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翠眼の恋人と祝祭のファントム

suigan no koibito toshukusai no phantom

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表題作翠眼の恋人と祝祭のファントム

レイモンド・オルティス,27歳,元一課刑事で0課巡査
オリヴァー・クラーク,25歳,王立幻象調査部ハンター

その他の収録作品

  • あとがき
  • キャラクター・ヴィジュアル

あらすじ

石畳の街路を馬車が行きかうイーニッドの首都・ラヴィオリ市。警察内で人喰いの化け物“ジェンティ”を退治するための特殊な部署に配属されてしまった熱血刑事のレイモンドは、ジェンティが出没すると噂される秘密の夜会で、その化け物を専門に狩る凄腕ハンターのオリヴァーと出会う。憂いを帯びた美青年だが、不愛想で毒舌な彼となぜかコンビを組まされることになったレイモンドは、次第にオリヴァーの緑色の瞳に魅せられていく。しかし、オリヴァーはレイモンドを受け入れようとしない。なんとオリヴァーは幼い頃からジェンティに付きまとわれていて、親しくなる者は殺されてしまうのだと言い出し…!?

作品情報

作品名
翠眼の恋人と祝祭のファントム
著者
鏡コノエ 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
ISBN
9784344844704
4

(22)

(7)

萌々

(10)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
10
得点
88
評価数
22
平均
4 / 5
神率
31.8%

レビュー投稿数10

受けが良い

バディもの。
ジェンティって言う化け物退治の話。

コナン・ドイルかと思う冒頭。
レイモンド(警官・攻め)が馬車で愚痴るシーンから始まる。あれ、この馬車、ベーカー街行く?と思ってると、怪しげな館へ。
道中、化け物の話が出てきて、あ、そっちか。と。スリーピーホロウの方ね、と思ってると、別の捜査機関のオリヴァー(受け)登場。

2人で化け物①を倒す。
ここで、スリーピーホロウじゃなくて、スーパーナチュラルだった!に、私が気づく。
俄然、テンション上がりますよね。

受け・オリヴァーがツンデレ美人。ツン具合が良いの。

化け物との因縁とか、レイモンドとオリヴァーの過去とか。そこは読んでほしいところ。

ホラーなミステリーだけど、BLだし、あくまで主軸は恋愛だと思う。
だから、途中で他の仲間の正体とか、色々うっすら予測できちゃうけど、無問題。
謎解きしたいなら、最初から綾辻行人とか知念実希人とか読むから、いいの。

で。何が良いって、エロシーンがすごく良い。
描写が丁寧なんです。プレイはごく普通、特殊プレイは無い。けど、良いんですよ。
挿絵の美しさも相まって、オリヴァーの熱や息づかいすら感じる。
私は、どちらかと言えば攻めに重きを置くタイプですが、今作は完全に受け。

ツンデレ好きなので、"ツン"強めが好きだけど、オリヴァーは"デレ"が良い!

続編は無し。ありそうな終わりだったけど、無し。スピンオフで、レイモンドの同僚エドワードの話が同人で出ています。こちらも、おすすめ。堅物メガネって良いよね〜。

あと、この同人誌に本編のカット部分が載ってます。レイモンドとオリヴァーの没になったイチャシーンも。これも良かった。没にしなくても…!と思うくらいに。良かった。
読んでほしい。Kindle(アンリミだった)で読めるし、紙派はコミコミで買えるよ。

0

『禿萌え』と『そりゃないだろう』が共存する不思議な作品でした

このお話、二章の終わりまでは滅茶滅茶私の好みど真ん中です!
ゴシックロマンス風の味付け、飄々としているんだかガサツなんだか良く分からないオヤジが入っている様なレイモンド、意地っ張りでツンだけれど自分のやるべきことに真直ぐ突き進むオリヴァー、そのオリヴァーのファンと自称しベタベタとつきまとうけれどどこか底の見えない不気味さを持つ第三の男リード……レイモンドが所属する0課の面々もいい人過ぎず、かと言ってダメダメではなく捜査課として良い雰囲気を醸し出しているし、レイモンドが毎朝朝食を取るマフィン屋さんの夫婦まで「もう、どんぴしゃり」なんです。

