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表題作王たちの蹶起~叛獄の王子3~

デイメン,26歳,アキエロス王の正嫡
ローレント,20歳,ヴェーレの王子

あらすじ

「生きていた。王の御子が生きておられた。デイミアノス」正体が明らかになった今、デイメンはローレントに自分こそ彼の兄を殺した仇であるという真実を告げなければならない。だが約束の場所、シャルシーにローレントは現れなかった。その頃ローレントはグイオンの手に落ち、地下牢に囚われていたのだ。そして目の前には彼を憎むゴヴァートの姿が―。ヴェーレとアキエロスの戦力をたばね、王子たちは執政の企みから母国を守ることができるのか。そしてふたりの思いと運命の行方は―!?叛獄の王子三部作、ついに完結!

翻訳:冬斗亜紀

作品情報

作品名
王たちの蹶起~叛獄の王子3~
著者
C.S.パキャット 
イラスト
倉花千夏 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
モノクローム・ロマンス文庫
シリーズ
叛獄の王子
発売日
ISBN
9784403560361
4.7

(87)

(75)

萌々

(7)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
10
得点
415
評価数
87
平均
4.7 / 5
神率
86.2%

レビュー投稿数10

ひたすらに圧巻!!

1巻の翻訳の読みにくさに耐え、登場人物の名前の覚えにくさに耐え、恋愛の気配すらない過酷なストーリー展開に耐え、ストーリーはどんでん返しに次ぐどんでん返しが続き、厳しい状況下での、やっとここまで来た感のあるラブシーン!!
読者もストーリー展開に一喜一憂しながら読みつつ、そんな中でひとつふたつ出てくるラブシーンは、まさにご褒美で、読者も登場人物も耐え忍んだ中での甘々は格別です!
最初から最後まで甘々な話では食指が動かないので、そういった点では最高でした!
やっと恋人同士といえる仲になった2人が見られます。

もう、2人にとって絶体絶命な展開が3冊通して何度あったか…
その中でもやはりクライマックスの3巻は、もうダメかも…と思うくらい絶体絶命で逃げ場が無く、この状況を打破できる策は読んでても全く思い付かず、心臓痛くなる展開でした。
でもカストールの最期は悪役の王道でしたね…(悪役キャラとしては小物だけれど)

デイメンの後継ぎを考えると、ジョカステの子供はデイメンの子供でもよかった気がします。(攻めが受けに出会う前に出来た子供だし)
ローレントは結婚しないし一族は自分で最後になると言ってますが、デイメンはそうもいかないだろうし。
外伝をこれから読みますが、その辺のことは出てくるのかな?
ジョカステは悪人になりきれない人でした。元々は自分の身かわいさでカストールに鞍替えしたのかもしれませんが、デイメンを見殺しにはできなかった。

本当に真実が二転三転して、登場人物も敵になったり味方になったり、どこまでが誰の策略なのかも分からず、でも薄々感じてた部分もあり、とても練り込まれたストーリーでした!
ラストが呆気なく終わるので、外伝があって良かったです。もっと終わりの余韻に浸りたい作品です。
久しぶりに心を奪われて夢中になって読んだ作品でした!!

2

何度もハラハラ 強く美しく冷徹な受け最高

兄に裏切られ奴隷にされた王子×冷徹超絶美形王子

まず奴隷にされるのが攻めっていうのにびっくり。表紙見たらたしかにそうだった!
絵も大変美しいので、姿を思い浮かべて読み進めるバッドエンドだったら受けの王子に肩入れしすぎてて辛そうだから読むのやめようかなと思うほどに。(チラッと最後読んでからまた戻ってしまった)のが楽しかった!

