光の雨 ―贖罪―

hikari no ame

光の雨 ―贖罪―
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神15
  • 萌×21
  • 萌7
  • 中立2
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
5
得点
102
評価数
25件
平均
4.2 / 5
神率
60%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
シリーズ
幻冬舎ルチル文庫(小説・幻冬舎コミックス)
発売日
価格
¥619(税抜)  ¥669(税込)
ISBN
9784344828469

あらすじ

亡き友の呪縛から解かれ新しい人生を歩み始めた伊能と野々宮。だが闇の組織が動きだし!?書き下ろしを大量収録した新装版完結編。

表題作光の雨 ―贖罪―

大学の後輩で大阪地検検察官 野々宮尭 30歳
大阪地検検察官 伊能拾侑一 31歳

その他の収録作品

  • あとがき

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レビュー投稿数5

光の中をお進みなさい

後編も引き続き事件捜査の合間に恋愛が遅々と進展しました。
時代の古さを感じさせない作品でBLとは違った意味では面白かったです。

検察官 伊能は学生時代に想っていた先輩が旅先で事故で亡くなったとき、それが自分の罪のように思えてそれに囚われて生きてきたんですね。
一緒に行くつもりだったのに先輩の想いを受け止め切れなったり自分の恋愛感情がよくわからなかったり中途半端なまま1度の体の関係があったりで出発の直前に逃げてしまったようなことから、何故一人で行かせてしまったのかと後悔し続けていたんです。

その先輩が可愛がっていた後輩の野々宮ともしばしば行動を共にしていたせいで、野々宮のことも先輩に対する罪悪感と共に思い出すから同じ検事になってからも卒業以来会うことはなかったのに、同じ大阪地検に転勤になり再会することで止まっていた時間が動き出したことからドラマが始まったわけです。

野々宮は仲のいい先輩の恋人と認識していた伊能だったけれど、とても気になる人ではあったわけですね。
会わない間に想いが深まるようなことはなくても、会ったら急激に溢れ出したという感じがしました。

そし続きて、初めは共に捜査に当たることはなくても捜査に行き詰まったとき上司に口添えするなど後輩を見守ったり導いたりするよき先輩のような関係ですが、同じ場所で働き接する機会が増えるうちにだんだん恋愛感情が芽生え自覚までの時間は短かくて両思いになるのですが、事件捜査中心なので甘さ控えめです。
でも、忙しい中の映画や遊園地デートのシーンは二人のほんわかした幸せなひと時でした。

ヤクザの原口が事件解決に重要な役割を果たすのですが、自分たちは深海を泳ぐ魚みたいなもので光の差さないところで生きていると彼は言います。
そして、組織の抗争までに発展し海外逃亡するときに、光の中をお進みなさいという手紙を残して消えていきました。
野々宮もわずかな時間しか接していないにも関わらず、もし違う立場だったらもっと話してみたい相手だったと魅力を語ります。
その気持ちはよくわかりました。抗争で死んでしまった部下のことに対する気もちや自分も光の中で生きてみたかったという憧憬のような感情が伝わってきて、海外で再起を図りその後どうなるのかとても気になるところです。
BL的な設定があるかないかわかりませんが…。

結末が書けないままになっていた小説を時間をかけて漸く書けたという義務感とか頑張りが感じられましたが萌えには至りませんでした。

0

前編とまとめて読むのがお勧め

三冊予定だった『いのせんと・わーるど』は未読です。
『原罪』から一気に読みました。

受けの伊能は親友・渡瀬の死を野々宮のおかげで乗り越え、自分の中でやっと決着をつけられるようになりました。
しかし同僚とともに東京地検特捜部へと出向となってしまい、野々宮とは遠距離となってしまう。

攻めの野々宮は伊能と気持ちが通じ合い、ふたりでともに歩き出す。
しかし、野々宮の調べた事件によって実家の家族を危険に巻き込んでしまい、検事でありもう故人である父親と同じ苦悩をすることに。

後編である『贖罪』は主人公二人の関係が前編で一応の決着をみたせいもあり、事件中心です。
そういうものと割り切って読むと、非常に面白いです。
事件中心だからといっても、検察内部や事件関係者の掘り下げがされ事件だけでなくきちんと血の流れている人間が描かれていて空々しさがありません。

『原罪』で登場した原口は、ヤクザでありながら野々宮の人柄に自分がもう手に入れることの出来ない光を見出し影ながら助力しますが、後目抗争で負け危険が迫ります。
この原口は、『いのせんと・わーるど』とは違う着地点となったと続きいうことでした。
個人的にはホッとしましたね。

三冊を二冊に改めて直したということでしたので話が尻切れトンボになるかと心配しましたが、読者の想像力を刺激しつつきちんと終わっており読後の不満はありませんでした。
BL小説としてはラブ度が低くく異質ですが、伊能と野々宮がただの先輩後輩で一般小説として出版されていたらちょっとキャラの掘り下げに物足りなさを感じてしまうでしょうから、やっぱりこれはBLなのだ!と思います。

4

BL的には?だけど面白い

未完の小説の完結編、でもこの手の作品には本当の完結はないのではと思えるような
ラスト展開で、BL的には違うのではないかと感じてしまう。
野々宮と伊能、二人の恋愛的な面で云えば前作の方がアリでした。
伊能が過去のこだわりを野々宮との再会で踏み越えて前向きになる、
野々宮の強さに助けられながら、検察官として、今まで以上に取り組む姿が印象的。

続編の完結と言う事でBL的な何かがあるかと思ったら、二人の関係はある程度一段落で
検察と言う仕事とは、リアリティーを追及し過ぎてしまったからなのか、
BLファンタジーからは離れていってしまった印象ですね。
それでも、読み物としては個人的には面白いと思ってしまう。
BL的な流れを排除したら検察をテーマにした2時間サスペンスものが出来るかもと
思ってしまうような流れでしたね。