シーンの書き方もとても好き。
子ども時代、母の実家に逗留中だったレイモンドはジェンティーの犠牲になった子どもたちが荷車で運ばれて行く光景を目撃するのですが、同時に、唯一の生き残りであるオリヴァーの姿もそこに見つけています。
この時、オリヴァーの翠の瞳にレイモンドが魅せられてしまうのですけれども、いつまでも心に残る美しい瞳と共に、荷車に腰かけた彼の細い足がぶらぶら揺れている描写があるんです。
これがとても印象的でねぇ。
この部分がオリヴァーという少年の本質を表している様だと思ったんですね。

2人の最初の濡れ場のシーンも良いんですよ。
ジェンティーがらみの『アイアトン祝祭会』なるパーティーに潜入捜査した時に口にした酒の効果でレイモンドが性的に興奮し、ジェンティーのいる場所に導かれる事に抗えない状態になってしまうのです。
これを止めようとするオリヴァーと取っ組み合いになるのですが、性的興奮を収めれば落ち着くだろうと考えたオリヴァーが手っ取り早い方法で処理しようとしている間に、本来の目的とは異なった雰囲気になだれ込んでしまう。
ここの『取っ組んでいるうちに、色っぽい雰囲気になって行く』というのが、とても上手い。
禿萌え!

非常に残念なことに三章以降、この『好みど真ん中』感が失速して行くんです。
まず、ジェンティーの居場所を特定するために、レイモンドが『性的に興奮し呼ばれる』事を利用するのですが、居場所まで行くと何故かそれが収まっちゃう。
「なんでー?」と思いましたよ。「近くに行けば行くほど強まるものじゃないの?」って。
また、最後の対決についても、どうもあっけない。
もう少し新手の戦い方が出てくることを期待していたので「え?それ?」と思ってしまいました。
『何がどうなって自分たちが助かったのかが解らない』という結末もどうも納得がいかず。
第二章までがとても緻密なので、余計に肩透かしを喰らった感じなのです。
うーん……不完全燃焼。

だけど惹かれるんだなぁ、このお話……
このページに来て気づきましたが、鏡さんって『LOSER』を書いた方なのね。
あの話も「どうも乗り切れない部分があるんだけど、変に魅力的だなぁ」と思った記憶があります。
ちょっと気になる作家さんです。

0

惜しかったです

凄く面白かったんですよ?

でもですね序盤でリードの正体が分かってしまったので、レイモンドに何で気が付かないんだよとイライラしてしまいました。
とても魅力的な人物なんですけど、とても頼りになる元刑事では無かったです。

エドワードと課長は勘付いているのに、お前は〜って思いました。笑

教会の火事の際に2人が助かったのは何故だったのかが分からないままなのでモヤってます。
リードが助けたのだったなら何故?
退院してオリヴァーと再会してからも、何も語られて無いのが不自然でした。これって続編あるからなんですかね?
なので神にはなりませんでした。

小山田先生のイラストがとても素敵でした。


3

キャラが魅力的

ゴシックラブファンタジーとても面白く、物語に入りやすかったです。
段々と、距離が縮んでゆく2人が見ていて可愛いのなんの。
特にお気に入りは107ページあたりからの2人の掛け合いです。

オリヴァーが初めからお気に入りでしたが、作中に何度か食事シーンが出てき、美味しいもの美味しくないものへの反応などがいちいち可愛く、たまらなかったです。
レイモンドもカッコいい中に、ちょっと迂闊なところもあり、そこがまた応援したくなる。でもしっかりコンビとしてオリヴァーを支えハンターではないのに知恵を出し熱血刑事らしく挑む姿に惹かれていきました。

BLでの攻受、というくくりではなく2人とも魅力がありコンビものとして本当面白かったのでおすすめです。
胃袋も刺激される作品です、読書のお供にマフィンとコーヒを頂きたくなりました。

今後の2人をもっと見たいのでシリーズ続編出る事に期待してます。

4

もっと濃くてもいいんですよ!

