イラストあり
設定がめちゃくちゃツボだった。突然猫になって好きな人に拾われる。ネコ視点で見る片思い相手や、猫らしい仕草での感情表現がとても良い。実弥央が人に戻ってからの二人のやりとりをもう少し見たかったな。
序盤は普通に人間同士でどきどきソワソワのやりとり。両片思いっぽい雰囲気を甘酸っぱく感じつつ、いつ猫になるんだろう?とわくわく。
ファンタジーな流れで猫になってからは、龍崎のデレデレがたっぷり。いろんな理由で過剰に反応する実弥央の様子は怯えているようにしか見えなくて、龍崎が不憫に。でも凹みながら必死に猫を世話する定番のギャップはやっぱり萌える。
実弥央はごはんに文句つけたり猫パンチしたりと、好き勝手やってる。それが猫ってだけで仕方ないと思えるし、可愛く見えたりするからちょっとズルイ。まあそんな性格だから深刻な空気にはならず、楽しく読めて良かった。
途中、酔っていきなりエロに突入したのは驚いた。こんな警察官で大丈夫か……。展開的に強引に入れた感じで、エロノルマでもあったのかと思った。不自然に浮いてる気がして、ここだけちょっとマイナス。
めでたく収束し、くっついた二人。今まで猫に対する龍崎ばかり見ていたので、実弥央に対し嫉妬深い彼氏になってたのはちょっと意外。
実弥央は猫として龍崎の素の状態もいろいろ見てきたわけだが、龍崎は実弥央の内面をこれから知っていく状態なんじゃないかな、と思うと安心材料が足りない。そういう意味で、最後はもう少し人間同士の二人を見せて欲しかった。
この作家さん、新刊出たらぜひ読みたい。
越水先生の日常描写が好き。
テレビを付けて、キャスターの顔を見る前に洗面台へ向かい、歯を磨きながら戻って来るとタイミング良く天気予報が流れている。
買い物で特売だからと調子に乗って重い物を沢山買ってしまって、持ち帰る時にちょっと後悔したり。
いつもベランダにふらりとやって来る黒猫ちゃんに挨拶をしたりなんかして。
この絶妙な「ありそう」な日常によって、一風変わった設定の物語を身近に感じさせてくれるから不思議。
物語の主人公・実弥央(みやお)は、ひょんな事から知り合った、町で人気の交番のおまわりさんで隣部屋に住む龍崎に片思い中。
もっと親しくなりたいのに、元々のいじっぱりな性格もあいまって、ついツンツンとした素直じゃない対応ばかりをしてしまう自分に嫌気がさす日々。
それでも少しずつ仲は進展し、龍崎から一緒に映画へ行かないかと誘われます。
そんな一大イベントを翌日に控えたある日、親しい友人達と飲んだ帰り道でいつもベランダに来る「ロン」と名付けた黒猫が現れ、彼に誘われるかのように訪れた猫神社で、何気なく「龍崎との仲が進展しますように」と猫神様に願った事から突然猫になってしまい…
と、かなりユーモラスな設定なのです。
しかしながらこれがまた面白くて。
道端に服や鞄を残したまま猫になってしまった実弥央は、龍崎に拾われ彼の元で保護されることになります。
思っていた形は違えど、猫神様に願った通り龍崎と親しくなり、猫の姿でなら素直に甘えられ、それはそれはニャンダフルなライフを送ることになるのですが…7日間という期限付き。
7日目を迎えるまでに、猫になった自分を認識して貰った上で名前を呼んで貰えなければ2度と人の姿へ戻ることは出来ません。
この魔法が切れる前に…的な設定がすごく良く効いていてですね。
みゃおと命名した拾い猫を溺愛する龍崎も大変微笑ましく、2人の言葉が通じていないはずなのに稀に噛み合うコミカルなやり取りや甘々生活がとても可愛い。
猫に対しても誠実な龍崎の終始包容力がある姿が素敵でした。
一方で、行方不明となってしまった実弥央を思い、憔悴していってしまう龍崎を見て、伝わらないもどかしさや罪悪感でいっぱいになってしまったり、タイムリミットが近付き、どんどん猫化が進んでいってしまっている自分に焦燥感を覚える実弥央のくだりがすごく切なくて。
猫のみゃおとして暮らす内に、龍崎がどれだけ実弥央の事を思っているかが伝わって来るのですよね…
魔法が解けるシーンとっても良かったので、ぜひこちらはご自身の目で確かめて頂きたいです…!
最初に越水先生の日常描写が好きだと書きましたが、猫になってしまった実弥央の猫的視点で見る日常もすごく面白かったです。
もしかしたら猫の日常はこんな感じなのかもしれないななんて。
今作も非常に楽しませて頂きました。
合間に挟まれる「吾輩は猫である。パンツはまだない」や、動物病院での検温に耐えるシーンにクスッとなりました。
きっと今後も作家買いをしてしまうだろうなと感じる面白さ。
次回作も楽しみです。
猫になっちゃうんでしょ?
でも戻って結ばれるんでしょ?
その通りです。
あらすじのままです。
でも面白いです。
なんで?