1〜3巻までかなりボリュームあるのに読み始めたら寝れなくて夜中から読んで気がついたらお昼。
止まらないし、興奮して眠くならないくらい続きが気になって。

受けの王子様が凛として冷徹で剣術も強くて美形でほんと好みの受け様でした。
バッドエンドだったら受けの王子に肩入れしすぎてて辛そうだから読むのやめようかなと思うほどに。(緊張に耐えられなくてチラッと最後読んでからまた戻ってしまった)

へんに正義感を振りかざしたりしないところとか最高でした。人がいいだけじゃ王宮では生き残れない!
そんなことまで考えて行動してたの?天才か!と思えるほど頭脳派の受け様。

攻め様は強いけど、真っ直ぐで人がいいので考えが甘くてそんなところがたまにイラッとするところもありましたけど……
こういう真っ直ぐな人じゃ、ねじ曲がった受け様の良いところに気づくのに1巻以上かかってもしかたないけど、早く気づいてーって思いながらムズムズしちゃいました。

最後まで執政の叔父さんのずる賢い策略や怒涛の展開でハラハラして、息をつかせぬ展開で私の心も休む暇もない。

とにかく受けが血も涙もないように振舞っているけど、王子派の近衛兵とか王子の内なる高潔さを感じ取って、冷血野郎とかいいながらも王子に忠誠を捧げているところはわかる人たちにはわかるんだなあと嬉しいところ。

執政を握っている叔父の策略もねじ伏せていくところは爽快!その後も策略につぐ策略で叔父さん腹立たしい!

1

素晴らしい

シリーズ読み切りました。面白かった!!この後の「外伝 夏の離宮」もしっかり読みましたよ。先達のレビュー見るに確かにここで終わりで「夏の離宮」がすぐ手に入る状況でなければ悶え苦しんだでしょう。未読の方は絶対読んだほうがいいと言い切れます。

1巻からもよくよくデイメンが一方的にローレントを眺めてましたが、どんどんその意味が変わっていって…憎き相手を睨んでいたはずのデイメン…こんなはずじゃなかったろうな。

オクトンのシーンが最高!!!知りもしない見たこともないルールの試合を文字で想像させるって大変だと思うけれど、こちらは臨場感たっぷりで。
デイメンとローレントが互いに互いを認め合っていて、彼に相応しいのは彼しかいないと思える展開でした。この巻で風貌を褒め合うシーンもあるんですよね〜互いにベタ惚れな2人。

酔うローレントの無防備さよ…どれが彼の素で、どれが作ったものかずっと分からないのですが、このローレントの言葉は真実だと思う。

2巻の耳飾りなんかもそうですが「これは後で出てくるぞ」って思ったアイテムが再登場するときの興奮たるや!古い帽子のようにすぐ出てきたり、時間をかけて再登場したり。う〜んうまい!
1巻ではデイメンがしなかった脹脛へのキスをイサンデルがローレントへする辺り、痺れる。

2巻に比べて壮大さは少し減りまして、終盤若干偶然に頼りすぎなところもありました。特に畳み方は正直微妙だった。結局言葉で執政(名もなき男よ)をねじ伏せるのか、元老院にはダメな人しかいないのかとか、パスカルもっと早よ…とか。
しかしながら、それでこの作品の素晴らしさが損なわれぬようなことはない面白さです。混沌とした政略が描かれるだけではなく、笑えるシーンも散りばめられていて、飽きることなく読み切りました。素晴らしい作品をありがとうございました。

3

面白かった


3部作。とても読み応えがありました。
最後の最後まで名前を完全把握できなかったですが(笑)

きちんと終着してますし安心して読めると思います。
特に終盤はどうなるんだー!!!と読まずにはいられなかったです。

個人的な好みとしてはドストライクではないので萌2ですが、ハマる人には凄くたまらない作品だと思います。

ローレントの新たな一面を知れる度に私もどんどん好きになりました。
後日談とかないんですかね。読みたい…。

1

帰れません

 1年待ちも覚悟してたのに、予告通り冬の間にこの3巻を手にすることができて舞い上がり、夜を徹して400ページを一気読み。さらに弾みがついちゃったのでもういちど1巻からじっくり読み直し・・・いまだにこの「見たままのものなど何一つない世界」にとらわれたまま、社会復帰もかなわずにいます。

