はねっかえりのりーさんさんのマイページ

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女性はねっかえりのりーさんさん

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悪癖 2 コミック

イイモ 

漫画の神ですね〜

はらだ先生とか、と同じ空気を感じるイイモ先生の作品。
うーん、もう、コマ一つ一つ無駄がなくて、見せたい場面に全てが集約されていって、こういう漫画のバランス感覚みたいなものは、本当に才能なんだろうなあ、と読みながら感服!
頭で考えて作り上げられる世界を超えてると言うか。センスとしか言いようがない。

内容は痛いし、ガンガン揺さぶられて抉られるのに、読むのをやめられない中毒性がありますね。

ともあれ、大門の母が1番のサイコパスだよと思ったのは私だけ?
全てを息子のせいにして、お母さんは見捨てないよ、なんてよく言えたよ。

それと、介護に疲れ果てて罪悪感を抱いて、それなのにやっぱり、「行かないで、おばあちゃん」と絶望していた大門を見て、本気で泣いてしまいました。

人は多面性を持った生き物だけど、そういう矛盾や意外性を、上手に表現出来るイイモ先生、本当に素晴らしい。

3巻読むのが楽しみで仕方ないです!

これは、気軽に読むものじゃなかった……

気軽に読み始めてしまったんですよ…
幼児の育児の合間にちょろっと……

もう、駄目でした。
切なすぎて温かすぎて簡単には意識が戻ってこれませんでした。

そしてまた作品の雰囲気にマッチしすぎるイラスト。
繊細で柔らかい表情、指先、髪の毛、体の線、もう全てがもう…言葉がありません。

ただ、最後は幸せですけどら辛すぎて、個人的にはこのあとどうでもいいアホえろとかを読まないと浮上できないです笑

とにかくエロにこだわりを感じる

しゅがーぺろぺろ先生の作品は、タイトルのとおり、エロがすっっっごく素敵です。
エロがエロい。そして、一コマ一コマこだわりを感じる。
指の動きとか、アングルとか、髪の動きとか、なんか一つ一つが躍動感でいっぱいで、こっちまでキャーー!ってなっちゃうんですよ。
そして登場人物がそれぞれなんとなく皆完璧じゃないところもいいんですよね。
弱さがあって、ずるさがあって、だけどお互いが大好きで。
すぐじわっと泣き顔になっちゃう受けちゃんが、一見うざいかな?と思う方居ると思うんですけど。
全然ですよ!!!!これがかわいいの!!!!
続、の方ももちろん大好きなんですが、先々月から新連載を開始されたとのことですっごく嬉しいです。

分冊版もあります

こちら、分冊版も電子では発行されているのですが、ぜひ、中の作品すべてを知らなくても、手に取っていただきたいくらい素晴らしかったです。
私はパブリックスクールの番外編が読みたくて、先にエド視点の方だけ購入したのですが、そちらがとても良かったので、もっとこの世界観に浸りたくなりこちらも購入しました。

レビューはパブリックスクールだけになります。

さて、ギル視点のこちら。
本音を言うと、私はギルのことが嫌いだったんですよね。
礼のことを虐めてたのに都合よすぎじゃない?って。
ごく稀に、虐めてたり酷い態度をとっていたのに、なんのわだかまりもなく登場人物との仲が戻って友情に発展したりするじゃないですか。
樋口先生の作品はそれが結構多いですし。
物語の中ではあるあるですよね。
健気受けの子の作品では顕著というか。

でも、私はそこがどうしても受け入れられなくて。
どんな作家さんの作品を読んでも、そういう話になると最後まで引っかかってしまうんですよ。
なんですけれども。

それがもう。
覆って覆って、ギルのことが大好きで愛しすぎてたまらなくなりました。
ギル。ギルよ。
なんて、切ない愛を胸に抱いていたんでしょう。

エドは物語の主人公だったから、礼と幸せになれた。
待たざる者と、持って生まれた者の、違い。みたいな。
こういう、影で長年ずっと、報われない想いを抱いているキャラクターが好きすぎてたまりません。
報われないくせに、人が好きなんですよね。
自分は理解されないし、気付かれない。
それなのに人の機微には気づいてしまうし、愛してもしまう。
なんて損な役回りなんだろう〜〜

