規則正しい生活を大切にし、変わらぬ毎日のリズムを保って自分をコントロールすること。それを自由であり自立だと考える白根。
オメガだという引け目からではなく事実を受け入れた上でその暮らしをしていたのだけど、高校の時の同級生・清成との再会で自身のバース性を強く意識することになり…
そんなふたりの揺れる心の内を過去と現在のエピソードを織り交ぜながら描いた、繊細なオメガバース作品となっていました。
白根はこれまで、とても真っ直ぐに自分の身体と向き合ってきたのだと思います。
オメガだということで感じる生き辛さも不規則な周期でやってくるヒートも、どれも抗わず受け止めてきて。
その中でどうしても周りと交わることができない自分を「52ヘルツのクジラ」と重ねる部分があったのかもしれないな、と。
清成と一緒にいることで改めてオメガであることの辛さを体験することになったけれど。戸惑いながらもしっかりそれを受け止めて、そして清成への想いも自覚していくところに彼の強さを感じました。
清成もバース性についてたくさんのことを考えてきた人なんですよね。
アルファである自分を冷静に見ることができたからこそ、大人になってから始まったふたりの恋が眩しく見えたのではないかなと思います。
高校時代に諦めた気持ちを呼び起こしただけではなく、再会してからも新たに紡がれた想い。そこに彼ららしい真っ直ぐな美しさと柔らかい優しさがたくさん詰まっていて、本当に素敵なお話だったなと思いました。
性格は真逆だし恋人としては上手くいかなそうにも見えるけれど、表面に見えないところでその関係をふたりともが大切にしているのが伝わってくるので、セックスだけではない繋がりの強さを感じることができた恋人編でした。
今回は鎮の親友・コウスケが登場し、ふたりの仲を揉ますような出来事がありましたが。
それを怒りの感情だけに振らず、自分の気持ちを見つめ直すことにも向けた鎮の大人な考えがすごくカッコよかったです。
コウスケも悪い子じゃないし鎮たちを別れさせたくて黄海にフェラしたわけではないので、変に拗れたりしなくて良かったなと感じました。
クローゼットな鎮とオープンな黄海のお付き合いはやっぱり簡単ではないのだけど、お互いに一緒にいたいという気持ちがあればすごく難しいというわけでもないんだな、と。
黄海はいつも楽しそうだし鎮もふたりの時間を大切にしているのがわかって。
相手のことを想いながら自然体で付き合っている彼らの姿がすごく好きでした。
鎮が自分の気持ちを言葉に出すのが苦手なことを黄海はよく理解しているんですよね。
そういうところごと鎮のことが好きな黄海が可愛かったです。
鎮も雰囲気に流されて「好き」とか言っちゃうような人ではないのが逆に良かったかな。
周りに意見されたからといって変わらない、そんなブレないふたりが素敵だなとしみじみ思いました。
"とりあえず"最終回とのことなので、ふたりのお話がまた読めるのを楽しみに待ちたいなと思います。
タチvsタチのお話ということで、抱くか抱かれるかの攻防戦が繰り広げられるのかと思っていたけれど。バチバチした感じや無理矢理感がなく、自然に惹かれ合うふたりを見守るような展開にものすごくドキドキしました。
抱かれた相手を夢中にさせる仁のテクを体験したことで仁の良いところが見えた大和は、身体の相性だけではなく一緒に過ごす時間に心地良さを感じていき。
仁もまた、スマートな王子様の皮をかぶってネコちゃんたちを虜にしてきた大和が自分の前では素を見せてくれることが愛しくなって…
タチ同士なのでマウントを取るようなところはありましたが、変に意地を張らず相手の良いところを認められるふたりなので、お互いに惹かれていったのも納得できました。
いつもはシュッとしているのに仁の前では泣き虫キッズになる大和がほんとにツボで、逆に王子様キャラに違和感を覚えるほど駄々っ子が似合っていて好きでした。
あのギャップを見せられたら仁が落ちてしまうのも無理はないだろうなー。