 この3巻では初めて、ローレントの内面が描かれているのですが、そのあまりに荒涼とした心象風景にまず胸を衝かれます。「味方などいなかった」。­幼い彼にとって世界の全てだったオーギュステ。その兄を失った13歳の時から、彼は本当にたった一人で闘ってきたのだ。誰も信じず、頼らず、ただ自分の智慧と力の限りで闘って、万策尽きたら一人で死んでゆく。一国の王子として生まれ、あれほどの美貌と才気に恵まれながら、優雅どころかあまりにも過酷な十代を彼は過ごしてきた。「いつか兄の仇を討つ」という強い思いだけが、皮肉なことに辛うじて彼を支えてもいた。この巻では実際、その仇に刃を向けるシーンもあります。多分その瞬間、彼の殺意は本物だった。でも自分の力では、どうやってもかなわないことも分かっていた。その絶望の深さ。

 恐らくローレントにとっては、兄の仇がずっと思い描いていた通りの「卑劣で残虐な蛮族」であってくれればずっと楽だったはず。でもローレントは彼に近づきすぎた。彼が奴隷を救うために自らを擲つのを見てしまった。ローレント自身も幾度も窮地を救われた。そしてあの一夜。(ローレントは本当に「一夜かぎりの想い出」として封印するつもりだったようですが)よかれあしかれ、閨では当人が思っている以上にその人間の本質がむき出しになる。ジョカステにも「身体だけの荒々しい関係になると思っていたし、それを望んでもいたでしょう」と鋭く指摘されていたが、そのあらわになった本性が幻滅するようなものであれば、今度こそ完全に彼を思い切ることができる、との淡い期待もあったのかもしれない。(はっきり書かれてはないが、彼の初体験はまさにそういうものだったらしい)人を激しく憎むのも、愛するにも、相当なエネルギーが要る。まして愛と憎しみそれぞれが同じくらいの強さでせめぎ合って身の内を焦がしていたら、どんな強靭なメンタルの持ち主でも長くはもたない。普段は氷の仮面の下に完璧に隠していても、思わぬところで本音がポロリとこぼれてしまう。付き合い酒でしたたかに酔わされたときとか(マケドンのような「ワシの酒が飲めんのか」おやじって洋の東西今昔を問わずどんな社会にも一定数生息してるのね)、無敵の戦士のいつになく弱っている姿を見たときとか。

 ローレントが愛と憎しみのはざまで激しく揺れ動いている間、一方のデイメンがひたすらぶれずに平常運転なのもよかった。なんだかんだ言ってこの二人、手を組めば最強なのは間違いない。どこまでも好対照な二人の魅力が際立っているから、一度足を踏み入れたら最後、物語がどれほど長大でも最後まで見届けずにはいられない。ただ一つ、惜しむらくは、これだけ広げた大風呂敷の畳み方が、急ぎすぎたかややぞんざいだったこと。せっかくだからラスボスには最後もうひと暴れしてほしかったし2人と両国のその後も気にかかる。王子同士のゴージャスカプなのに、「馬臭いぞ」とか言い合いながら星空の下の寝袋デートが数少ない幸せな思い出なんて、不憫すぎやしませんか。もう1巻や2巻増えても全然オッケーだったのに。

15

最後まで名前がわからなかったあの人

大作の完結編です。1巻ではこれが本当にカップリングになるのか?という位仲の悪かった王2人。2巻では極悪の執政に心と体を弄ばれた色子達の運命が悲しかった。そして3巻でやっと、それも中盤を過ぎてから心身共に両思いになる2人。自身も執政に弄ばれた被害者のローレントは難攻不落の受けでした。

