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面白かった。
男性絵師、小山宗祐さんの挿絵がムーディ。
最初に貼られた伏線が分かりやすいので、中盤くらいで、段々と結末が分かってしまう。
だからそんなに不気味でもないし、怖くもない。
ドールハウスを軸にして展開するサスペンス。
智洋の父は庭師。椿家の屋敷に親子で住み込みで働いていた。
英国製の高価な白い館のドールハウスを失語症の智洋にくれた椿家の当主。
椿家の美貌の妻を溺愛する当主。
病弱な母と離れて暮らしていた息子の一史。
約束を守る為に自分の世界に引き込んだ智洋は、白い館の友人がいる場所に閉じこもる。
家政婦のイトは、主から託されていたことがあった。
約束を守ってずっと秘密にして忘却。館を訪れ記憶を思い出し、一史に全部話した智洋には、もうドールハウスの世界は不要になる。
一巻完結の、耽美なサスペンスドラマだった。
昔の作品だけど、面白かった。
私が始めて読んだサスペンス風BLかもしれません。
雪に閉ざされた洋館で一人、また一人死んでいき、最後に残るのは……!といった内容です。
受けの智洋が個人的に大変ツボだったので、萌×2(萌に近い)です。
サスペンス風の部分に関しては物語の面白い部分なので言ってはいけないですね…
でも読んでいくうちにだいたいの予想は付くと思います。
一人目だけが謎解きまでどうやって死んだのかちょっと迷ったかなー。
上にも書きました通り、私には智洋がツボでツボで。
最初はツンツンしてるんだけど、割と早い段階から健気キャラに変わっていきます。
というか、唐突にツンから健気に変わったのでちょっとビックリしたくらいw
攻めの椿を傷つけないように、秘密をほぼ最後の最後まで抱え続けたところにぐっときます。
対して椿はよく分からない人ですねぇ。
でもその分からなさがこのサスペンス風味にいい味付けをしていると思います。
あとこの二人、絶倫すぎますw
最後のほうは怒涛の展開でびびりました。
Hにお道具を使うのはいっぱいありますが、あんなモノ突っ込むお話はさすがに初めて見ました。
「やめたげて!」と思ったのは私だけではありますまい。
本のカバーにあるあらすじを読んだとき、椿と智洋の2人っきりだと思ったのですがそうではなく、家政婦のイトさんと母親の浮気相手3人(道山・相場・兼田)もいたんですよ。
で、母親を殺した相手を突き止めて社会的制裁を与えようというのが椿の意図していたことなんだけれども…閉鎖空間で精神的に追い詰められていくことで皆がおかしくなっていくのですよね。
不審すぎる首吊り死体・雪で橋が壊れて警察が来れない・停電…となるともうね…。
特に後ろめたい過去がある人たちからしたらたまらんでしょうね。
1人目の死体が発見されてからは先が気になってサクサクと読み進めることが出来ました。
でも事件の真相が吹っ飛ぶ勢いで智洋の唯一の友人であるジョージの正体が衝撃的でした。
さすがは夜光さん、最後まで気が抜けません。
サスペンス色が強く、非情に面白かったです。
※夜光さんなので、アレなシーンもがっつりと有り
すっごく面白かった〜!
…というのは元々ミステリ好きである私個人の意見です。
2時間ドラマばりに、雪に閉ざされた密室のような洋館で相次いで殺人事件が!というお話ですので、ミステリはあんまり…という方には向かないかもしれません。
私の第一印象は、これは「レベッカ」(デュ・モーリア作)だな…と。
メロドラマとスリラーの融合、かすかに耽美の風味。
特に私がゾクッときたのは、主人公の智洋が山奥の洋館に招かれ、一目館を見た時「この邸を知っている」と戦慄する場面です。
人嫌いで引きこもり気味のドールハウス製作者の、どこか謎のある過去。
ある意図を持って近づいてきた資産家の男性。
その男性の母親の死に関する疑惑。
取り壊しの決まっている邸そのものの滅びの気配。
ミステリ仕立てなので詳しく書けませんが、事件の真相と二転三転する疑いの矛先の緊迫度はかなりスリリング。また、智洋が頼りにしている外国人男性の正体など、智洋が「ドールハウス作家」である必然性に膝を打つ思いでした。
これ、エロ成分全部ナシでも推理物として実写化できそう。イトさんに夏○マリさんとかどう?
火サスのテーマが聴こえてきそうな作品でした。エロなシーンは、さすが夜光花さん、しっかりエロいのですが…あんまりBLを読んだ印象がない(笑) それほどに事件そのものの緊迫感がすごくて、ハラハラドキドキしながら読みました。謎解きを楽しむのではなく、ちょっぴりダークな雰囲気を楽しむ作品だと思います。
夜光花さんの作品の特徴だと私は思っていますが、今作も攻(not 主人公)に秘密があると見せかけて実は受(主人公)に秘密があります。それが解き明かされる展開が面白かったです。最後のオチも私は大好きでした。