性欲が強すぎて特定の人を作らなかっただけで元々恋人は溺愛したいタイプっぽく見えたので、付き合った後の甘やかし方がとても気になります。
絡みもエロくて良かったし、ふたりのやり取りにはキュンとするところがたくさんあってすごく潤いました。
灯生が自分あての融資をギンモクセイに譲るといった後はさすがにもう少しモメるのかなーと思ったけれど、意外にあっさり受け入れた生吹。
でも大切な店を守りたい生吹の気持ちはこれまでにすごく伝わっていたので、その選択をしたのもストンと納得できました。
灯生の言葉は何か裏がありそうで深読みしてしまいがちなのだけど。彼自身とても真っ直ぐな人なのでその言葉にも裏はなくて、それがまた生吹の心を解していったのでしょうね。
ギンモクセイのために自分がどうするべきか?というのを違う角度から見ることができたし、逃げていた元彼との問題も解決。
生吹の人生はすごく良い方向に向かっていったのがよくわかり、灯生との出会いが素敵なものだったのだなと改めて感じました。
そして灯生がヴィンセントを辞めた理由とギンモクセイへ来た理由が明かされ、わりと謎だった彼の心が見えてくると。少しずつ甘くなっていくふたりの空気感がもうたまらん…!視線が交わっただけでもすごくドキドキしたし、彼らの大人な絡みもしっかり見れて大満足!
幸せなところに着地してくれて本当に良かったです。
ギンモクセイのその後も気になるので、またふたりのお話が読めたらいいなと思います。
独りでいることに慣れてしまえば"独り"という現実もそれほど気にならなくなるけれど。
ふと、そんな日常を変えたいなと思ったとき、独りの未来を考えてゾッとしたとき。
「40になる」という節目が訪れたことが、雀にとって動き出す良いキッカケだったのだろうなーと微笑ましい気持ちになりながら読み進めたお話でした。
そしてそれにスッと乗ってきた慶司のスマートな振る舞いの中にある、雀の背中を押してくれるちょっぴり強引な優しさがめちゃくちゃしみました。
勢いで始まった恋人ごっこではなく、慶司に雀を好きな気持ちがきちんとあったのも素敵でした。
これまでたくさん仕事を頑張ってきた雀だから、可愛いものや甘いものが大好きな彼の私生活もうまくガス抜きが出来ていたのが見えるようでほっこり。
誰にも迷惑をかけないストレス発散方法を知っている大人、という感じかな。
だからこそ諦めていた恋愛がハプニング的にだとしても、彼のもとに舞い降りてくれて良かった〜!と心から思えました。
40までにやりたいことをクリアしていくたび、ふたりの距離は確実に近くなり…
大人だけど初々しい初恋のようなときめきを感じるふたりが眩しくて、ドキドキしっぱなし。
ふわふわしているところから不意に現実に戻されるような場面もありましたが、そういう部分があってこその恋愛なのかなと納得して、そのハラハラも楽しめました。
上司と部下、それも10歳差。でもふたりのやり取りはきちんと現実的なので、その関係をストンと受け止められた気がします。
恋人同士になった後の幸せな日々を応援したくなるようなカップルだったなと思いました。
ついに同棲を始めたふたりの日々が描かれた"仏頂面"シリーズ3作目。めちゃくちゃ甘くて最高でした…!
今作はふたりの気持ちを掻き乱すだけの悪者キャラ・滑川が登場。
軽い気持ちで由良に声をかけるも相手にされず、出張先に駆け付けた加持に目で殺され(笑)
当て馬にもなり切れずにただただイヤな奴で終わってしまった滑川でしたが。彼のおかげでより仲が深まったところはあったと思うので、必要な存在だったのかなと思います。
仏頂面ではなくなるほどの由良への大きな愛と「圧倒的彼氏」力にめちゃくちゃ萌えて、由良の笑顔と涙にキュンとして…
このカップルほんと好きだなーと、改めて思いました。
加持と由良の絆は巻を追うごとに強くなっているので、ふたりから感じられる幸せいっぱいな空気感にとても満たされた気持ちになれる作品でした!