全ての元凶はラスボスとも言える執政。10代前半の男の子だけを性的に愛し(←ショタ)成長するともう邪魔者扱い。人のことを性玩具としか思っていません。麗しの王子ローレントも幼い頃この悪魔の餌食にされていた模様。詳しくは書かれていませんが…山藍紫姫子先生ならそこがメイン?というほど丁寧に書かれるような可哀想な目に合ったと思われます。

しかしこの執政、このように変態犯罪者の上、ローレントの国も乗っ取ろうとしていた悪の親玉なのに最後まで執政という役職名だけで本名がわからなかったし、3巻でもやっつけられる為だけに出てくるような扱いで悪役だけどちょっと不憫。

そしてもしも王2人が結婚して(?)2つの国が1つになったとしたらメインの王は頭脳派のローレントの方がいいと思う。ディメンは脇が甘すぎの肉体派。酷い目に遭わされたのにあの異母兄を殺せなかった時点でこのお人好しは今後また同じような目に遭ってしまうかも?と思いました。

海外の小説はキャラ名が全部カタカナで覚えにくいので登場人物名一覧の書かれたしおりは私もとてもありがたかったです。裏はイラストで美しいし海外物はあれ必須にしてほしいくらいです。

4

あーちゃん2016

甘食様 こんばんは、コメント失礼します。あの執政さんですが、最初、パキャットさんはお名前案を考えておられたそうです。なんだけど没w 翻訳された冬斗先生がツイートで日本語で(笑)教えてくださってますので、よろしかったらチェックしてみてください。おおーーうと唸りますよ。

英雄譚

全3巻通しての感想です。

完結してから読もう!と決めていた「叛獄の王子」がついに完結ということで、喜び勇んでページをめくりました。
本当に素晴らしかった!
読み応えという点では、ボリュームのある全3冊は読書をしているという満足感が高いのはもちろんのこと、物語がどう転んでいくのかわからないドキドキ感、主人公二人をはじめ非常に魅力的な登場人物たちが世界観を盛り上げ、一気に読み進めることができました。
1巻においては甘さなど欠片もなく、いったいどうやったらこの二人に信頼や愛情が生まれるの?ともはやBL(M/M)を読んでいる感はなく、心踊る英雄譚を読んでいる気分。
全3巻通しても、剣を交えての戦いや権力争い、水面下での心理戦に裏工作、裏切りは日常で誰が味方かも定かではない。そうした場面が多く、いわゆる甘い場面などほんの少し。
そのほんの少しの場面に二人の情の在り処を感じられて読み手の私もホッと一息つけるといった感じです。
それはそれで、この物語には合ったシーン設定だとは思うのですが、もし、願えるのであればあと10ページ、いいえ5ページでいいので甘いシーンが読みたかったー!というのも私の偽らざる心境です(笑)

主人公はアキエロスの王子デイメン(デイミアノス)と、ヴェーレの王子ローレント。
この二人は正に真逆。
容姿も性格・気質も反対。
ローレントはデイメンに敬愛する兄を戦で殺されており、デイメンをひいてはアキエロスを憎んでいる。
そしてローレントのもとへ裏切りの政変で奴隷として送られたデイメン。
そんな二人が互いに良い感情など持てるはずもなく、相容れる余地などゼロで関係性がスタートします。

ほんの僅かずつ信頼や愛情が生まれ、互いの気もちが通じたか?!と思うと停滞したりと、まったく順調ではなく読んでいて苦しくなる箇所もありますが、二人の感情の揺れはリアルであり、二人の立場においてはやむなしといった説得力がありました。
敵国であり、互いに王子であり、内に外に敵を抱えていてはそうそう自分だけの感情(恋情)に重きを置くわけにはいかないだろう、と。
ですので、そうして重ねてきた二人の関係性が結末でみせた互いの深い想いや篤い信頼に読んでいて心震えました。
考えうる限り、最良の終わりかたであったと思います。
どうか、二人が療養中は心置きなくゆったり愛を紡げますように。