演出が優秀だから。
まずキャラ。
2人ともそんなにお喋りさんじゃないです。
受はツンデレ系眼鏡美人
攻は屈強寡黙系男前警官
そんなちょっと真面目そうな二人なのに…ギャップがすごい。
至る所で小技を効かせて飽きさせない。
まず、二人の初コミュニケーションのシーンでやられました。
露出狂が出そうなさびれた公園で実弥央が見かけた挙動不審な男。
不穏な展開に息を飲むと、まさかのイケメン警官がストレス発散に草むしり。
見られて超赤面の警官とキレながら逃げ出す実弥央。
シリアスからのコミカルへの揺さぶりは見事だし、
その後の龍崎の行動も「考え事していて蛇口をひねったら、蛇口が取れた」とかちょっと奇天烈な所があって謎の安心感と親近感が沸きます。
実弥央がキャラクタープリントTシャツを着ている描写も微笑ましい。
本人たちが真面目な分、読み手は一層面白く感じます。
正直、男前を男前に描いただけの作品は味気ないんですよね。
作者さんはそのあたり非常によくわかっていらっしゃる(拍手)。
ちなみに序盤に龍崎がストレスからベランダで喫煙するシーン、その日実弥央に超恥ずかしい草むしりを見られて拗ねて喫煙していたのかな…?なんて思ったりすると余計に龍崎が可愛く思えてきます。
実弥央が猫になってからは双方のデレゾーンに突入ですね。
実弥央(猫)は龍崎にドキドキしつつもちょっとずつデレ。
龍崎は実弥央(猫)に無条件にデレデレデレ。
そして龍崎の実弥央(人間)に対する片思いデレっぷりもこっそりのぞけちゃいます。
猫ライフは猫を飼ったことのある人なら思わず「ありそう!」と共感してしまうようなシーンが満載。猫好きにはたまりません。
そんな夢の(?)猫ライフに味を占めた実弥央、己の欲から人間に戻るチャンスをみすみす逃してしまう展開がまた良いのですよ。
理由が「猫だったら龍崎に思いっきり愛されるから」って。
健気すぎて誰も止められないです。
そして中盤突然現れる猫耳しっぽプレイも忘れてはなりません。
「そうだった!これは猫と警官のほのぼのストーリーではなく、BLだった!」と再確認させてくれる色っぽさ。
ここは是非ミドリノエバ先生のイラストを見てもらいたくてしょうがない!
龍崎のムッツリスケベ(Sみあり)感がこの一枚に凝縮されています。
さてラスト、「ああ、もう人間には戻れないどうなるんだろう…」といったところで、きちんとオチます。
ややこしすぎず、単純すぎず、納得感のあるオチ。
そうそう!起承転結ってこういう感じ!と読んでいて非常に心地良いオチ。
その後さくっとイチャコラして終了!
BLフォーマットとしても文句なし!
いやぁ一気に読んでしまいました。
読者を楽しませるツボの組み込み方にはそつがありません。
だから確実に面白い。
猫好きな方、コミカルテイスト好きな方、サクッと読めてぐわっと楽しい!な小説をお探しの方には全力でお勧めします。
猫がかわいい!
実弥央がなったのはシャム猫柄の猫で、想像するとかわいいし、イラストを見てもかわいいし、ストーリーの中で獣医もかわいいと言っていた。とにかくかわいい!
そんなかわいい猫の中身は人間の実弥央で、猫なのに裸を恥ずかしがったり、用を足す姿を見られるのを恥ずかしがったり、キャットフードを拒否したり、言ったことにちゃんと反応したりする。
読んでると活き活きした猫で、不愛想らしい龍崎がデレデレになるのもよく理解できた。
人間の実弥央はデレないツンデレで、子供の頃親戚に「可愛げのない子」と言われたことのある、筋金入りの天邪鬼。龍崎が好きなのにツンツンした態度を崩せず、「それじゃ伝わらないよ!」と読んでてハラハラした。
実弥央が人間に戻るきっかけも予想外で良かった。
ただ、戻った後、両想いになっても実弥央はツンツンしてたと思うので、2人がちゃんと上手くいくのかちょっと不安・・・。
可愛がっていた野良猫が轢かれそうになったのを助けたお礼に、期間限定で猫になってしまった受け。
猫の姿で寒さに震えていたところ片思いの相手に拾われて……というファンタジーで面白かったです。
受けはやたらツンケンしててどうにも可愛くないんですね。
片思い真っ最中の隣人(攻め)にせっかく声かけられても、超素っ気ない返事しかしないんです。
だけど猫ちゃんに変身後は、そのツンが可愛く思えてきちゃう不思議というか、あまのじゃくな猫かわいいな!ツン万歳!みたいな。
猫から人間に戻れる方法は早々にわかるんだけど、すぐには戻ろうとせずもう少し猫でいたいと思う気持ちがなんか切なくて。
好きな相手と一緒にいられて思いっきり愛されるなんて、受けにとっては夢のまた夢。
それを数日でいいから味わってみたいというのがなんかいじらしいなぁって。
受けの好きな相手が、硬派でちょい強面系イケメンの警官というところが良かった。
というのも、硬派で無骨な男が小動物をこっそり愛でる姿って超〜〜萌えますよね。
この作品も普段はキリッとしたお巡りさんなのに、迷い猫としてやってきた受け(猫)のご機嫌を何とか取ろうと四苦八苦したり、すり寄ってくる姿にデレ〜っとなったりという猫にゾッコンメロメロな姿が描かれていて、ここが何よりも美味しくて良かった。
作家さん買いでしたが三作品目のこちらも良かったので、作家さん買い継続決定です。