いとし、いとしという心 2

itoshi itoshi to iu kokoro

いとし、いとしという心 2
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神31
  • 萌×213
  • 萌13
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
14
得点
246
評価数
57件
平均
4.3 / 5
神率
54.4%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
リブレ
シリーズ
ビーボーイノベルズ(小説・リブレ)
発売日
価格
¥850(税抜)  ¥918(税込)
ISBN
9784862636836

あらすじ

屈指の名門旅館の跡継ぎである兄の陰で、ひとり鬱屈した思いを抱えていた千秋。彼にとって、素直で愛らしい隣家の幼馴染み・侑央は唯一の救いだった。侑央が兄に恋い焦がれてさえいなければ──。侑央を抱きしめ、兄に似た声で侑央の耳に甘くささやく。「目ぇ、閉じとき。そしたら兄貴としてるみたいやろ?」大人気の「いとし、いとしという心」待望の続編! すべての因縁が始まった高校生編と大量書き下ろしを収録!
(出版社より)

表題作いとし、いとしという心 2

井筒千秋 老舗旅館・井筒屋の若当主 29歳
観月侑央 紙司・兎月の跡取り息子 28歳

その他の収録作品

  • ユキウサギ
  • 啼かぬ蛍が…

評価・レビューする

レビュー投稿数14

攻の必死具合が気の毒になる

いやぁ……前回、見事にモヤモヤエンドだったので、今回は素敵にほろ苦エンドでとっても良かったです。
無駄な甘さはなく、最後は静かに甘い。
苦いお抹茶を頂いた後に、落雁食べた時のような……そんな感じのいい塩梅でした。
甘酒と塩昆布みたいなね。甘すぎず、苦すぎず、しょっぱすぎず。

作品世界は相変わらず和風で、情緒の塊のような空気感です。
そして、ストーリーに抑揚は本当にありません。
こんなに山場のない小説も珍しい気がしますが、それが逆にいい味を出してます。
起承転結がはっきりしてて、次から次へと問題がわき起こるジェットコースターみたいな話が好きな方には向かないかもしれませんが、私はこういった淡々とした話は大好きなので非常にツボでした。
全体を通して静謐な空気が満ち満ちていて、ぬるっと話が進みます。
しっとりとしていて、静かな感情の動きも秀逸でした。

そうだ、京都に行こう。
と思い立って本当に京都に行きました。

1

天然毒婦、なるほど。

これ、1、2じゃなくて、明らかに前編、後編ですよね。
前回が本当、途中で終わっていたので、やっとこ完結した感じです。

前回は攻めのよさがいまいち分からなくて、受けに最後まで拒絶したれやとまで思いましたが、こっちを読むともしかしてユキの方が酷いんじゃないかしら?と思い始めました。天然毒婦、なるほど。
此処まで読んでやっと、「千秋が可哀想」と思えてきました。
過去編で上京する時の「もう逃がしたるわ」のシーン、此処はとても好きです。
過去あっての1巻目なので、これはもしかしたら時系列で並べた方がいい小説かもしれないです。ずっと引きずるほど、故人に魅力を感じないのもあまり切なくなれない要因かも。
皆それぞれいい人で、やり切れない感じだった方が切ない気がします。
何か皆それぞれ自分勝手なところが気になるかなあ。まあ、それがリアルだといえば、リアルですが。

BLはハッピーエンド?がいい派なので、ラストの話は二人が上手くまとまって良かったです。
よく考えるとこの二人に未来があるか分からないのですが。
取り敢えずは幸せそうで何より。

同人誌がニ冊ほど出てるみたいなので続き、もしかしたら色々補完されているのでしょうか?
もう読める機会はないだろうなあ。残念。
とても読みやすかったので、もう一歩踏み出してくれたら神評価だった気がします。
そしてやはり、京都物は色気があっていいですね。

1

ふしあな

つくづく、惚れた欲目って恐ろしいなあ、と思います。あれほど頭が切れてしたたかで、周囲の人々の思惑を読むのにも長けていて、向かうところ敵なしに見える千秋。なのにただひとり、心から愛した侑央(ユキ)を見る目だけは曇ってるんだよなあ・・・それが千秋のすべての不幸の源のような気がします。

