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アドバンスドレビューアー

女性hepoさん

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運命を信じたくなる2人

天ばら丼、食べてみたい。
この作品を読んで、初めて知りました、天ばら。

お人好しすぎて、お金を貸した親友に逃げられた小松。
相手から告白されて付き合ったのにフラれた歩。
傷心の2人が夜の公園で出会って…。

いやあ、何という幸福感。
この作品を購入したのが、雲之助さんを知ったきっかけだったのですが、一番最初に素晴らしい作品を引いたな!と今でも思います。
酔った2人が小松のアパートに着いてから鍋を作るまでの寸劇辺りで完全にこころを掴まれます。

小松の包容力が素晴らしい。
小松が「可愛い可愛い」と言うおかげで、可愛い歩がさらに可愛く見える。
2人のキャラ付けが素晴らしすぎて、愛おしくなるんですよ。
どんなに裏切られようと、ひとを信じることをやめない小松に「ばかだなあ」とは思えないんです。
そういう「自分が見たもの、感じたものを信じる」ところがむしろいい。
歩も元カレのせいで傷付いて臆病になってるけど、ありのままを受け入れてくれる小松の懐の広さが居心地良くなって、少しずつ「傷付きたくない」という殻の中から出て、小松の大きな愛に心も体も委ねていくのがいい。
いい!
幸せってこういうこと!って思います。

一緒にいるだけでしあわせ。
笑ってくれたらもっとしあわせ。
抱き合えたら、この上なくしあわせ。
小さなしあわせが積み重なって大きなしあわせになっていく。
これしか言えないけど、ほんとにいいんですよ。

理想的すぎる。だが、それがいい。
とにかくしあわせな気持ちになりたい。
そんなときに読むと確実にしあわせであたたかい気持ちになれます。
つらいことだらけで「世の中みんな敵〜」という気持ちになったときに読むと、また頑張ろうって思える。ひとに優しくなりたくなる。
素晴らしい作品です。
そして天ばらを検索してしまうこと、間違いなしです。

この2人、好きすぎるのだが

コミックスを待てず、既に単話売りで購入済みですが、やっぱり買ってしまった。
描き下ろしが読みたくて…。
いいの、これは元から描き下ろしに1冊分のお金を払うって決めてたから!と自分を言い聞かせる必要もないくらい、サクッと購入ボタンを押しましたよ。

単話の方でガッツリ感想を書いたので、こちらはサックリと。

3巻では真田だけに感じるモヤモヤを考えた結果、「真田がオレの性癖」という着地をしてしまった幸。
読者的には「天然可愛い」と思えるけど、真田の立場ではそれで片付けられないよなあ…。

「好き」だから「付き合いたい」真田と、そもそも「好きってどういうこと?」という幸がしっかり向き合って、お互いの考えを不器用ながらもぶつけ合って、「自分たちの形」を作り上げていく過程が描かれています。
それがほんとに良いんですよ。
ここまでの2人を見続けてきたからこそ、2人という人間が分かるからこそ、感じるものがたくさんありました。

最初は「顔が圧倒的に好み」というだけだった真田が、幸との時間を通して幸を知っていって、自分の気持ちを自覚して、望む形になるには「自分も変わらないと」と思う。
幸から「好き」を無理に引き出すんじゃなくて、まず自分が一歩踏み出すのがいいんです。

真田の想いを聞いた2話の幸の質問返しとモノローグは必見です。
「好き」という言葉の意味がいまいちピンと来ないながらも、ケンカで得られる痛みとは違う、真田が与えてくれる痛みだけが必要なんじゃなくて、「真田を自分だけのものにしたい」っていうのがね…、もうね、卒倒しそうになりますよ。
読者は思うのです。
「好きって良いなじゃなくて、キミのその感情こそが”好き”ってことだから!」と。
2話、ほんといいです。痺れます。

