Sakura0904![]()
◆ESCAPE
最後は3編からなる表題作の受けの話で締められるので、読み終わった後、この冒頭の作品の記憶はすっかり薄れてしまうのですが、再度読み返すとやっぱりいいなぁと思いました。青春の中の儚い逃避行。悪行を繰り返しながら逞しく生きるアキオと、箱入り息子で親からの愛も十分足りてそうだけど、学校と家だけの狭い世界に閉塞感を感じているキョーヘイ。進んで犯罪に手を染められるほどぶっ飛びはできないけれ…
このポップで肌色多めな表紙からは1ミリも想像していなかった、不毛な三角関係。まじまじと確認したわけじゃなかったので、単純に、濡れ場多めのオムニバスかと思っていましたが、まったく違いました。教師の澤と、生徒の星野と和宮。最初は澤と星野があっという間に体を繋げて両想いっぽくなるので、あれ?結構トントン拍子に進む話なんだな、と思うのだけど。実は、星野は澤のことなんか好きじゃなくって。そこから2人を取り…
◆ばかの恋(表題作)
どの作品も萌えたんですが、振り返るとやっぱりこの表題作が一番好きだなと思いました。表情の読み取りにくい佐和の、淡々としたモノローグが面白い。BL漫画の受けではあまり見かけない、上瞼が少し重い感じの見た目もお気に入り。どこにでもいそうなありふれた男子だったのが、烏丸からの愛によって、どんどん魅力を開花させていくようで。一見烏丸の気持ちの方が重いように見えるけれど、なんだかん…
アメリカの刑務所内のBLとしてはまさに王道な感じ。期待したことが起こらないということはなく、そういう舞台のBLを求めていた方は十分満足できる内容だと思います。攻めであるソードが、白人ではなく黒人なところも特に気に入ったポイント。肌の色に敏感なこのご時世、人種によってどうだというのはあまり言いたくはありません。が、少なくとも私が今まで読んできた外国人攻めはほぼ白人だったので、黒人にはまた黒人の魅力…
◆男子高校生に憂鬱(表題作)
予想とはまったく逆方向に進んでいったストーリーなのですが、良い意味で予想を裏切ってくれ、日乃先生の巧みな脚本力に引き込まれた作品でした。タイトルや表紙から、この男の子が健気に誰かを想う話なんだろう、きっと受けかな、と勝手に想像していたのだけど。表紙の生徒・早乙女にじっと見られていると感じていた、教師の桐野。彼はいつの間にかその瞳の魅力に抗えなくなっていく。でも、早…
今回のメインは駿人と優士に戻ったわけですが、女子視点を蔑ろにしない、脇役達にも重要な役割を持たせる、というこのシリーズの魅力も改めて感じられ嬉しかったです。冒頭の菊花の話も印象的。彼女の心の支えになっているのはやはり駿人の存在が大きいのだろうけれど、幼い時にコウに教えてもらった言葉も沁み込んでいて。淡々とした喋り方で感情の見えにくいコウだけど、ぽつりと零す言葉が何の偽りもなく、相手が何歳だろうが…
(旧版を読んでの感想です。)とにかく最初から最後まで目の離せない作品でした。ストーリー展開はもちろんのこと、中村先生の洗練されていながら毒も孕んでいて、1つひとつのコマが芸術であるかのような魅惑の絵にも、引き込まれざるを得ないんです。主人公・トリノスが、恐らく彼自身にも説明のできないあまりに複雑で入り乱れた感情を抱いているから、それを表現する絵も自然と混沌とする。でも、様々なものが絡まり合った中…
秋から冬とありますが、実際には晩夏から秋の描写が多め。冬に向けて薪割りをしたり、稲を収穫したり、栗を拾ったりきのこをもらったり。前巻に負けず劣らずたくさんの食材が登場し、素材そのものや素材の味を生かした料理を味わう胡桃澤に、こちらもほっこりし、お腹が満たされるような気分になります。開け放した陽当たりの良い縁側に思いきり寝転んだりできるのも、田舎の醍醐味ですね。田舎暮らしに何1つストレスを感じるこ…
BLメインで田舎が舞台というよりは、あくまで田舎暮らしがメインでBLがふんわり乗っかっているという方がしっくりくるような作品です。ちょうど夏に差し掛かり、ナスやトマト、きゅうりやとうもろこしなんかが旬を迎え始めた今の時期に読んだのは、まさにグッドタイミングでした。瑞々しく色とりどりの夏野菜達、見ているだけでテンションが上がります。そこに、まるで大都会東京から来たとは思えない、ほのぼのした主人公・…
歩田川先生の魅力を新たに1つ知れた作品でした。浮気癖が治らず常に複数の男と体の関係を持っている陽生。一般的な作品であればもっとネガティブな感じで描かれると思いますが、この作品にはそういった雰囲気が一切ありません。昔彼と1ヶ月だけ付き合い、最後は浮気現場を目撃して大ショックを受けた巧。それでも、彼は陽生を恨むことなく、陽生という人間はそういう人間なのだと割り切って、友人として長い付き合いを続けてい…