 作者のかわいさんご自身がおっしゃる通り、ユキは天然毒婦の素質おおいにあり、です。「ユキウサギ」で描かれた高校時代にさかのぼる千秋との関係の発端も、1巻の再会後のふたりの歪んだ情事も、すべて原因は千秋のユキへの一方的な邪恋が原因で、ユキは姦計にはまった哀れな被害者であるかのように、当の千秋も、ユキ自身も思いこんでますがはたしてそうでしょうか? 本当に身もちの堅い未亡人なら、どんなに脅されようがすかされようが、手篭めにされるくらいなら舌噛んで死んでますって。だけどどんなに欲望に負けて痴態をさらそうと、千秋の瞳に映るユキちゃんは穢れを知らぬ白雪姫のままなんだよなあ。

 ユキがずっと思い続けてきた千秋の兄荘一は、ユキの想いに微塵も気づくことなく死んでいった。たとえ健在であっても、極めてノーマルで、全て続きにめぐまれすぎたがゆえに些か鈍感なところのある彼が、ユキに応えることなどあり得ない。強引な形で千秋に奪われなければ、ユキは一生あのミダラなカラダを誰にも許さず墓場までもっていっただろうか?それで幸せな生涯だったと心から思えるようなタマなら、千秋の所業はただの卑劣な暴力といわれても仕方ありませんけどね。

 とどのつまり、千秋はどうしたってユキには勝てない。惚れた弱みで、初めから勝負になんかなりはしないんです。ユキの身体を強引に手に入れ、その欲望に奉仕してても常に自責の念はあり、このままではユキを壊してしまう…との懼れから自ら身を切られるような思いをして東京に去る。再会後、曲折を経て関係の深まったいま、「誰かに奪われるくらいならいっそめちゃくちゃにしてやる」などと物騒なことを考えてはいても、いざとなったらユキを手にかけることなど多分千秋にはできっこない。そして最後の最後まで、ユキは本当の意味では千秋を理解していない。なぜ彼が別れも告げずに突然上京したのか。どれほどの長い時間千秋がユキだけを見つめ、どれだけの手をユキのために尽くし、何を想って過ごしてきたのか。私が千秋の親戚のおばちゃんとかなら、「やめときなよ、あんな悪女」と忠告してやりたいのはやまやまだけど、これも余計なお世話でしかないんだろうなあ…

それにしても、かわいさんの京都モノって格別ですね。男のひとの京ことばってどうしてあんなに艶っぽく響くんだろう。着物の微妙な色遣いとか、歳時記にのっとった暮らしとか。主要登場人物のものを除けば、実在の京都の老舗がたくさん出てきて、京都ビギナーの方には上質な観光案内として重宝しそうだし、土地勘のある向きには「ふたり歩いてて雨にふられたのはあのあたり」「ええとこのぼんぼんのいく私学ってやっぱあそこかな」といつもの妄想に臨場感がプラスされること間違いなしです。あの町で、ぼんやり路地にたたずんで、千秋の都々逸が聴きたい。(夜桜お七も捨てがたいけど)

5

狡いキツネと天然毒婦気味ウサギ

前半の『ユキウサギ』は高校生編で、荘一を密かに想う侑央と侑央を一途に恋する千秋の切ない心情が描かれていなす。
侑央が無邪気に荘一を見つめ続ける同じ時を、千秋は振り向いてもらえないことをわかっていても諦められないし告白もできない状態で見守っています。そして、追い詰められる気持ちが痛いほどに表れています。
荘一を好きだ好きだオーラを出しまくる侑央に勉強を教えたり、好物をあげたがったり、自分の気持ちは二の次にしても侑央を喜ばせたくて兄に誕生日プレゼントを用意させたりと健気すぎでしょう。
いくら自分の一方通行の想いにいっぱいいっぱいでも、これほどまで幼い頃から甘やかし大切に守ってくれている千秋の気持ちに全く気がつかない侑央をちょっぴり憎らしくさえ思えてきます。
最後には、これ以上そばにいると侑央を笑わせてあげられなくなるしもっと酷いことをしてしまうからと東京の大学に黙って旅立っていくシーンは泣けました。
『ーもう逃がしたるわ』のセリフが良かった。
ラストシーンの旅立ちの朝、京都駅に向かうバス停から侑央が通学する姿を一目見てバスに乗り追い越していく場面は、映像が浮かんでくるようです。続き
声に出さずに、「バイバイ、ユキちゃん」と言いながらきっと必死に涙を堪えてほんのり充血した目で小さくなる侑央の姿を見つめていたことでしょう。
できるなら、10年堪えろといってあげたいですね。
また会えるからねと。

