百年結晶目録

百年結晶目録
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神18
  • 萌×27
  • 萌12
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
6
得点
155
評価数
38件
平均
4.1 / 5
神率
47.4%
著者
 
媒体
コミック
出版社
プランタン出版
シリーズ
Cannaコミックス(カンナコミックス・プランタン出版)
発売日
価格
¥650(税抜)  ¥702(税込)
ISBN
9784829685624

あらすじ

旅の学者ベントが廃鉱で出会った少年は、虹のように煌めく瞳を持ち、鉱石を食べる、砂漠の金剛石と呼ばれた種族の生き残りで──。

【登場人物】
ベンド…学者、鉱物の採取・研究をしながら旅をしている。
イーリス…鉱物を食べて生きている不思議な少年。

表題作百年結晶目録

評価・レビューする

レビュー投稿数6

完成された世界

BLという括りでこういった作品にお目にかかれる僥倖。どのジャンルにも当てはまらない作風といった方が正しいのかもしれません。先のレビュアーさまも言及されていらっしゃいますが、長野まゆみ先生を彷彿とさせる、…と表現したらお終いよ、というくらいわたしにとって青井先生の描く世界観は長野まゆみに重なります。これはもう仕方がない。デビューと同時に追っかけていた長野まゆみ先生がよもやこっち方面(男同士のうんたらかんたら)に流れて行くとは…という事実の方に当時は驚愕いたしました。(予感はありましたが…。)

さて、これはいつぞやの時代の、何処かの異国の、不思議な特性を備えた民族の末裔、イーリスのお話。その民族の持つ特性と絡んだ対象物を研究をしている学者、ベントと彼が出会うことで始まる股旅物です。一コマ一コマが丁寧にびっしりと描き込まれており、作家さまの執念にも近いモチーフへのこだわりを感じます。ただ個人的 にはどの作品を読んでいてもキュンやドキッが感じられず、人物のお顔立ちもキレイ過ぎてアニメ寄りに感じてしまい、「好きな作家」さんと声を大にして言いたいのだけれど、厳密には言い難い葛藤がありまして…続き

この作品は、完成された物語、また珠玉のアート作品としての観点から「神」作品とさせていただきました。

2

てのひらの宝物

発掘調査を生業とするベントと、鉱物を食べる希少種族の少年イーリス。
調査していた廃鉱の中、目の前で倒れたイーリスを、ベントが助けたところから二人の旅が始まります。

童話や絵本のような雰囲気で、めずらしい漫画だと思いました。
装丁のデザインがとてもきれいで、それだけでも買ってよかったです。
BL的な絡みはないし、恋愛要素も強いわけではないけれど、読後の充実感は確かです。

絵からも滲み出てくるように、細部までものすごく丁寧に作られたお話で、
ちるちるで勧めるには、BL要素が少ないので萌え×2ですが、個人的には大好きです。言葉の選び方、旅の背景、小物、表情、開くたびに小さな発見があります。
皆さん書いてらっしゃいますが、この空気感が好きな人には『こういうの待ってた!』となるのではないでしょうか。

また、以下のモノローグが一番心に残りました。
ーーーーー似ている、はあくまで似ているだけで、完全には重ならない。けれど、お互いの『似ている』と思った感情は重なるのかもしれない。(本文抜粋ではないです)


ビー玉や、石や、ガラス細工を掌にのせて、すっと差し込む光や続き色を楽しんだことはありませんか?
何年たっても大事な宝物のような、本を開けばいつでも旅を始められる、そんな不思議で素敵な物語です。

1

鉱物萌

主人公の男の子が「鉱物」を食べて生きているという
摩訶不思議な内容でした。

内容的にはほんのりわずかに萌要素があるだけで、
あとはファンタジーに包まれた童話・絵本のような作品です。

「おじさん×無垢な年下受け」っぽい匂いがして、
なんかこう、妄想がかきたてられて萌萌しました。

ページ数は一冊にまとめるには若干少ないように感じますが、
この手の内容は余計な同時収録作品を入れるより、
同じ作品でまとめたほうが、
一冊の絵本のようなまとまりが出て、
雰囲気が出て良いなと思います。

自分の友達に「石」が好きで、
天然石を集めている友達がいるのですが、
私は石とか集めないのでそこまで魅力を感じないのですが、
少年イーリスのような人が隣にいたら、
石の魅力がもっと分って、
その不思議な世界に魅了されて、
私も石に興味が持てるかも?
と思いました。

