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表題作密やかな欲望

鷹見仁、広告代理店勤務の明朗快活系同期
東間光輝、広告代理店勤務のデレツン系同期

その他の収録作品

  • 終わりなき欲望

あらすじ

「お前、意外といい奴だったんだな」この男の笑顔は、心臓に悪い…。
東間は不機嫌な顔でメガネを押さえた。
自分にはないものを持っている彼がずっと苦手だった。
―精悍で男らしい容姿、仕事ができて頼れる男。
嫌味なくらい完璧なその同僚・鷹見と、男性と化粧品の宣伝広告を共同企画することになった東間。
仕事を共にするうちに、東間は全く違う価値観を持つ鷹見に惹かれていく。
けれど、残酷な結末を迎えた初恋の記憶が、東間を臆病にして…。
欲望が溢れだす、二度目の恋。

作品情報

作品名
密やかな欲望
著者
 
イラスト
亜樹良のりかず 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
発売日
ISBN
9784877249151
2.8

(15)

(2)

萌々

(1)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
7
得点
39
評価数
15
平均
2.8 / 5
神率
13.3%

レビュー投稿数7

設定も定番の、ごくごく普通のリーマンものです。
二人は同期入社で同じ部に配属。攻は男らしく精悍な容姿に仕事も出来、頼りがいもあって周囲の人望も厚い。
対して受は、男らしいとはほど遠い“綺麗”な顔をメガネで隠し、人付き合いが苦手で一見冷淡そう。「本当はあんな(攻のような)男になりたかった」と羨望と反発で苦手意識を持っていて鷹見を寄せつけないため、二人に接点はありませんでした。
それが、一緒に組んで仕事をすることになって、・・・というわけです。

わかりやすいですね~。定番中の定番です。
でもこの定番がなぜかとても心地良く、好きでした、このお話。

東間にはまたお約束のように傷ついた過去があり、そのせいで対人関係に頑なで臆病で不器用なため、鷹見を好きだと自覚しても素直な態度には出られません。口ではツンツン中身はグラグラ・・・ツンデレさんですね。どっちかと言うと「デレツン」らしいんですけど、どう違うの?(笑)
口では冷たいことを言っても、すぐに「しまった」と顔に出てしまい、鷹見が見てないところでは、こっそりキスしちゃってうろたえたり寝顔に触れたりしてしまう東間がとても可愛い。
鷹見が同じ年で、受け止める側も一緒にグラグラしてしまうとやっかいなことになりますが、鷹見は余裕かましてるわけじゃないのに、東間の気持ちを汲んでやることができ、優しく包容力があるので、安心してグラグラできますね(笑) 外見だけじゃなく中身もいい男。

一緒に仕事をして、同期なのでタメ口で時には言い合い、時には自分の秘密を打ち明けあったりしながら、相手を知って、惹かれ合っていく。
ごくごく普通ですが、これがとても自然でした。
東間の過去の傷が再び表に出るようなことがあって、この「普通」に影を落としますが、大袈裟な展開にせずに煽らないところもいいと思います。こんな時、攻めが拳でカッコよく決着をつけてもいいけど、なかなかそんな暴力普通はお目にかかれないでしょ。この方が日常的、「普通」だなと思う。

惹かれたり、意地を張ったり、不安になったり、嫉妬したり、そういう「恋愛感情」が無理なく入ってくる、普通のリーマンのオフィスラブでしたが、気持ちよく読めて大満足。

4

東間君は自分の顔が嫌いで伊達眼鏡だそうで・・・

題名の通り、密やかに欲望をためこんでいる東間君のお話。

自分が男に欲情するのは受け入れているものの、過去のトラウマで「相手に迷惑になる」と思っている東間は、同僚の鷹見に理想の男性像を見ても苦手意識が先に立ち、自分の気持ちを抑えよう抑えようとするので、却って かたくなになり嫌っているようにも見えてしまいます。
しかし、男性化粧品の宣伝広告を共同企画することになり急接近し、一緒に過ごす時間も増えてしまうと、鷹見に引かれている自分を自覚せざるをえなくなります。
どうやら鷹見もまんざらではないようで、結構あからさまに親密な付き合いをしようとしてくるのですが、再び同じ過ちを犯したくない東間は、ひたすら気持ちを抑えようとするのでした。
それでも誘惑されてしまう場面はあるわけで、酔いつぶれた(ホントはつぶれていないんですが)鷹見に衝動的にキスをしてしまったり、東間君可愛いじゃんっていう感じ。
相手の事は考えても、相手が自分のことを考えてくれているなんて思っていないものだから、中途半端にツンデレで自分が窮地に陥るまで素直になれないわけです。
こうなると過去の遺物・ストーカー村岡も、少しは役に立ったかと思えちゃうくらいで・・・なにはともあれ気持ちが通じてよかったねということで。

一番印象に残ったのが、仕事のリサーチのため女装した男性の写真展に行った時の東間の様子です。もし、自分が女装したら「女」になってしまうと思った背景に、辛い過去を引きずっていて、女の部分を表に出したくないんだなということを感じました。