晴れて両思いになって順調にお付き合いがスタート!と思いきや、そうは問屋が卸さない。
付き合=デートして、男がスマートにエスコートしてお金も出して、という「紋切り型」スタイルを取ろうとする真田に、幸の本能が違和感を覚えます。
浮かれる真田の気持ちも分かるんだよなあ。
だってやっと付き合えたんだもん。やっと好き同士になれたんだから!
好きだからあれもこれもやってあげたくなっちゃいますよね。
でも幸の気持ちも分かる。
それまでの真田との関係が気に入っていたのに、望まない方向に変わっていく真田に「付き合ったら、こうなってしまうのか…」って思うのは致し方ない。
そこの擦り合わせがうまく伝わらない辺りが切ない。
切ないけど、そんなときにナイスな働きをしてくれるのが翔カップルですよ。

今回、えろすは1回だけです。
だけどすごく濃い。
体から強引に始まった2人の関係だけど、初めて心を通わせた状態で抱き合う。
それだけにこの1回の重みがすごいです。

はあ、好き。
もうほんとに好き。
合理主義で打算的だった真田が、お揃いのピアスを買っちゃうなんて誰が想像しました?付き合ったらこんなにあまあまになるなんて…、尊い。
真田の鬱憤を利用していただけだった幸が、会いたいから会いに行って真田に懐きまくる姿が見られるなんて…。
朝から2回も鎮痛剤飲んだのに治らなかった頭痛が治りましたよ。
この2人の威力、すごい。

サックリのはずが長々と語ってしまった。

さて番外編ですが、【おうちでお料理】と【お買い物デート】、【お揃いピアス その後】と3つも収録されていました。
良かった。この3つにコミックス1冊分の金額を払った甲斐がありました。

これで終わりかなと思っていたのですが、あとがきを読んだら続くようですよ!
大学生編、楽しみすぎる。
この2人をとことん見守りたい。
描いてくださる限り、どこまでもお供いたしますとも!

きみに注ぐ コミック

雲之助 

生真面目萌えのルーツ

初読のときに評価だけ入れてました。
読み返してみたら「萌2」。
おそらくこの作品が、今のわたしの3大萌え要素の1つである「生真面目すぎる人物」萌えの原点だったのではないかと。
初体験というのはどんなことでも衝撃的なものですが、回数を重ねるとその感動は薄れていってしまうんだなあ。

楽しく遊べるなら、相手の性別は問わない大島翔(かける)。
大学一の成績を誇る、真面目すぎるほど真面目な安藤祐一。
あるとき、大島が男子学生とキスしているところを安藤に目撃されたことから、2人に接点が出来て…、という話。

雲之助さんはグッとくる言葉選び/使いが巧い作家さんだなあと。
今回久々に読み返して、レビューを入れようと開いてみたら「神」評価が確定していたことにびっくり。
おそらく〆の流れに圧倒されて、ふらふら〜っと「神」を押したんだろうなと推測できるくらい、ラストが秀逸です。

ただある程度BL作品と慣れ親しんできた今、しっかりと読み返すと「むむむ」という点はあるのです。
一番「むむむ」だったのは、安藤祐一のトラウマが完全にとばっちりというか、相手の八つ当たりでしかないところ。
いじめっ子といじめられっ子がいたから適切に対処した→好きな子をいじめたいタイプのいじめっ子に詰られた→自分は余計なことをしてしまったのか…?というショックを受けたのですが、それよりもいじめられてた方の子が安藤祐一に好意を抱いていたよう見える方が気になる。
もじもじとお礼を言う相手に対して、紋切り型の返事をして、がっかりした顔をされてましたよね。
そういうところに気付かない、言われないと分からないというのが生真面目くんのおいしいところでもあり、もどかしいところでもあるのですが、この件がいつまでも棘のように心に刺さっているというのが、ちょっと「?」でした。
彼の恋が成就していた確率とか計算して、自分のせいじゃないって答えを出して忘れそうなものなのになあと。

