○だからじゃない。□□□だからこんなに…」というセリフ。
ぜひネタバレなしでお楽しみください。
親子愛、夫婦愛も描かれた良作です。
同じく獣人シリーズの「トカゲxヒツジ」である、16ページの短編も収録されていて、Pixivでお馴染みのタコさん登場!
赤河さんの描くタコさん、というかこの方の描かれる動物が大好きなので、嬉しい驚きでした。
どの人(?)も可愛い~!これもオチが素晴らしかったです。
以上、獣人初心者さんにもオススメ。
赤河左岸先生の2018年発表作品。
表題作と短編1作品収録。
「羽化[メタモル]」
獣人が共存している世界観の中での、オメガバース。
主人公は、病院の院長の一人息子の高校生・あさひ。
彼には獣人のボディガードが付きっきり。
あさひが病弱だから、と通院をさせ、生活の補助、危険から守る、一番大事な仕事は薬を飲むことの確認。
だって、あさひはβとされているけれど本当はΩ。生きづらいΩ。彼のお父さん(Ω)はあさひにヒートを起こさせたくない。βに変えたいのだ…
だけど…
…というストーリー。でもね?
あさひは優しくて強い獣人のアルブレヒトが好き。心が成長すればやはり身体だって。
もう薬では抑えられないんです。
そういうあさひの恋心の物語が骨子だけど、恋愛無し運命のみで繋がる獣人の家族、その番を失くした時の獣人の生き方、バースの運命のせいで家族が壊れることもある人間世界の残酷…友達に酷いこと言っちゃう思春期も。
赤河左岸先生が描くと、切なさも瑞々しい。
「クレイジー・サマー・ウール」
2017年発表のアンソロジー「獣・人外BL Special」に収録されていた作品で、そちらで一応レビュー済み。
世界は様々な種族に満ちていて、主人公は羊人間の男の子。
ニンゲンに冬に誘われて、夏が近づくと振られて。
だから暑苦しい自分の毛皮が大嫌い。
さて、アパートの隣人はトカゲ人間の美容師さん。
そのままの冬毛を部屋でカットしてくれるんだけど…
別にナニも起こりません。だけど露わになった毛の下の皮膚にひんやりとトカゲの手のひらが張り付いて、どことなく淫靡。
お話が今いちよくわからんとか、リブレというのもあってどうかな?と思いながら読み始めましたが、なかなかよかったです。
獣人オメガバース。
アルファとして育てられる主人公、あさひ。そのボディーガードのアル(獣人アルファ)。
しかしあさひは実はオメガで。。
親の方針でアルファと教えられ、薬を飲み続けるあさひですが、思春期になると症状が抑えきれなくなります。
アルは、番をなくした獣人(もっふもふ)。ヒートにならないため優秀なボディガードとして雇い入れられます。
かっこよく優しいアルにこいするあさひ青年。一方のアルも、純粋なあさひを。。
今考えるとアルがあさひを好きになった理由が少し弱いかな?
傷心であったろうアルに名前をくれたあさひではありますが。
絵に雰囲気がある作家さん。
読後感は悪くなかったです。
アルとあさひの心の繋がりはとても美しかったなと思ったのだけど、あさひ父の言動が引っ掛かって複雑な気持ちにもなってしまうような…。
読み終えてほんのりモヤモヤが残っています。
あさひにはΩだということを隠し、万が一のために人のΩに反応しない獣人のボディガードをつけて。また本当にβにするために新薬を作り服用させている…息子にツラい思いをさせたくないあさひ父の気持ちはわかるけれど。
これは愛なのか?エゴではないの?と。
でもそんな父の考えによってふたりは出会えたわけなので、すべてを否定することはできないという葛藤にもモヤっ。
あさひは自分で自分の道を選択し信じることが出来る人で本当に良かったし、アルも自分の心に正しく向き合う人で良かったなと心から思いました。
ふたりの澄んだ心に救われていたお話だなと感じました。
「果ての荒野でバカンスを」が面白かったのでこちらも買ってみました。雰囲気は「ふたりぼっちのエバーアフター」に近いかな?しっとり人外もの。
こちらの表題は「Ωとαしかいない獣人」がいる世界観のオメガバースでした。友だちの、恋愛とも言い切れなさそうな感情がなかなか繊細で好きです。
世界観が強い先生はオメガバースに特殊要素を一個のせがちって自分内あるあるが誕生しつつある。そして世界観が作れる先生はオメガバースを使う必要あまりないとも思っている。演出は素敵でドラマチックだけど、お話自体は結構あっさり。
特に好みだったのは短い同時収録作!こちらは萌2!BLっぽくないお話でした。羊の獣人の男女も正直あまり明確ではないしね。一般の某人気漫画っぽいな〜という気がどうもしまうけど。
黒いビニール袋に散らばる白い毛が、美しく神聖な雰囲気もあって素敵。