番外編はコマーシャルのモデル・柚木との三角関係。柚木がかき回しますが、やっと結ばれた二人ですからあまあまのべたべたです。東間もすっかり奥さんです・・・

1

ツンデレ・メガネ受け

攻・鷹見仁
受・東間光輝
同期入社4年目の同僚。

東間はとてもストイック。
自分への厳しいさと同じだけのものを他者にも求めるので、会社では孤立しています。
逆に鷹見はフランクでアクティブ。
いつも人に囲まれている鷹見を東間は苦手にしていました。

男性用化粧品の広告プランで鷹見と共同で仕事をすることになり、仕方なく接しているうちに苦手意識が消えてゆきます。
また鷹見の元カノが中絶手術を受け、母親が「責任を取れ」と怒鳴り込んできても、真実を胸に秘めて言い訳をしない、そういった鷹見筋の通った強さに東間は魅かれてゆきます。

そんな時、東間のもとに「俺を覚えているか」というメッセージが。
父親の友人・村岡とは、家族ぐるみの付き合いでした。
中学生になったばかりの頃、村岡にキスをされ、それからは恋人としての関係に。

しかし村岡には家庭があったし、自分も成績は下がるし友達とも疎遠になって…村岡に恋していたけれど、不安と怯えに耐え切れず、母に相談してしまうんです。
そのことがキッカケで家庭は半壊し、村岡は姿を消しました。
以来、東間は己を厳しく律するようになり、現在の彼が出来上がったわけです。

村岡に呼び出されて行くと、再びの関係を要求されます。
追い詰められ精神的に弱っていた東間は、病欠を心配して電話してきた鷹見に思わず助けを求めてしまいます

すぐに駆けつけた鷹見は「何でもない」と繰り返す東間にキスをし、そのまま押し倒します。東間が不安と孤独と分からない何かに怯えているのを感じ取って、慰めるの半分、便乗して思いを遂げます。

慰められて落ち着きを取り戻した東間は、村岡とのことを全て告白。
「30過ぎの妻帯者が13歳の子供に手を出して、それがバレて離婚されたり社会的地位を失ったところで、悪いのは村岡の方だ」
と当たり前のことを指摘され、「お前は悪くない」と言ってもらって東間はやっと罪悪感から抜け出せました。

東間の弱さに少しイライラしながら読んでましたが、自分から村岡に決着を付けに行く成長は良かった。(それでも基本は自分に自信のないヒトですが)

ツンツンしているけど、仕事は出来るし話も分かる同僚。
注射が苦手なんて小学生みたいな弱点を知ってほんわかし、自身の元カノトラブルでは自分の為にうまく立ち回ってくれた東間。
絶妙なツンデレ具合にハマってしまった鷹見、という感じでしょうか。

書き下ろしの「終わりなき欲望」

仕事で使うモデルの柚木(24歳。当然男)が鷹見に積極的にアプローチをしています。
鷹見の方もまんざらではない様子で、こまめに相手をしてやっている。

東間はぐるぐるしてますが、実は柚木の狙いは…という話。

0

及第点な感じのリーマンもの。

ふたりとも美形だけど
攻めは男らしくて、受けは綺麗系の美形。
性的アピールが違うからこそ相手に惹かれる。

リーマンもので、受けがゲイ設定なので
恋心を抱くまでの過程はひじょうに入りやすかったです。

亜樹良のりかずさんの描くリーマンCPは
どちらもきちんと大人でしっかりとした骨組みv
ただ、思った以上にシナリオの受けが女々しいのOTZ
頭良さそうで、ちょっと天然で女みたいな感情に揺さぶられるよねw

どこが悪いという欠点は見つからないけど
どこがすごく良かった!という美点もなく
すんなり読める1冊でした。

0

なかなか面白かったです。

同期の同僚・東間と鷹見。
まるで外見も中身も違う2人。
東間は鷹見が苦手で近付かないようにしていたのに、一緒に企画をしなくてはならなくなって…。

東間は初めての恋の時に苦い経験をしていて。
それが今度の恋では必要以上に臆病になることに繋がってくる。
その要因の片割ともいえる「初めての男」の出現によって、それまでクールに見えていた東間が少しずつ均衡を崩し始める。
一緒に行動するようになって少しずつ距離の縮まる東間と鷹見。
「大丈夫か?」と心配してくれる鷹見に最後の最後で縋る東間が印象的でした。
そこまで耐える姿にも。
友人ならば終わりもなく付き合っていけるからと、近付き過ぎることをどこか恐れていた東間。
けれど、鷹見は東間の心情を汲み取ってうまく踏み込んできて。
そんな鷹見だから最後には縋ることが出来たのだろうし、それによって東間自身も「初めての男」とちゃんと向き合うことができたのだろうな。
…それにしても、この「初めての男」のストーカーっぷりはなかなか怖かったです。
エンドレスFAXとかヒマ人か!?

0

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