本書を読んでいて深く感じ入ったのは「愛の形は様々」。
例えば、ジョカステやカリアスの愛の形は難解で恐らく伝わらないけれど、相手の命を救うために最善の道を探し、出来る限りの事をする。それこそ己の命や安寧を引き換えにしても構わないという強さがあります。
また、奴隷という立場であっても、人に仕えることに幸せを感じるエラスムスの愛の形もあり、子を想う母の強い愛情もある。
そんな愛が描かれるなか、執政の歪んだ愛欲のみが穢らわしく醜く浮き上がる。
この構成、対比も見事の一言。


二人の王子の成長、共闘、他者への理解と寛容。
美しいものと醜いものが混ざり合う世界で何を信じ、己に何を課して生きていくか、という壮大な物語。
心に残る読書となりました。
願わくば番外編など再び二人に会える機会がありますように。

10

三拍子揃っております!

3巻通しての感想です。

世界観良し。
(どっしりと骨太なファンタジーです)
展開良し。
(物語として面白くて息つく暇がなく、
 この3日間、仕事とこの本で3時間しか寝れていません。
 仕事終わってないし寝不足なのに読むのをやめられなかった)
キャラ良し。
(デイメンはわかりやすくかっこいいのですが、
 よもやローレントにこんなに萌える日が来るとは…!健気だ〜〜〜)

国をまたいで登場人物は多いし、地名も人命もカタカナだし、
読み始めて物語に入り込むまでは、
とっつきにくいと感じられるかも知れませんが、
超えてしまえば、あとは気持ちよく
その世界に身をゆだねるだけ、という感じにきっとなれるので
ぜひぜひ乗り越えてみて(?)ください!感動しますよ!
そしてBL小説を!そしてM/M翻訳ものを盛り立てていきましょう!!
世界にはまだまだ萌えが転がっているようです!

とはいうものの。
こちらの本のBL的な胸キュンや萌えという点については…
分量的にはかなり少なめと言わざるを得ない、かも知れませんw
が、私は2巻の中盤から終盤にかけてメーターが振り切れる級でした!
それをおかずに3巻かなり進むまでの切なさと○○○○○の塩対応を耐え抜き、
じれじれした後はまた!
終盤にかけて怒涛の萌え&カタルシスが待っています!!

敢えてひとつ難を言えば、物語が壮大すぎて
余分なページがなくなってしまったからか(違う)余韻が足りないことくらい。
確かに、この後もお話が続いたら蛇足に感じられるかな、とは思うので、
致し方ないのかも。でも、どうしても甘々なふたりを読みたい…!!

そのような向きに。先の姐様も書かれておられますが、
どうやら Captive Prince Short Stories〜 と銘打った
番外編SSがいくつか出ているようです。
他の登場人物が主人公となっているものも多く、
全てがデイメンとローレントのお話ではないようですが、
ちょっとは二人が出てきたするのかな、とか思うと読みたい。
あの二人が生きている世界のことを知りたい。
特にThe Summer Palaceって…レビューが多いし評価も高い。
本編に入れるべきだったって何人も書いてるし。
普通に考えたら本編最後のデイメンの怪我療養中のあまあま話か、
あれ?これってローレントの塩対応に参ってるデイメンが
ローレントをイオス(デイメンの国の都)を連れていくことを
夢見ていた時の情景を実現させたやつじゃ…というのは完全に私の妄想ですが。
うーん、たどたどしく英語で読むかな、
でも冬斗さんの訳で読みたいな…

皆さま、日本語で読んでみたいですね!
モノクローム・ロマンス文庫さーーーん、聞こえてますか?

