Sakura0904
吸血鬼である和重の顔立ちがとても色気があって、時代設定も謎が与えられていて、素敵な題材だと思いました。が、どうも人間である昭彦の善意の押し付けがましさが鼻につきます。孤児院育ちで誰からも必要とされた記憶のない人生を送ってきて、命が危ないところを和重に助けてもらい、初めて自分が生きていることを喜んでもらった。だから、和重へのお礼がしたくて「来るな」「迷惑だ」と言われているのに押し掛け女房宜しく、家…
題材はとても良かったと思うんですが、主人公の感情の表面を撫でただけで終わってしまったような気がします。これだけ壮大な設定なのに、どこにも感情移入を深くする余地がなかったというか。この作品は、現代と250年後の未来、さらにそこから250年後の未来、と3つの時間軸があります。ですが、どの時間軸でも説明と、主人公とその想い人の話を他人事のように聞かされているだけのような気分でした。1巻という短さの中に…
絵もとても綺麗ですし、ストーリーもちゃんと起承転結があったのですが、受けの陽平が無駄に弱々しく描かれているような気がして、そこが引っかかってしまいました。家庭環境が原因で自分の意志をはっきり言うことができない性格なのは構わないのですが、何もない所でよく転んだり、誰かとぶつかって謝る際に「ごめんなひゃい」という言い方になったり。細かいことかもしれませんが、消極的な性格にそういう高校生っぽくない幼い…
これほどまでに評価に迷った作品はいまだかつてありませんでした。私にとって良い結末ではなかったから中立評価、ということではありません。ただ、あまりにも解釈するのに手間取ってしまって…。この結末の解釈は読者によって様々にできるものだと思うので、けっして正解は1つだけ、ということではないんでしょうけれど、正直もう少しヒントとなるものが欲しかったとは思ってしまったので、この評価に落ち着きました。でも、今…
けっして萌えた部分がないというわけではないのですが、今作で完結だと思うと、なんというか可もなく不可もなくというような評価になってしまいました。良くも悪くも波がないんですよね。今回は一応、太郎が治樹の気持ちを懸念して先輩に依頼された大きな仕事を受けるか否かという葛藤はするんですが、一旦セックスで逃避してその後治樹と胸の内を晒し合って、やっぱり受けると決めて万々歳、で終わってしまいました。ただそれだ…
優等生である上影森が実は隠れて煙草を吸うようなキャラで、その現場を唐竹に見られて舌打ちをする姿には、そんなギャップがあったのか!と、ビジュアルも含め思わずときめきました。中学時代に道生という同級生にパシられ強姦までされていて、そこから搾取されない人間になろうと決意し優等生としての仮面を身に付けた上影森。唐竹だけがそんな彼の裏の顔を知ってしまい、彼のことが気になるようになります。上影森もどこまでも…
◆花と月(表題作)
キャラ設定は良いと思ったのですが、せっかくの素敵な題材を活かしきれてないような気がしたので中立評価にしました。表題作はヤクザもので、組長である菅原と幼少期に彼に拾われた若い忠犬神崎のストーリーです。菅原は、もう自分の組は潰すのに潮時であり特に存続させたいという意志がないため、部下が何かやらかしてもお咎めなしにするような異色の組長です。
最初は、ヤクザものでここまで覇…
全体を通してとても重厚感のある物語でした。この作品でいう「天国」というのは、他の地域よりずっと治安が悪くて、犯罪が蔓延している上にそれが当たり前で誰も文句を言わないようなエリアです。ファンタジーではないのにどこか異世界チックな雰囲気が漂っていました。
読み終わった後に、この作品は登場人物の世都の過去を清算することがストーリーの主軸だったのかなぁと感じました。母親に天国でなら存在することを…
サイコパスを題材にするのって面白いと思う反面、とても難しい題材でもあるんだなぁと改めて感じた作品です。まず、変わり者や勘違い人間と、サイコパスとを線引きするのが非常に難しいと思うんですね。けれど両者は絶対的に違っていて、前者は相手の気持ちを正確に読み取る能力が高いわけではないのに対し、サイコパスというのは相手の気持ちをちゃんと把握しながら、それを罪悪感なしに操ったり、分かった上で利己的に行動した…
主に表題作について中立評価です。表題作だけだったらしゅみじゃない評価になりそうなくらい、読み返したいと思えない作品でした。他人の心の声が聞こえてしまう能力を持つ受けというキャラ設定は面白いですが、なんだか展開が自然でないというか脈絡がないという印象を受けました。そして、一番引っかかったのはメイン2人の行動の動機が単純過ぎるところ。受けの林田がこのような能力を持っているからといって、運命の人は「心…