再読したら、遊び人が労せず欲しいものを手に入れる感じのストーリー。
だけど可愛いところはたくさんあります。
フルネーム呼びが可愛い。
超ブラコンの妹が可愛い。
とか。

ラストはふらふら〜っと「神」を押すくらいに秀逸。
ぜひこちらは体感してみてください。

何だ、これ、すごすぎる。

タイトルが思いつかなくて、とりあえず1番に思ったことにしました。
衝撃でした。
すごい。いやもうほんとに、すごい。

進学校の中でもトップクラスの成績を誇る喬織人(たかいしきと)。
家では生意気な弟に背中を蹴られ、父は開業医、母はズバズバサバサバ系。
クラスの中でおとなしくて控えめな方の喬とは正反対に、明るくて華のある西央(にしお)凛々人。
ある日、具合の悪そうな西央を保健室に連れて行く途中、抗えない異変が起きて…。

想像していたのと全然違ってました。
まずわりとコミカルなタッチ。
喬目線の上巻は、脳内の自虐ノリツッコミ満載です。
もっと悲壮感に溢れた感じだと思っていたので、これは嬉しい誤算。
一番好きなのは「先祖はイカの家系?あ イカすってそういう」ってところ。
そして作画に清潔感があるので、発情中のえろすなシーンが綺麗。
ヒート中ってわりとどっろどろのでっろでろで描かれることが多い気がしますが、汁感なのか、作画のおかげさまなのか、そういうどっろどろのでっろでろじゃなく。
なのでえろすに抵抗がある方でも、わりと嫌悪感なく読めるんじゃないかなと。

深刻な状況ながら、ぐいぐい引き込まれます。
オメガバース作品は作家さんそれぞれにちょっとした設定の違いを加えたりはあるけれど、その枠組みが出来る前の話ゆえに、当事者たちの戸惑いと衝動がはっきりくっきり描かれていて、「どうなるんだ!?」と手に汗握りつつも、喬の脳内で笑い、それが具現化された表現に笑い、でも先が気になりすぎるという展開。

奇想天外な話ながら、説得力がすごい。
医者より獣医の方に興味があるという喬の設定が、後半になって生きてくる流れに「なるほど」と思う。
αの覚醒のせいか、西央の思考が聞こえてくるようになったとき、西央が親や自分に感じている遠慮に気付いても、うまく立ち回れない辺り。
すっごくもどかしいんだけど、もともとがおとなしくて目立たない立ち位置。
うまく立ち回れるわけがないんですね。
しかも「穏便」をモットーとする彼にとって、今の西央は寄らぬが吉。
体育倉庫に行かなければ、自分だけは難を逃れられるわけで。
なのにそこに向かわざるを得ないのが衝動のせいだけじゃなくて、喬が元来持っている優しさや生真面目さに起因している部分も感じられるし、拙い言葉で一生懸命西央の不安を取り去ろうとするのも好感が持てるところ。

ともすると少年漫画の主人公的な感じではあります。
体も心も弱い主人公が「うわァー、ボクには無理だよォ」と言いながら、「逃げたい、でもボクしかいないんだッ!」っていう使命感から強くなって、潜在能力が覚醒していくような。
でもそういう主人公に比べてテンパリつつも、冷静に分析できる部分があるのも良いんです。

1日目は西央から出る匂いと止まらない性的欲求と、西央限定で思考が読めるように。
2日目は西央を守りたいという気持ちが芽生えると同時に、噛みたい衝動。さらに相手を圧倒するオーラまで身に付いて、ムスコさん的存在にも変化が。
3日目は視力が改善されるという身体的変化が。
この状況からどうエンディングに持っていくのか、気になりすぎます。
鼻息荒く、下巻へ行ってまいります!

