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表題作舞台裏のシンデレラ

宮原時生,ゲイナイトで知り会った大学3年
相沢佳衣史,ネットショップを経営する女装モデル

同時収録作品舞台裏のシンデレラ

加賀谷広郷,瀬戸の恋人で同じ会社の同期
瀬戸友哉,加賀谷の恋人で女装子

その他の収録作品

  • ガラスの靴の磨き方
  • あとがき
  • 年下の王子様

あらすじ

女装子カレンの名で女装グッズ専門サイトを運営する佳衣史。あるときお持ち帰りした大学生・時生とコトに及ぶ寸前、豪快に偽物のおっぱいを外して見せたところ、なぜか気に入られてしまう。可憐な見た目に反し性格は男前な佳衣史だが、早逝した姉・佳憐へのコンプレックスから自分に自信が持てず、時生の告白にも素直に頷けないでいた。時生は誠実で、身体の相性は最高にいい。彼を信じてみようと思った矢先…?

作品情報

作品名
舞台裏のシンデレラ
著者
安西リカ 
イラスト
伊東七つ生 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
人魚姫のハイヒール
発売日
ISBN
9784403524882
4.2

(110)

(54)

萌々

(35)

(14)

中立

(3)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
11
得点
455
評価数
110
平均
4.2 / 5
神率
49.1%

レビュー投稿数11

綺麗な恋愛小説

安西リカさんって、なんて綺麗で切なくてキュンとくる小説が上手なんだろう、、、
さらにエロがオマケにならずに、そして男女間ではないBLの世界観をちゃんと描き切っているところがすごいなと思います。

今回のお話は「人魚姫のハイヒール」のスピンオフですが、あちらでは悠々自適に女装をしている風だったカレンちゃんが、実際には色々ありながら生きていて、運命のように出会った時生との恋模様が書かれています。

表では綺麗な女装を披露しているけれど、実際の通販サイト舞台裏は、ちゃんとモノを試したり、分かりやすいように撮影したり、納品を確認して発送手続きしたりと結構パワーを必要とする肉体労働で。そんなサイトオーナーの佳衣史は綺麗な姉に罪悪感を持っていて、両親や周囲は姉を可愛がる、って環境である意味やさぐれていて。
そんな中から救い上げたのが時生。シンデレラ、というのはこの環境(とは言え、佳衣史が自分で作ったもんだろうけど)からかな。意地悪でも無いけど、お姉さんに対する思いが重くのしかかってたんだろうな。

心を許しかけていたところに時生と亡くなった姉とが昔仲良かったということが分かってしまい、もう離れようとしていた場面で、時生が佳衣史を見つけておんぶしながら帰るシーンとか、もうキュンが止まらない〜
女装の下着?を脱がすのが好きな時生だけど、佳衣史にしてみれば、女がただの男ってバレる訳だし、恥ずかしいんで嫌がるんですが、そのシーンもエロエロで。

前作の加賀谷と瀬戸も出てきますが、二人は相変わらずラブラブで。もう、あのノンケだった加賀谷がこんなになっちゃうのね、恋って恐ろしい(爆)

読後感がすこぶる良い作品でした。

0

理想の年下攻☆彡

安西先生の現代ものは、現代ものっていう安定感に、ちょっとクセのある設定がぶち込まれているというか、変化球が楽しめる、個性的な作品が多いな!と改めて感心しました。男前の女装家(受)とモテモテ大学生(攻)で、遊び慣れている年下攻なのにチャラくなくて、実は…っていうところで、冒頭の印象が覆される展開が面白いです。

”人魚姫のハイヒール”、だいぶ前に既読ですごく気に入ってたんですが(真面目リーマンが女装でルブ●ン履いちゃう倒錯感がたまらず)、こちらにたどり着くまでに時間が空いてしまいました。こちらだけでも十分楽しめます。

