愛しています、樹里さま。 私はあなたが欲しい──

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表題作騎士の涙

ランスロット、ラフラン領の領主でキャメロットの騎士
樹里、神の子でキャメロット王国・アーサー王の妃

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

騎士シリーズ第二弾!!

モルガンの罠にはまり、
アーサーを喪った樹里たちは、ランスロットの
領地であるラフラン領に逃れてきた。
アーサーが生きていた時は臣下として、
樹里への想いを殺していたランスロットだったが、
元いた世界へ戻ろうとした樹里を強引に抱いて以来、
その想いを隠そうとしなくなった。
どうすればあなたを私のものにできるのか?
情熱的に迫ってくるランスロットに、
樹里は困惑するばかりだったが……
その一方で、モルガンの魔の手が
ラフラン領にも伸びてきて!?

作品情報

作品名
騎士の涙
著者
夜光花 
イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
少年は神の花嫁になる
発売日
ISBN
9784813013204
4.6

(89)

(65)

萌々

(18)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
10
得点
413
評価数
89
平均
4.6 / 5
神率
73%

レビュー投稿数10

あの高潔な騎士が戻ってきた!

82ページ!
ここ!ここですよ!
ここまで、私もう「ランスロット編は私には合わないんじゃないか(ガックリ)」と思って読み進めてきたんです。「少年神編はあんなに好きだったのに……」と。
恋に狂う男性は嫌いじゃないですが、それによって自分の本分をなげうっちゃう人は「うーん……」と思っちゃうんです。高潔な騎士、ランスロットには『義理(大義)と人情(恋)の間でのたうち回っていただきたい』派なのです、私は。

それなのに今巻が始まってからのランスロットは、かなり逸脱している様な感じで。
樹里の困惑を置き去りにして、迫る、迫る。
挙げ句の果てには嫌だと言う樹里を組み敷いたりして(この時に言った科白がね、またちょっと嫌だったんですわ。私としてはかなりゲスな科白に感じられるんです)。
「ああ、もうダメだー」と思った矢先、起死回生の82ページ!
なんてカッコイイの!こうでなくっちゃ!

感心したのは『そんなランスロットの姿勢は樹里が作り出していた』ということです。
前巻で樹里は日本に帰ろうとしていました。
アーサーが死に、2人の子どもも妖精王に預けてしまって、自分がキャメロットにいる意味を見いだせなくなったんですね。
でも、それは『意味がなくなった』のではなく『逃げていた』のだと樹里は気づきます。
気づくきっかけになった出来事も涙をそそるんです。
確かに。
思い出がバーッと溢れることで、自分の道が見えることってありますよね。
思い出の人が道を指し示してくれた、っていうか。

復讐に駆られ、妄執の虜となったモルガンがキャメロットへの攻撃の手を緩めるはずはありません。
まぁ、今回も様々な姑息な手を使って戦いを仕掛けてきます。
アーサー亡き後、ついつい悲観的になりがちだった樹里・ランスロット・マーリンなんですが、新しいキャラクターが登場します。隣国エストラーダの大使、トリスタンです。
この子(若そうなんですもの)がね、腕はたつは魔術は使えるわ(って言うより妖精が使えるみたいなんだけれども)場を読む力は半端ないわ。
何と言っても、明るい。
『大将の器』とでも言いますか『大丈夫感』が半端ないのです。
今作ではことごとくキャメロットの危機を救うトリスタンですが、この子の正体は敵か味方か、謎に包まれたまま。
(トリスタンとイゾルデの話ならまたしても三角関係?そりゃないよね)
場面に登場するとパーッと明るくなるのですけれど、正体を隠したままというのがちょっと不穏な感じも。

いやぁ、これは次巻が楽しみですね。すごく楽しみですね。

大洋図書での夜光さんの物語で、私が楽しみにしているひとつに『大合戦アクションシーン』があります。
それは、今回も大盤振る舞い。
何がどうなっているか、間近で見える様に描いてくれる筆力で、またしても手に汗握りました。

今巻は、相変わらず理解が深い奈良画伯のイラストも含めて、全くもって『文句なし』。
次が最終巻とのことですが、どうまとめてくださるのでしょう?
いや、ホントに次巻が楽しみですね!

