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「ひどくしてって お願いしたの 太郎さんだよ?」 ――ついに完結。
1~3巻を通してのレビューです。
※レビューの最後にセリフネタバレあり
本日全巻通して読みましたが、ものすごい心情描写だった。
長期間続いている迷いのようなものがあるときに読んだら、こっちまでぐちゃぐちゃになってしまうような...ある意味パワーがあったと思います。個人的に一番盛り上がったのは1巻の終わりから2巻だった気がしますが、読み終えてみればやはり彼らにぴったりなエンディングだったように感じます。自分のなかだけでの葛藤を、やがてふたりでも分け合えるようになってー。治樹から太郎に向けて発せられる言葉がどれも、すごく好きだったんです。最終巻では、彼らの危機に心を動かしつつもどこか安心して読み進めておりました。誰もジャマできないだろうなーと思うようななにかが、もう、できていた気がして。自分はそれを確認するように読んでいたのかも。
治樹は、とてもしっかりした年下くんだったように思います。太郎からの愛情を実感して、トースト食べながら泣くあの顔…いいなぁ。だけど、治樹贔屓としてはこの先のことが気になりますね。家族とのこと、放って進めるわけがないだろうし。これからの彼らが気になりつつもひとまず、「あぁ、読めてよかったなぁ」と感じた作品でした。S×Mのエロティックラブには触れないレビューですみません(そこが大事なのに!)。SM作品あまり興味ない...という人も、読んでみてもよいと思いますよ。ちゃんと甘いので。
「俺……
妬くのがまんできるよ」
こんなこと言うんだなぁ...
というか、こんな言葉があったんだ。
3巻にして完結編。
2巻の終わりで出てきた太郎さんの先輩が当て馬感を満載に醸し出していてどうなっちゃうのかな、と心配しつつ読み始めました。
序盤に太郎さんと先輩の過去のお話が少し出てきます。
高校生の時の、太郎さんの恋のお話。
先輩のことが大好きで、先輩の事なら何でも言うことを聞いてしまう。
そんな太郎さんと、そんな太郎さんの気持ちを知って、体の関係だけ持っていた先輩。といっても、「男は気持ち悪い」と言い放ち、さわりっこまでの関係だったのだけれど。
ああ、なんというクズ男なんだろう、こいつ。とか思いつつ読み始めたのですが、先輩のおかげで治樹への想いがしっかり固まったのかなあ、と。
太郎さんの性癖を知り尽くした先輩ならではの、太郎さんのM心をくすぐるちょっかいに少し興奮しながらも、それでもご主人さまは治樹しかいないと一途な太郎さんが可愛すぎでした。
先輩は実は大手出版社に勤める編集者さん。彼に仕事を依頼されますが、納期が厳しかったことに加え先輩とのことを少し嫉妬していた治樹の気持ちを慮って仕事を断ります。
先輩との関係を嫉妬する治樹と、治樹に嫉妬されたりして自分を縛ってほしい太郎さん。
SとMの二人なので、初めはうまくいきそうに見えるのだけれど、本当は先輩に声をかけてもらった仕事をしてみたい気持ちもあって。
治樹に激しいプレイをしてもらうことで現実逃避してみたり、現実から目をそらしていた太郎さんですが、周囲の人のやさしさや思いやりに触れ、そして治樹の想いを知って、自分から一歩踏み出すようになっていく過程はとても良かった。
エチの方もエロ満載でした。
バイブやらブジーやら、放置プレイやら。
もしかしたらSMが好きな方には物足りないのかもしれませんが、個人的にはおなかいっぱいでした。
お互いを信頼しあう恋人たちのSMプレイは非常においしかったです。
このお話は太郎さんがメインだった気がします。
人嫌いで、仕事はスランプ、恋人とはうまくいかない。
そんな太郎さんが治樹に出会い、少しずつ成長していく。
なので、あまり細かいことは言っちゃいけないのかなと思いつつ、治樹の方の話ももう少し突っ込んで書いてほしかったなという気はしました。
結局実家のお父さんとはどうなったんだろう…。
途中、不穏な空気が流れることもありましたが、それでも全体を通して甘い空気が流れ、特に最後の、太郎さんが「ずっとそばにいてくんない?」というシーンは激萌えしました。繋いだ手、という絵もとても良かった。
表紙も良い。
1・2巻はそれぞれ一人ずつ描かれていたのに、3巻は二人一緒。甘いお話にぴったりでした。
ほっこりした気分で読み終わったのに、ミーコハウスさんが描かれたあとがきで爆笑してしまった。
太郎さんがキュウリじゃなくてなすを選んだのはやっぱり太さ?でしょうか?
