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この命を懸け、愛の証をあなたに捧げる――
評価が高評価に偏っているのがよく解る!
このお話を通して描かれているスペインの空気感が、大声で叫びたくなるほど「ヨイ!」のです。
闘牛場は暑いのです。そして、砂塵が舞っている。
そこに集まる人々の熱狂も、熱いけれどやっぱり乾いている様な気がします。
素晴らしい闘牛を行なえば熱狂的に持ち上げ、無様な様を晒せば地の底まで闘牛士を貶める。
湿度の高い日本で育った私には、この空気はとても魅力的でした。
そんな乾いた空気の中で繰り広げられるものですから、ヒターノ(ロマってことで良いのですよね?)のイヴァンと貴族のアベルの子どもの頃から続く恋、と言うか『本当は互いを崇拝する様な関係なのに、セフレのふりをし続ける』というウェットぶりが美しく際立つと思ったんですよね。
これもヨイ!
ただ、残念なことに尺が短すぎると思うんです。
闘牛というものの背景がよく解らない私が想像で補えない部分が多くて。
興業としての闘牛にどうマフィアが関わっているかとか、闘牛に関わるためにアベルが払った『代償』とかの部分が、よく解らないと乗りきれない部分がいくつかあったのです。
特に、スペインでの男性同性愛ってどういう位置づけなのかがよく解らなかったので、アベルが行なったことがとても愚かな行為に思っちゃったんですよね。
あと、私の読んだ電子版では朝南画伯のイラストがなかったので。
レビューでは大絶賛をしている方が多いので、非常にもったいなかったなぁ……紙の本にすれば良かった。
ベタベタではございますが、運命に翻弄される悲劇の恋人達と言うのが大好きだったりします。
この二人の出会いって、不幸を通り越して悲劇なんですよ。
共に居たいと純粋に願っただけなのに、殺人犯にまでなってしまうサタナスに、由緒正しい貴族と言う身分から、マフィアの愛人にまで堕ちてしまうアベル。
愛すれば愛する程、互いを不幸にしてしまう・・・。
それでも魂で求め合うような二人の姿に、胸が熱くなるのです。
苛烈過ぎる愛の形に、心が震えるのです。
そんなワケで私と同じ悲劇の恋人達に滾る方、ぜひご一読下さい!!
超おススメですよーーー!!
で、こちら、既に素敵なレビューがたくさん書かれてるので、印象的な部分のみ語らせていただきます。
まずですね、二人のすれ違いがとにかく切ないんですよ!!
もの乞いと貴族のお坊っちゃまとして出会った、少年の頃の二人。
互いに強く惹かれ合いながらも、身分の違いから話す事すら出来ないんですよね。
もの乞いであるサタナスが、貴族であるアベルと唯一対等になれる方法ですが、この国で闘牛士となる事ー。
その為、二人は決意するのです。
サタナスは闘牛士になり、アベルは彼を闘牛士にする為に全力で支える。
これが悲劇の始まりとも知らず、純粋に夢を語り合う二人がひどく切ないんですよね。
ヒターノ出身のサタナスは、正闘牛士になっても差別からは逃れられず、いつまでも上には行けないまま。
また、父親が死に、没落してゆく中で、男娼のように自身の身体を切り売りして闘牛の為の金銭を工面するアベル。
そして、アベルが自身の為に、男達に抱かれている現場を見てしまい、怒りから剣を振り上げるサタナスー。
この時点で相当切ないのですが、これでまだまだ序盤なんですよね。
この後、サタナスを救う為、マフィアの愛人となるアベル。
出所し、闘牛士として華々しく活躍するようになるサタナス。
と言った流れなんですけど。
アベルはですね、サタナスを生かす為だけに、自身の気持ちを隠して彼に闘牛をさせるのです。
そしてサタナスは、アベルを腕の中に抱くために、命を懸けて闘牛をし続けるー。
この二人は、互いに誰よりも求めあってるのです。
それなのに、互いを求め合うほど、どんどん相手を不幸にしてしまうー。
憎みながら愛するようなサタナスも切ないのですが、サタナスの為に全てを投げ打ちながら、愛してる事を決して悟られてはいけないアベルもめちゃくちゃ切ない・・・(ToT)
もうさあ、互いに愛し合ってるのに、何故これほどまでに、運命は共に生きる事を許さないのかー、みたいな。
しつこいんですけど、二人とも互いの幸せしか望んでないのに、自分の存在が相手を不幸にしちゃうんですよ。
これは本当に切ない・・・!!