SNSでオススメが流れてきて購入。
タイトルと表紙買いのような感じで手にとったのですが、期待以上の面白さでした。

子供時代から始まるときは大体因縁ありカプなのですなわち大好物です。
一見だらしないのにシゴトのできる攻め、好きです。
人形のように美しいのにギャップのある(今回は大食らい?)受け、好きです。
脇役の嫌味なインテリメガネ、好きです。
ぽやーんとしてる風で実は凄腕上司、好きです。
えっ、好きな設定しかないじゃん??と気付いたらもうグイグイ引き込まれてしまいました。

舞台設定が独特なので、言い回しに苦労されているな、と客観的に感じる部分もありますが、最終的に伝われば問題なし!
レイモンドとオリヴァーの心が通い合うところ、とてもキュンキュンしました(言うても最初から君たち相性バッチリじゃん?とも思いましたが)。

敢えて言うならば、まだ馴れ初め編ということもあり、もっと濃くてもいいかな~!という印象です!
まだレイモンドとオリヴァーにはいろんなプレイを愉しんでほしい!
幸いにしてまだ謎の積み残しも多そうですし、続編を期待する次第です!!

4

ホラー要素あり、ミステリー要素あり。

初読みの作家さまですが、小山田さんの美麗表紙につられ購入。

んー。

端的に言って、

すんごい面白かった!

ホラー要素ありファンタジー要素あり、ツンデレ受けさんに、一途なワンコ攻めあり。
ハマる人にはがっつりハマる。
そんな一冊です。

舞台はどこなのかな。
「イギリス」と書かれている腐姐さまもいらっしゃいますが、私は何となくイタリアをイメージしながら読み進めました。

つまり、人それぞれ、お好きなイメージで読んでいいってことかなー、なんて思いつつ。

母親の田舎で夏を過ごす少年。
何もない、退屈なその地で、彼は衝撃的な事件と遭遇する。
緑色の目を持つ子どもたちが相次いで襲われ、目玉を喰われたという。
そして、同じく緑の瞳を持ち、襲われながらも助かった少年がいた。生き残りであるその少年に強く心を奪われるが―。

という、なんとも凄惨な描写から物語はスタート。

時は経ち、その少年は刑事となっていた。
汚職、買収といった不正蔓延る警察において、その彼・レイモンド(愛称はレイ)は不正を見逃すことができない。それゆえに煙たがられ左遷されてしまう。

左遷された課は0課。
よく分からない課に配属されたレイだっただが、そこで派遣された場所で、かつてレイの心を強く揺さぶった少年・オリヴァーと再会する。オリヴァーは現在王立幻象調査部に所属しているという。

何を捜査するのかわからないまま、派遣先でレイが見たものは、人を喰らう化け物・ジェンティとジェンティの被害者で―。

というお話。

序盤、レイとともに、話が全く分からず頭の中に?マークが飛び交います。が、とにかく鏡さんのストーリーの構成がお上手。レイとともに驚き、そしてジェンティについて少しずつ理解を深めていく。このストーリー展開が非常にお上手で、読んでいて一気にストーリーに引き込まれていきます。

オリヴァーが所属する「王立幻象調査部」はジェンティを撲滅すべく奮闘する部署。
そしてオリヴァーは中でも優秀なハンターであること。
レイはオリヴァーとコンビを組み、ジェンティを滅すべく奮闘する。

レイは大雑把で楽観的な性格ではありますが、正義感にあふれるナイスガイ。そして子ども時代に出会った少年(この少年がオリヴァーなわけですが)を、ずっと心配し続けてきた。その少年と再会し、ともにジェンティを追う中で、少しずつオリヴァーへの恋心を自覚していく。

一方のオリヴァーも、すんごいかっこいいです。
子どもの時にジェンティに襲われたこと。
家族も友人も、大切な人をジェンティに殺されてしまったこと。
ジェンティを滅すべく、気を抜くことなく奮闘していること。

彼は感情をあらわにすることはほぼなし。
人となれ合うことを良しとせず、常に孤高の戦士であり続けています。
その理由がなんとも泣ける。

誰よりも優しく、そして孤独を知るからこその強さを持っている。

そんなオリヴァーに少しずつ惹かれていくレイの気持ちに激しく共感してしまいました。

そしてこのストーリーにおいて、重要な位置を占めるキーパーソンが三人登場します。

レイの同僚のエドワード。
レイとエドの上司で0課課長のブラウン。
そしてオリヴァーの同僚のリード。

伏線があちらこちらに撒かれていて、ジェンティの正体は早々にわかっちゃいます。
わかっちゃいますが、「ジェンティ」という謎のモンスターの謎解きも兼ねたストーリー展開なので、最後の最後までハラハラドキドキする、手に汗握るストーリーでした。

