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嫉妬深い毒舌の先輩作家×健気な元アシの売れっ子作家
余利視点で進んで彼に共感しながら読み。
余利が宇郷を好きで腹立つけど好きで、でもいいかげん怒ってヤケになったりするのよくわかる。
夜中にこっそり来た余利に嫌がられながら宇郷が送ろうとするシーンがいい。
100円ちょうだい。肉まんが食べたい。160円だった。のくだりとか上手いわぁ、こういうの好きだわぁとなりまして。
兄が亡くなったと宇郷が言うタイミングとか。
泣いちゃう余利がわかるしかわいいし。
どんどん弱っていく宇郷へ余利が漫画のアドバイスする内容も痺れるし。でも余利がわきまえていてやりすぎないのもさすが。
あんなに鼻持ちならなかった宇郷が素直になり、それを密かに喜ぶ余利もわかる。
自分勝手な宇郷だけど、ずっと余利のことが好きなのがわかるんですよね。だから余計もどかしいし余利の気持ちがわかる。そういう描き方がすごく好き。
「俺はほんとしあわせだったから ずっと〜」の余利のモノローグは泣きそうになりました。宇郷のことに気づいていたかもだけど見ないようにしていた。しあわせだったから。
で、宇郷が突然失踪。
怒る余利。わかる。
自尊心が強い宇郷は耐えられなくなっちゃったんでしょうね。
その理由ははっきり説明されないけど、なんとなく察することができる。このさじ加減がすばらしい。
宇郷が千葉と余利にメッセージを残すのおもしろいし腹立つ。
なんて自分勝手な。と余利が泣きながら思うのわかる〜と。
で、4年後ふらっと宇郷がやってきて。
感動の再会…とはならなくて、余利が怖がる方がリアルだわと。
でも宇郷の本音がやっと聞けて、そういうことだったのねと腑に落ちる。
カタルシス。
や〜よかった。
見せ方うますぎるでしょとため息ですよ。
人間関係を序列で見てしまうことってどうしてもあって。それが強い人は自分より下と思える人としか付き合えなくて。
余利には漫画の才能があってバリバリ描いていくのに対し、宇郷は描けなくてどんどん痩せていった。
自分が思うほど自分には力がないことをなかなか認められなくて病んでいく。
でもそれは一時的なもので、宇郷の漫画を余利は好きだったわけだし、宇郷はまた描けるようになった。救いがある。
ヤンデレというワードがうまいこと使われていたな。
テンプレなシチュエーションやベタなセリフなく、迫ってくる心理描写大好きです。
構図がかっこいいし、特に横顔や足元のコマが好き。
千葉、平蔵、聖ら脇キャラもいい。
いい味出す脇キャラを描く作家さん大好きです。
あとがきの先生の自画像かわいいし、担当さんがツノ生えてるのおもろいし、内容も笑えて。あとがきがおもしろい作家さん大好きです。雁須先生の他作品も読みます。
※上下巻通しての感想です
漫画家×漫画家のリアル風な曖昧関係。若干心に突き刺さる心理描写がジンときたり悲しかったり…。タイトルはどっちのことなのかな?
【漫画家・宇郷の元アシスタントから売れっ子漫画家になった余利。宇郷とはアシスタント時代に関係があり、今もときどきそういう関係を持っている。曖昧で煮え切らない関係にモヤモヤする余利だが、宇郷のことを嫌いにもなれず…】
とにかくキャラがすごく身に染みるというか。リアルでいそうというか。派手さはないけど実感的な心理描写で、感情移入するよりも良く理解できる…という描かれ方をしています。雁先生らしい感じですね。
(多分、少年向け)漫画家という、才能がモノを言う世界の話で、恋愛とは別軸に嫉妬や憧れ、羨望があり、それも相まって比較的ズシンとくる話だったと思います。上下巻でボリュームがあったのも読み込みが深くなる要素でした。悲しい話ではないと思うけど、ちょっと心がしんどいときにはあんまりオススメしないかも…。
すみません、曖昧な感想を並べてしまっていますが、私、どうしても受け入れられなかったことがありまして。それは龍生くんという存在です。余利に憧れ、かつての宇郷に対する余利のように懐き、最終的に余利と関係を持つ彼。話の中ではモブくらいの位置で、彼の心理描写など何一つないのですが、とにかく私には受け入れられなかったのです。人ってそんなもんだよね、と言ってしまえばそれまでのリアルなんですけど、やっぱり余利には最後まで一途であってほしかったし、結局どうなったかもわからないのでモヤモヤしてます…。辛い思いをしてきた余利が、彼に同じ想いをさせていることも理解できず。それまでのストーリーに対する感想を根こそぎ奪われていきました…。
上下巻読み終わった感想です。
ずっと気になっていた表紙と評価の高さで購入しました。
下巻の途中までずっと面倒くさと思いながら読みました。
でも、最後はストンと心に収まったので頑張って読了して良かったです。
予想の斜め上をいく展開で上巻の宇郷とは随分印象が変わり、そしてまた余利の本心を知って彼への印象も変わりました。
想像していなかった方向へ進んだことでさらに引き込まれて、最後まで夢中で読み進めた下巻でした。
余利は宇郷に流されるままに受け入れて、振り回されているのだと思っていたけれど
何度同じことを繰り返しても結局宇郷から離れることが出来ないくらい、宇郷に対する強い想いがあったのですね。
それを素直に伝えることが出来なかったこともズレた関係になった原因のひとつなのかなと思うと複雑な気持ちになりました。
描けなくなり失踪するまでの宇郷の気持ちを知ることは出来ないけれど、核心に迫る部分を敢えて描いていないのがまた面白かったです。
なんだかんだ離れることのないふたりのちょっと普通ではない数年間を見守ることが出来て良かったなと思えるお話でした。
上巻の終わりで余利に愛想つかされちゃった宇郷。
下巻で関係が回復していくんだろうな〜なんて呑気な予想を遥かに超えた展開に、ページを捲る手が早まるばかりでした。
特に宇郷がどんどん痩せていき、余利に依存していく展開にはハラハラが止まりませんでした。
そんな宇郷をおかしいとは気付きつつ、やっと自分のものになったみたいな気持ちになるのも凄く共感できるような、人間の業を見たような複雑な気持ちにさせられました。
4年ぶりの再会にも「会いたかったー♡」みたいなお花畑展開にならないのがリアルですよね。
ひょっこりまた現れた無神経さが、宇郷の回復を物語ってて面白かったです。
割と本気でお別れ結末かも、と思いましたがハッピーエンドで良かったです。
この2人の続き、気になるわ〜。