大好きなバンドのボーカル・ダイスケに憧れているトップアイドルの祐樹。
ひょんなことからダイスケにギターを教わることになったけれど、そのレッスン代はなんとセックスをすること…!という、かなり激しめなところから始まるふたりの関係。
思っていた以上にヒリヒリしている場面が多い印象でしたが、それがとっても刺激的で最高でした。
アイドルが嫌いだと言っていたダイスケも祐樹とは相性が良かったのか、言葉は厳しいながらも柔らかな表情を見せたり。
祐樹もギターに触れ、音楽を純粋に楽しむ笑顔にはアイドルの顔とは違うキラキラがあって。
性格や立場なんかも全然違っているけれど音楽を通して繋がったふたりが、自然と距離が近くなっていく様子にめちゃくちゃドキドキでした。
アイドルとしての自分がどうあるべきか?という壁にぶつかった時は、ダイスケとも気持ちが交わらずにハラハラしましたが。
そういう部分も全て糧にして成長していく祐樹は本当に眩しかったし、祐樹のそばで変わっていくダイスケも見ることができて。
お互いプラスに影響しあっているのがわかるカップルなのが本当に素敵だなと感じました。
恋人同士になったふたりはどんな日々を過ごしていくかな。その後の彼らも見てみたいなと思いました。
泥酔した木村がゴミ捨て場で倒れているところを国島が介抱して家に連れて行く…という、BLあるある的な出会いをしたふたりでしたが。
そこからはじんわりあたたかくて時々ちょっぴり切ない、大人の恋と日常が繰り広げられる展開となっていました。
同じ会社に勤めていたのが発覚したのもあり自然と距離は近くなるふたりでしたが、恋愛感情が芽生えるのはまだ先の話。
失恋をして弱っている木村にそっと寄り添う国島の自然体の優しさが、少しずつ彼の心を解していく様子は本当に素敵でした。
木村がぽつりぽつりと別れた彼氏との思い出を語り、それに耳を傾けながら過度に励ますことも慰めることもしない。国島の丁度よく力の抜けた反応に木村は救われたのでしょうね。
そういう優しさの積み重ねが、新しい恋を呼んでくれたことがすごく嬉しかったです。
好きだと自覚した後はバタバタとすれ違ったりもしたけれど。腹を決めたら誤魔化さず、きちんと気持ちを伝えることができるのがふたりの良いところだな、と。
本編が「いってらっしゃい」と「いってきます」で終わるのもふたりのあたたかな関係が見えたようでものすごくほんわかしました。
奏島先生の柔らかな絵柄ともぴったり合っていて、たくさんの感動をもらった作品でした
組長の死をもって極道の世界から足を洗い、無職となった真宮。
心から尊敬していた組長が愛する女のために命を落とした…それにショックを受けたというよりは、これまで人を愛したことがないので理解できずにいた感じでしょうか。
真っ直ぐな性格ゆえに脇目も振らず組長の為に頑張ってきた彼の心は、ポッカリと穴が開いたようになっていて。
そんな時に出会った香坂とこれまでとは違う日常を送る中で、人を好きになることや大切に思う気持ちを知っていくという、とてもあたたかな展開にめちゃくちゃキュンとしました…!
元ヤクザということでバリバリに墨が入り見た目もコワそうな真宮ですが、少しずつ香坂に惹かれていっている様子はとってもピュア!そんなギャップも楽しめました。
天然でポワっと可愛いところがありつつ恋をするのを諦めない香坂の強さはかっこよかったし、真宮を慕う舎弟達も良いキャラばかりで。バチバチしていなくてすごくほんわかしました。
数年後のさらに幸せそうな彼らまで見ることができて大満足。ふたりとも素敵な人に出会えて本当に良かったね…!と思えるようなお話でした。