一応この巻で完結していますが、続編を作ろうと思えばいくらでも作れるんじゃないかな。
そんな風に思わせる最後でしたし、何より壮大な世界観を持つ作品で、すごく面白かった。

で、特筆すべきは小山田さんの挿絵。

もー、めっちゃ綺麗です。
イメージにぴったりで、萌え度は確実に上がりました。
ラスボスさえカッコよく、悶絶すること必至です。

正義感あふれるワンコ系な攻めさん。
過去にトラウマを持つツンデレ受けさん。
ホラー大好き。
ミステリーも大好き。

そんなワードにビビッときた方に超絶にお勧めしたい、面白い作品でした。

7

忘れえぬ人を護るために

今回は中央警察署の捜査一課から左遷されてきた元刑事と
王立幻象調査部所属で饗宴の狩人と呼ばれるハンターのお話です。

受様の過去に関わる魔物の事件で再会した2人が相棒となるまで。

攻様はラヴィリオ中央警察の捜査一課の刑事でしたが、一課の先輩刑事達は
若手で熱血漢な攻様がやっと立てた手柄も横取りしたり、犯罪者と慣合い
いろいろな事件を有耶無耶にしていました。

先週も攻様が麻薬密売で逮捕するした男が、課長の娘婿でさっさと釈放され
たばかりか、買収までされそうになった攻様は課長と大喧嘩をして巡査に
降格された上に0課へと左遷させられます。

0課とは巷で怪異と噂されるような不確かな事象を担当する課で、攻様は
配属して一週間で勝手もわからないままに潜入調査に駆り出されます。

潜入先は以前より参加者の失踪報告がありながらも、被害届が出されず、
失踪の事実も掴めない「アイントン祝祭会」という怪しげな会合です。

祝祭会の開催は不定期で場所も毎回異なり、やっと掴んだチャンスを無駄
にしない為着任早々の攻様が駆り出されますが、人出不足の0課で攻様の
相棒となったのは警官ですらない事務方の課長秘書でした。その他に超常
現象専門の王立幻象調査部から助っ人が来る予定です。

会合の開催地は郊外の雑木林に佇む古い屋敷でしたが、陰鬱とした佇まい
ながら屋敷の中からは甲高い声と異国の音楽が漏れ聞こえ、テラスや大窓
からは男女がもつれあう様が見えていています。

攻様達の任務は主催者の正体に繫がるものの調査と失踪者の証拠集めです。
怪しげな香りとムードに攻様は嫌悪感が募りますが、主催者らしき男が
登場し朗々たる声で話し始めると招待客達は益々熱狂して乱れ始めます。

攻様達は主催が現れた2階の捜査に向かい、そこで王立幻象調査部の調査官
と合流を果します。朝露に濡れる新緑の様な瞳の涼し気な美貌の青年調査員
こそが今回の受様になります♪

受様は若いながらも組織内では有名な調査員らしく、受様1人が助っ人の
はずが、近くでの任務を終えたという紳士然とした調査員が受様のサポート
をすると調査に加わります。

しかし、受様は自分に興味津々なその調査員を一顧だにせず、部屋を物色
し始め、血の付いたシャツを発見します。片方だけの女物の靴から、巧妙に
隠された隠し部屋を見つけ出します。

狭い部屋には若い女が2人、胸を裂かれた状態で息絶えていました。彼女達
の手足の爪は黒ずみ、0課が追う"ある者達"に襲われた明確な痕跡を残して
いたのです。

0課が追う事件はジェンティと呼ばれる人を食う化け物絡みであり、受様の
属する王立幻象調査部調査官は特殊な能力で彼らを捉える専門家なのです。

アイントン祝祭会の主催は0課の追うジェンティなのか!?