そして、ギルの、エドに対する尊敬の念と愛情。
それと、礼だけに向けられた本当の恋心が切なくて。

礼に対する気持ちは、存在を認めて貰えたっていうもう大きすぎる根本があるからで、どうあっても覆らない愛情なんですよね。
そして、かわいそうなエド、と言ったように、ギルはエドのことも愛している。
愛しているのを知られなくてもいい、と思っているくらい、愛している。
だからこそ、自分は報われなくても、エドと礼を思っているし、多分この先も思い続けるんでしよう。
お前のことも悲しませたくないんだよ、エド。と胸中を明かしたギルが愛しい。

本当に心が温まって、けれどしくしくと疼いて、切ないお話でした。
今回はギル視点のはっきりいって当て馬に相当する登場人物が主役ですが、当て馬の胸中を深く知られる作品があんまりないって、とてもとても勿体ない気がしてなりません。

すっっごく良かった!!!!

タイトルの通り、すっっっごく良かったです。
表紙との開きが良い意味で大きかった。
はっきりいって、レビューは読んだもののエロ重視だろうな、感情のやりとりや雰囲気、空気感なんかはちょっと付け足されたくらいだろうな、と思っていたんですよ。

でも!!!!
違った!!!!
重すぎず、軽すぎず、いい塩梅のパブリックスクールもの。
いい塩梅、というのが心地よかったんですよ。
ご都合主義に終わるし、ローレンスには味方が居すぎだと思うし、兄は報われない(番外編読みました。気になる方は読んでください)し。
けれども、パブリックスクールものに目がない私にとってはもう。
本当に掘り出し物を見つけた心地でした。

ちなみに高月先生の作品は初読みで、了読後違う作品を検索してみたのですが、シリーズ物が多いのですね。
ちょっとまだそれに手を出す勇気はありませんが、単発のものをとりあえず手当り次第読んでみたい!と思わせるくらいにはとても良い作品でした。

物語は、冬の王と呼ばれたクリフと、春の王と呼ばれたローレンス、ローレンスの友人でもあるダニエル、が主軸にローレンスのお兄さんやその他当て馬のビリー(マジで当て馬らしい当て馬で好きです笑)も出てきます。

この作品、高月先生の他の作品と比較できないのですが、良い意味で物語の文章が、堅いんですよね。
パブリックスクールの雰囲気がガツガツ伝わってくる感じ。ううう〜〜こういうの好き〜〜〜

さて、まずはダニエル。
「喚きだしたくなるような若気の至りを、檻の中に残して行きたいんだろう」
そんなふうに言う彼の言葉は、いつもちょっと遠回しで皮肉的で、けれど、とても興味深くて味わいがあります。
まさにそれ!パブリックスクールの醍醐味だよね!!!と思わずにはいられなかった。
ダニエルの言葉はいつもなんだか難しいのに、いつだって高尚でその魂が気高い感じがします。
だからこそローレンスと親友なんでしょうね。
こっちまでその深い意図を読むのが楽しくなってくるというか。

そして、クリフとローレンス。

ちょちょちょちょちょーーい!
たまらんぜ????
こやつらたまらんが???

と、読みながら何度悶え喚いたことか。
1人の時に読んで正解でした。

気持ちが通じあっていない(つもり)なのにもう早々から両思いの空気感がガツガツ出てるんですよね。
その、両片思いの癖に甘い雰囲気。
なのに切ない。
両片思いはもともと好きだけれど、こんな両片思いは経験したことがありません。
もう!好き…!!!!

俺の、フローラ。
俺の、スイートバイオレット。
こんなこと普通言ったら空ぞらしくて笑っちゃうと思うんですけど。
笑っちゃいますよね。
でも、違うんです。
そこがいい!
クリフが言うなら睦言にしか聞こえない!
相手に片膝を立てて跪いて、自分はただローレンスに選んでもらった、という立ち位置みたいなものを崩さない態度とか。

紳士か!!!!