もう勘弁してあげてーーーー!!
あとですね、終盤でかなりのどんでん返しがあります。
私はこれにすっかり騙されてたクチなんですけど。
若干イラつく部分があったサタナスなんですけど、ここで「うおおー!!」と胸を熱くさせてくれるんですよね。
で、二人のすれ違いに、散々切なくさせられた後の大団円。
これなんですけど、何回読んでも泣けてしまう・・・(TдT)
やっと、二人の幼い頃の夢が叶ったんだなぁと。
アベルの願いは神様に届いたんだなぁと・・・。
ホント、心が震えるラストなんですよ。
このラストを見届ける為に、ぜひとも読んでいただきたい!!
と、個人的に神作品なのです。
これ、本当に隠れた名作だと思います。
華藤さんの闘牛シリーズ、記念すべき第1作目。
故・朝南かつみさんが挿絵を手掛けられた貴重な一冊でもあります(続刊の挿絵は葛西リカコさんが担当)。
「魔王」と呼ばれるヒターノ出身の闘牛士・サタナス(年上攻め)と、彼のパトロンで元貴族のアベル(受け)の主従・下克上モノ。
物語は、ある事件で刑務所に入っていたサタナスが出所したところから始まり、その後アベルとサタナスの子供時代へと遡ります。
貴族とヒターノ。
身分は違えど幼き頃から想い合っていた二人。
しかし、アベルの家の没落、そしてサタナスを闘牛士にするためアベルが男たちに身体を売っていたことから、二人の関係は大きく変わってしまいます。
アベルを侮辱し陵辱するサタナスですが、根底にあるアベルへの想いは幼き頃のまま。
アベルのため罪を被り、アベルが望めば死をも厭わない彼の、不器用な献身ぶりが切なくも愛おしいです。
敬語をやめ横柄な口調でアベルに奉仕を命じていた彼が、本心を見せ昔の口調を取り戻していく展開に萌えました。
様々な要素がドラマティックに絡み合う展開がいかにも華藤さんらしく、荘重かつ華やかな一冊。
しかし、マフィア組織内の抗争に多くの頁数が費やされている割に、細部の描写は随分あっさり。
一介の貴族や闘牛士がマフィアの要人になるという、ただでさえ現実味の薄い展開を描いているのに、その過程が丸っとカットされているため、益々リアリティに欠ける話し運びとなってしまいました。
また、マフィアの世界と闘牛士の世界とが同時並行で描かれているため、シリーズ3作目の『裸のマタドール』等と比べると、闘牛成分は薄め。
業界の厳しさや試合の緊迫感など情報量は多いものの、関連作の同人誌や上記作品で闘牛の世界に浸った後に本書を再読すると、やや物足りなさを感じてしまいました。
朝南かつみさんの挿絵は本当に美しく、必見。
色々と詰め込みすぎな感はあるものの、華藤さんの情熱が伝わってくる素敵な一冊です。
タイトルに「Andalucia」とある通り、スペイン南部の雰囲気ムンムンの作品ですが、内容は痛いです。そして攻と受の互いを想う気持ちが切なくて泣けます。最後までハラハラし通しの痛い作品でしたが、凄くお気に入りです。また、朝南さんのイラストがピッタリ嵌まっています。特に表紙イラストとカラー口絵は超絶美しいです。
以下ネタバレしています。
サタナス(攻)は身分の低い闘牛士で浅黒い肌の超美形。アベル(受)は家柄の良いお坊ちゃまで色白の超美形。2人は幼少の頃に街で出会って以来、互いに惹かれあっていますが身分差がありロミジュリ的な関係です。それからサタナスは少年の頃にアベルを暴れ牛から守ったことで生死の淵を彷徨い片眼も失っています。アベルはサタナスが瀕死の状態だった間中、寝食を忘れて「彼のために自分の命を捧げます」と祈り続けていました。このように2人は昔からずっと相手のためになら自分の命を投げ出すことさえ惜しくないと思っています。これを筋金入りのヤンデレと言うのでしょうか?
