梨とりこさんのレビュー一覧

月に笑う 上 小説

木原音瀬  梨とりこ 

恋は嘘つき上手を育てる

「灰の月」を読もうとしたのですが、さきに「月に笑う」を読んだ方がいいらしいとわかったので購入しました。
上巻には、「月に笑う1」「月に笑う2」「月に笑う3(途中まで)」が収録されています。このうち雑誌掲載は1のみで、2と3は書き下ろしです。

1は中学時代の路彦の話で、学校でのひどいいじめが描かれてまして。理不尽な要求を拒めず易々と暴力を受けそんな毎日も自分もいやで、誰にも相談出来ずどうした…

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月に笑う 下 小説

木原音瀬  梨とりこ 

上下巻の感想です

最初、学生モノかな…とおもいましたが。
足掛け十年以上。路彦と山田の関係が変化しながら最後、エンディングに向かっていくまで一気に読み進められるのは、さすが木原音瀬さんです。

いじめられっ子で、良いとこの坊ちゃん的な路彦ですが、山田と出会ったことから自分で立つ、というのか自立というのか、そういう気持ちを持ち始めたような気がします。きっかけは窓から飛んだ人の死を目にしたこともあったでしょうが、…

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祈り 小説

綺月陣  梨とりこ 

終盤まで救いなく、苦しい

無垢で無知だった大学1年の頃、来栖薫は成績はいいのに派手に遊ぶ井原哲史に目をつけられ、言葉巧みに井原が作るクスリの実験台にされてしまう。そのクスリというのはタバコだったり、塗布薬だったり、錠剤だったりする常習性の高い強壮剤で、栗栖の体を使って成分量を調整していた。

井原が大学で脱法ドラッグを製造、無許可で販売していたことが公になり、井原が退学処分となったことで栗栖と井原は一度切れた。

3

あなたが教えてくれた色 小説

安西リカ  梨とりこ 

愛の形?

一目惚れした攻めの高良が自分では興味もない日本画の画材屋に毎週通う理由…それは毎週火曜日にくる相手。綺麗な、受けの環紀。

ゲイの自覚もないまま、半年の間、声もかけられずにいた高良が意を決して話しかけようとするのですが、出来ず。。。そんな時にアクシデントで怪我をした高良を家で手当するという。
環紀は実はゲイだということをその時に知ります。

もー、最後まで、なんていうか、モヤモヤしてしま…

1

涙の中を歩いてる 小説

水原とほる  梨とりこ 

世界観に入り込めなかった

BLは一話完結が主で、頁数の兼ね合いがあるからだと思うけど、経緯説明や心情描写が不十分だと思う。
水原さんの「痛いSMもの」を何冊か続けて読んだけれど、この作品は余り面白くない。

高林が歪んだ動機が不明だし、ユウが高林に執着する理由が幼い。
過激なSM場面を書きたいだけの構成だったんじゃないのかな?

心臓病の自分を執刀してくれた若い研修医。
その研修医と10年後に、なんと東京のゲ…

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「渇欲」電子限定書き下ろしSS 特典

達幸の怖いもの

達幸にホラーゲームをさせてみた明良。
達幸は怖がる素振りも見せず淡々とプレイをするだけでした。
そこで試しに明良が達幸の前の前からいなくなるかもと、冗談で達幸に言ってみたら
達幸は恐れおののき、明良が一晩かけてなだめるはめになります。

その後、落ち着いてはいるものの
まだ明良がどこかに行ってしまうかもしれないと
家の中でもずっと明良に張り付く達幸。
その話を聞いた松尾さんはー…。…

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渇欲 小説

宮緒葵  梨とりこ 

究極の執着攻め

『渇仰 新装版』を読んでこちらを読みました。
順番としては『渇仰 新装版』の中に入っている「渇仰」と「渇命」の間のお話です。


達幸視点でのお話が入っているので
いかに達幸が明良の一番の犬として頑張っているのかがわかります。
明良に対する異常な執着心も達幸視点で読むと、納得しちゃう部分があるんですよね。
雄が…雄が…と常に他の雄を気にする達幸ですが
その時に考えていることもわかっ…

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完璧な恋の話 小説

渡海奈穂  梨とりこ 

二人を深堀りするお話?

森吉細すぎでは!?
感想の前にそのことで頭がいっぱいになってしまいました。

久しぶりに現代ものを読むので新鮮でした。
登場人物も絞られており、ひたすら内面を掘り下げ、自分を見つめ、弟や組木の言葉にハッとしたり。

博愛主義卒業か?
やっと森吉が特別な人が出来て恋する気持ちを知りましたね。
ポンコツというかなんというか。こりゃ相手は堪りませんね。

完璧であろうとしすぎるあまり…

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灰の月 下 小説

木原音瀬  梨とりこ 

惣一の地獄と嘉藤の涙

これまで惣一の負った苦しみの負債。

そして北海道に移り住んでからの2人の生活の静けさ。
負債に対し、なんて小さすぎる日常の穏やかさ。


もう、わたしの心臓は
持ち堪えることができなかった。

正負の法則というものがあるのなら
惣一の負債はどういうエンディングで
回収出来るのだろう。
物語のその先に、これ以上の幸せがあるのか…?


しかし惣一はもう、この負債を忘れ…

1

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

最後には萌えられたので神評価

 どちらかというとオカルトが苦手なので、タイトルの「死者」という言葉から長年敬遠していましたが、読んでみると深い人間ドラマが描かれていて、BL以外の部分が素晴らしかったです。佐田作品のオハコの「偏執的な執着BL」に今回も引き気味でしたが、最後の最後に二人にも萌えられたので神評価にしました。

 才能がある者に対する崇拝、羨望、葛藤、、。そういった複雑な人間感情が描かれている物語は描き古されてい…

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