クラブでたまたま好みのタイプだった→ワンナイのノリで出会うので、最初はトキオはただの顔のいいモブかと思ってしまいましたw。それが途中から時生くんになって、カレンちゃんも佳衣史になって、本気のお付き合いが始まります。なにせ2人とも恋愛力(コミュ力?)高いので、恋人としての態度や発言がこなれてて適度に甘くて、普通にラブラブな感じがする、というか海外の恋愛ドラマっぽいな(特に時生の態度が…)と思ってしまいました。

すでに他のレビュアー様がコメントされているように、本作の年下攻めはかなりハイレベルでいいです。とくに、お風呂に一緒に入りたがる、受の全身脱毛してる部分へのフェチ、受のために全力疾走する、嫌味なくらいの彼氏力,etc.....好きだ!!と思いました。受の屈折してる矛盾だらけの性格もいいですけどね!

佳衣史のお姉さんがキーパーソンで、途中から物語のメインになるくらい存在感大きいんですよね。この辺、ネタバレなしで楽しんでいただきたいです!

0

年下攻め最高かな

以前から気になっていたので読んでみました。「人魚姫のハイヒール」は未読ですが、充分楽しめました。

なんと言っても時生くんが素敵ですよね。大学生で年下なのに、佳衣史の不安や鬱屈全てを包み込む余裕がありました。
時生の言動から佳衣史の姉の佳憐との関係性は何となく分かってしまうのです。でも、実際に佳衣史が知った時に、あれほどまで苛烈な反応をするとは思わず驚いてしまいました。

あんなにバイタリティ溢れて前向きな佳衣史がと、ちょっとガッカリしてしまったのも確かでした。時生の言動や態度は佳衣史の向こうに誰も見ていないし、佳衣史の事だけが好きなのが分かるだけに違和感さえ覚えてしまったんです。

でも避けて逃げる佳衣史を追い掛ける時生が、言葉を尽くして態度で示して誠意を見せる姿にキュンとしたんです。
時生が語る佳憐との思い出が佳衣史の姉への罪悪感と後悔を消して、再び姉弟を結び付けたことに涙が止まりませんでした。

そして、時生視点の「ガラスの靴の磨き方」も素敵でした。自然体で生きる時生が眩しくて、そんな息子だからこそ彼の両親も佳衣史との関係を自然に受け入れたのではないでしょうか?
ここでもイベント後に佳衣史の異変に気が付いて、佳憐の人形を取り戻すべく素早く行動した時生に感動しました。この時の佳衣史の反応にも感動して、涙が出てしまいました。

この年下攻めはどこまで良い男に成長するんだろうと恐ろしく思ったほどです。

出会いは偶然だったけど、ピタッとハマるようにお似合いの2人でした。
佳衣史を可愛いと思う時生の気持ちに凄く共感しました。

そして佳衣史のある部分に欲情する時生がとてもエッチです。

3

時生が佳衣史の心に刺さる棘を溶かす

「人魚姫のハイヒール」・・この二人がまた登場。
加賀谷広郷, 瀬戸の恋人 同じ会社の同期
瀬戸友哉,  加賀谷に惚れた人 女装美女「瀬戸子」 

「舞台裏のシンデレラ」
相沢佳衣史, 女装子衣装を扱うネットショップを経営  姉に罪悪感を懐き続けている。
宮原時生,  ゲイナイトで知り会った大学3年 10歳まで佳憐と同じ病棟に入院をしていた。

「人魚姫のハイヒール」の関連本。早逝した姉、因果が巡る物語。 
女装子のトップリーダー的存在の佳衣史のビジネスネームは「カレン」、
「佳憐」とは病気で18才で亡くなった優しく綺麗だった姉の名前。

イベントで出会った恋人・時生は、佳憐と同じ病棟に居た子だった。
佳憐からもらった人形を佳衣史に見せて、二人が会話する場面は心に沁みて泣けてしまう。
無垢で美しい姉のようになりたい佳衣史は、姉姉に罪悪感を懐いている。
早逝した姉の為、姉の代わり・・と思い続ける佳衣史は、女装子(シンデレラ)の時と素のギャップが大きい多面性を持つ性格。
佳衣史の姉への気持ちが複雑で、姉の死を整理できずにいたのを、年下の時生に救われる。 