評価は3冊通じて全てに神で。
1巻→壮大な物語とじれじれを楽しむ
2巻→散々おあずけ食らわされた後での萌え爆発
3巻→カタルシス

11

王たちの帰還

王の星の下に生まれた王子たちの長い戦いの終結となる3巻。その世界に圧倒されるので神。番外編が複数あるらしくまとめると薄い本になるか?という状況のようです。皆様、どうか新書館さんに翻訳版出版のお願いをしていただけないでしょうか?私は猛烈に番外編を読みたいです(英語で読むのはツライ)。心臓バクバクすぎで、読むのがしんどかったのは久しぶりだった本編390Pほど。

今年度最もぞくぞくした終わり方だった2巻。ここで「我が名はデイミアノス」というセリフがあってもいいんじゃね?と感じた、1シーンがそっくりビジュアルで思い浮かぶあの場面の後。ラヴェネルの砦を抑え、執政との決戦となるかもしれないシャルシーに向かったが、北側から攻めてくるはずだったローレントは姿を見せず・・・と続きます。

攻め受け以外の3巻での登場人物も(だいぶん慣れましたが)相変わらず多い。
アキエロス側
ニカンドロス:黒髪王子の幼馴染、デルファの首長。
マケドン:ニカンドロス配下の将校。ローレントを毛嫌いしている。
カストール:アキエロスの王。黒髪王子の腹違いの兄。
ジョカステ:元黒髪王子の恋人。今はカストールの側についている。

ヴァーレ側
グイマール:ラヴェネルの砦の将官。
グイオン:ヴァーレの元老。2巻で哀しい思いをしたアイメリックの父。
ロイス:グイオンの妻。
アイメリック:グイオンの第4子。2巻で自死(涙)
ニケイス:執政の色子。2巻で死亡(涙)
パスカル:金髪王子に従っている医者。

その他、ありゃ↓ という人物が返咲きします。

**好きだったというかなんというか なところ

二国間の攻防戦、謀略渦まき、バカな私は当然金髪王子の行動など読める訳もなく、ずっと「え?」「まじ?」とびびりどおし。そのため猛烈に疲れました。甘いシーンでほわわんと癒されることも少なく(ありますよ!)最後まで走りどおし、ジェットコースター状態と感じました。
読むのを止められず一気に読んだものだから余計に疲れたのかも。でも止められないんです。だから皆様、気力体力と時間を十分整えてお読みいただいた方がよろしいかと。

私には手に負えない金髪王子で、ふふといった傍観者的ニマニマが無くて、黒髪王子と同じようにずっと「え、待って、それ無し!!」ですが、いざその場面になると金髪王子、めちゃくそ可愛いんで、キライにはなれなかったです。ただ、なんてめんどくさいんだろう、この金髪王子というのが実感。

そして黒髪王子は王たる器なんだけど、「もうちょっと先読み頑張れ」と思って、ぴったんこ大好き状態な方は居なかったというのが正直なところです。
でも。それらを全て超越してぐいぐい引き込まれるお話。それで神でした。

なんにせよ私には甘さが足りない!!!ゆったりくつろいでローレントがデイメンをいぢめている番外編とかないのかなあととても思うんです。そのような番外編かどうかは不明なのですが、とにかく読みたいので、皆様どうか新書館さんに番外編出して要望を送ってくださいませ(涙)何卒よろしくお願いいたします。あー番外編。

9

あーちゃん2016

甘食様
こんばんは、コメント有難うございます。あの名前、ほんとに寒いですよねw そして、番外編ぜひぜひ要望してくださいませ!翻訳されたら一緒に小躍りしましょう!

甘食

あーちゃん2016様、こんにちは。甘食です。コメントありがとうございました。冬斗先生のツイートも見ました。パキャットさんはあの名前以外はつけたくなかったんですかね…奥深いです。一人だけ漢字表記で日本版ではかえって目立って良かったかもしれないですね。私も日本語の番外編すごく読みたいです!

圧巻!