後半の『啼かぬ蛍が…』は、一転して1巻めの後日談でラブラブ編。
頭が良くて口も気もまわるという要領のいい千秋が祖母を手玉に取り、縁談をなきものにし当分結婚話もなくなるよう丸め込むところが痛快でした。
また、結婚話に心を痛める侑央に問い詰めさせあわよくば好きと言わせたいという企てもセットになっていて、侑央の言う"狡いキツネ"の面目躍如?といったところでしょうか。

侑央の支店の秘密部屋は居心地良さそうで素敵です。

1巻のイラストはあまり好きではありませんでしたが、この巻の後半はよかったです。
侑央の膝枕にご満悦の千秋と共に描かれたキツネとウサギ。
着物姿の絡みは最高にいいです。乱れた着物の裾からはみ出した侑央の脚と足袋を履いた足をシーツに押し付けてるところなど萌え萌えでした。

4

見ればやさしや寄れば刺す

前巻、かなり読み応えのあった『いとし、いとしという心』の二巻です。
といっても、前巻でなんとなくふたりは心を通い合わせておりますので、この巻の方が重さは少ないかな。


前半の『ユキウサギ』では、攻めの千秋も受けの侑央も高校生。
千秋が侑央への叶わぬ想いを封じ込めるために、東京へ出て行くまでのお話です。

相変わらず千秋が切ない。
いわゆるヤンデレのようなタイプは苦手なのです。
でも、千秋目線も書かれているせいで、彼の侑央への愛情や葛藤が手にとるようでひじょうに心がキュッとなります。
とくに『ユキウサギ』では、まだ千秋の兄であり、侑央の想い人である壮一が存命なこともあって、よけい千秋が不憫なんですね。
この頃のふたりのベクトルはまったく別方向を向いていて、一方通行の想いをお互い抱えながらいるのが切ないです。
ラストのバスの場面は不覚にも泣きました。


後半の『啼かぬ蛍が…』は、前巻の後のお話。
ぎこちないも、侑央が千秋を受け入れ始めた頃。
千秋に結婚話が持ち上がりるというお話です。

侑央は動揺しつつも仕方ないのかと、読めない千秋の本心に笑ってみ続きせることしかできずにいるし、そんな侑央のことを千秋は自分のことのように理解しているんですよね。
家のしがらみにしても、この関係がいつまで続くのか、続けられるのかはわかりませんが、今はふたりの決意が良い方向に転がって見えるので一安心なのでしょうか。
でも実際千秋なんて将来共にいられなくなったら、本当に約束通り堕ちて心中しそう…(苦笑


後書きでかわいさんが、前巻の千秋に同情票が多かったと書かれています。
そのため今回は、侑央に力を入れられたとのことですが、わたしには変わらず『千秋切ない!苦しい!』でした(苦笑

1

不自然な「僕」

 ユキちゃんに好かれようと、「俺」から「僕」と言い方を変える千秋、それでもユキちゃんは荘一のことが好きで、好きで…。私には、千秋はずっと報われない恋をしているとしか思えなかったのです。それでも、千秋は決して身を退くようなタイプではありません(笑)好きにならなくても、強引に千秋の方を向かせてしまうのです。 

 兄、荘一を取引材料にしても、強引に振り向かせる千秋ですが、「その性格は昔からなんだな」と思うとちょっと納得してしまいました。

 ユキちゃんは、色が白い、輪郭が柔らかい、透明感がある、白雪姫のようだと、BLの受け様の象徴的な人なのですが、荘一からは弟のようにかわいがられ、そして千秋からはこれでもかというくらいに愛され、実は本当に白雪姫のような人だったと思うのです。

 ユキちゃんは荘一のことが好きだったのに、だんだん千秋に籠絡されていく姿が気の毒でもあり、ちょっとだけずるいな(笑)と思ってしまいました。

 一旦は千秋はユキちゃんから身を引きますが、やはり最後は捕らえてしまいます。私には千秋は狼のようだと思ったのですが、千秋が便せんのデザインにした狐のほうがしっく続きりくるから不思議です。

2

京都の男

京都が舞台。
萌えポイントは京都弁・着物男子。
はんなりどすえ~。(この京都弁あってる??)
皆(攻め→受け→攻め兄)が一方的片思いだったこの話。
1巻で攻めと受けがぐるぐるして
2巻でまとまった。
これから今までの分 イチャイチャすればいいさ!!