ただのBL,女装子の話ではないまとめ方が凄く良かった。
佳衣史と時生の会話で進む場面が自然。 著者は構成上手で、頭がいい人みたい。
この作品も読みやすくて、読後感が凄く良い。ハピエンまでの過程が良くて、泣けたBL。
派手さがないけれど、心に沁みる表現が上手。
読みやすいので、是非読んで。

0

シンデレラ的な要素はないけれど舞台裏の苦労はよく見えました

新作が出たら必ず作家さまです。
なのであえて内容を確認せず読むのですが、あの人魚姫のスピンオフ作品だったと後半になって気がつきました。

佳衣史
女装専門通販サイト経営者
若くして亡くなった姉への複雑な感情を抱え、長続きしないノンケとの刹那の関係を持つ

時生
顔よし頭よしのモテるノンケ男子大学生
要領良くて器用だけれど子供の頃の出来事から満たされない思いを持て余している

そんな二人が出会って恋をしてちょっとすれ違って分かり合えてハッピーになっていくお話です。

女装家たちのパーティーを見て嫌悪し侮蔑的発言をするグループを追いかけてハイヒールを投げる瀬戸と啖呵きる佳衣史がかっこよかったです。

時生が「あなたが歩けない時はおんぶしていく」っていう言葉に感動した。その上「歩けなくなっても側にいる。…座って一緒に困ろう」にやられました。
共に歩いてくれる人がいて、時には支えてもらうこともある。支えきれない時も一緒にいて一緒に悩んでくれる人がいるというのはすごく幸せなことだと思えました。

モテモテ大学生の時生くんが同じ大学の女子に「美女の誉れ高い女たちが歩いた宮原時生の横を歩いて美女たちの見た風景を見てみたい」発言にはわかる〜と思わず同意してしまいました。

前作未読でもこの1冊だけで十分楽しめますし問題はないのですが、女装に興味がなかったという女装美女の瀬戸と加賀谷の女装することへの思いを読むとそこに至る二人の物語もきっと知りたくなると思うので未読の方は是非2冊揃えて読むことをお勧めしたいです。

1

恋と再生の物語

評価は『神』寄りです。
結構重い内容だと思うのですけれどもとても読みやすいんですよ。ツルツル読んでいるうちに「おおおおおおー」となっちゃいました。
そう、個人的なものかもしれませんが、かなり劇的だったんです。
何がそんなに来てしまったかと言えば、このお話の主人公2人が抱えている『生き残ってしまった罪悪感』なんです。これがねー、とっても良く解ると言うか、上手いんですよ、解らせ方が。

佳衣史は『自分よりも(見た目だけではなく色々な意味で)美しかった姉が亡くなったのに、何故自分が生きているのか』という罪悪感を持っています。佳衣史も綺麗で出来る子なんですよ。でも、自分の中では姉には劣ると思っている。
それは幼かった佳衣史が姉に嫉妬していた過去があるからなんです。
彼は姉が大好きでした。でも、病気の姉を中心に家族が廻っていたことが寂しく、不満も感じていた。
これ、当たり前ですよね。子どもなんだもん。
この対立する2つの感情の整理がつかないまま、佳衣史は大人になってしまっています。女装子で、トランスジェンダーではないゲイで、女装男性のためのアダルトグッズの通販を経営しているという、なかなか複雑な大人ですが。

この『こんなだけれど、こんな自分を愛してほしい』と思いつつ『自分が幸せになることにブレーキをかけてしまう』主人公が恋をする話は、ある意味王道のど真ん中です。
それを月並みではなく、必要以上に拗らせず、しらけさせずに語っていただいたのは素晴らしい手腕!
攻めさんである時生の造形が良かったからじゃないかなぁ。
この人が単なるスパダリだったり、佳衣史と一緒にモダモダしていく人だっりしたら中々こうは行かなかったと思うんですよ。なおかつ、時生は物語の構成上、カッチリ合ってるんです。この人でなければならない構成になっている訳で。

いや、安西さんすごいすごい。
恋が佳衣史の再生になっていく、とても素敵な、読み終わってほっこりする『乙女のためのお話』です。

2

いい攻めだー。

パワフルでアクティブな女装子だと思っていたカレンちゃんが、早逝したお姉さんへの相反する複雑な思いを消化できずに抱えている様子、私もかつて似たような病弱な妹がいたので読んでてウググ……となりました。

対する攻めは、こりゃモテるわ……!というようなノンケ男。
心臓が弱くて幼い頃から生死と隣り合わせて生きてきたからこそ、本質というか何が重要なのかわかってるんだろうなぁ。
だからノンケなのに、男である佳衣史に惚れたというのも彼にとっては性別なんて瑣末な事で、佳衣史の本質が好きだから女装しててもしてなくてもどっちでもいいんだろうなぁと思わせるものがありました。

心臓が悪いゆえに走ることもなく育った時生の「俺を全力疾走させる、あの人が好きだ」というところが好きでした。

受けの佳衣史は女装子だけど、プライベートではノーメイクでラフなジーンズ姿でサバサバとした男前なところも良かった。

個人的には「人魚姫のハイヒール」の攻め、加賀谷が受けの瀬戸にすっかり骨抜き状態でデレデレになっているのを読めて嬉しかったです。
実は、人魚姫のハイヒールではいまいち加賀谷を信用できずに終わってしまったので、加賀谷が「絶対に自分からは女装をお願いしない」と言ってるのを読み、加賀谷の株がぐーんと上がりました。

5

隠れている本当の自分を愛して欲しい

今回はイケメンながら何事も省エネ活動なノンケの大学生と
ゲイで女装専門通販サイトで看板モデルも務める自営業者のお話です。

受様視点でクラブパーティで知り合った大学生と恋を実らせるまでと
攻様視点で本編裏事情を絡めた後日談とあとがき後にオマケSSを収録。

受様はカレンちゃんという商売ネームで女装専門通販サイトを経営し、自ら
爆乳美少女設定で看板モデルも務めるゲイの女装家です。厳選した商品、
グッズの使用法から着こなしアドバイスまで丁寧に解説した動画アップ等の
顧客目線でのサイト運営が高評価を得ていて経営は順調です。

しかしプライベートはあまり充実していませんでした。というのも受様は
ノンケの男に弱く、培った女装テクを総動員すれば女にも負けないという
自信はあるもののノンケ男の取り合いでは本物の女に勝てるはずもなく、
最近はひと晩の関係で満足する事にしていました。

今夜も友人に誘われたクラブパーティで、同じように参加していた大学生
と意気投合してボックス席で盛り上がり、気づいた時には自宅の玄関先で
彼に抱きしめられていました。この大学生こそが今回の攻様です♪

受様はかなり酔っていてこうなった経緯がよく思い出ませんでしたが、こ
のところご無沙汰だし、明日から通販作業が忙しくなる予定でまたしばらく
遊べないし、そもそも攻様もすっかり臨戦態勢だし、と手を出す事に。

なのにキスをしようと頭を引き寄せたら思いがけず大丈夫かと心配されて
しまい、介助的な意味合いで抱かれていた事が判明します。酔った受様を
心配して送ってきた攻様を引っ張りこんだようです。

ですがこの状況なら押せばイケると踏んだ受様でしたが、エッチなキスを
しかけられつつ胸を揉まれた事で、自分が男で女装している事を攻様に告げ
ていないのでは!?と思い立ちます。

受様は男にしては声が高くて背が低いので、攻様は男だとは全く疑っても
いなよう。受様は悪戯心から「あたしの秘密を見せてあげるね」と女装子
カレンちゃんモードで勢いよくワンピを脱ぎ捨てるのです。

攻様は怒るどころか「やられた」と晴れやかに笑い、男でも抵抗のなさそう
な攻様と一緒にお風呂に入って軽く天国へと導きます。翌朝、受様は一晩の
遊びと、連絡先を好感したそうな攻様をそのまま帰そうとしたのですが、
発送作業を頼んだバイトが急病でこれなくなり、攻様に手伝ってもらう事に
なってしまいます。

受様は攻様と恋をする気はありませんでしたか、攻様は次々と新たな顔を
見せる受様に恋をし「彼氏にしてください」と告白してくるのです。そして
お試しでお付合いを始めますが、攻様には受様に隠している過去があり・・・

既刊「人魚姫のハイヒール」のスピンオフ作で雑誌掲載作に続編短編を書き
下ろしての文庫化になります♪

受様が既刊カプと私的な友人付合いもしているので、既刊カプのその後も
読めるというのも個人的にはポイント高いのですが、前作を知らなくても
楽しめるお仕立てです。

受様の女装は実益を兼ねた趣味で、女性になりたいわけではありません。
受様には内臓疾患で入退院を繰返し、18才で亡くなった姉がいました。家族
は皆姉を優先する生活で受様は蔑ろにされた事もありましたが、姉は優しく
美しい人でしたし、何より誰よりも受様を可愛がってくれた人でもありまし
た。受様の女装は姉のようになりたいという願望もあったのです。

一方の攻様は生まれた時から心臓疾患を抱えていました。幸い手術が成功し
て普通の生活ができるようになりますが、長年の闘病生活から体力をセーブ
した行動が身についていました。しかし、受様と知り合って通販サイトの
経営者としても、女装家としても日々パワフルに活動している姿に魅了され
受様のためなら全力疾走だってできる自分に喜びを見出すのです。

そして受様は女装していても普段のままでも変わらずに自分を慕ってくれる
攻様と過ごすうちに彼への好意が募っていきます。攻様なら自分を大事に
してくれるとお試しから本当の恋人になってもいいかと思った矢先、攻様が
受様を初恋の人に似ていると言っていた理由が明らかになり、それを知った
受様は攻様と別れる決意をするのです (>_<)

攻様には攻様なりの事情があったのですが、2人の思いがすれ違っていく様が
とっても切ないです。誤解を招きたくないがための戸惑い、タイミングを
失した告白が行き場を失くした結果のすれ違いが丁寧に描かれています。

2人が恋人としてお互いの手をとるまでハラハラ&ドキドキしながらとても
楽しく読ませて頂きました♪

女装モノというと女性よりな男性のお話が多い中、趣味として役目として
完璧な女装で周りを黙らせ、自分の仕事をバリバリこなす受様の男っぷりに
すごく萌え萌えでした♡

受様が女装家パーティーに乱入した大学生一行に啖呵切っちゃうシーンが
とっても良かったです。そしてそんな彼らが攻様視点の書き下ろし続編で
受様達と新たな関りを持つ展開も面白かったです。

今回は安西さんの既刊『人魚姫のハイヒール』をおすすめとします。それ
ぞれで読める単巻読み切りですが、セットで読むと楽しさ倍増です。

9

いい男に成長確実の年下攻め様。

 「人魚姫のハイヒール」のスピンオフになります。
私にとってスピンオフの楽しみって、前作の2人の今を垣間見れるところなんですけど、今回、ちょいちょい加賀谷&瀬戸カップル登場してます。
2人してバカップル全開で甘々ムード撒き散らしてました。

 女装ネットシッョプ経営者のカレンちゃんが今回の受け様。

 クラブパーティーで出会って、タイプだな、と攻め様である時生くんをお持ち帰りしちゃってて、お!?いきなりそんな展開!?とドキドキ。
えっちな雰囲気になる中、「じゃーん☆」と女性の体型を作る矯正下着のジッパーを下げて、男性であるカラダを披露して、びっくりしても「騙されたー」と大爆笑してくれた時生くん。

 最初の数ページで楽しくて、明るいラブコメなのかな、と読み進めていったのですが、違いました。
ハートフルな優しいお話でした。

 女装子のカレンちゃん、本名佳衣史くんは、バイタリティあふれるパワフル男子。
若くして亡くなったお姉さんに対して、大好きなんだけど、周りの関心を持っていかれて複雑な感情を抱いていて。
時生は、そんなお姉さんの闘病仲間であり、健康になった今でも全力を出す事なく、省エネな生き方をしていて。
 時生に押し切られるようにお試しで付き合い始めた2人が、晴れて恋人になるまで。

 佳衣史のためだけなら全力疾走できるし、したい時生。
 
 ノンケなのに、男である自分に対しても優しくて、当たり前の恋人のように接してくれる時生を信じて一緒に生きていってみようと思う佳衣史。

 嬉しいも悲しいも一緒に人生歩いていこう、という2人を暖かく見守りたくなりました。

 
 書き下ろしでは時生が、年上の佳衣史に対してもっと頼ってほしい、頼れる男になりたい、と思っていて、にまにまです。
いいですねー、これぞ年下攻め。
 

 雑誌掲載作品は、受け様の佳衣史視点で、書き下ろしは攻め様の時生視点。
この順番、というかこの流れの作品、好きなんですよねー。
まず、恋人同士になるまでを受け視点で、その後に攻め様の、出会いはこう思ってた、とか、受け様への溺愛っぷりを披露してもらえるんですもの。


 イラストは伊東先生。
ラストのえちシーンがなんだかめっちゃエロくて、眼福でした。

 

7

この攻めは超「あり」!

「人魚姫のハイヒール」の受けさんが女装の参考にしていたカレンちゃん☆が出てくるスピンオフでした!安心安定の安西先生のお話、雑誌掲載分150Pほど+攻めさん視点の本編続き80Pほど+あとがき+さらにその続き(受け視点)5P。人魚姫の方のカプも割と登場するので、そちらを読んでいた方が楽しいと思います。(未読でも大丈夫と思いますが)

女装に関するあれこれを販売するネットショップ経営の佳衣史(かいし)。あらゆるテクを駆使すれば、ノンケの男であろうが楽々落とせる美人さんで、昨日お持ち帰りすることになった男の子はクラブで知り合ったノンケ年下大学生ちゃん。気づいてないなと思ったので、じゃーん☆とばかりに女装子であることを明かしたのですが、気持ちいいことして、翌朝の朝ごはんまで作ってくれて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
人魚姫のハイヒールのカプ(加賀谷と瀬戸子)、佳憐(かれん、受けの姉、故人)、女装子たちに絡んでくる学生たち少々ぐらいかな。

**好きだったところ

年下のノンケ君が事情ありなのもあってか、すっごくさっぱりきっぱり、一生懸命誠実に生きてる!!!って感じが満点でとっても良かったです。この子爽やかすぎる!
その攻め君に惚れちゃうカレンちゃんも、色々思う所あって少々こじれているけれど、基本可愛い!男前!そしてめっちゃ一生懸命働く!(←好感度大!)

攻め受けともそんな個性満点!という感じではないのに、とても好きになるキャラで不思議です。人間性なのかなあ。

受けの姉ちゃんがらみで一旦こじれかけた感情は、割合さっくり落ち着いて、2編目のところでは、攻めが超彼氏力発揮!泣きじゃくる受けさんがめちゃくちゃ可愛くて安堵して、こっちも癒されまくりました。

大きな事件とかめっちゃ変人とかは出てこないけれど、読みやすいしハートフルなお話で、大好きでした。安西先生、癒しのお話、有難うございました!

5

とても深くて優しいお話でした(´;ω;`)

「人魚姫のハイヒール」のスピンオフで、女装子カレンちゃんの物語になります。
今作だけで問題無く読めます。
ちなみに、「人魚姫~」の二人も、友人カップルとしてちょこちょこ登場します。
いや、加賀谷がね、もう瀬戸にデレデレとヤニ下がりまくっていて、瀬戸は瀬戸で「加賀谷が、加賀谷が」といちいち語る。
「平和なカップルだよ~!」と、脱力しちゃったワケですが。

で、こちら、女装すれば超美少女になる、バイタリティ溢れる明るい受けに、今時の大学生と言った感じのスマートな攻め。
始まり自体も、クラブパーティーで知り合った攻めを、受けがお持ち帰りと言うものなので、ライトなラブコメを想像しちゃったんですよね。
が、二人の恋愛を通して、心の傷や過去を昇華して行くと言う、とても深くて素敵なお話でした。


内容ですが、クラブで知り合った大学生・時生×女装子カレンとして女装グッズ専門サイトを運営する佳衣史による、切なくて優しいラブストーリーで年下攻めものです。

クラブパーティーで知り合った大学生・時生を、酔ってお持ち帰りした佳衣史。
女だと勘違いしたまま事に及ぼうとした時生に、明るく偽物のおっぱいを外して見せた所、何故か妙に気に入られてしまうんですね。
実は、若くして亡くなった姉に対して複雑な思いと心の傷を抱えている佳衣史は、時生から「付き合って欲しい」と口説かれても、素直に受けれられないままでー・・・と言うものです。

佳衣史ですが、好きになるのはいつもノンケで、しかも完璧な女装姿で相手を好きにさせるくせに、自身の「女装姿」が好きだと言う事に傷付いたりする。
そう、ものすごく複雑怪奇な面倒くさい性格の受けです。

で、そんな彼と知り合い、なつくようになる年下攻め・時生。
彼は彼で、今時の優しくスマートな大学生だと思っていたら、心臓病を患っていたと言う過去を持っていた。

と、最初こそ即物的な始まりだった二人が、共に過ごすうちに、優しい恋に落ちて行くー。

これ、佳衣史がここまで面倒くさい性格になった理由ですが、過去の経験からです。
生まれつき疾患を患う姉を持った事で、周囲の関心は全て姉に向けられ、寂しさを我慢するしかなかった。
また、そんな姉はとても優しく心のキレイな人で、恨んだりと負の感情をぶつける事も出来なかった。
そして、姉弟で過ごしたとても優しく幸せな時間ー。

私事ではあるのですが、主人公と同じ経験をしていたりします。
明るく充実した毎日を過ごしているように見えた佳衣史ですが、本当は矛盾の塊なんですよね。
そんな現在の彼が形成された「過去」と、とても複雑な心情と言うのがしっかり掘り下げられていて、読んでいてとても辛い。

と、ここから、時生の穏やかな愛情に触れ、傷つく事を恐れて一時の恋しかしてこなかった佳衣史が、彼を信じてみようと前向きに気持ちを変化させて行く。
そんな矢先、時生が隠してした衝撃の事実を知り・・・と続きます。

これ、もう佳衣史の気持ちが痛いほど分かるんですよ。
何だろう・・・。
こういうのって、まさに足元から崩れてゆくって言うんだろうなぁと。

ただ、スレ違ってしまった二人が語り合い、その事により、心の傷から解放される。
この後に告げられる時生のセリフが、もうすごく優しいのです。
多分、同じような経験をされた方は、泣けちゃうんじゃないでしょうか。

とてもテーマが重いし、切ない部分もあるお話なんですよね。
でも同時に、そんな心の傷を昇華し、怖くても信じる事を始めた主人公に、とても嬉しかったりするんですよね。

と、ここまでが雑誌掲載作。
ここから、時生視点の書き下ろしでその後のお話。
あと、最後に佳衣史視点のSSが収録されています。

時生視点の書き下ろしですが、こちらはとにかく甘~い!
いかに佳衣史が、可愛くて色っぽくて素敵かと言う事が、これでもかと語られています。
付き合ってるカップルのイチャラブが大好きな身としては、もうひたすらニマニマしてしまう。
そして、佳衣史視点のSSですが、こちらは思わずホロリとしてしまう感じでしょうか。
未来を真っ直ぐ信じられるようになった佳衣史に、胸が熱くなりました。

22

この作品が収納されている本棚

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