英国を彷彿とさせる架空都市の怪異現象に関わる魔物を追い続けるハンター
と熱血な元刑事がバディを組んで活躍するゴシック風ファンタジーです♪

正義感の強さから捜査一課長に楯突いた攻様は、特殊な案件を扱う0課へと
追いやられます。そこはジェンティと呼ばれる化け物を追っている特殊性
から人がいつかないと有名な部署でした。

攻様も転任1週間で怪しげな会合の調査に向かい、0課の助っ人の調査員で
ある受様と出会うのです。実は攻様は母の田舎でジェンティの起こした連続
殺人事件に遭遇していて、受様はその事件でジェンティに狙われながらも
唯一助かった被害者だったのです。

「アントン祝祭会」で起こった連続殺人事件を軸に、受様を狙うジェンティ
との攻防、調査員となった受様の苦悩と悲願を織り込みながら物語は進み、
攻様と一緒にハラハラしながらジェンティの正体に迫っていきます。

受様に執着するジェンティに踊らされながらも徐々に彼を追い詰めていく
過程で終着される受様が見せる捨て身の行動が攻様をハラハラさせて、
事件の真相とともに2人の関係がどう深まるのかとワクワクさせられ、
楽しく読めました。

但、早々に受様を狙っているジェンティの正体が察せられるわりに、0課の
面々が正体を故意に泳がせているのか、気づいていないのかが上手く伝わ
ってきません。

伏線を読み難くしたつもりなのかもですが、それならジェンティの正体も
もっと読者に隠されていないとバランスが悪いです(苦笑)

ともあれ、物語の世界観とジェンティとの攻防という設定は面白いとは思い
ましたので、次作に期待したいです。

今回は特殊能力で怪事件を追う夜光花さん『バグ』はいかがでしょうか。
こちらは日本が舞台のバディモノのシリーズで読み応え有です♪

1

これからシリーズ化するのかな?

ゴシックBLにふさわしく、舞台は17世紀のイギリスを彷彿とさせる架空の都市ラヴィリオ。
石畳、馬車、猟奇的な事件とくれば、ヴァンパイアかと思いきや「ジェンティ」という謎の怪物を熱血刑事攻めとツン受けハンターが討伐する物語です。

ファンタジー系BLですが、苦手な方でもすんなり入っていける内容です。わりと事件としては現代にも通じるところがあり、(薬物で意識を奪い、命や貞操を奪う、体の一部を集める)
突然の魔法!とか、呪文!とかが無く真面目な刑事ものとして読んでいけます。

最初は全くBLの気配のないバディ。しかし当て馬が現れ・・・。というBLとしてのキモはしっかり押さえてあり、エロも濃厚でさすがの一言。(私としてはもっと濃厚なエロでも良かった。)化け物討伐の0課のメンバーも魅力的で、これからの活躍を期待してしまいます。

作中にでてくる食べ物がまた美味しそうで飯テロBLです。
オリヴァーの食欲もなかなか可愛く、こんなにモリモリ食べたらそりゃレイモンドも夜がんばらなくっちゃ・・・!!って感じ。

イラストも作品の世界観そのもの。小山田先生はこの手の衣装を描かせると天下一品だなぁと痛感いたしました。
美麗で素敵です!!
最後のラフ画も嬉しいオマケでした。

王立幻象調査部からの0課、まだまだ謎が多いジェンティ。はっきりと書かれていないのはこれからがあるのかな・・・?と思わせる物語です。









5

妖しく(怪しく)美しい世界

ジャンルはゴシックホラー?テーマパークの怖い系が苦手な人にはちょっぴり怖い世界や事件かもしれませんが、BLとしてはもちろん怖くなく、しっかりツボが押さえられていて作者様の巧みさを感じます。

オリヴァーもレイモンドも表現のしかたは違えどまっすぐで応援したくなります。もっと取り澄ましたものかと思いきや、ふたりとも健気で想い合っていて微笑ましく萌えました。
1作目のためか最低限の登場人物で、作品世界の提示や主役カップルの成立に重きが置かれているように感じられました。そのため多少不完全燃焼でもあり、筋立てや設定が膨らめば更に面白くなる小説ではないかと思います。