体験してほしい、この臨場感

初読みの作家さん。
表紙も綺麗ですが、本編の方がさらに魅力的です。

駅ナカのコンビニでバイトしている貝塚。
ある日、バイト中に後輩バイトの五十嵐から「好きです、付き合ってください」と言われて…。

秒で断り、秒で退かれるという、よく分からない状況に、後からじわじわテンパり始める様子に「あ、お祭り騒ぎな子かな?」と構えてしまいました。
ちょっとしたことで自意識過剰に赤面してオーバーに慌てふためく人物が苦手なもので。
読み進めていったら、危惧したような子はいませんでした。

貝塚は良くも悪くも「ふつう」。
突然の同性からの告白に、しかもローテンションで業務連絡みたいな流れに、会話の内容がしっかりと頭に入ってくるまでタイムラグがあって。
脳に届いたところで、告白してきた五十嵐は至って通常運転なものだから、それは戸惑いますよね。
1話目は軽いジョブっていう感じで、2人がどういう人間かを紹介するに留まってます。
この時点ではまだ読者の感情もフラット。

怒涛の1話目からの2話目の始まり。
一瞬ページ落ち?乱丁?と思うくらい話が飛んだ印象があるものの、雪で電車が止まって五十嵐の家に泊まりにいくことに。
ここからが「臨場感」の始まりですよ!
心理描写がすごく丁寧で的確。
イベントも不自然さがなくて、1人の人間が同性に限らず誰かを意識して、好きになるまでの感情を0〜100まで完全にトレースできる流れ。
告白されて好きになるまでを描いた作品は珍しくないけど、わたし的にはこの作品の描き方が1番グッと来ました。

お泊まりから、デート。
1話目では秒で断ったけど、相手の本気を知って、ちゃんと相手を知ろうとする。
それまでコンビニの中でしか知らなかった相手のいろんな面を見て、居心地が良いと感じる。
相手を傷付けたことで自分も傷付いて、その理由をしっかり突き詰める。
相手の「好き」ありきの恋だけど、一歩ずつ「単なるバイト先の後輩」から好きになれるか、付き合えるか、という段階を踏みつつ、貝塚の気持ちが変わっていく様子が描かれていて、読んでいるわたしも貝塚の気持ちにシンクロ。
うまいなあって思いますよ。
特にデートのところは楽しさが伝わってきて、それだけに五十嵐の本気のキスにショックを受ける貝塚の気持ちがよく分かる。
「ああ、こうやってひとのことを好きになるんだったよなあ」って思い出せる。
説得力がすごい。

良かったなあ…。
実はシーモアの読み放題で読みました。
月額料金で読むのが申し訳なくなるほど良かった。
作画も好みだし、五十嵐みたいな寡黙無表情キャラは大好物。
そんな子が好きな人の一瞬の表情にきゅんとしたり、赤くなったり、感情を抑えきれなくて強引に行ったりするのも大好き。
貝塚は一瞬苦手なキャラかと思いきや、ひとの感情に対して真摯に向き合う真面目な子で、読み進めるごとに好きになる。
買いますわ、わたし。
ちゃんとお金払います。
それだけの価値がある1冊に出会えた悦びに打ち震えております。

あのときの言葉…

ちょっとざらつき感のある白い表紙に金の文字。
まるで結婚式の式次第のような作り。

開くと1ページ目はトレーシングペーパー仕上げの用紙に金の文字でタイトルが。
シルバーリングとゴールドリングを彷彿とさせつつ、ここも式次第っぽさ満載。

購入しなかった方のために結構ネタバレします。





短い作品が2つ収録されています。

【AM2:00】
結婚式の打ち合わせ前日の夜。
ベッドの中で明日の予定を確認し合う2人。
2人とも裸です。実はいちゃいちゃ3回終了後。照れる利人が可愛い。
「どんな結婚式をしたいか」という話になって、利人が話す希望に対する光の反応が「ああ、光だなあ」って感じ。
前からそうですよね。
利人が「こういうのをしたい。こういう理由で」(←利人の話し方ってわりと「結論→理由」っていう英語スタイル)と言うと、じっくりと耳を傾けて、0.5呼吸ほど置いてから「いいな、それ」って賛同する感じ。
この受け入れ方、すごく好き。ちゃんと聞いて考えて受け入れてくれるみたいな。
きっと利人もそういう光の反応にきゅんと来るんだろうなあ。
久々に積極的な利人の姿と、そんな利人にどぎまぎする光が見られますよ。