本場の紳士の萌えたるや凄まじいですよ。
これこそスパダリ。全てをかねそなえた上で、穏やかに紳士的にローレンスを陥落していく様はお見事です。
こういうスパダリを求めてたんですよ……

あと、下手に片思いを拗らせず、終盤に両思いになるのもタイミングが良かったというか、潔かったし好感が持てました。
もだもだしている時も楽しかったし最高に切なかったんですけれど、それよりも、ただ、だだ漏れる愛をお互いが教授しながら、当て馬をやりこめる(笑)くだりが爽快でした。

そしてエッチですね。
エッチがエッチい(褒めてます)んですよね。
もう、なんだろう?
言葉も態度も優しいくせに、余裕が無い感じがたまらないのかしら…
なんと表現していいのでしょうか。
上滑りすることなく一言一言が入ってくる感じがして、だからよりエロく感じたんだと思います。
他作品のエロも読みたいな、って思ったのは初めてでした。

またうけのローレンスが程よく甘ちゃんでほどよくカッコイイ笑
これこそ美人受けの見本だと思う。
末っ子気質の甘えんぼというか、甘やかさを残しながらも、笑顔を絶やさず、場面場面では、豪胆に振る舞える。けれど肝心のクリフへの気持ちは最後の最後までひた隠しにしている。
これだよお!この一見したらツン、とお高くとまっているように見える繊細なローレンスの美しさ。性格にまで滲み出ていますね〜

最後になりますが、クリフの口調がまた、不意に柔らかくなるのがいい。たまりませんでした。
おいで、とか、〜〜だよ。とか。
クリフ好きだよ〜〜〜

今年1番のファンタジー

タイトルの通り、今年1番のファンタジーに出会ってしまったかもしれません。
今年まだ始まって半分しか経ってないんですけれども笑
すっごく分厚い!なのにあっという間!
もう、とてもとても面白かったです。

正直な話、笠井先生のイラストが特徴的過ぎて、いままで笠井先生がイラストを手がけた他の作品を読んだことがありませんでした。
そういうことが多々あって、テクノサマタ先生、竹美家らら先生、青石ももこ先生なんかの人気イラストレーター様が挿絵をされた作品も今までは読めず。
しかしながら面白いことに、どのイラストレーターさんが挿絵をされた作品も、1つ手を出してしまうと、物凄くその良さにハマってしまって、他の作品も読みたい、作家さんとイラストレーターさんが同じタッグになった違う作品を探したい、ってなっちゃうんですよね。
これぞプロの技なんでしょうか。
もちろん小説は内容も重要なんですけれど、笠井先生の独特の絵柄にも早速ハマってしまいまして、違う作品も続々と購入しています。まんまとやられるこの心地良さといったら…笑

さて前置きが長くなりましたが、この作品は噂の通り、癇癪持ちでわがままで横暴な王子のエセルが主人公で、どの方もそのイラつく性格に耐えられるか、と戦々恐々しているものと思われます。
ですが、我慢も50ページくらいまでです。
それに、後からエセルがどんな成長を遂げるのか、攻めのオズワルドの人となりは本当はどんな感じなのか、2人のやりとりはどう進むのか、そういう違う部分も気になるので、そんなに苦しくなく読み進められると思います。

お話は皆さん言っているようにテンプレなのかな。けれど私は飽きもせず中だるみもせず、すっごく心地よく読み終えられました。
さらさらっと進むんですよ。小中先生の良さですよね。
でも、さらさらっと進むのに全然物足りなくないんです。
物語の起承転結は申し分ないし、そしてなんと言ってもオズワルド。
そしてエセル、さらにはマルジン。
いや〜〜キャラが良い。
読みながら、まさにキュンキュンするとはこのことだ!!!と何度思ったことか。

終盤、オズワルドの言葉に、
「あなたのお傍に、誰よりも近くにいることをお許し願いたい」
というのがあるんですが、そんな甘い言葉を囁いているのに、なんとカラっとした空気よ。
もう好きなのに全然伝わってないじゃん。というところがまたキュンポイント。
そしてその後に続く猛烈な睦言の嵐…
「俺が隣にいるのが鬱陶しくて耐えきれなくなったら、あなたは俺の首を刎ねたらいい」
「あなたの隣に誰か別の奴が立つのを見るくらいなら、死んだ方がましだ」

重いよ!!!(好き!!!!!)