読み終わって心地の良い脱力感に浸っています。ああ、満足。
「あー?そう来るかい!」と叫んでしまった冒頭。
2巻『高貴なる賭け』に描かれた、あの甘く切なく美しい、2人の情交が覆されるんですよ。互いの(特にローレントの)心を覆う鎧を脱ぎ去って、その本質で愛し合ったと思ってたのにぃ!
おまけに(書いちゃうと皆さんが読んだ時に衝撃が薄れちゃうと思うので自重しますが)いくら自制心が強いと言っても「そりゃないでしょ?……デイメン可愛そう」と思う様な仕打ち。
鉄面皮ローレントの陰謀術作、恐るべきものです。

出来るだけ核心部分を明らかにしない様にご紹介しますね。
シャルシーがデイメン達によって落とされた後、デイメンとローレントは王子として同盟を結び、執政(ローレントの叔父ですね。モロ黒幕の人)とカストール(デイメンを奴隷とした兄で、アキエロスの現国王ですね)がいる王都イオスに向けて進軍します。
その途中で、出産の為に王都から住まいを移していたジョカステ(デイメンの恋人にしてカストールに寝返った現王妃ですね)を発見。その直後、ローレントに執政からの使者が訪れ「イオスに来て元老院の前で祖国を裏切った事に対する抗弁をせよ」との命令がされます。
ジョカステから「産んだ赤子は王の子」と聞かされ、デイメンの子かもしれない子どもをイオスに置いて進軍出来ない2人は身分を隠しながらイオスへと移動します。そして、争い事が禁じられている聖なる場所キングスミートで執政と対峙するのですが、摂政に挑発されたデイメンは彼に斬りかかってしまいます。
デイメンの命乞いの為、ローレントは執政に身を投げ出します。死を覚悟して元老院達の前に引き出されるのですが……

もう、ハラハラドキドキが続く400ページ弱ですよ。
心臓に悪いどんでん返しが何度あったことか!

最初『鉄面皮』と書きましたが、この巻はローレントの魅力で溢れています。
そもそも彼は『本の好きな優しい子』だったんですよね。
父と兄が死に、叔父に蹂躙された上に命まで狙われて、生き延びる為には自分を作り替えるしかなかった。だから心の琴線に触れる様なことがあって、無防備にその本質を晒してしまった彼を見てしまうと、もう愛おしくてたまらなくなるんです。
デイメンは前巻の後半から彼にベタ惚れですが、その気持ちよーく解ります。
ヴェーレ嫌いのアキエロスの軍人に理解してもらう為、無理な飲酒をして酔っ払った彼がデイメンに漏らした言葉の『いじらし可愛さ』に、私はキュン死するところだった……この巻から彼の属性に『健気』を付けてもらいたいと思いましたもん。

また、デイメンも『真っ直ぐ』なんですよ。
ローレントへの想いに悩まされながらも、自分の信じるものに向かっていく所がカッコイイ。
こんな人がちょっとした場面で弱さを見せたら、流石のローレントでもクラッと来るよねぇ。濡れ場に持ち込むエピソードの上手さに、ぐぅの音も出ない……

このシリーズ、3巻でトータル1,100ページを越えているんですよね。
で、大絵巻の最終巻ですから、これまでの伏線がメチャメチャ効いてきます。
あと、登場人物が多いので(それも横文字登場人物だしね)パッと見誰だか解らないという問題が生じたんですね、私の場合。
出版社さんが付けてくれた『登場人物名前入りしおり』が大変役に立ちました。
横文字登場人物がたくさん出てくるのが苦手な方には紙の本をお勧めします。

読み始め、2国間の地理・歴史的な部分が「めんどくさい」と感じたとしても、少し読み進めればあっという間にこの物語の虜になること請け合いです。
暗い陰謀、血なまぐさい争い、強いものが正しいものを踏みにじる社会の辛さが書かれ続けますが、物語の最後にたどり着くのは、2人の王としての矜恃や正義に対する誠実さです。
また、受け攻め両方を『対等な存在』として信頼関係を築かせる作者の視点にも唸らせられました。
ああ、既にもう一度、初めから読みたくなっちゃっている。ヤバイです。

20

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