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獣はかくして囚われる

kemono ha kakushite torawareru

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表題作獣はかくして囚われる

ゼロ,無戸籍児集団「エンウ」のトップ
鹿倉陣也,30歳,警視庁組対二課

その他の収録作品

  • 獣はかくして分からせあう(書き下ろし)

あらすじ

マカオで日本人をターゲットにした組織犯罪が多発し、組対課の刑事として現地へ向かった鹿倉。街中で遠野と煉条を見かけたことから、その犯罪には東界連合が絡んでいるらしいことを知る。鹿倉はマカオの不可侵城に潜入しようとするが、拉致され、競売にかけられたところを東京地検特捜部長・桐山に買われる。「ゼロではなく、私と組め」という桐山、そしてゼロがマカオに現れた時に鹿倉が決意したのは……? 男たちのスペシャル・リレーション、新展開!!

作品情報

作品名
獣はかくして囚われる
著者
沙野風結子 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525933

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31

4.5

(21)

(14)

萌々

(6)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
4
得点
94
評価数
21
平均
4.5 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数4

囚われすぎててシンドイ

「獣はかくして交わる」
「獣はかくしてまぐわう」
ーーーに続くシリーズ3作目です。順読み必須。

表紙から硬派な空気感が伝わるかと思います。
法律外の場所で復讐と戦いを繰り広げるお話で、
攻め・受けのみならず敵対する相手も規格外で。
沙野さんの筆致で硬派な物語を盛り上げてくれる作品です!

規格外と書きましたが、
メインのメンツはトップに君臨する男ばかり。

・無戸籍の孤児集団をまとめあげるゼロ
・法曹界のサラブレッドで表裏に精通する桐山
・カジノ王であり裏社会で権力を持つ李アズハル

その中で唯一真っ当な表社会を歩いてきた鹿倉は
線引きされた表と裏の狭間に立っていてーーー。

3作目のタイトルは『囚われる』とありますが、
決して恋愛的なポジティブな意味合いではありません。
(甘々好きの私はポジティブにラブラブってことね♡とか思ってたZE( `д´)⊂彡)

ゼロと鹿倉の行為は、
1作目…情報交換の為のセックス
2作目…理由を必要としないセックス
と、愛情が交わるように変化し甘さが出てきました。

しかし今回は、ですよ。
遠野に近づいて見えてきた裏社会の非道の数々は
鹿倉のトラウマになって悪夢となり苦しませて…。
苦しみから逃れる現実逃避としてゼロとセックスに溺れるのですね。

鹿倉は真っ直ぐで男らしい性格が反映し、
ゼロに依存し始めている自分にも嫌気がさしてね。
まさに"囚われている"のが重くのしかかるのです。

またゼロを死なせたくないという鹿倉の思い、
鹿倉を傷つけずに守りたいというゼロの思い、
これらの気持ちは結果的に『共闘』が揺らいでしまう状況に。

2人にとって憎き遠野が目の前にいる状況でも、
ゼロは鹿倉に殺しをやらせたくないし
鹿倉もゼロに殺しをさせまいと阻んで。

遠野を前にしても共闘とは程遠く
本末転倒な関係になってしまった事実がグサッと刺さりました。

(1作目のゼロと鹿倉の共闘関係に萌えたのに!)
(まさか関係が深くなるほど裏目に出るなんて!)
(想像もしてなかったよーー!。゚(゚´Д`゚)゚。)

そんなキリキリした状態に陥る中で
温泉旅行の記憶がふと出ると甘さが滲んでせつない。
おそろいのストラップにはキュンキュンしました///

で。
今回は鹿倉がゼロとの関係を断とうとしてるので、
ゼロよりも桐山の方が出番が多い気がするーッ!
複雑ぅぅぅ~……(・ω・`)ハァ…

でも桐山の印象も少しずつ変化したというか、
以前のような気持ち悪さがちょっと減りました。
(ちょっとだけね!)
(相変わらず1時間舐め回しプレイはしてた)

真意が分からない気味の悪さが桐山にありましたが
桐山の目的とか、桐山の立ち位置とか見えてきます。

法曹界のトップエリートの"コクミン"でありがなら、
性質としては"ヒ・コクミン"に非常に近い男ーーー。
完璧な男の歪さが少し垣間見えてようやく人間らしく思えました。

そして桐山が鹿倉にする忠告はどれも的を得てます。
鹿倉がゼロと行動するデメリットも、
鹿倉が"ヒ・コクミン"になれないことも、
鹿倉の愛し方に対する否定的な言葉も、
どれもなるほどなぁと納得してしまうんですよね;