高校生時代の『ユキウサギ』。
皆様が書かれている通りです。
私もこの話は好きですね。
最後のシーンが素敵です。
「もう 逃がしたるわ~」
って京都弁が利いてるわあ。
でも 結局 京都に戻ってくるんだぜ!
愛は忘れる事が出来ないのさ。

気持ちが通じた後の 膝枕っていいね。萌えました。

1

長い辛い片思いの行方

千秋の侑央に対する想いと言うか執着は確かに異常なのかもしれないけれど、侑央を愛する事で家族や周囲に対する苦しさを埋められたんだろうと思う。
千秋の愛の形、私は凄い好きです。寂しがりで、人との距離が上手で、ズルイ男なのかもしれないけれど。
侑央を愛するあまり、愛し方を間違ってしまった高校時代の千秋。
侑央がどんどん衰弱していき、心は拒絶されているのもわかっていながら
でも止められない。
結果、実家を出て侑央と離れる決心をする。バスの中で通学中の侑央を見ながら-好きだ-と心で叫ぶ千秋が切なくて切なくて。。。涙出ました。

一歩距離を置く事で、千秋を認め始める侑央。侑央の想いは壮一が亡くなった事で初めて千秋に向くのだろうと思うのですが、それもとても切ない・・
千秋はどこまでも壮一の次でしか無いというのが最後まで辛い。
侑央はこれから全身全霊で千秋を愛してあげてほしい。千秋幸せになってね(涙)

1

高校生編が神すぎる

前作を超えてる二巻。
とくに高校生編の『ユキウサギ』が神でした。
どうしようもないほど切なくて、胸が締め付けられました。
やっとラブラブになれた『啼かぬ蛍が…』よりも、どうにもやるせない結末で別離を迎える高校生編がイイ。バッドエンド好きにはたまらんです。
一巻のレビューで私、「続編よりも高校生編が読みたい!」みたいなことを書いたんですが、それが見事に報われた感じ。
「片思い」っていうのは、醜さと美しさの両方を持ってると思う。

『啼かぬ蛍が…』は、攻めがばあさんを丸め込むシーンがかなりツボでした。
受けのためなら、苦手な相手をも懐柔する攻め。彼の愛は揺るぎないね。

あとがきを読みながら思ったのですが、やっぱかわい有美子さんは分かってるなーと。
そう、攻めは本来はアホウなんだよね。一途な執着愛はけして正義ではないのだ。ぶっちゃけただのストカなんだけど、作者が愛情深く描くことによって愛しい存在になるのだ。
ぜんぜんタイプの違う話だしキャラなんだけど、水城せとなさんの『窮鼠~』の、今ヶ瀬の人気と恭一の不人気を思い出しました。

4

この二人がいとし、いとしです(*^_^*)

前作より内容を深く掘り下げたストーリーになってる2作目。


前作では、ぼんやりと描かれていた高校時代の二人の関係。

千秋の切ない想い、侑央の真っ直ぐな故に自分を責めてしまう辛い胸のうちが丁寧に書かれていて胸が締め付けられました。


そして、前作ではまだはっきりとしなかった二人の関係がここで決着を!


この読後に味わう胸キュンを貴方にも知って頂きたい!


作者様曰く「陰険腹黒ヤンデレ攻×天然毒婦受」


自分の気持ちに気付いた侑央の色香漂う仕草…


京都の男はいい!
和服っていい!
BLっていい!


最後らへんで千秋が侑央に言った言葉…


女子であれば一度は言われてみたいものです。


前作を気に入った方なら、満足のいくものになると思います。

1

殿方の京都弁、腹黒そうで好き

「腹黒陰険ヤンデレさん」と「清純天然毒婦さん」の、しっとりはんなりしたお話。
二人の高校生編と、前作に続くお話の2話構成。
「ユキウサギ」
高校生といえば、まだまだ子供、
千秋もユキも、お互いに肉欲に負けてしまいます。
といっても、キスやさわりっこ、素股止まりの関係ですが、お子様な接触の分、禁忌感が高くてよけいに隠微。
最後に千秋は、東京へ逃げ出すことでユキを解放するのですが、、、
ラストの、千秋が、バスの中から歩いているユキに「バイバイ」と告げるシーンが切ないです。
「啼かぬ蛍が…」
前作の続き、
10年以上の時が経ち、それなりの経験も積んできた千秋。
今度こそはユキを逃がさぬよう、ばあさんも平気でだませるような、悪い大人になりました。
ラスト近くの、ばあさんを懐柔するシーンがなかなかツボで、おかしかった。

