…そんな顔するなよ 誘われてるみたいだ

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作ドロシーの指輪(3) ヴィオレッタの微笑

骨董屋「尾形」の店主 緒方邑・32歳
金儲けに目がないケチな銀行員 三本木恒彦・27歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

オペラ歌手として海外で成功をおさめた雨森の、日本初の凱旋公演『椿姫』に招待された緒方と三本木。プラチナチケットに目の色を変える三本木を横目に、緒方はこれまでの雨森の一連の行動を訝しんでいた。
ところが、その雨森が三本木とともに何者かに連れ去られるという事件が起きてしまう。誘拐直前、いつになく三本木につれない態度をとってしまった緒方は、自らに課した禁を破ってまでして救出を試みるのだが…。
出版社より

作品情報

作品名
ドロシーの指輪(3) ヴィオレッタの微笑
著者
谷崎泉 
イラスト
陸裕千景子 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
ドロシーの指輪
発売日
電子発売日
ISBN
9784576080857
3.8

(9)

(2)

萌々

(6)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
4
得点
34
評価数
9
平均
3.8 / 5
神率
22.2%

レビュー投稿数4

大ドンデン!!

骨董屋「尾形」の店主・邑と彼にまつわる人やモノ、因縁などが絡んで展開される事件が愉快なシリーズの三作目。
今回は、前回登場していったい?と疑問に思わせた邑の幼馴染でオペラ歌手の雨森弦が引き起こす事件です。
邑の言っていた、かかわりたくないやつ、とんでもないやつ、というその正体が最後の最後、大どんでん返しとなって登場いたしまして、びっくり!
ラブの薄い本作品ですが、今回は愛する三本木のために邑が身を粉にして東奔西走いたします♪

弦から邑の元にオペラの招待状が二枚届きます。
もともと行く気のなかった邑ですが、とある事情から行かねばならず、三本木・桂丸とともにその舞台へ出かけます。
しかし終了後、弦の楽屋を訪ねる予定でしたが三本木と弦が何者かによって誘拐されてしまうのです。
はたして犯人は・・・
アメリカ人の金満家のとんでもない女性=クイーン(笑)彼女でした。
やっと見つけ出した邑たちですが、クイーンの出した条件とは?
そのために、邑は4日でフランスと日本の往復をせねばならなかったり、弦は解放されても三本木が解放されないために、大掛かりな家探しをせねばならなかったりと、まさに挺身で必死になるのでした。

各話には、邑の祖父であったり、今回は父親の仕事のことが絡んできていましたが、邑の帰国する前にフランスでしていたという贋作作家という仕事も多いに関係してくるのです。
そこんとこの過去話が楽しみですね(今はまだ・・・)
邑は日頃作務衣にどてらとか、身だしなみに気を全く使わない男として描かれていますが、きちんとするとかなり一目を引くハンサム男前のようです。
オペラには爺さんの大島紬。フランス行きにはスーツ・・・しかも席をとっていなくてもその姿だけで自動的にファーストへアップグレードしたっていうから、その男前度が推し量れます。

一方、三本木ですがケチのくせして抜けてる、天然の性格そのままで
彼は自分のお金を使うのは嫌がるのにおごりなら遠慮なくな人なので、誘拐されている間、とても良い待遇をされて太ったらしいwww
彼は彼なりに健気だったりもするのです。

この三本木と邑が貧乏暮らしなのに、扱う品々は超高額の品物。
彼らは自分の金を出すときは特価品や特売品なのに、おごりとなると高級品という、自分の懐を痛めずちゃっかりとせしめているところが、なんだか金は天下の回りものをうまく使っているなwwwとか。
そんなギャップもあるのが楽しいのかもしれません。

それにしても、弦!
あんな天然でいながら、しっかり三本木と邑の関係を観察していたなんて!食えないやろうだぜ。
邑も三本木のことに必死でそこまで気が回らなかった、そのうえをついてくるんですもんね。
クイーンも超わがままのトンデモ金持ちでしたが、こうした濃いキャラが出てくるのがとても楽しいシリーズでありますよ♪

5

優雅な監禁生活のはてに♪

この巻から表紙絵が、格段に素敵になってると思います。
3~5巻めの表紙は並べて置いておきたいくらい好きです!
内容以上に甘~い二人の構図なのも嬉しいところ(笑)

今回は三本木が拐われてあわてふためく緒方さんの巻です。
表面上は動揺してなさそうに見えて、実際は全然違うんですよね。
1巻でも三本木の為に手離すつもりのなかった家財を売ろうとしたし、今回も自分の戒めをあっさり反故にしフランスまで飛んじゃうという、普段と違う行動力をも発揮。
三本木が帰ってきたら今度は、今まで以上に優しくしようと苦心する始末…。
三本木、ほんと愛されまくってます。

そんな緒方に対し、優雅な監禁生活で太ってしまう三本木w
ちゃっかりしてて、単に可愛いだけでないところが彼のよさですよね。

フランス行って緒方がどんな交渉したのか知りたく思えたし、
結末にもう少しページ数を割いて欲しかった気がしますが、
全体としたら今回も小気味よく、最後のどんでん返しもよかったと思います。
でも正直言うと、もう少し着地が上手くいってもよかったように思わなくもないですが。

弦さん、これで終わりでないですよね!?
また緒方さんとやりあってくれることを期待します。

5

il traviato?