鹿倉にとっても、
ゼロにとっても、
見守ってる読者にとっても、
なかなか試練となる3作目でした。゚(゚´Д`゚)゚。

とくに鹿倉は色々なことに囚われすぎて
かなり精神的にまいってそうなのでみててシンドイ。

次回完結巻との予告あり。
2025年の冬……?ーーーん?2025年!?
2年近く先になりますが楽しみに待ってます。

14

No Title

獣はかくして~シリーズ大好きです。
骨太な男たちのBL小説いつもいつも読み応えがあります。
楽しみに待っていた3作目。

鹿倉さん大変でした…。
しかし、遠野に相対するビッグチャンスを前に2人の関係がそんな形で足を引っ張るなんて…思った以上にビッグラブ(???)w

ゼロ→鹿倉の矢印は分かりやすく、なんだかんだとサポートし本気の救助活動し、伝える言葉や繋ぐ身体から熱い感じが伝わってくるのですが、どうも鹿倉さん一人で悶々しちゃってね。。振り回されてるゼロよ。
でもその鹿倉さんの在り方がゼロにとっても光なんだろうなぁ。

今作は桐山に更に舐め回され回。桐山いいよね、好きです…最終巻での活躍も期待してますww

沙野先生が生み出してくださった男前揃いの登場人物、今回も小山田あみ先生のイラストがまた最高すぎました。今回もここ見たいって箇所の挿絵が多く、大変美麗で拝みたくなる。獣はかくして~シリーズの画集とか欲しいです。

2025年発売予定の完結編が待ち遠しいです。

1

思っていたより

前巻のレビューで1年後くらいには続編を読みたいと書いてましたが、ちょっと遅れたくらいでほぼ1年だと思っています。沙野風結子先生こんなに早く書いていただきましてありがとうございます。

思っていたより早かったです。

前々作と前作は鹿倉の青臭さが鼻に付いたんですが、今作でもやっちゃってくれてました。遠野を消すチャンスを逃してしまったシーンでは「何やっちゃってくれてるわけ⁉︎」となりましたが、この苛つきさえ沙野風結子先生の手のひらの上で私が転がされてたわけなんですよ。www

ビジネスの関係からゼロと鹿倉の関係がハッキリと線引きされたタイミングでもあります。
そして今作で東京地検特捜部長の桐山の正体が初めて分かるのですが、私は全然分からなかったんです。ただの変態だと思ってましたから。www
鹿倉はいっとき桐山に取り込まれそうになりましたが、とある人物の暴走がキッカケでゼロの元に戻りました。

李アズハルとか底の知れない面々を相手にどんな決着を見せるのか楽しみに次巻を待ちたいと思います。

書き下ろしの「獣はかくして分からせあう」での鹿倉は良かったんですが、そこまでたどり着くまでの鹿倉にやっぱりモヤついたので萌2とさせていただきました。最終巻で神になるといいな…。

5

鹿倉の受難

男前だらけのハードボイルド&エロ…役者がそろっていよいよクライマックスへ!の第3作でした。本シリーズは主役より周辺キャラがミステリアスで魅力的だと思います。強くてクールな獣たちの熱量高めラブ、ウェットな弱い感情じゃなくて、支配し支配される強い”力”に焦がれる男たちが感情をむき出しにして、暴力的なわちゃわちゃを繰り広げるとゆーアンダーグラウンドお耽美BLです。

今回は”鹿倉の受難”が裏テーマかと思うくらい、いつも以上にいたぶられてましたw。ツヨツヨたちの征服欲をかきたてる鹿倉(どM)が、あんなことやこんなことに耐えて苦悶する姿はひたすらエロいです。私の大好きな煉条ぉが、遠野⇒鹿倉への執着に、ヒステリックに嫉妬する描写にはゾクゾクするものがありました。さらに、ただのエリート変態かと思っていた桐山の正体が徐々に明るみになってきて(え~?そうだったんか?ってちょっとびっくり)、ラストどうなるんだーー?!と続刊が待ち遠しいような、終わるのがもったいないような…気持ちになりました。

小山田先生のイラストが、と・に・か・く素晴らしいです(神!)。小説誌掲載時から追加イラストもあり(描き下ろし用も含めて)眼福でした。ちょっと残念だったのは、最期の晩餐の見開きイラスト。これは小説誌ではカラーの見開きで、めちゃくちゃゴージャスだったので、モノクロ文庫サイズはちょっと残念(仕方ないけど)。それでも、十分素敵で、紙本で手元においておきたいと思わずにはいられません。

5

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