その後、成長したサタナスはアベルが望んだ通り闘牛士となり華々しく活躍します。そんなサタナスを金銭面でもスポンサー面でも支え続けるのがアベルです。この職業は旅費・指導者への報酬・試合や衣装の代金など、とにかく金がかかるらしいです。そのためアベルは自身の全財産を注ぎ込み、男たちに身体をも投げ出していました。ある日、行為の最中をサタナスに見られてしまい、その時のいざこざで人を殺してしまいます。彼の現状を知ったサタナスは、身分の低い自分が殺人罪で刑務所に入ったら二度と出て来られないことを承知の上でアベルの代わりに服役するのですが、アベルは今度はマフィアに身を売ってサタナスを出所させてしまいます。マフィアと関係をもったせいで最終的には危うい立場に追い込まれてしまうアベルですが、サタナスはマフィアを手に入れて救い出してくれます。以後、サタナスは闘牛の指導者とは手を切ってアベルと2人だけでスペイン各区地を巡り始めます。
この作品中で最も印象的だったのは、闘牛中にアベルがサタナスの命を奪おうとするシーンです。ここでは背筋がゾッとしました。獣医師でもあるアベルは闘牛の管理をしていてサタナスが闘うことになっている牛に細工して彼を殺そうとします。理由はサタナスを自分だけのものにするために。しかしサタナスは最高の闘牛士だから牛の状態くらい容易に分かります。上手く躱すものだと思っていたら・・・躱しませんでした。自分にとってはアベルがすべてだから、アベルが望むのなら命を捧げることさえ惜しくないからという理由で。サタナスの死が予測されるシーンにハラハラさせられましたが、我に返ったアベルがサタナスを庇うために飛び出して行き、サタナスは死ぬことをやめました。ここの2人の病み具合が凄いと思いました。
アベル「僕だけものにするために君を殺すよ」
サタナス「あなたのためになら俺の命など惜しくはない。捧げよう。」(いずれのセリフも私の創作です)といった感じの2人でした(苦笑)
華藤えれなさんの、熱い熱い愛のこもったマタドールシリーズ。
この本はヒターノ出身、隻眼の闘牛士、魔王サタナスと、グラナダで闘牛牧場を持つ伯爵家の嫡男アベルのお話。
先に、同人誌「生と死」で「あの日、流された血のために」としてさわりの部分が書かれていた物。
「生と死」を読み直した勢いで、この本も積み本箱から発掘。
「あの日、~」はサタナス(同人誌ではイヴァン)の出所からマドリードでの再デビューまでがメインで、子どもの頃の出会いの話がちょっとと、再デビューの闘牛に勝利したところで終わっていたが、さすがにこれだけの分量のノベルスとなると、いろいろ前後にエピソードが増えている(ついでに、主人公が隻眼設定になってる)。
このお話、書こうと思えばアベルがマフィアの世界にはいるまでとか、サタナスが大逆転でファミリーを手に入れる話とか、それだけでノベルスがもう1冊分くらいのストーリーはありそうだけど、何と言っても、あくまでもメインは闘牛の話なので、そんな裏ストーリーはざっくり省略。
この作品、今の状態でも充分お腹いっぱいになるので、これでよかったと思う。
さて、次は「愛のマタドール」を探してみようかな。
レビューしてないけど、一度読んでいる気がするのだが、、、
いったいどこにあるやら。
いっそ、改めて買うか?