18

樹里が選ぶ道は

『少年は神』シリーズのスピンオフ、『騎士』シリーズの2作目。続き物であることと、スピンオフというよりもアナザーストーリーといった内容なので『少年は神』シリーズから読まないと理解できません。前作未読の方はそちらから読まれることをお勧めします。


『騎士』シリーズの1作目である『騎士の誓い』で、樹里を抱いたランスロット。
アーサーへの想いと、ランスロットの間で揺れ動く樹里。

2作目にあたる今作では、「樹里はランスロットの想いを受け入れるのか」を軸に進むストーリーでした。時系列としては、アーサーが石化した2年半後、のお話です。





モルガンの呪いを受け、アーサーは石化し、そして多大な被害を被ったキャメロット王国。国の復興と、アーサーを元に戻すべく樹里、ランスロット、そしてマーリンの三人は力を合わせて奮闘すべき時期。

が、ランスロットが樹里を抱いたことを隠さないことで、樹里がランスロットに抱かれたことを周囲の人たちはみんな知っている。そして、それゆえにアーサーに忠誠を誓っているマーリンからは辛辣な態度を取られることに。

そんなマーリンの態度をもろともせずに、ランスロットは樹里に愛をささやく。

あのストイックで、アーサーと樹里に忠誠を誓っていたランスロットの豹変ぶりに、樹里はもちろん、私も非常に戸惑いを感じました。

アーサー亡きあと、樹里にはそれでもアーサーを想い続けていてほしい、と思うか、それともランスロットの愛情を受け入れてほしい、と思うか読み手によって受け止め方は様々かと思います。『少年は神』シリーズで、ランスロットが不憫で、彼にも幸せになってほしいと願いつつ読みましたが、アーサー亡きあと(亡くなってはいないのですが)ランスロットにふらふら~とする樹里にちょっと興ざめ。

が、樹里の葛藤する心理描写が実に秀逸です。

受け入れるべきではないとランスロットの求愛を跳ね返しつつも、それでもランスロットに惹かれている樹里の感情の機微が、細やかな描写でもって描かれています。

何より、ランスロットの樹里への深い愛情が、なんとも萌えるのです。

そして、2巻では重要な立ち位置に立つ人物が2人登場します。

一人はグィネヴィア。
アーサーの后候補の一人でしたが、彼女が恋したのはランスロット。
王族の一人で、大切に育てられた彼女が、ランスロットに想いを受け入れてもらえないと気づいてしまう。ランスロットが愛しているのは、アーリー王の后である樹里なのだ。

そんな彼女の心の闇が行きつく先は。

そしてもう一人は、北の国・エストラーダからやってきたというトリスタンという青年。

彼の存在、そして彼の使命、何もかもが、今巻ではまだ謎に包まれています。
が、優秀な魔術師だという事は透けて見えている。

味方なのか、敵なのか。

少なくとも、今巻では、トリスタンに救われることが多いキャメロット王国なので、今後の展開が気になります。

肝心の樹里の想い、という点では、今巻で決着がついています。

ランスロットの想いを、受け入れるのか否か。

ぜひとも、読んでほしいです。
めっちゃ、萌えます。
覚悟を決めた樹里の逞しさがなんとも素敵です。

ランスロット×樹里、の恋のお話だけではなく、モルガン、そしてジュリとの対決も熾烈を極めていきます。

樹里の優しさと、マーリンの知識深さと魔術師としての能力、そしてランスロットの強さ。どれが欠けても、モルガンたちを倒すことはできないと思われます。

アーサー×樹里、の『少年は神』シリーズは太陽のような明るさと強さを持った作品でしたが、ランスロット×樹里、の『騎士』シリーズは月夜のようなほの暗さを持った作品だと感じました。

