嫉妬深い毒舌の先輩作家×健気な元アシの売れっ子作家

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表題作うそつきあくま 下

宇郷悟・先輩漫画家
余利計一・攻めの元アシスタントで今は売れっ子漫画家

その他の収録作品

  • Bonus track(描き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

ラスト40ページ、ただただ祈るように。

余利計一は健気なほうだ。
先輩作家・宇郷悟が好きだったが、
セフレのような扱いに甘んじている。

突然、余利から自分たちの関係がセフレのようだと切り出され、
別れの言葉まで告げられた宇郷。
そのつもりはなかった宇郷は混乱し、
余利に連絡し倒してしまう。

しかし余利のほうも、別れてやると思ったものの、
宇郷の元から気持ちは離れられないでいた。
愛と卑屈のシーソーゲームはそう簡単には終わらない。

しかしそんな折、宇郷はとあるきっかけで
漫画の仕事が自力でまったくできなくなり
2人の関係は思ってもみない方向へ一変するーーーー。

作品情報

作品名
うそつきあくま 下
著者
雁須磨子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
発売日
ISBN
9784396784805
4.3

(71)

(43)

萌々

(12)

(13)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
16
得点
303
評価数
71
平均
4.3 / 5
神率
60.6%

レビュー投稿数16

最後がとにかくお見事!!

予測のつかない展開が面白かった。
テンプレどおりの当て馬も登場しないし、そういう判りにくさが面白いなぁと思います。

決別宣言したくせに付かず離れずの距離感なんだけど、甘利が一人で二丁目に行った事実を知った宇郷の「一人で飲みに行ったりするなよ。」という言葉。
しかも何度か言うんです。
そういう言葉の裏側には、アレな気持ちがちゃんと存在するんですよね?!と宇郷に問い詰めたくなるー!!

そして雁須磨子さんの作品で多分お初だと思う「ヤンデレ」という言葉。
「ヤンデレ」という単語が登場したときに思わず吹いてしまいました。
まさか雁さん作品でこの単語にお目に掛かるとは思わなかったし、あまりにも新鮮すぎて!!

だけど、完全にスランプに陥って弱気になってしまった宇郷に対する甘利の欲望は「ヤンデレ」そのものなんですよ。
甘利がきちんとそれは「ヤンデレ」だと自覚したからヤバイ方向には進まなかったけど、ついに宇郷が失踪した後に甘利が描いた新境地と言われる作品は、包丁ふりかざすキャラが大活躍している(らしい)作品で、なにそれ、見たい……!と思いました。

窮地に追い込められると何も浮かばずスランプに陥る宇郷に対して、平常時から仕事が早く、宇郷が失踪した後でも「まんが描こ」と切り替える事ができて、おまけにそれを糧にして新境地に達して大ヒットを生み出しちゃう甘利。

同じ漫画家だけど、残酷なまでにタイプが異なると改めて思いました。
上巻で何も思い浮かばず焦って死ぬ言い訳まで考えていた宇郷は、いつか枯渇してしまうかもしれない自分の才能に対して常に不安を覚えていたに違いなく、そんな男からすると、枯渇する事のない泉のような才能を持っている甘利という男が近くにいるというのは、辛かっただろうなぁ……って思いました。

最後、本当に良かった。
この男がこうなるには四年が必要だったのね…と思えるし、ぐだぐだしていた男たちの着地点となる最後のセリフがもう最高で、雁須磨子さんってやっぱり最高だな!と思いました。
こういう着地の仕方がいつも本当にお見事だなって思います。
これこれ!感とでもいうのでしょうか。

そして隠しテーマはヤンデレなのかもしれない。

14

これだから雁須磨子作品はやめられない

上巻では「宇郷のバカ」が概ねの感想となってしまいましたが
下巻でもほぼほぼ「宇郷のバカ」、ですww
とは言え、なんとも言えない愛おしさみたいな感情に飲みこまれそうで
上巻ラストとは違う悶絶状態が今も続いています。

余利の愛が歪んでいたわけでは決してなくて
宇郷がそうさせてしまったんだけなんですよね。
その宇郷だって自分でそうしたくてしたわけじゃないし
人生に不器用というか……いや、不器用っつったらなんでも許されるわけもないんですが。
根っこは同じ気持ちだなんて二人とも性格が違い過ぎて全く想像できませんでしたけど
本編ラストのセリフで完璧だなっていうくらいストンと腑に落ちました。
うまい……うますぎるカリスマ子さん…いや雁須磨子さん…………。
自然とポロポロ涙がこぼれました。
悪いところもひっくるめて愛せる相手なんて
生涯とおしてもそうそう出会えないですよね。

創作の苦労はやっぱり相当なものだと思いますし
センスと才能と努力が無いと好きだけではずっと続けられないでしょうね。
人を愛することにも通じる気がしましたが
“人を愛するセンスと才能”ってそもそもどんなんだ…??www
自問自答しつつ、愛情も感謝も伝えなきゃいけないよねと戒められたような読後です。

宇郷の(時々余利もww)服のセンスとか、
二丁目のゲイバーの壁に「男だけのパーティ」「男と男の…」「乱」って紙が貼ってあったり
細かいところもクスッとさせてくれて大好き過ぎます!!!