物語全体はもの静かに淡々と進む印象ですが、
その中に動の部分もあり、
淡々としているようで、
起伏もしっかりあります。

今回も丁寧につづられた言葉や絵が、
素晴らしい作品でした。

3

とても好きな作家さんです。

とても好きな作家さんで、新刊が出れば必ず購入していますが、正直BLとして好きかと云われると微妙な感じです。
主人公が女の子だったら、もう一人との関係性の意味合いが違ってしまい興ざめなので男の子でいいのですが、だからといってBL的な萌えも私は感じていません。お話も淡々としていて、ものすごい展開やどんでん返しもないです。
でも大好きなのです。
この作者さんの作品は雰囲気や装丁が好みなので、毎回読んでいて心地がいいです。
作者さんはご存じないそうですが、長野まゆみの初期がお好きな方にはとても合うと思います。
多分、こういう作家さんたちの共通点は、宮澤賢治から派生する「物」萌えではないでしょうか。
鉱石、植物標本、木造校舎の理科室等、こういう単語に理由なくときめく人達にしか分からない世界なのかもしれません。
なので、全く範疇外の方には、かなり「趣味じゃない」ですよね、きっと。
自分は範疇内なので大好きですが。

作品評価的には萌×2ですが、BLとしては萌で。
作者さんの作品では、私は「爪先に光路図」が一番話としてもBLとしてもバランスよくて好きです。

2

一冊を通してゆったり読めます。

以前にこちらのサイトで見つけ、綺麗な表紙と面白そうな内容に惹かれ、購入しました。

青井先生の本は初めて読みましたが、絵がとても綺麗でスラスラと読めました。
内容については、個人的には山なし谷なしのゆったりしたお話でした。特殊な体質で人とあまり関わらないように生きてきた主人公が、ある旅人と出会い、心を通わせていく…といった内容です。珍しい種族故の悲しい過去がありますが、そういったことを乗り越えて生きていこうとする主人公にとても惹かれます。
わたしはヒヤヒヤする物語が苦手なので、こういった一冊を通して大きな事件(?)もなくゆったりと進むお話はとても好みでした。中盤に少しひやっとする場面もありましたが、大きな怪我もなく安心して読めます。

腐的な要素はほとんどないので物足りない方もいらっしゃると思いますが、読んだ後に心が温かくなる素敵なお話です。気になった方は買ってみて損はないかと思います。

2

分かち合う心、綴られる想いを見つめなおす。

青井秋さん、四冊目の物語です。

今回は王道ファンタジーと絵本を目指して描かれたものらしいです。

世界各地を旅し、その土地の地質や鉱石を集め研究する学者のベント。
旅の途中に立ち寄った薄暗い廃鉱の中で出会ったのは、鉱石を食べて生きる種族の少年イーリス。彼らは普通の人間よりも長命であり、瞳の中に瞬く虹色をもつことから「砂漠の金剛石(ダイヤモンド)」とも呼ばれた希少な存在だった。
互いに一人旅を続けてきたが、これから目指す場所が同じということもあり、共に旅をすることになった二人。
特異な体質ゆえに今まで隠れるように一人きりで生きてきたイーリス。
ベントとの旅を始め、彼から教わる様々な知識や旅先での出会いを繰り返し、今まで見ていた世界が変わっていきます。ベントの優しい言葉に触れ、悲しい過去により閉ざしていた感情を取り戻し、自分がこの世界で生きていくことの意味を見出していきます。

恋愛的な要素は薄いですが丸々一冊のお話ということもあり、青井秋さんの世界観はもちろん、ベントとイーリス二人の想いも多く綴られているのでしっかりと物語に浸れます。ファンタジーものではあります続きが、旅を通して得られるもの、その土地だけに根付く自然や何百年とかけて紡がれていく星の歴史についても語られています。

そしてそして、この物語を飾る表紙も素敵ですね。
イーリスの頭上に翳された手からこぼれる宝石。
何も知らなかったイーリスがベントや旅を通して出会った人々。そこから生まれた知識や考え方。それら一つ一つが小さな輝きとなり、イーリスへと降り注ぎ、"世界を知った"イーリスを鉱石や植物が重なり連なっていく様はこの物語そのもののようにも感じます。

二人で旅を始めて間もない頃、長年石ばかり見続けてきたと言うベントにイーリスは「好きなんだね 食べるわけでもないのに」と言います。
鉱石は生きるための食べ物でしかないイーリスからすれば何気ない一言なのですが、ベントは「結局どうしようもなく好きだから」と自分が鉱石へ抱いた想いを語ります。それはイーリスが自身を顧みるきっかけにもなるのですが、今まで歩んできた生き方も考え方も違う二人が出会い、それぞれの想いを少しずつ分かち合っていく様が緩やかに紡がれていて、それがこのお話の魅力のようにも感じます。
彼らのその後を描いた『二十億回のまたたき』まで、切なさを孕みながらも幸せを滲ませる二人。そして青井秋さんが綴る言葉に色々と感じさせられます。
全ての想いを形にはできない。命はいつか消え、抱いた記憶も過去も砂のように曖昧になる。けれどそれを未来へ残し、後の百年へと紡ぐ術がある。この物語のなかでイーリスが見つけた"永遠の結晶"を読み終えた時、読み手としても分かち合える部分があると思います。

そっと本棚に置いておきたい一冊です。

3

この作品が収納されている本棚

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