どちらも良い!
萌えもあるし、ストーリーの面白さはとにかく素晴らしいです。

そして奈良さんの挿絵も最高。でした。

次巻を楽しみに待っていようと思います。

15

新キャラの正体について

あの分岐から同じ世界観なのに全然違う話になってて、1巻の最初読んでた時はあの高潔すぎる騎士が樹里に手を出すとか無理なんじゃないかと思ってたのに凄いランスロットルート。ごめんなさい見くびってましたランスロット

怪しさ抜群の新キャラ、ネタバレじゃないけどネタバレかもしれないので自分で考えたいひとは読み飛ばしてください。
アーサーの話の時には居なかったのに唐突に出てきたこの彼は裏切る人なのかなとびくびくしつつ読み終わってから正体の察しがついて、そしたら急に可愛く見えてきたので面白い……
また成長しすぎたのか未来から来たのか分からんけどあれ多分息子じゃないの……冒頭の王って妖精かよ
だからマーリンに懐くしマーリンも無意識に甘いし野生の獣も手懐けるしチート力もさもありなん。あー

8

私も妖精王に好かれるランスロットが好き!

王都に戻った樹里の決意とランスロットの誓いのシーンがものすっっっごく良かった。

王都に戻った樹里。
久しぶりにアーサーの寝室に入ると自然と涙が溢れて来ます。
これまでアーサーの死に実感が湧かず泣くに泣けなかったのですね…ひとしきり泣くとふと、アーサーなら樹里に何をして欲しいかに思い至ります。

子供の事、王国の事、逃げることばかりに囚われていたけど、王妃として国を守るのが使命かもしれない、と樹里の気持ちに前向きな変化が 。
(子どもも、おれの子なのになんで人任せにしようと思ってたんだろう?)
ここー!回収してくれて良かった。妊娠した事自体が非現実的とはいえ、あまりに樹里が子供に対してアッサリしてるの気になってたんです。
樹里の王妃としての自覚と共にきちんと回収してくれて流石!スッキリ!

そして自分の変化を一番最初に告げたいと見つめる先にはランスロットが…

まず謝ります、ランスロットごめんなさい。ランスロットが前作でブチ切れたのは樹里が王国を捨てて帰ろうとしたから…っつうのは建前で自分のドロドロとした欲望だろって正直思ってた。
でも違うんだね。
樹里に「アーサーが大好きだった、子供の成長、国の復興を見届ける迄この国で生きる、お前にも手助けしてほしい…お前の気持ちに応えられなくても」
と告げられても
『…あなたの心が私のものにならなくてもキャメロットの騎士として忠誠を誓います』(声を震わせながら)
樹里は自分に執着する事で妖精の剣を抜けなくなってしまったランスロットの思いを断ち切るためさらにダメ押しで「おれは子供をこの手で育て、次期国王にする。おれと子供を必ず守ってくれ。なんの見返りもなく、出来るか?」
鬼ーーー樹里の鬼ーー!でもかっこいいよー!
ランスロットは逡巡しつつも
『騎士に二言はありません』
と淀みなく答えるのです。ここ、ランスロットは樹里の決意の表情にアーサーを重ねた、って後に言ってるんです(電子限定s/s)。立派な騎士だよー、よう言った!

