Sakura0904さんのレビュー一覧

月の裏を越えて〜オメガバース〜 コミック

恋煩シビト 

真面目な攻めに泣かされる

 オメガバースのストーリー展開としては王道をなぞっていた感じでしたが、教師と生徒という組み合わせはあまりなかった気がして斬新だったのと、恋煩先生の憂いを含んだタッチにオメガバースの世界観がとても合っていて楽しめました。なんせ教師の月ヶ瀬の顔がイイ(笑)。黒髪でスペックは高いけれど周りを見下している感じはなく、マンツーマンで補習を行うほど教育熱心で生真面目。さらに、今より人生を舐めていた若い頃にはΩ…

3

おかえり電車 コミック

内田カヲル 

純粋で真っ直ぐな子供と考える大人のお付き合い

◆おかえり電車(表題作)
 タイトルからも表紙からもどんな話なんだろうとワクワクしていましたが、想像以上に可愛いらしい甘酸っぱい作品でした。学生の康平がかなりの口下手というか、自分の頭の中でぽんと思い付いた単語がそのまま口に出てしまうタイプで、文脈を読み取るのが難しいのだけど。社会人の正三はまったく苛立ったりせず、こういうこと?と丁寧に聞いたり、察しが良くてすぐ理解したり、とにかく常に物腰柔らか…

1

桜花 咎の契 コミック

吹屋フロ 

史実とフィクションとBLが上手く調和している

 有名な史実(説止まりの話も含め)をなぞらえながら、BLに落とし込む吹屋先生の手腕がお見事でした。もちろん若い男同士の絡みがメインでありながら、冒頭の『鬼ノ島』では耄碌した僧に若いかつての侍童が自ら抱かれるシーンも描いていたりと、当時の綺麗なだけではない同性同士の関係にも挑戦されていました。この作品を読むと、当時の僧侶や武士は男しかいない世界だから皆女の代わりに男を走ったのではなく、性別は関係なく…

1

アキちゃんは好きで魔性なんじゃない コミック

河馬乃さかだち 

誰だって自分らしく生きることを肯定されるのは何にも勝る喜びなのだ

 タイトルから大体想像のつくストーリーなんですが、アキの男を虜にする表情や乱れっぷりがすごくて、とても余韻の残る作品でした。高校生の時、不良友達に犯されてから諦め癖がつき、いかに早く相手を受け入れてせめて乱暴されないように自分から絡め取るか。そんな手段を覚えてしまったアキが、彼らに不細工と言われた本当の笑顔をまったく見せなくなり、色っぽいと言われた不敵な微笑みばかりするのが痛ましくて、切なくて。高…

2

グリーン・コントラスト 2 コミック

西尾メシ 

攻受の組み合わせもストーリー回収も最高

 1巻が殺伐としていたから2巻に手を伸ばすか迷っているという方がいれば、2巻には間違いなく萌えがあると伝えたいです。もちろん、1巻から引き続きノーバートの謎を解明し、彼との決着をつける流れにはなるのだけど。ウィルとオズの関係性は2巻で一気に濃いものになるので、1巻では2人の絡みが物足りないと思った方も2巻では満足できるのではないでしょうか。何と言っても、ノーバートの下で喘いでいたウィルが、対オズで…

0

おまえでダメならもうダメだ コミック

未散ソノオ 

本当の自分を見てくれる人、好きになってくれる人を諦めないで

 今回もキャラクターが一癖も二癖もあって、とても魅力的で面白かったです。ユーモアたっぷりにもちろん誇張されてはいるけれども、掘り下げていけば私達現代人の中に実は少なくなく潜んでいるキャラなんじゃないかと思ったり。たとえば攻めの八雲。顔も良くて仕事も料理も器用にこなし、人当たりも良く言うことなしの男。でも、器用貧乏というか何でもそつなくこなせる代わりに、本当に自分がしたいことが分からず、個性の強い人…

5

春を抱いていた ALIVE(5) コミック

新田祐克 

落ちた人間を切り捨てないこの作品が好き

 まさか翔とのことがここまで長引くとは思っていませんでした。正直今まで終止符を打つならいくらでも場所があったと思うんです。翔のDNA鑑定結果が出た時、岩城と翔が喧嘩して和解した時、岩城と香藤が翔の父親と和解した時。このいずれかの時に話にケリが着いていても、綺麗な終わり方だし読者も納得したんじゃないでしょうか。でも、新田先生はそうしなかった。岩城と翔との関係が世間に暴露され、それをいかに乗り越えるか…

1

春を抱いていた ALIVE(3) コミック

新田祐克 

業界自体が変わって欲しいけれど、踏み台にしていく力は間違いなく必要

 2巻で翔のことはある程度解決したと思っていたけれど、やはりこの親子がそう簡単に割り切れているわけではなく、仕事にも影響してよりディープな関係になっていました。翔が最終的に枕という手段に甘んじたのは、自分の尻を自分で拭うあくまでけじめという理由だった。けれど、それを恥じてないわけではないし、性的搾取を自ら許したことを受け入れきれているわけでもない。確かに、未成年には少し酷だったかもしれません。それ…

0

春を抱いていた ALIVE(1) コミック

新田祐克 

1つ1つの波乱で共に学び、着実に糧にしていく2人

 新シリーズになってもやはり波瀾万丈な2人。それでも根っこにある強く太い絆が常に感じられるからこそ、2人の間に何が起ころうが、ドキドキはしても1つの章が終わるまでにはきっと穏やかな日々に戻れるだろうという安心感があります。かつて2人に恋人になるきっかけを与え、優しく見守っていてくれた佐和が、雪人を大切にできていなかったり、香藤に当たったりしたのは残念でした。けれど、長く生きていればいるほど、相手へ…

0

春を抱いていた(14) コミック

新田祐克 

互いの性格・考え方を熟知し、尊敬していることの素晴らしさ

 前巻まで有名な割にレビューが少ないなぁと少し寂しかったのですが、この最終巻にまとめてレビューされている方が多いのですね。安心すると共に、嬉しく思いました。最終巻だからといってやはり甘々にはならず、どちらかといえば波乱ばかりが起きて全然落ち着かない展開となっていましたが、そういう状況になればこそ、人は本来の姿が現れるもの。まずは自分の体調管理を徹底することが相手の幸せに繋がるのだ、という香藤の言葉…

0
PAGE TOP