【PM2:00】
12時間経って。
コマちゃんとの衣装打ち合わせを済ませて、カフェでお茶をする2人。
オネエ全開のコマちゃんに対する感想を言い合いつつ、話題は自然と紹介してくれた原センのことに。
ここで改めて明かされる卒業後の「利人と原センのデート」(『空と原』参照)に対する光の正直な気持ち。
あのエピソードの番外編でも結構滲み出してましたけど。
原センの利人への気持ちを一区切りさせるためにソラが取り付けたデートのことを思い出してモヤっとした気持ちをポツポツ話す光に、利人が放つ一言の威力よ!
覚えてますか。
その昔、原センに「お前って草壁のモンなの?」と聞かれたときに、利人が「そうです、半分」と答えたエピソードを(『卒業生ー冬ー』参照)。
あのときは照れ隠しで「半分」って言ったのか、まだ心だけっていう意味で言ったのか。
とにかく恥じらう利人が可愛くて、原センへのダメージも嬉しかったものですが、今の利人は「身も心も全部、光に。今も将来も全部、光と一緒に」っていう、うまく言葉に出来ない!でも伝わりますよね?伝わって!
あとこのモヤモヤをポツポツ話すのも「光だなあ」っていう感じ。
「いんだけどね、イヤよくはないけど、イヤなんていうの、そーいうアレじゃなくて」っていう要領を得ない、言い訳を挟みながらスパッと聞けないっていう行動が、最初から一貫していて、これだけのシーンでも「ああ、光らしい」って思わせる人物描写がすごいなあと改めて思います。
そういうモヤモヤをさっと吹き飛ばす利人の柔らかい微笑みには、「利人、成長したなあ」って感じる。
何でしょうね、もうほんと、絶対この2人、実在してますよね?っていう説得力。

ふう、良かったです。
昨日やっと届きましたが、良かった。
Aセット(#2用の新装版カバーと小冊子)で1,480円だったけど、本体より高いけど、大満足です。

これぞ「文川スタイル」の決定版

文川先生の描く設定で絶対的に萌えるもの。
それは「周囲から一目置かれる男子」×「天然/鈍感/ちょいおばか小動物系男子」の組み合わせじゃないかと。
たとえば『あさってにキス』では、1年ダブりのせいで周囲から遠巻きにされる有と天然砲連打の昭久。
さらに『不機嫌な君と気まぐれなキス』では、彼女が切れないモテ男の邦彦×邦彦に憧れまくる鈍感すぎなハル。
このシリーズにこの作品を加えて、漱石三部作ばりに「文川三部作」と呼びたい。

女子にモテまくり、告白されまくりなのに誰とも付き合わない飯田。
そのことを不思議に思った安村紺と仲間たちは、飯田にあることを仕掛けてみることに…。

あることとは、ずばり「男からの告白」です。
どんなに可愛い女子でも告白を断るのは、もしかしたらそれはゲイだから?という短絡的な発想から、紺が飯田に告白することで思わぬ方向へと話が進んでいきます。

この作品の何がいいって、人物設定は言わずもがな。
見切り発車で行動して、後先考えないちょいばかタイプの紺は可愛い。
そして学校一のイケメン・飯田はそんな紺にきゅんきゅん。
この2人の目線が1エピソードごとに入れ替わるんですよ!
ここです、最大のセールスポイントにして萌えポイント。
わたしが勝手に決めた文川三部作の他の2作は受け目線。
なので攻めの心情は表情や行動から読み取るしかないのですが、これがもれもれにだだ漏れているので攻め目線がなくても分かりやすかった。
なのですが、この作品の飯田は心の奥底に自分の性癖を隠してます。
そこを覆う一枚の壁として、平静を取り繕うのがすごーくうまい。
見えない、漏れない、悟らせない、という鉄壁のスタイル。
そのためにこの攻め目線がものすごくありがたい。
しかも同じ時系列を双方向から再現している1、2話に早くも読者への種明かしを入れてくるので、この時点で完全にこの2人に興味津々の臨戦状態なんですよ。