甘々・エロエロなお話が読みたい方に、お勧めの1冊でした。
完結しましたね。
すごく平和なエンディングで、しみじみうれしい。
太郎がちゃんと愛情を受け入れられるようになったのって、やっぱり治樹のおかげでしょうね。
高校生の頃からずっと太郎に影響を与え続けた「先輩」が結局太郎を手に入れられずに後から現れた治樹にかっさらわれて、太郎の羽化(恋愛面でも仕事面でも)の相手にもなれなかったのは、治樹が持っていた「健全さ」と「愛」の力に負けたって事なんでしょうね。
この作品、確かに道具を使ったセックスなどの描写は多いけど、根本的には、素直で優しい愛の力で茨のお城に囚われていたお姫様を救い出すようなロマンティックなラブストーリーで、古典的少女マンガ好きとしては嬉しい終わり方でした。
2巻ではっきりと顔を出し、嫌な予感しかしなかった太郎の先輩に「松本先生は、この先輩をどんな風に動かすんだろう?」と心配と楽しみの相反する期待を持っていたのですが、その先輩とのまったく思いもしなかった攻防に、松本先生すごいっと思いました。
あの頃のように太郎を追い詰めて、困らせて、翻弄する先輩ですが、治樹というご主人様を得て成長した太郎は、あの頃のように戸惑う顔を見せても、もう先輩の雛鳥ではなくなっていました。
2面性を持つ太郎ですが、先輩もまた2面性を持つ男でした。この二人に限らず人間って誰でも2面性があると思うんだけど、多くの人は先輩みたいに上手く隠して一つの顔しかもっていないような振りして生きているんだと思う。多分私もそう。不器用な太郎はそれが出来なくて長く鬱屈した人生を送っていたけれど、治樹との出会いで自分を解放することが出来ました。
そんな太郎と再会して、太郎の前ではつい裏の顔が出てしまう先輩は、本当は太郎の前でだけは解放されていたのかもしれませんね。誘いをきっぱりと断る太郎にヒステリーを起こす先輩は、これまでのイメージを覆す弱さが見えて楽しかった。
スランプを脱して書きたい気力がみなぎっている太郎は格好良くて、SEXで甘える太郎は可愛くて、布団の中で手を取り合って「ずっとそばにいてくんない?」と、真っ直ぐに治樹を見つめる太郎は、とても美しかった。『美しい野菜』というタイトルがしっくりとハマった瞬間でした。
完結したので3巻まとめて入手&読了。(シリーズものはできるだけまとめて読みたいタイプです)
シリーズものなのであらすじは割愛。
SMだということは聞いていたのですが、あまり痛さはなく、可愛らしい話でした。小説家の受けと、実家の八百屋の手伝いをしていた年下の攻め。
ある日受けが八百屋の前を通ったときに、店番をしていた攻めのセールクトークに流され、ほうれん草と人参を買っちゃう。まったく料理をしないのに野菜なんて買わされて困っていたら、後日銭湯でホモと揉めた際に偶然出くわした攻めとも揉めちゃった。
「野菜なんか要らなかった!」「じゃあ金返すから野菜返せ!」とのやり取りは受けに対しても攻めに対してもちょっとイラつきましたが、まあそれで攻めが受けの部屋を訪れ、なぜか一緒に酒なんか飲んだりする2人。そしたら受けが思いのほかエロくてそういう関係になっちゃった、ノンケのくせに受けはノリノリで、しかもMだったのでがっつりSM展開に…というのが出会いです。
受けは人見知りで人付き合いが嫌いなコミュ障で、コミュ障気味無愛想からのエロエロドMのギャップがものすごかった。ワンコ年下な攻めがSなのに思い切り振り回されているのが可愛くて、いろいろ堪能しました。基本大きな諍いも問題もなく、割と順調に関係は深まっていくので、ドキドキハラハラは少なく、エロキュンが主でした。
受けの人格の根本を築いた先輩がなかなか良いキャラでした。この人の揺さぶりに受けが負ける展開になったらどうしよう、と思いましたが、そちらはあっさりでちょっと先輩が気の毒だったような。
かなり楽しめる作品でした。個々の巻では萌×2かな、と思ったんですが、3巻までまとめて一気に読んでの評価は神かな。