これ、千秋を遊佐さん、荘一を置鮎さんでCD化してくれないかな。
ユキは絶対、京都生まれ、京都育ちの方で、
演技経験、出演経験はこの際不問。
とにかく京都のネイティブスピーカーで「若い子」希望

1

やっとラブラブになれる?

『ユキウサギ』は、千秋が侑央に執着を持ち始める頃のお話。
千秋視点でお話が進むため、狡さや執着や腹黒さ全開で、何を考えているのか丸わかりです。
それだけに、重い、重い。
体調次第では、鬱っとなりそうな気が。

千秋のあまりの執着さに、侑央がだんだんと笑わなくなっていくことに気が付き、ようやく自分のしてきたことを振り返るわけです。

ですが、千秋は侑央のことを『案外頑固』と思っているわけですから、ここまで流されるんじゃなく、嫌なら嫌だと言えばよかったのに。
笑えなくなる前に。
いやだって拒否されたら、千秋だってもう少しやり方を変えてきたと思います。千秋だって、嫌われたら元も子もないんですから。
それに、荘一には言えないなんて言わずに、当たって砕けたっていいんじゃない? とも思っちゃうから、やっぱり侑央だって狡く感じます。

どうにもならなくなった閉塞感から逃げ出すように、進学先を東京にした千秋。上京する朝、登校する侑央を、バスの窓からこっそりと見送るシーンは、ついホロリ……でした。

「バイバイ、ユキちゃん…、もう、さよならや…」
哀しすぎました、千秋が。
続き

そして、前作の続き『啼かぬ蛍が…』
カラダを繋ぎ、なんとな~く恋人同士(?)みたいな関係になった千秋と侑央。
ですが、まだまだ甘さとは縁遠い感じ。もどかしい関係です。

ですが、千秋と侑央の前に現れた芸妓により、侑央は嫉妬するんですが、「結婚しないで」とは言えないんです。
嫉妬しながらも、そのことを言えずにいた侑央も、とうとう「一緒にいてくれる?」と言えるようになります。
カラダから始まった関係とはいえ、気持ちもどんどんと千秋へと傾いていくというか、搦め捕られていくというか。
ようやく気持ちがしっかりと通い合ったなぁ~と思えるラスト。
気の強い侑央ですから、まだまだ甘えたりはしてないけれど、千秋を膝枕なんかしちゃってるんだから、もう大丈夫かなぁ?

1

あとがきでかわいさんが、「陰険腹黒なヤンデレ男」と「清純派、やや天然毒婦気味」と二人のことを解説しています。まったくそのとおりですね。

京都の老舗旅館「井筒屋」の次男・井筒千秋と隣の紙司「兎月」の一人息子・観月侑央のシリーズ2作目。

【ユキウサギ】
侑央と千秋の高校生時代のお話。
お隣同士で一つ違いの二人は、兄弟のように育ってきましたが、侑央は千秋の兄・荘一に片想いをしており、千秋はそれを承知で侑央を思っています。
荘一は外見も性格も申し分のないくらいできた男ですが、意外に無神経なところも多いのです。
年の離れた弟たちのことを可愛がってはいるものの、侑央の気持ちに気付くわけもなく、侑央はせつない思いを募らせるばかり。
千秋はといえば、外堀から埋めていく作戦で、兄によく似た声を利用して侑央をからめとってしまおうと、なかなか姑息な方法で侑央に嫌と言わせることなくからだの関係に持ち込むのです。

小さなころから侑央のことだけを思ってきた千秋の気持ちは、高校生になってさらに独占欲を増してきます。
お話のそこここに、千秋の熱い思いが書かれていますが、侑央に接する時はその熱さを押さえ込み、優しく誠実であるように振舞います。
侑央以外はどうでもよく、代わりに似た人を抱くというのは、あまり許せないのですが、ほか続きは何もいらないから侑央だけが欲しいという気持ちは病的にも思えるのに、何故だか味方したくなるせつなさを持っています。

