Sakura0904
◆つける薬がなくても
こじんまりとした個人医院の先生と、サーフィンが趣味の患者という組み合わせがとっても素敵でした。ゲイをカミングアウトすることの是非は人それぞれ考えがあって当然だと思います。仁科のようにひた隠しにすることも、柚瀬のように敢えて最初に宣言することも、自分が傷付かないための知恵。どちらの生き方にも共感できました。それでも、今まで窮屈な人生を送ってきた仁科が、新しい考えに触れて、少…
これで外交官達の実情に詳しいわけではないというので、新田先生は想像力の豊かさと、ご自身の経験を未知の世界に落とし込む技量が本当に優れていらっしゃる方なのだな、と改めて驚きました。春抱きシリーズでも、まるで実際に俳優達の中で揉まれてきたかのような描写が多々ありましたが、この作品でも同じように感じ。もちろん、どの先生も特殊な世界を描く時にはある程度の勉強をされているとは思いますが、漫画だと多少の詰め…
◆相対的伊勢田くん(表題作)
冒頭の合コンで伊勢田が口説いていた新田が可愛かったので、この子とはくっつかないだろうなとは分かりつつも、彼が結局女子とくっついたと聞いて、私も伊勢田と同じようにがっくりきました(笑)。可愛い系男子に惚れやすい伊勢田。でも、彼の傍には、実は彼のことをずっと好きな男がいて。伊勢田は潤に告白されるまでまったく気付かないし、告白されてからすら、長年の親友からの恋愛的好意に…
どんどんヤク漬けの体になっていく深見。薬で稼ぐヤクザがヤク中になってしまったら終わり。まさにそれを体現していくような深見に、痛ましさを覚えつつも、どこかこうなっていくのが自然とも思えるというか、諦めのような気持ちも持ちました。ただ穏やかに祐介のピアノを聴いている彼をずっと見ていたいけれど、心のどこかでそんな日々が続くことはあり得ない、彼はきっと堕ちていってしまう、と周りも読者も分かっていたんじゃ…
あれだけ雄々しく、威圧感もあって、人前で女と乱交することも厭わないような深見が、有島にあっさり抵抗を封じられ、好きにされてしまうのは、1巻冒頭の頃から考えるとかなり衝撃でした。彼は諦めるべきラインをよく分かっていて、だから有島の誘いに乗ったわけですが、それでも心の奥底では無体を働かれることにも収まりきらない嫌悪感、抵抗感があって、終盤では部下や祐介の前だろうと構わず、有島に対してものすごい剣幕で…
◆願い叶えたまえ(表題作)
雰囲気はそう予想と変わらなかったのですが、ストーリー展開が予想の遥か斜め上をいってくれて、いろんな意味でグッときた作品でした。表紙の人物・深見はヤクザで、ピアノを弾く祐介のことをじっと見つめていた男。商業BLをそれなりの数読んできた読者なら、この時点でもう祐介に気があるんだな、と思ってしまいませんか? 私は深見が祐介に女を充てがった時ですら、性別関係なくできる人なん…
◆ごまかしきかないまがいもの(表題作)
教授と生徒という組み合わせで、尚且つ生徒の秀明がまさかの売り専として働いている時に出会ってしまうという導入が美味し過ぎました。しかも、普通だったら同性の風俗を利用している教授である勇作の方が立場が悪くなりそうなのに、秀明の根が真面目で悪意がないからか、むしろ勇作の方が堂々と振舞って、秀明が気まずそうにする流れがたまりませんでした。勇作の大人の余裕、愛し方…
現代に生きる吸血鬼達の物語。せっかくの耽美な題材を、あまりにもラフでコメディ調に料理されると残念だなと感じてしまうタイプなのですが、こちらは笑えるシーンはありつつ、根底にはシリアスな雰囲気、切ない雰囲気が漂っていたので、独特の世界観にも存分に浸ることができました。ペアリングなんていう利害関係で成り立っている制度に頼る反面、1人ひとり掘り下げていけば、皆誰かへの熱い感情を持っているのが見えてきて。…
まだ終わりではないんですよね? もう10年以上も前の単行本なので望みは薄いかもしれませんが、明確に終わりと言われるまでは、続きが出るのを待っていたいなぁと思います。2巻では戦闘シーンがさらに多く、濃いものになっていましたが、それだけ殺伐とした世界だからこそ、クラウスとタキの太い絆が窺えるシーンがより美しく見えました。
穢れたものにタキが触れられることを極端に忌む領民達。レイゼン家の人間は…
春泥先生のタッチとコミカルな雰囲気は本当によく合いますね。広瀬のビジュアルもドンピシャでタイプで最高でした。厳密には告白すらできてなくて、まだ健全な友達関係を抜けきっていないのですが、中村の甘酸っぱい片想いを存分に楽しめました。
まだ連載は続いているのかな? ここまで来たら是非中村が広瀬に告白するところまで追いたいですね。広瀬は一見クラスの上位カーストにいるようで、意外と感覚も中村に近く…