とんでもないよこの男は…
とんだ皮肉屋で腹黒で人間らしく性格も悪い。ひねくれていて、簡単には心を開かない。
そんなオズワルドが、どうしてもどうあってでも手に入れて掻き乱して陥落させたいと望んだのがエセルであって、その感情や態度がまたもう一途すぎて、不器用すぎて、その執着心や、捨てきれない愛情が終盤の愛の告白に繋がっているのかと思うと。

悶えキュンで死んじゃうよ〜〜〜笑

愛の告白としか言いようがない皮肉めいた言葉の数々に結局のたうち回りました。

そしてマルジン…!!!
何この人もおおおお…
こういう、頭が良くて、独特の空気を醸し出した当て馬が大好きなんです…
人に懐かなず、独自のペースで自分の世界を酷く大事にしているような雰囲気の癖して、エセルのことがほんとに大好き。大好きというより、愛おしい、という方がしっくり来る気がしますが。
また、マルジンとオズワルドの言葉の応酬も好きでした。嫌いあってるのに認めあってる。エセルを中心として、お互いが欠かせない存在だと、言わずもがな信じきってる。そういう関係性。大好きです……エセルのことどんだけ大事に思ってるんだろうって思ったら、キュンキュンしすぎて…
本当にもう、久しぶりにこんなにキュンキュンしましたよ…

最後の余韻のある終わり方も良かったですね。

本音を言えばマルジンの話が読みたいんです。
すっっっごく読みたいです。
先生、スピンオフ書いてくださらないでしょうか……

なにこの子かわいい

スピンオフなので、スピン元を最初に読んだのですが、読んだ時点で、今回攻めになるイングルが気になって気になって仕方なかったんですよ。
寡黙で、忠誠心が強くて、もう、心の中に、大事な主がいる。
そういう相手は、絶対に一筋縄では自分に落ちてこないじゃないですか。
振り向いてさえくれない。
イングルはそんな難しい攻略キャラだと思って、それをどうやって愛して、どうやって包み込むのか。
受けちゃんにも興味津々でした。

そして読んだ感想がタイトルの通り「なにこの子かわいい」です。

もう、ビャクが、可愛いんですよ。

てんで相手にされていないんですね。
イングルがロキのことを大事にするもんだから、ヤキモチ焼いて仕方ないのに、「傷つけたら許さない」とか「関係ないだろ」とか、言われ放題なんです。
その言い方も、サラッとな訳じゃくて、言葉につまるくらい、念を押すように、存在も否定されるくらいに言われちゃう。

それなのに、イングルはビャクのことを全然気にしてないものだから、逆にビャクに対してキスも抱擁も何も考えずにしてしまえるんですよ。
もう憎たらしいったらありゃしない!
だってもう、その素っ気なさが格好いいんだもん!

けれど、ビャクだってただただイングルの周りでウロチョロしてる訳じゃないんですよね。

イングルが呪い師を見つけて、今にも怒りを爆発させよう、というシーン。
ビャクは、そこで怯まずに、イングルを止めるんですよ。
そのシーンによって、2人の関係性が対等なんだなあ、って思えるのですごく印象深かったです。

あ、ビャクはこうやってイングルを支えるんだ。イングルの中に、こうやって少しづつ根を下ろして寄り添うんだ、みたいに感じて。

その後、呪い師を始末するか、ビャクの命か、と選択を迫られたイングルは、ビャクの命を取るんです。

ああ、やっと。
やっとだよぉ、と思いました。
やっとイングルの中に、ビャクも存在出来るんだって思えました。

はっきり言って、恋はまだまだ先になると思うんです。ラブラブなんてまだまだ先です。
だからこそ、続編(連載中らしいですね!嬉しい)が待ち遠しくて仕方ありません。
本当に読んで良かったです。

Season コミック

麻生ミツ晃 

人生のお話

麻生先生のお話は全部読んでいますが、1位、2位を争うくらい好きな作品です。
けれど、なんだか全体に漂うそこはかとない痛い空気感に、どうも簡単に再読できない心境にされてしまって普段はなかなか本を開けません。
そのくらい、私の中では一遍一遍が心にくるものがあって、重くて切ないのに、大好きな作品です。

初めの春のお話では、坊ちゃんの幼さが目立っていたんですよね。
麻生先生の受けちゃんは、幼さゆえの傲慢さがちょっと行き過ぎてる時と許せる時とで半々でして(笑)
読み始めは、坊ちゃんに対して、
この子、受け入れられるかなぁ、なんかやらかさないかなぁ…う〜ん…みたいな気持ちだったんですよ。
けれど、読んでいく過程での坊ちゃんの成長は目覚ましかった。
この子の純粋さや、傲慢にも見える綺麗さは、多分松岡を救ったんだと思うんです。
いつだって、心底救われると信じきっている(自分が坊ちゃんを信じきっていることにすら気づいていないんじゃないかな)のは松岡の方。
松岡は世間から坊ちゃんを守っているけれど、坊ちゃんが居なければそもそも松岡は誰にも救われていないわけで、守られていないわけで、人間にもなれなかった訳で。