べた褒めですが。

その後の流れもいい。
紺のおばかっぷりに振り回されつつ、無表情できゅんきゅんする飯田。
本能のまま突っ走っては、飯田の反応で「あれ?」ってなる紺。
本編と描き下ろしに1回ずつしか出てこないけど、紺のお兄ちゃんもいい味出してます。

楽しい。

一個だけ難を言うなら、飯田がだんだん「学校一のイケメン」に見えなくなってくることでしょうか。
最初はイケメン!って感じなのに、次第にイケメンオーラが消えていくのは本編の中で女子が言っていた「雰囲気が変わった」というのとはちょっと違うような。
しかも群がる女子が飯田の彼女の位置を狙ってるんじゃなくて、恋バナしよー!的なスタンスなのも、「あれ?」な部分ではあるけど、まあ、そこの流れはなかなか面白いので良しということに。

安定の「俺の受け可愛い…、はぁ可愛い…」な溺愛系攻めと、無意識に攻めを振り回す小動物系おばか受け。
きゅんきゅんして、声を出して笑えて、切なさも感じます。
楽しめること請け合いです。

可愛すぎる鈍感くんのスルメ効果

はああ、もうほんっとに好き。
「神」と「萌2」で悩むところですが、何度読んでも変わらず最高の萌えを届けてくれると言うことは「神」でいいんじゃないかと思えてきました。
初読で評価を入れていたら「萌2」だったと思う。
読み直しで ぐんぐん増す萌え 恐るべし。

高校時代から憧れ続けた1つ年上の先輩・邦彦。
大学生になって、大学の近くで一人暮らしを始めた陽(ハル)の家に居座って、冷蔵庫のプリンを勝手に食べられても、ベッドでお菓子を食べられても、部屋を散らかされても、その気持ちは揺るがなかったけれど…。

邦彦がなかなかの曲者です。
自分に憧れていた後輩を上手く利用している女たらしかと思いきや、結構早い段階から独占欲と執着が丸見え。
これがたまらんのですよ。
攻めが先にそういう空気を匂わせ始める作品って、どうしてこんなに萌えるのでしょうか。
BLに限らず、恋愛ものって8割方、受け(もしくは女子)が好きになるじゃないですか。
あ、少年漫画だと男子か。
そう考えると、BLって受け目線が8割ってことなんだなあ。
主人公が気付かない状態で、相手からそういう空気がひしひしと伝わってくると「よっしゃ、勝ち戦!」と思って安心して読めるからなのかなあ。
心の余裕が萌えにつながるということですかね。

長続きはしないけど彼女が切れない邦彦だけど、ハルは別格なんですよ。
傍目に見たらからかってるだけに見える。
だけどその本心は!?ってところがチラチラどころか、わしわし見える。
好き。
こういう展開、好きすぎる。

地雷多めの方からすると「そんなに可愛いと思ってるなら、何で女と付き合うんだー!!」って思うかもしれません。
だけどそこがまたいいっていうか。
ハルが「憧れ」の域から出てこない/自分の「可愛い」と思う気持ちが暴走して、ハルが望む関係を壊すかもと思ったら、ガス抜きや建前的なものは必要なわけで。
そう考えると、余計に萌えませんか?萌えない?萌えるよね?