あと、作者様〜泣と思ったのが、
騎士の誓いを言葉にするたびランスロットの体や瞳に力が戻ったと描写してくれた事。
樹里への思いを断ち切られた事はツライ、だがそれ以前にランスロットは高潔な騎士なのだ、もう心の闇に支配される事はない、と明確に示してくれたようで感動しました。

そして樹里もまたランスロットへの思いを断ち切った事に胸を痛めているような?(ラブの予感キター。)
これでようやく2人はスタートラインに立てました。私としても前作のモヤモヤが晴れてようやく2人の恋を応援する態勢が整いました。

序盤で個人的にクライマックスに匹敵する神展開が来ちゃったので、その後ストーリーに集中するの大変でした笑。

妖精王の啓示通りに現れたトリスタンという異国の青年とグィネヴィアちゃんがキーパーソンかな。
(…トリスタンはどう考えてもルーサーだよね。妖精王の庭園で育ち過ぎたルーサーなんだろ?だってアーサーと樹里の良い所と妖精王の良い所のハイブリッド型みたいに完璧なんだもの。)
トリスタンは周囲を明るくするようなキャラなので、彼のおかげで私の好きな明るい少年神シリーズに戻ったような。ピンチに現れては大活躍してくれてるし頼もしい息子(決めつけ)!

グィネヴィアちゃんはストーリー的にも、樹里とランスロットの当て馬的(不憫)にも無くてはならない存在でした。

そう、色々あって樹里がランスロットに「グィネヴィアの気持ちに応えろ」と命じた所から、紆余曲折あったけど2人が結ばれるんです!やったー!
樹里がようやくランスロットを受け入れるシーンは本当は詳細に書かなければいけない程素敵なシーンですが、序盤で力を出し切ったので割愛します。
ただ、思いが通じてのラブは良い!っていうのとランスロットの精力はやはり底無しだった!とだけ言っておきます笑。

モルガン問題は残ってるけど、妖精の剣も抜けるようになったし、ジュリは仮死状態だし、かなりいい感じのエンドで最終巻へ続く、でした。
電子版の配信が少しでも早い事を願います!

5

ランスロット!!!!

タイトルに「ランスロット!!!!(絶叫)」以外考えられなかった。良かった。ランスロット、愛してる~!!!なお話、270P超+あとがき。ああ、幸せな気分で1年を終えられます。頑張れ、ランスロット+樹里♡どうしようかなと思ったのですが、まだもう1冊あるので、出し惜しみ萌2でお願いします(←空気読まない評価で申し訳ないです・・)

大好きな奈良先生の挿絵のお話を最初に。カバー下は表紙の単色図でした♡カラー口絵はマーリンと新キャラ、トリスタン!(後ろの方にちっこくランスロットと樹里♡)、中表紙はおめかし中の多分グリグロワ♡(可愛い)中のモノクロは2枚絡み絵で、その他ランスロットがカッコいい絵が2枚あり、もうウフウフです!奈良先生に大感謝。

お話。前の巻で強引にやっちゃったランスロット。樹里はぷんすか怒ってというか怒らざるを得なくてランスロットを避けているのですが、王都の様子を見るためにやむなくマーリンやランスロット等と共に王都へ向かいます。そして王墓で出会ったのが同盟国エストラーダのトリスタンという金髪碧眼の青年で・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物で、神の子シリーズにいなかった方は、今回トリスタンだけじゃないかな?
モルガンもジュリも出てくるし、グゥネヴィア絶好調・・・↓というか可哀想・・・

**今回もっとも好きだったところ

樹里が前向いたんです。前作ではあんなに暗かったのに、トリスタンが出てきてちょっとマシになったなと思ったら、子供のことちゃんと考えて、ランスロットのことちゃんと考えて。
アーサーのベッドで樹里が涙するシーンはこっちもボロ泣き。アーサーのばかやろーーーです。
その後のランスロットとのシーンは、おおーうと唸るばかりでした・・・と、前作はどよよんとしていた分、今回は前向き、みんなカッコいい!(除くグゥネヴィア。気の毒である。)

最後、ジュリをなんとか抑え込み、よし!と思うのですが、3巻ではトリスタンが何をしでかすのやら。ちょっと不穏ではありますが、楽しみにお待ちしたいと思います。
先入れ先出しで読まないとなのに、やっぱりこの本だけは年越しさせられなかった。次はいつかなあ。

13

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