だからこそ、坊ちゃんが初めて松岡と会ったシーンの、「だいじょうぶ?」は涙無しでは読めませんでした。

もうそこからの坊ちゃんは健気健気健気の健気三昧…一途に一途に松岡が大事だって全身で叫んでいるようでした。

また、お母さんの主治医だった先生が再婚相手になるんですが、その方もとても良い方だった。
言葉のチョイスが、本当に素晴らしい。
雰囲気、空気感が素晴らしい。
そもそもそんなキャラクターを創り出せる麻生先生が素晴らしいんですけれども(笑)

そして救われ続けている松岡。
松岡の苦しみも理解出来るんですよね。
夏のお話で坊ちゃんが刺されて寝込むシーン。
松岡は病床に伏せる坊ちゃんに、人を殴るところを、坊ちゃんに見られたくなかったなァって言うんですけれども。

もう、泣くよ…
なんなんだこの人たちは…

時代や、生まれや、自分では先に選ぶことが出来なかったもの、そして、そこから、後悔しながらも選んだ人生、生きかた、自分よりもずっと大事なお互いの存在。

そういうものが全部綺麗に折り重なって、切なさが止まりませんでした。

もう、本当に本当に、好きだ、としか表現出来ないくらい、大好きな作品です。

ぜひ、未読の方は手に取っていただきたいなぁと思いました。

リバース コミック

麻生ミツ晃 

放心状態

大きなスクリーンで、閉ざされた空間の中映画を観たような、そんな読後感で、少しの間放心状態が続きました。

サスペンスと、何ものにも変え難い愛と、孤独と、苦しみ。
それか折り重なって、慎重に進んでいくお話は、本当によく出来た映画のようでした。
麻生先生の作品はどれも緻密に練られたお話と、それにあった絵柄が本当に魅力的ですが、このお話は群を抜いて素晴らしかった。

ぜひ、ネタバレを見ずに読んで欲しいと思います。

※最後の書き下ろし、円が名前を簡単に呼んじゃうのが本当に可愛い。円ちゃんはこうやって今後も吐木を無意識にメロメロにさせていつてほしいでふ。

なんてことないのに

なんてことないんですよ。
もう30代近くて、立派に大人をやってる年上の先生にも忘れられない過去があって、自分にはどうしようもない苦しさがあって。
思春期で何もかもがどうしようもない、なにもできない無力だ、みたいに痛感させられる年下の志緒にも、人に言えない痛みがあって、自分では変えられない毎日がある。
そんな2人が出会って恋して結ばれて切なくて。
あらすじを読んだら、なんてことないんですよ。
よくあるBL作品の1つ。

それなのにもう。もうもうもう…
一穂先生は絶対泣かせにくるんですもん……
まんまと泣きましたよ。

志緒ちゃんが素晴らしく真っ直ぐで強いんですよ。
いや、強いというより、懐が大きいんですね。
作中で、桂先生が、「救われた」って言ってたんですけれど、本当にそうなんです。
志緒ちゃんの人間性が、桂先生を救ったんですよね。
それを怖がらずに受け止められた桂先生にも、与えられた志緒ちゃんにも、愛しさが止まりませんでした。


「ようこさん」
そのの言葉が、音になって、読み手にまで伝わって胸を裂くようでした。

なんて、
なんて切なくて愛おしい恋を志緒ちゃんはしているんだろうか。
どうして、そんなに懸命に誰かを救えるんだろうか。

そもそも志緒ちゃんには先生を救いたい、救える、なんていう感情は微塵もなくて、それでも、桂先生の湖の底に沈んでるみたいな冷たい部分を両手で、その存在ですくい上げてしまうんですよね。
もう、先生は志緒ちゃんを愛さずには居られないと思うんですよ。

年齢差とか関係性のことで志緒ちゃんが負い目に感じたりするのもわかってるし、大人として自分が矢面に立つのもわかってるし、そのことでまた志緒ちゃんが余計に傷つくのもわかってる。

だけど桂先生には多分、そんなこと、なんだと思う。志緒ちゃんと一緒に居ることの方が、自分の魂の部分で、ずっとずっと大事なことだから。

そういう、言葉では言い表せないけれど、もう、絶対に失えないものの絆とか、繋がりの強さ、みたいなものをこの短い1冊の中でぎゅうっと表現してくれています。