特典付
木島の世間で堂々と生きられない感じ、なんか共感できるかも。
明るく正面から屈託なく家族の晴れの日にスーツで参加出来ない気持ち、いたたまれなくて家出しちゃうの。
本当に木島はどうしようもないですね。
しかもお世話になるアケミちゃんスナックでとんでもない嘘ついて。
勇気も希望も自信もない木島。
そんなこと全部わかってて木島を好きでそばにいてほしくて一緒にいたい久住。
春子さんの言葉で木島もようやく勇気が出たかな?
東京へ追いかけたり、好きだってちゃんと言えたり。
アケミちゃんの事情も知れて良かったです。
1巻目の終わり方が好きすぎて続きはあえて読むまいと一度は思ったものの、本当に読んでよかった。インディゴの気分もあわせて3作品読むことによって良さが3倍ならぬ三乗される感じ。笑わせてくれて説教くさくないのにすごくいい話。作品の終わらせ方が恐ろしくいい。ある程度疲れた大人なら木島さんにじっくり感情移入できる。新キャラの春子さんも静雄くんもいいし、木島さんの家族もみんなキャラがいい。木島さんはめんどくさいひねくれた大人なので久住くんとのことで大騒ぎしたりはしない、がちゃんとひねくれた方法でグタグタはする。そのグタグタが噓っぽくなくてじわじわくる。いい。久住くんと関係を通して一歩踏み出すことになる木島さんですが、編集者の城戸さんとの形容しがたい関係がずっと底辺にあるのがなんともいい、そこから醸し出されるエロさが作品全体を包み込んでいる。物理的接触が前面に出ている作品ではないけどなんともエロい。普段あんななのに木島さんほどエロい人はなかなかいない、最高。
「ポルノグラファー」の続編です。
シリーズ3冊をまとめて再読しましたが、すっかりまたその世界観にはまり込みました。
前作で遠距離とはいえ、くっついた理生と春彦のその後です。
春彦は社会人となり忙しい毎日で休みもままならない状況。
理生は相変わらずグジグジ拗らせており、実家でもすんなり馴染めないでいる。
そんな時"スナックアケミ"のママ春子と息子の静雄に出会うという展開。
わざわざ東京から会いにきた春彦と喧嘩になり、ちょっとすれ違いになるのですが
「タフになるのよ、大切な人がいるなら」
という春子ママの言葉が理生の背中を押してくれましたね。
周りの人達に恵まれて、改めて作家として1人の男としての再生の物語でもあったと思います。
「どうしていいかわかんないくらい好き」というストレートな告白が理生から聞けるとは…胸熱でした。
春彦はまだ青さもあるけどそれも含めかなりのいい彼氏だと思うから、マジで理生は捨てられないように気をつけたほうがいいよと助言して差し上げたいです!
まあ理生にとっちゃあ優良とか優良じゃないとか全く意味のない事かもしれないけど…。
拗らせ返上…とはならないと思いますね、個人的に。
だって木島理生だもの。
春彦ならきっと上手くやれる気がします、何となく。
そういう未来が見えるラストでした。
「アケミちゃん」が未読だったので、これから読もうと思ってます。
基本的にBLに関して情報収集をしないので、新刊情報や続刊、ドラマ化や映画化のニュースもものすごく後になってから知ることが多いです。
ドラマ化してたんですね、「ポルノグラファー」と「インディゴの気分」。
さらに映画化までとは…、存じ上げず。
木島役が竹財さん…。絶対美しいじゃないですか。
というわけで11カ月遅れで読みました、こちら。
すっかり忘れてしまっていたので「ポルノグラファー」を読み直して、読み返したくないと思っていた「インディゴの気分」も読み返して、いざ読んでみましたが。
木島のどうしようもなさが炸裂してました。
嫌なことからは「逃げる」、自分で対処できないことからは「逃げる」、自分の思いからも「逃げる」。逃げて逃げて、逃げまくる。どうしようもない大人。
遠距離になって不安になるのは自分だけじゃないのに、不安が募ると簡単に手放そうとする。相手にとって大事な思い出を、簡単に他人と上書きできる無神経さ。嘘つき。他人を言い訳にして、そこに留まり続ける理由を見つけて動こうとしない。傷つくのが怖くて動かない臆病。自分はひととは違う、と弱い自分を変えようとしない。
だめなところだらけの素直じゃない木島がどう殻を破るか。
本当に欲しいものは何か。それを手放さないためにはどうしたらいいのか。
背中を押す春子ママの言葉がすごく良いです。飲み屋のママの哲学、最高。
木島が好きになった2人を改めて考えてみると、
城戸は排他的な環境で木島には城戸しか縋れる人がいなかったし、その関係があったからこそ城戸の罪悪感や未練を利用して「絶対に木島を見放さない存在」として、好きとか嫌いという相手ではなくなっているように思えます。恋愛対象ではないけれど家族と言うのも違うし、親友も違う気がする。無条件に自分が優位に立てる相手でしょうか。
刹那的で似た者同士だけれど、「まとも」な道を選べた城戸は木島とは根本的に違う。
対して春彦は恋愛対象で、縁をつなぐ努力をしなければ離れていく可能性のある存在。年齢的に「まとも」な道も選択できるのに木島を選ぶ時点でまともじゃない。だからこそ城戸とは明らかに違うんですよね。
「インディゴの気分」で木島は城戸を繋ぎ止める努力をしたようには見えなかったし、しようとしたかも感じられません。
片方は全身で寄りかかることしかできず、もう片方は解放されたかった。
春彦とは傷つけ合うのではなく、求め合える。自分だけを求めてくれる相手に、自分も同じものを返したい。
そんな違いが見て取れました。
春子に言われた言葉を、春子に返せるようになって、
冒頭で出さずに破り捨てた手紙を、巻末では「会って伝えよう」と捨てる。
城戸と2人だけの胸にしまっていた蒲生田先生の思い出を春彦に打ち明ける。
得られなかったもの、得たいともがいて手に入れたもの。
誰かと出会うごとにひとはタフになっていくのだと、しみじみ感じる作品でした。
蛇足ですが、
東京から那須は新幹線を使えば1時間10分(6,020円)。
在来線利用なら3時間10分(2,640円)でした。
私の中で理想的なハピエン✨
本作があってより前2作がいきてくると思う。
実家に戻り遠距離で久住と続けていくの無理かもといじける木島←わかる
そんな木島にいいかげんキレる久住←わかる
木島にイラつく妹(元ヤン。いいキャラ)←わかる
いじける木島の背中を押す春子さんが良くて。特に「飲み屋の女はみんな哲学者なのよ」が好き。
木島と城戸の微妙な関係が清算されたかと見せかけて…木島の中には城戸への依存というかその存在は大事なようで。
それでも素直に久住に告白する木島よかった。一途に受け止める久住も。
木島が姪の七五三に行きたくなかった気持ちもわかってしまう(ろくでなし←と木島は春子さんに言われたけど私もだわ)
「幸せな人間に文学はいらない」という木島の言い分もわかる。
それに対しての蒲生田先生の言葉がさすが!と唸った。