そんな邦彦の「先輩/後輩」を超えた可愛がりように気付かないハルの鈍感っぷりが可愛い。
憧れた期間が長すぎて、「自分も邦彦さんみたいになりたい」という遠くから見ていた頃の気持ちが定着しすぎて、だめでだらしない、ガッカリな姿を受け入れている今の自分の気持ちに気付けない。
むしろどんな感情でも、邦彦に向かうものは全部「憧れ」にオートソートされている感じがもどかしいけど、可愛いんです。

『あさってにキス』の有×秋久も出て来ます。
天然秋久と鈍感ハルの会話がまた可愛らしい。
天然ゆえに言えるアドバイスが、鈍感だからこそ生きる。
ブランコで語り合う可愛い2人を迎えにくる邦彦&有のカッコ良さも必見。

関係を変えるには、いつもと同じままではだめなわけで。
ちょっと切なくなる展開もありますが、そこからきっちりと自分の気持ちに向き合って、秋久のアドバイスもしっかり取り入れて迎えるラストが…。
邦彦、ハルのこと、好きすぎだな!?っていう。
ハルの可愛い顔、誰にも見せたくないんだね!?っていう。
興奮の嵐吹き荒ぶ中、とめどなく溢れ出る萌えをこぼさないように抱えて立ち尽くすしかなす術がない展開に、「わたしをどうする気!?」って言いたくなりますよ。

ときめいた…。
よくえろすをした後にお肌プルツルになっている表現が出てきますが、確実にこの作品を読んだ後のわたしはプルツヤしてるはず。
くすみも小皺も乾燥肌さえも吹き飛ばしてくれるときめきを、あなたもぜひ。

何もかもがキラキラと瑞々しい

初読のときに泣き過ぎて、全くレビューを書けるほど冷静になれず。
その後も何度かトライしようと手に取ってみても、初読のときの衝撃が大き過ぎて、逆にページをめくることができず。
ただやたらと車のシーンを思い出すことが多くて、ずっと心の奥底に居座ったままの作品でした。

ちょっとチャラくて、女子にも軽口が叩けるイケメン。
白石要(高2)は、学年に2、3人いるタイプの、モテる高校生。
そんな彼がつい目で追ってしまうひと、それは数学教師の名取。
見ていたから気付いてしまった、先生の視線の先の存在に…。

白石のわりと軽いノリで始まります。
先生が見ていた男子生徒のこときっかけに、先生だけにはできたカミングアウト。
その気安さから、数学準備室にちょこちょこ顔を出すようになって、先生のいろいろな表情を知っていくうちに…。
好きに、なって、しまいますよねぇ。

そこからが切ない。
最初から、相手には好きな人がいると知っていた。
打ち明けられるはずのない片思い。
打ち明けたところで、叶うはずのない想いがどんどん募っていくのを隠して、ふつうに振る舞おうとする白石が健気に見えてきます。
先生は別にすごくイケメンというわけでもなく、大人のオーラがバシバシなわけでもなく、どちらかというとどこにでもいそうな感じ。
モテるとしても「女子高マジック」的な感じでならモテそうと言ったら、女子高出身者はすごく分かってくれそうな。
それが余計にいいんだよなあ。
イケメンな白石が本当にふつうの先生に恋をすることで、先生の人柄に触れてこころが動いたんだなあって感じることができるんです。

すごく丁寧に描かれているので、ちょっと少女漫画的に感じる方もいるかも。
わりとBL的と言うよりも、先生と女子高生の恋を描いた作品に近いくらい、年齢的な危うさや脆さが描かれているので、少女漫画も読めるという方には相当胸きゅんだし、切なさもたっぷり味わえるんじゃないかな。

白石の数学の成績と準備室に入り浸っていることを関連づけて考える下衆な人々のせいで距離が出来てしまったとき。
白石が次のテストで取る成績が…、痺れる。
こんなことされたら、採点してて泣けてくるかもっていうくらい。
そのあとの2人の会話もまた…、切なさを助長してくるんですよ。

はあ、ほんとに素敵。
車通勤じゃないのに、他の先生に借りてまで怪我をした白石を病院に送る役を買って出た先生もいい。
溢れてしまう想いを隠しきれなくなった瞬間の白石もいい。
今、この文章を打ちながら思い出しているだけで鳥肌が立ってきます。

少女漫画風の展開に抵抗のない方で、未読だと言う方は是非とも読んでほしい。
絶対に泣けます。
そして大切な1冊になること間違いなしです。

自分の情緒が心配になるほど最高

泣けました。
これは「神」をつけざるを得ない!!