10

愛しい先輩

自分より出世した後輩で恋人の甘利に、屈折した想いを抱く宇郷。読んだらすぐ来いよ、というひどいことを言って、甘利につらくあたっている。でも、宇郷を憎めないんですよね。ひどい言葉や態度の裏にも、甘利への執着、想いがすけてみえるからかも。甘利だけがそれに気付いてない。

しかしそこに、屋良という宇郷の同期で売れっ子漫画家が絡んでくる。個人的にころ屋良さん、とても好きでした。
宇郷に、何かとちょっかいをかけてくる。一緒に山に行ったり。たぶん、宇郷のことがタイプなんだろうな。売れっ子でタワマンに住んでいるイケメンの屋良。でも友達はいなさそう。宇郷は仲良くされてもそんな気はさらさらないのに、甘利は誤解してしまう。

しかしラスト、そうだね、そうなるよね。そしてなんか、よかった。やっとおまえの前に立てるようになった、そう言って向き合えた二人がよかった。

3

この2人、鬼電大好きだな

それぞれの描くヒロインが、それぞれなのが全くもう。

◾︎宇郷(先輩漫画家)×余利(人気漫画家)
この関係性で、宇郷を売れてない漫画家にはしないところが自分にとってはとても重要でした。そういう作品の方が安直に描かれる気がする。この作品は余利が宇郷の才能に惚れてるのが全てのきっかけなので。ただ結局は宇郷の顔にも惚れてるから、本人も言ってる通りゲイだったのかな。

上巻ラストで浮気されてもいいとか言っちゃってた余利ちゃんですが、最後結局キレちゃいました。ここから下巻は復縁で、〜ハッピーエンド〜とはならないのが須磨子先生よ。

上巻で「こんな奴」とまで思っては屋良に対して宇郷が「うちの兄貴が先生のめっちゃファンで」って言ってる伏線がかなりエグい。こんな奴と会話することが嫌だったはずの宇郷が立ち去る屋良にわざわざ言いたかったこと。
宇郷の人間形成に確実に兄が影響を与えていたのだろうという推測。それがまた漫画の話となれば、彼が漫画家になることにすら、そこまではいかずとも漫画を好きになるきっかけが兄にあったかもしれないと想像させる一言で。

余利を駅まで送ったり、急に優しさを見せる宇郷ですが、彼の本心はラスト付近まで分からずじまい。兄がいなくなるだろうことに弱ってたんだろうな。

上巻で、彼の都合で余利を突き放し、その上都合の良い時に呼び寄せる宇郷も大概だと思いましたが、下巻では余利の歪みも露呈。彼の以前と違う異常さに気づきながら、己の愉悦を優先してしまった。かわいそうをかわいいと思ってしまった残酷さ。

余利はあくまでも「あんたがいれば 俺はどこにも1人で行ったりしない」と言ったのであって、いなくなっちゃあダメよ。と言いつつ彼氏は作ってないあたり、最高です。最高の作品でした先生!!!

3

かわいそうで可愛くてどうしようもない男達のお話

いやー面白かった!
これなぜ発売当時に読んでなかったんだよ私。
読んでなくて逆に得したなってくらいよかった。
漫画家同士のBL、結局は両片思いなんだけど
まさに愛憎って感じでした。
嫉妬して憎くてけどどうしても愛してしまって
余利は健気でかわいそうでかわいくて
宇郷は俺様で嫌なやつでめんどくさくて
けど宇郷もやっぱりかわいいって思ってしまった。
雁須磨子先生すごいですね。
私はこうゆうBLが読みたいのよ!って思いました。
雁須磨子先生は「付き合って3か月目」が大好きでしたがこれには参りました。傑作かな。
もうね一話から面白いね。雰囲気あるし。
普通に恋愛物として共感したし。
不穏な下巻最後の展開がやっぱりそうなっちゃったかってなりましたがちゃんと宇郷が余利の所に帰ってこれてよかった。
ほんとうにうそつきあくまだし
いいタイトルだなあと。
宇郷が思ってることを言葉にできたラストほんと涙。
ふたりとも泣いてんよ。
天邪鬼でほんとにめんどくさい男で
ほんとにどん底に落ちてほんとに時間がかかってしまったんだね。
書き下ろしも萌ええでした。よかった。よかったよ。
かわいいよ余利。つか余利がファンの漫画家?アシ?にお手つきしてたのには宇郷と同じことしてんじゃないよって思っちゃいましたけど笑
まあ彼氏は作れなかったんですよね。
わかります笑

2

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