限定特典と割引が充実!
気持ちいいほど合理的な思考の攻め千歳くん
不条理な難題を受けの磯貝くんにふっかけるけれど
罪悪感を感じてファミレス奢るのに揺らぐ男子高校生の心理を感じました。
弟にコンプレックスと尊敬の気持ちを併せ持ちとっても人間味溢れる魅力的な主人公です。
前半どっちが攻受けか私はわからずドキドキしてましたが、わかった時には
「俺は 初恋すら上手くできないのか」
の胸を締め付けられる言葉...
常時コミカルに話が進むなかでも、男子高校生の葛藤と衝動をみて、あの頃の甘酸っぱい気持ちを思い出しました。
万里のちーちゃん呼びがかわいいな、対照的で複雑な感情があるけど仲良い双子がいいなと思って読んでいました。
千歳は最初のイメージが強烈で、それが磯貝への好意的な感情の漏れが出てきてずるかわいいわ〜と思ったらあそこまでとはやりすぎやでぇと引きました。
でもそんなこともへっちゃらな天然まっすぐ磯貝に救われました。
その磯貝に容赦ない万里がよかった。
そして「ちーちゃんは俺のお兄ちゃんでしょ!?」
に爆笑しました。
「ずるい!後から出てきて」
「俺の方がずっとちーちゃんのこと好きなのに!」
がかわゆすぎる。
これがBLではなくブラコンなのがいいんです。
無口で努力家な万里の実体はこれだったのかーとめちゃくちゃおもしろい。
ちーちゃん呼びをやめろと言われてもやめなかったのはこういう理由だったんですね、と腑に落ちました。
勘違いしていた千歳と磯貝がめでたく両思いになりましたが、万里の厳しい目がおもしろい。
万里と磯貝がボケで千歳がツッコミでトリオのような3人のやりとりが楽しいです。
ちなみに、おつかいで万里がお米2つを抱えていましたが、「放課後エキセントリック」収録の「6畳一間まかないつき」のキャラが米2つ抱えるシーンがありそこでも恋バナしていたことを思い出しました。
メインキャラクターは三人。双子で頭脳明晰な兄千歳と、柔道で優秀な成績を収める弟万里。万里に憧れる柔道部後輩の磯貝。
磯貝が千歳に接触したことから始まるすれ違いラブコメです。
恋に落ちるまではわりと爆速ですが、話の展開が面白かったです。
二話目までは、兄視点で“兄→後輩→弟”の構図で話が進み、二話目ラストで兄が後輩を強姦。三話目で話が遡り、後輩視点で強姦されるまでの心の動きを描写、強姦の時点で兄と後輩が両想いと発覚。四話目からは、“兄→後輩→弟”と思い込む兄、兄との関係を弟に隠さなければならないと思っている後輩、二人の邪魔をする弟、というややこしさで話が進みます。
私はアンジャッシュタイプのすれ違いがめちゃくちゃ好きなので、この作品もすれ違いラブコメとして凄く楽しめました。
キャラの心の動きが忙しいので勘違いの状況を書き記す事が難しいのですが、兄と後輩の恋愛と兄弟間の嫉妬や執着の絡め方が絶妙で面白かったです。
キャラも可愛かったです。
後輩くんはとにかく真っ直ぐキラキラで凄かった。キスされて尊敬が恋に変わり、セックスして両想いだと思っていた相手に、「(弟から)何か一つ取ってやりたかっただけ」と突き放された瞬間が可哀想でした。それでもめげない所が本当にすごい。
私はこういう真っ直ぐ過ぎるキャラが苦手なのですが、ウワ! 苦手! と思えたところが凄くよかったです(笑)
特に兄への理解力で弟を凌駕したシーン。相手を言い負かすとかマウント取るとか何も考えず、とにかく真っ直ぐ発言しただけなのに勝手に相手が負けた感じが凄く良かったです。
兄は二話目ラストで後輩を強姦しますが、これが物語として物凄いインパクトを残してくれました。このインパクトのおかげで、三話目の後輩視点がより映えたと思います。
強姦については両想いかつ後輩が能天気だったので不問になるのですが、三話目ラスト時点でのやっちまった感が凄かったです。溜め込んでる人の暴走ってヤバイなと思いました(わりと常に暴走気味だが)。
そして弟。めちゃくちゃかわいかった。描き下ろし含めて面白かったです。
どうでもいいのですが、エロシーンについて。
エロい事を学校でしかしないので少ないエロでもインパクトがありました。教室での強姦も驚きましたが、屋上でエロいことをする時、二人の背後に隣接する建物の窓が見えるので色々と心配になりました。
大丈夫か未来の総理大臣……!!!
やっぱり最高。
倫敦巴里子先生の描く男の子たちはプライドが高かったり、コンプレックスを抱えていたりしていて凄く人間味があって最高。そんな中で自分の恋心を自覚して覚悟を決めていく様がかっこいい。絵が素敵なのはもちろん、セリフが洗練されているので、めちゃくちゃ丁寧に読みたくなる。
今作、周囲の"普通の幸せ"を内面化しているのを、自分の論理で押し返して幸せを勝ち取る様が見ていてかっこいいし気持ちいい。
巴里子先生の作品は雰囲気も絵も大好きなんですが、この作品の魅力は私にはちょっと掴みきれませんでした…。兄弟間の羨望と憎らしさが複雑に絡み合った感情を描き出していて、そのテーマ自体は非常に興味深い。けれど、そこにBL面も加わると、どうにも違和感のようなものを感じて萌えそうなのに萌えられない、そんなジレンマを抱えてしまいました。
あとがきにもあるように、まずはやはり千歳が受けの方が自然に思えるという点が大きいのかな。より正確に言うと、信吾を受けとして可愛い、魅力的だと思えるほどの時間が足りなかったという感じ。どうしても千歳が受けじゃないと無理、というわけではないけれど、信吾受けに萌えるには圧倒的に彼の掘り下げが不足していました。あとは、万里と千歳の関係に重きを置いている分、千歳と信吾が恋愛的意味で惹かれ合ったところがどうしても浮いているような、リアルに思えないような気がしてしまいました。全体的に、私の理解の及ばない何とも不思議な関係性の3人でした。