『ドロシーの指輪』シリーズ第三弾。

元贋作作家にして骨董屋の緒方と守銭奴の銀行屋三本木の、恋というか
恋人になるまであと何日というか……w

前回登場した緒方の幼馴染みで、王子さまのような美貌のテノール歌手雨森の
『椿姫』の公演に招待された緒方と三本木。
高額なチケットに目が($o$)♡になっている三本木は、
言っちゃ行けない天然な感想を漏らしながら初オペラ鑑賞などしていたのだが、
終演後誘拐事件に巻き込まれる。

三本木奪還のため奔走する緒方。
一方囚われの身の三本木は、案外したたかにのほほんと豪華生活を楽しんでいて
そのギャップが笑える。
普段はのんべんだらりんと暮している(ついでに貧乏)緒方が
実はとんでもなく凄い男なのが垣間見えてくる。

事件は二転三転、最後にはニヤッとするオチもあり……
弦さん!
天然王子様かと思いきや!

カップル?二人のなれ初めや、緒方のヨーロッパでの過去など
相変わらず分からないまま話は進むが、話の面白さはどんどんアップ。
あ、ないがしろにされているLOVE方面も、この巻ではキュンキュンする場面が……
こちらもアップしております。

個性的な登場人物達は、芝居がかったわざとらしさはあるのだが
(そもそもこんな話にリアリティとナチュラルさを求めても……ね?)
そのトンでもなさや互いの力関係を含めて、相変わらず面白い。

三人三様全然違っても、常識と乖離しているところでは類友な
幼馴染みトリオの海千山千ぶりがいい。
そしてそこに、分かり易くピュアな三本木くんが(ドケチだけれどw)入って
毎巻1つ、贋作やら大富豪やらの非日常にドキドキの事件を絡ませながら
二人の恋はどこへ向かう?



※豆知識
 タイトルになってるヴィオレッタというのは、
 作中に出て来るヴェルディのオペラ『椿姫』のヒロインの名前。
 ところでこのオペラ、日本ではすっかり『椿姫』の名で知られているが
 原題は『la traviata』=道を踏み外した女。
 さてさて、道を踏む外した男……っていうのは誰のことでしょうねぇ?w


5

やっぱり只者ではなかった王子様

『ドロシーの指輪』三冊目です。
前巻で新しく登場しました、緒方の幼馴染み雨森メインの巻です。
シリーズものの三巻目ともなりますと、個人的には少々飽きてくると言いますか、『なんかマンネリなんじゃない?』などと思ってしまうことがあるのですが、こちらは相変わらず出だしから引きつけてくれます。


受けの三本木は、高学歴で大手銀行に勤め容姿も美しいと一見非の打ち所もなさそうですが、徹底したケチで財布は糊付けされているかのような固さ。

攻めの緒方は絵画の贋作作りを生業にしていましたが、父親の死をきっかけに日本へ戻り骨董屋を引き継いだ男。
三本木に惚れ抜いています。


タイトルはオペラ『椿姫』のヒロインの名前。
その相手役で、凱旋公演としてオペラ歌手の雨森が出演しています。
先にも書きましたが、緒方の幼馴染みでその存在自体が緒方や他の幼馴染みたちにとって厄介である雨森。
彼が前巻でちょっと触れていた『話』というものが今回の中心です。

実は前巻を読んだ時、雨森のことを嫌がっていた緒方たち(他の幼馴染みの桂丸と嵯峨)の様子に、雨森って酷い裏のある男なのか?と思っていたのです。
手放しで幼馴染みとの再会を喜ばないのは、雨森の並外れた奇行の他に、人の良い顔の裏に何かあるのかと。
はー、やっぱりそうなのかーと今巻を読んで納得しました。
や、読み始めた時は前巻で感じた自分の考えは間違ってたのねー、やっぱ天然の王子様キャラか!なんてノンキに思ってたんですけどね。
周りに迷惑がられながらもまったくいにかえさない天然系は好きなんですが、うーん、意外に腹黒いです雨森。
しかしこれだけインパクトのあるサブキャラが出ても、緒方や三本木は霞まずさすがでした。
緒方は相変わらず三本木のために必死ですし、三本木は三本木でドケチキャラがたまらなく面白いですしね。

イラストはシリーズ通して陸裕さん。
今巻は前巻とは少し間があいてしまったとのことで、今の陸裕さんに近いかなあと思います。
作品にピッタリで、特に王子様的な雨森は陸裕さん流石!ですね。

3

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP