fandesuさんのレビュー一覧

スイッチ 小説

真式マキ  黒山メッキ 

ある種の推理小説として読みました

真式さんのお話の登場人物は裏がある人が多い様な気がします。
その『裏』を読み取るのが面白いので、そこが魅力だと私は思うんだけれど。ある種の推理小説ですよ。
でも、その所為でお話が複雑になってしまって、自分にゆとりがない時にはちょっとしんどくなってしまう。現在、私はちょっとばかり忙しい毎日を送っておりまして……違うときに読んだならもう少し萌えられたかもしれません。
そんな事情から萌えは少なかっ…

4

白狼さまの恋ぐすり 小説

雨月夜道  サマミヤアカザ 

今回可愛いのは攻め

雨月さんお得意の土地神様とそれに愛される身寄りのない人間のお話です。
ただ「いつもとちょっと違うかな?」と思ったのは、今回のお話の受さんは朴訥と言うか、生真面目な人なんです。幼いころの戦乱で、可愛がっていた妹を助けられなかったことをずっと気に病んでいて、長じて薬師になったという……なので「この受さん、もう、可愛いいじらしくてたまりません!」という『雨月さんのあの感じ』が訪れませんでした。それがち…

1

33歳、代議士先生に抱かれたい秘書 小説

バーバラ片桐  奈良千春 

『72歳のバリスタ』解説編

『72歳のバリスタ』で私を大いに笑わせてくれた代議士秘書、白鹿が今作の主人公。
この人の振れ幅が大きすぎたので笑えたんですよ。あまりにも変人にしか見えなかったのですもの。
彼がとんでもない変人にしか見えなかったのは、桜庭代議士への執着があまりにも度を越しているからなのですが、このお話で書かれるのは、その執着の理由なんです。

これが結構、壮絶な理由でございまして……
ごめんね、白鹿さん。…

1

バズる男と営業の彼 小説

夕映月子  小椋ムク 

ネットとリアルの狭間で

夕映さん、初めての『電子専門』です。
最初に書くのもなんですが、ストーリーとは直接関係ないけど、電子書籍に対する夕映さんの感じ方が書かれているあとがきが面白かったんですよ。結構昔からBLを読んでいる身としてはちょっと感慨深いものがありました。

主人公の但野は印刷会社で働くクローゼットゲイ。
簡単に体の関係を持つことに拒否感が強くて、小奇麗な見た目から何度かお誘いがありつつも全くの未経験。…

2

異世界から来た神官がカナリアになって俺に発情しているのだが 小説

夢乃咲実  尾賀トモ 

初心な初恋って、やっぱりそそられます

前作では王子様がインコになっていましたが、本作では王子の弟の神官アルカがカナリアになっております。アクシデントでtri世界から人間世界に転移してしまうのですね。
捕まってしまってペットショップに展示されているカナリアアルカに心を奪われてしまったのはエリート会社員の梁瀬。何故かアルカの『心の声』が聞こえてしまいます。仕事人間でペットなどに全く興味はないはずなのに、そのカナリアだけは手元に置いておき…

2

帝王の奴隷と天使 小説

愁堂れな  笠井あゆみ 

『追い詰められ感』の描写がすごい

このお話、ガッツリネタバレすると怒られちゃうやつだ……愁堂さんらしい、捻りの効いたお話で、どんでん返しが何度か(回数を書くとラストが想像しやすくなっちゃうんで、それは書かずにおきますね)あるので、中盤まではかなり手に汗握って読んじゃいました。
だって、追い詰められた人間の描写がとってもサスペンスフルなんですよ。
で、胸くそ悪いままで終わっちゃうのか、スカッとさせてくれるのかが解らないの。

2

神に弄ばれた恋 ~Andalucia~ 小説

華藤えれな  朝南かつみ 

スペインの空気感に浸る(紙の本をお薦めします)

評価が高評価に偏っているのがよく解る!
このお話を通して描かれているスペインの空気感が、大声で叫びたくなるほど「ヨイ!」のです。
闘牛場は暑いのです。そして、砂塵が舞っている。
そこに集まる人々の熱狂も、熱いけれどやっぱり乾いている様な気がします。
素晴らしい闘牛を行なえば熱狂的に持ち上げ、無様な様を晒せば地の底まで闘牛士を貶める。
湿度の高い日本で育った私には、この空気はとても魅力的で…

3

神さま、どうかロマンスを 小説

彩東あやね  みずかねりょう 

手練れを感じさせる処女作

私、『エブリスタBL合戦』で出版されたお話は随分好き嫌いが分かれるものが多かったんです。
「やっぱり、賞を狙った作品ってインパクトが大きいという所があるからなのかなぁ」と思ったりもしたのですが。
このお話はあまりそういう匂いがしません。
確かに受けさんの『酒乱』はとんでもなくて衝撃的なのですけれども(そして、かなり笑えるのですけれども)お話自体はそれだけで引っ張って行くわけじゃないのですよ。…

5

転げ落ちた先に 小説

真名あきら  水名瀬雅良 

攻めの属性に『オカン』を付け足したい

読む前の期待が大きすぎたかもしれません。
もうひとつは『女王様』キャラが私の萌えツボに入っていない所為もあるかも。

ただ、美人で優秀で金持ちというハイスペックな若い頃から、病気をして激ヤセし転職せざるをえなくなって端から見れば『可哀想』な義彦が、結局変わっていない、中身は若い頃の『女王様』のままというのは面白かったです(だからあんまり『転げ落ちた』感がないのよね。淡々としているんだもの)。…

3

ラプンツェル王子の通い妻 小説

小中大豆  麻々原絵里依 

多くの絵描きは特殊な生き物だと思う

前略 一木昭良さま

突然知らないおばさんからのお手紙で驚かれたかもしれません。
昨日、あなた様と長沢さんの恋の顚末を知り、お節介ながらとても心配になりましてお手紙を差し上げようと思いました。図々しいと自分でも思いますが、お許しください。

あなたが恋に一途で、パートナーに尽くしてしまうタイプの男性だということはとてもよく解りました。
それはとても素敵なことだと思います。
でも、一方…

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