主役を食ってしまうようなリアルキャラや事件などが複雑に絡み過ぎていて、
続編のメインが何だったのかあやふやになってしまう気がしました。
それぞれの立場や環境で変わる正義、白黒つけられないリアルな現実、そんなものを
感じされられもした作品でした。
続きBL的にはお勧め出来ないと思うけれど、読み物としてどうかと言われれば惹かれる。
BLサイトのレビューで語るには少々畑違いな気がしてしまう作品かも知れないです。

6

硬質な読み応えのある人間ドラマ、光溢れる完結編

面白かった!
未完と知らずに旧版を読み始め、続きが読みたくてもだえた本作。
10年以上のブランクを経て、新装版上下二巻で刊行。
下巻にあたるこの「贖罪」の後半3/2程が、書き下ろしの完結編にあたります。
(書き下ろし以前のレビューは、旧版の方で書いているので詳しくは割愛します。)

                 :

大学時代の先輩後輩だった二人の検事の物語。
親友の渡瀬を失い、7年もの間自責と後悔に苦しんでいた大阪地検の伊能。
そこに転勤してきた渡瀬とも親しかった野々宮。
彼との再会によって、伊能は長い呪縛から解き放たれ新しい一歩を踏み出す……

恋愛に関しては、上巻の「原罪」でまとまってしまい、
この巻では、伊能の東京への移動に伴っての迷いや
それを越えて確かに結びつく気持ちの様はあるものの、
むしろ互いを信じて支え合う安定したカップルの様相だ。
良識ある大人の二人が、思いやりのある穏やかでちょっと甘いやりとりをしている姿は微笑ましく、
タイトルと結びつく美しいシーンもあるが、恋愛模様としてはつまらないとも言え、
上巻のような抑制されながら続きも切なく締め付けられるような感動はない。

この巻で描かれるのは、旧版を読んだ時に「どうなるんだ〜!」と続きが知りたくれ絶叫した
彼らが追っていた事件と、野々宮と印象的な出会いをしたヤクザの原口に関してだ。

LOVE作品としてはどうなのだろう?と思わなくはないが、硬派な一冊の本として大変面白く
ページをめくる手が止まらないまま、一気に読了した。

旧版のタイトルになっていた「イノセント」、そして今回の「光」。
最後は事件を巡る伊能の姿が描かれるのだが、
この本当に最終ページで光に包まれたように胸が一杯になった。
限りなく白に近いグレー、限りなく黒に近いグレー、善と悪の判断、線引きの曖昧な世界に生きる時、
正義はどこにあるのか。
普遍的ながら強いメッセージをもったタイトルでありテーマである。

榛原や佐竹らの検事仲間の姿、榛原の友人でヤクザの息子の弁護士、東京地検え出会った人々、
彼らのそれぞれが見せる生き様が語る、人間としていかに生きるか?という問いかけが、
読み終わって胸にしみる秀作だった。


*作中二人がハーバーランドで見るリバイバル映画は、名作「ショーシャンクの空に」(1994年)。

6

光と影

未完だった作品がとうとう完結しました。
前の巻を読んで自分で予想していた展開とは違う意味で裏切られたと言うか・・・
しかし、意図としようとしたことはわかったような気がします。
旧題の「いのせんと」そして今回題名の「光」の意味するところ。
この2巻の展開とエンドがまさにそれを象徴しているような。
彼等はまっとうな道をまっとうな方法で歩いて行くのだと。

前の巻が仕事や人間関係を通して伊能が野々宮によって解き放たれるまでを描いておりましたが、今回伊能は東京地検特捜へ重大な事件捜査の為に出向することになり野々宮と離れることになります。
多少の揺らぎがあるものの、以前の伊能からは考えられないほどに落ち付いた様子を見せました。
激しい愛じゃないけれど、仕事にまい進しながらも互いの程良い距離と、安心感という何だろう?大人な関係なんですが、クールなのではなく、温かさのある関係というのでしょうか。
ほとんどが仕事の描写になるので、彼等の恋愛云々の描写は大変に少なくなっていますが、その仕事をする土台の一部に互いの存在があるという、そういう発展を見せたのだと思います。
恋愛を重視した続きい願望的には、ちょっと仕事がガッツリ過ぎて若干拍子抜けな部分もなきにしもあらずなのですが、伊能の変化には目を見張るものがありました。

そして伊能がいなくなった大阪では、野々宮の追っていた総会屋の問題が新聞社にすっぱ抜かれたことで、検事達や野々宮の家族などが狙われる危機にさらされます。
野々宮に情報を提供していたヤクザの原口。
主人公は野々宮と伊能ではありますが、もう一人の彼等と対比になる主人公として原口にかなり注目することになりました。
彼は組の跡目抗争に巻き込まれることになるのです。
冒頭で、野々宮にかけた原口の自分を深海魚に例えた電話での言葉がキーですね!
そして、これが全てだったのではないかと?

野々宮や伊能や検事達は、組織の中、そこにも裏切り者もいるかもしれない状況ではあるが、この正統化された手段と地道な努力によって悪とされるものに立ち向かっていく。
原口は、汚い手口が横行している闇の社会で、ほんとうは誰が悪いかわかっているのに、それを追求できない苦しみを抱えている。
裏のやり方でやればできなくはないのだが、彼はその手段をとらない。
光の元歩んでいくものへのあこがれ。
彼の選択は、闇の中に埋もれてしまわないように精一杯の自分なりの光の道だったのかと。

こうして見ると、恋愛もあるのだが”生き方”というものに重点を置いた物語だったのだと思われます。
この完結編は、何だか登場人物皆が主人公だったような気がしてなりません。

8

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