1巻で本能ではなく感情で一世を好きだと感じた兎和。
優しく兎和を包み込んでくれる一世も同じ気持ちですとも!と鼻息が荒くなりまくり。
気になるのは「獅子族だけはダメ、絶対!」の理由と、頑なに一世が避妊をすることでした。

2巻は初っ端から泣かせてきます。
自己犠牲に萌える方は確実に泣ける。
兎和目線の前巻の時点ですらだだ漏れ漏れまくっていた一世の愛。
それがさらに増し増しになっている状態で始まるものの、兎和の家では一族が集結して兎和のモデルデビューのお祝いが。
ここで兎和が獅子族と仕事をしていること、しかも付き合っていることがバレてしまいます。
デザイナーをしている叔父が登場するのですが、このひとが海兎族のオーガナイザーというか、馬族と繋がりを作ったり、兎和の婚約者を決めてきたり、ということを取り仕切ってるんだけど、ぐああああ。このひと、嫌い。
ファッション業界での自分の力を使って、兎和と一世を物理的に引き離して、獅子族に資金提供している立場の馬族をけしかけて…、無双状態ですよ。
仕事を詰め込まれて疲れ切っているのに、何かを感じて兎和の元に駆けつける一世が完全に王子様。好きだ!
不安を取り除こうとする一世と対照的に、一世がつらい思いをしないようにって考える兎和の自己犠牲が切ない。
この辺り、もうずっと泣いておりました。
無理。泣かずに読むなんて無理。

一世の惚れ込みっぷりを見たら、自分がボロボロになろうと、一族に脅しをかけられようと、何があっても兎和を選ぶのは一目瞭然なんです。
それだけの大きな愛をもらいながらも、身を引く。
自分一人がしあわせになるために、周囲の全員が、何より一世がつらい思いをするのが耐えられないという一心で、自分の心に踏ん切りをつける兎和が切なさの極みです。
愛を貫き通すのも強さだけど、愛を手放すのもまた強さなんだと感じました。
ただ自分が身を引いて家族の犠牲になることで、一世がどれだけ傷付くかには気付けてないのがもどかしい!

中盤までずっと泣きっぱなし。
コートのシーンなんて、心が千切れて死ぬかと思いました。

いろいろあって、兎和の自己犠牲よりも一世の大きな愛の方が勝った瞬間、既に崩壊していた涙腺が完全に制御不能に。
そして明かされた獅子族と海兎族の因縁は、わたしが想像していたよりもしっかりしたものでした。
詳細は本編でぜひご確認を。
わたしはてっきり叔父が獅子族にはまって、こっぴどく捨てられたことがあるというくらいのものだと思っていたので、完全に私怨だと思っていたんです。
なぜ捻じ曲げられて伝わったのかは謎だけど、伝承なんてそんなものですよね。

はあ、良かった…。
猛獣の一途な溺愛系はたまりませんね…。
愛される側の健気さによるスパイスも格別でした…。
余韻に浸りすぎて「…」なしでは語れない…。
女王フェロモン全開の兎和を前に、獅子の本能が解放された一世にゾクゾクしました。

終わってしまった。
この作品、まだ続きますよね?
兎和のお兄ちゃんと、兎和の婚約者のことも読みたい。
こちらも兄の婚約者と弟の元婚約者という関係だけに、一波乱もふた波乱もありそう。
久々にこんなに泣いて、自分が情緒不安定なんじゃないかと心配になりましたが、良い作品に出会えて大満足です!