表紙イラストがつい手に取ってしまうほど綺麗で、本文の挿絵も1枚1枚とても繊細に描きこまれているため本のサイズに映えて本当に美しいです。
巻末のキャラ表も設定画とは思えないクオリティでした。

5

ゴシックロマンの世界です。

ホラーあり、謎解きあり、そしてラブありと言った、ゴシックロマン風ファンタジーになります。

初読み作家さんですが、設定がどストライクの為、購入しました。
個人的に、この手のゴシックホラーと言ったお話が大好きなんですけど、意外とBLでは少ないんですよね・・・。


内容ですが、特殊な事件を扱うゼロ課の刑事・レイモンド×王立幻象調査部ー通称「饗宴の狩人」の凄腕ハンター・オリヴァーによる、バディものでゴシックロマン風ファンタジーになります。

人を襲う化け物・ジェンティを調査する、特殊な課に異動となった刑事のレイモンド。
参加者の失踪が相次ぐ怪しげな会合『アイアトン祝祭会』への潜入捜査で、ジェンティ退治を専門とする「王立幻象調査部」の凄腕ハンター・オリヴァーと出会います。
彼と期間限定のバディを組み、この事件の首謀者で『アイアトン祝祭会』を根城とするジェンティを追うように指示されるんですね。
しかし、何故かオリヴァーは一人で行動しと、相棒として打ち解けようとしない・・・
それが、幼い頃からあるジェンティに付きまとわれていて、自身と親しい相手は殺されてしまうからだと分かりー・・・と言うものです。

オリヴァーですが、実は20年も前に起こった、子供だけが眼球を喰われて殺された「コーディ村の事件」の生き残りだったりします。
家族や友人を殺され、更に自身を襲ったその犯人「カンヴァニア・ジェンティ」への復讐の為に、ハンターとなったんですね。

で、そんな彼とバディを組む事となったレイモンド。
共に事件を追う中で、オリヴァーのジェンティに対する強い怒りや復讐心、そして孤独に気づく・・・。
不意に見せる彼の笑顔に、もっと笑っていて欲しいと感じるようになるんですね。

と、オリヴァーを長年つけ狙う、カンヴァニア・ジェンティの正体。
そして、心に傷を持ち、たった一人で戦ってきたオリヴァーと、そんな彼を救いたいと思うレイモンド。
二人の恋の行方はー?
と言ったお話になるんですけど。

これ、キモとなるカンヴァニア・ジェンティの正体ですけど、わりとアッサリ想像ついちゃいます。
と言うより、伏線がちとわざとらしい・・・。
何だろう・・・。
もうちょい自然な感じで伏線を張ってもらうか、逆に一切予想をさせない形で進めて貰って、最後に「あっ」と言わせてくれると面白かったと思うんですけど。
あと、ちょい説明不足感があると言うか、色々省略されちゃってて不親切と言うか。
えーと、やたら口説口説しい文章があったりするんですけど、それの逆バージョン。
サッパリしすぎてて、意味が良く分からない箇所があったりする。
もうちょっと読者の側に立ってもらって、分かりやすく書いて欲しいなぁと。

と、ちょい残念な部分はあるのです。
ただ、主役二人の関係性だったり、猟奇的で陰鬱な事件にホラー要素ありの謎解きと言った、魅力的な部分もございまして。

いや、オリヴァーですけど、孤高の美青年と言えば聞こえは良いのですが、要はスタンドプレーの多い問題児なんですよね。
で、面倒見が良く人のいいレイモンドが、悪態をつきながら世話を焼く。
個人的に、こういう関係がツボなのです。
振り回されつつも、惚れた弱みで面倒を見ちゃう攻めも、最初のツンな態度から、心を許して甘えを見せるようになる受けも、もうニヤニヤしちゃうじゃないかよと!
あと、石畳を走る馬車に、心臓や眼球を食われる猟奇殺人、降霊会に地下墓地ー。
みたいな、ゴシックホラー感あふれる世界観も面白いですしね。

そんなワケで、若干引っ掛かる部分もありつつも、個人的には楽しく読めました。
あと、スプラッタ描写がちょこちょこあります。
苦手な方はご注意下さい。

6

この作品が収納されている本棚

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