反面、侑央はそだちのせいか、おっとりと甘い感じの少年ですが、純情そうな外見の内に熱い欲望を潜めていて、時々その部分がせつなさを滲ませながら表面に出てくるときに、強烈な色気を発します。
下手をすると、甘え上手で嫌なタイプになりそうなのですが、後ろ暗さを引きずっているおかげで、嫌な奴にならずに済んだのかなとも思います。

結末は一作目でわかっているので、非常に中途半端な気分でスパンと切り取られてしまったような別れ方でしたが、実際、行き詰った挙句に逃げるというシチュエーションだったら、こうなるしかないんでしょうね。

【啼かぬ蛍が・・・】
こちらは1作目の後のお話。
「兎月」新店舗の侑央の部屋と、長唄のお稽古と、千秋の結婚話、千秋の防音設備完備の部屋・・・
未だ戸惑いつつ、千秋との関係を続けていた侑央が、はっきりと千秋への気持ちを自覚して、将来を約束させるまでのお話です。
途中千秋が口ずさむ都々逸が、いい感じでこのお話の世界観を表していると思いました。

千秋はやっぱりベタ甘で、ずるくて腹黒なのですが、侑央が世界の中心なので、将来を約束させられた時の表情で、本当の性格がはっきりわかっちゃいましたね。

侑央は振り回されていそうに見えて、結構千秋を振り回しているんじゃないかなって・・・なんだか、自分の使い方を良く知っている気がするんですよね。もう、お尻に敷く系ですよ。

1

狡さはコンプレックスの裏返しでした

一作目「いとし、いとしという心」で思いを遂げた攻め様と受けちゃんの、高校時代のお話と、本当の恋人になるまでの現在のお話の2編が入っております。

一作目で、兄・荘一が亡くなったことから実家の老舗旅館を継ぐことを条件に、幼いころから心を寄せていた幼馴染のユキを手に入れた千秋でしたが、
実は高校時代も、ユキの荘一に対する想いを逆手にとって、自分のものにしようとしていた腹黒な千秋。
でも、それは誰からも好かれる兄・荘一や、兄ばかりをひいきして可愛がる家族たちへの抵抗と反発だったという、少し切ない事情がわかります。
ユキにしても、一番身近にいたのは千秋だったのですが、近すぎて見えなかったのではないかな?
これを読んで、ひょっとすると荘一に対してはアイドルに夢見て恋するような気持ちだったのでは?と思いました。
”荘ちゃんだと思ってごらん”といって、ユキの体を思い通りにする千秋の切なさといい、ユキの抗えない気持ちといい、読んでいて切ないです。
京都弁がはんなりと、やわらかいタッチの口調であるだけに、その奥に秘められる真実に悲しいものがあります。
家から離れるため、大学を東京にし、続き京都を出ていく千秋の最後の姿。
”バイバイ、ユキちゃん、もう逃がしたるわ~”
千秋は、もうユキには二度と会うつもりもない気持ちでいたのでしょう。
千秋の真の心に触れたので、この最後がジンときました。

そして「啼かぬ蛍が」では、再会してユキを自分のものにしたその後です。
ここでは、相も変わらず千秋がユキを独り占めしようと密かにクギをさしたり、画策したりとするのですが、もう彼の本心を知っている読者には、その懸命さがかわいらしくさえ見えます。
そして、長唄の会に参加したことで、そこの美人のお師匠さんに対する独身男達のいらぬ噂話が元で、ありもしない千秋の婚約騒動へ発展し、ユキが千秋と離れたくないと自覚するあたり。
千秋の防音工事の完成した部屋で乱れるユキが、いつもの貞淑な感じから一変してエロさ5割増しになったのが、読み手にも嬉しかったりww
そして千秋の執着も弱まることなく、用意周到に自分だけのものにしようとする姿が、相変わらずズルイな、、と思わせながらも、ホンワカしたユキだから頭がキレる千秋でちょうどいいのだわ、と、満足な最後でした。
ユキの膝枕で寝転ぶ千秋の絵が、夫婦みたいでよかったです。

前作もそうでしたが、登場人物達が話す京都弁のせいか、色気のあるシーンはさほど多くないのに、色香を漂わせる作品に仕上がっております。
女性の京都弁は好きでないけど、男性の京都弁はいいなーと思うのでありました。

2

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