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ポルノ作家と俺の“代筆”のお仕事 「ねぇ 勃ってるよ」
丸木戸さんのデビュー作とは思えない程のストーリー構成でした
自転車事故の被害者で右腕が折れたポルノ作家の鬼島
加害者で善良な大学生久住
お金のない久住は慰謝料代わりに、鬼島の口述筆記を買って出ます
官能小説とは知らずに....
健全な肉体を持つ久住は鬼島の口から繰り広げられる
猥褻な世界に書き取るのも絶え絶えでまさかの完勃ちにww
そんな久住の反応を弄ぶ鬼島
そう、この鬼島という男は一癖も二癖もあったのです
嘘に嘘を塗り固め、折れた右腕は利き腕ではなく
口述筆記も必要ないし、書取らせた作品は以前発売した作品をなぞったものでした
久住はそんな事とはつゆ知らず懸命に口述筆記のお手伝いに励みます
そして
鬼島の作品を見て、聞いて、翻弄され、徐々鬼島を作品の主人公に当てはめて妄想してしまうまでに
そうです、鬼島に惹かれ始めます
そんな時に鬼島の友人で担当編集者の城戸がやってきます
彼もまた、鬼島に翻弄された一人でした
その後鬼島の嘘が露呈し
懸命にお手伝いしてきて久住の怒りは頂点に達します
もう既に彼を好きになってしまっていたから
この事が原因で疎遠になる二人
そんな矢先に城戸から久住に連絡が
鬼島の様子がおかしいと
会って話した時に城戸も鬼島にちょっかいをかけられていた事を知る久住
そうです、挿入こそはしてませんが、久住も鬼島にちょっかいかけられてました
城戸と鬼島の距離の近さを勘ぐっていた久住
その勘は当たっていました
城戸は鬼島の才能に惚れていました
そして、鬼島も悪友城戸に親愛を寄せていたが、城戸が結婚をしたことがきっかけで自分の孤独を強く感じ、執筆ができなくなってしまったのです
純文学で目が出ず、官能小説では多少売れたが、本当に書きたかったのか?誰の為に?何の為に?と自問自答しだして筆が止まりました
城戸の結婚はきっかけに過ぎなかったと思います
志し半ばで方向転換した自分を蔑む自分がいたのでしょう
ずっと
そして、城戸は鬼島を愛していたが、鬼島と添い遂げる程の覚悟が出来ず、鬼島は友情の延長の親愛で恋しいとは違う感情だったのではないかと思いました
しかし、久住は違います
好きだと、全力でぶつかります
書けなくなり田舎に引っ込むと決めた鬼島の元に駆けつけ
鬼島への思いを伝えます
俺の為に書いて下さい、貴方の作品が好きだと
ここが巧いなと思ったのですが、城戸はそんなにまでして書かなくてはいいんじゃないか
と以前鬼島に言ったのです
久住はもう一歩踏み込んだのです 書いてくれと
これが、恋した覚悟の違いかなと
ここまで、思われてようやく素直になれる鬼島
鬼島も作家に未練はないと思い込もうとしていた自分を認め、書けないでも書きたいと誰にも言えなかった心情を吐露します
久住をもっと知りたいと初めて体を重ねる二人
貪りながら、気づく久住
鬼島はアナル処女でないと
またしても騙された久住
こういう、センスのいい笑いがこの作品のバランスの良さと読みやすさだと思います
僕は嘘つきだけど、約束は守るよと
作品を発表する鬼島
書くと約束した久住へと
2年半後にようやく再開した二人のこれから始まるであろう恋が想像出来る素敵なラストでした
多分初めて誰かと為に何かをしたのではと思わせる鬼島
彼をそこまで動かした久住の真っ直ぐな想い
ストーリーもしっかり土台が組まれてて文学の様な出来栄えのお話でした
深くて、でも読みやすく、クスッと笑えて、胸にジーンときて、ラストでキュンとするとても素敵な作品でした
丸木戸さんの次回作が楽しみです仕方ないです
大人のBLを求めてる方にはバッチリじゃないかなぁと思います
何度も読み返したい作品でした
実はほぼ毎回思っているのですが、レビューを書くというのは難しいものですね。特に「いい!これ!」と神評価1個どころではないぞ!と思った作品の場合、ハイテンションになりがちで、どこからどう書けばいいのやら困ってしまいます。こちらの作品は正にそのパターンでして、あんまり気に入り過ぎて書きにくい感じなのです☆
この物語は久住春彦の視点で展開していきます。久住は大学生。自転車で歩行者の男を骨折させてしまうのですが、この男が鬼島蓮二郎のペンネームでエロ小説を書いているポルノ作家の「先生」です。
骨折の代償に先生が要求したのは口述筆記。
端然とした男の口から飛び出す隠語のオンパレードに引き気味の久住でしたが、気がついたら先生を好きになっています。が、先生はなかなかのくせ者で、しかも事情があって、というストーリー。
「先生」鬼島と久住の会話がもう、ハイセンスです。口述筆記の場面はもちろんですが、彼らの普通の会話がいいんです。
携帯についてのところなんて秀逸だなぁ。
ストーリー自体は特に派手なエピソードが盛り込まれているわけではなく、淡々と進んでいきますが、ぐっとくるのがラスト間際に鬼島が本音を吐露するところです。
一人の官能小説家としての矜持!
胸熱になったところで迎える、余韻あるラスト。
この一作で「丸木戸マキ」の名はバッチリ記憶しました。いわゆる作家買い、決定です。
そして、文脈の乱れを失礼して、オススメポイントを一つ言います。えっとですね、読む前は文字量が多いのではないかと、従ってコミックとしては読みにくいような気もしたのですが、とても読みやすかったです。
内容があって、無駄な台詞がないんですね。
普段、小説を読まないという方も楽しめるとは思いますが、視覚的にくるものを読みたい方には適さないかもしれません。
あともう一つは、カバー下見返しの手書き原稿が味があります。丸木戸先生の字なんでしょうか。
結局、興奮丸出しレビューとなってしまい、失礼しました。初読からそれほど経ってはいませんが、もう何度か読み返しています。それくらい私にはどストライクだったのです。
どちらかというと"萌え"や"エロ"に特化した作品だと思っていたので(当方、それだけしかない作品はNGな部類に入るタイプの人間です)、なかなか手が出せずにいたのですが、実際に読んでみると……
タイトルの『ポルノグラファー』、この言葉の絶対的な必然性がわかりました…。この設定だからこそ描かれた作品のテーマがとてもよかったです。官能小説家、という"作り手"であるからこその深い熱をとても感じます。キャラクターの職業がその職業たる所以をとてもうまく描かれた、これぞ物語、という気がします。時代錯誤な官能小説家を攻めるのも、年下の大学生であるから成立するのではないかと……色々と考えれば考える程緻密に計算されていて感嘆。
結局のところ…この作品を手に取る前に勝手にイメージ付けした自分を殴りたくなりました…。
今後も追いかけたい作家さんです!
もしかしてドシーのビバリさんかなと思いましたが、違うかな。
マルキ・ド・サドからのお名前でしょうか丸木戸マキさん。
朝田ねむいさん路線かと。
楽しかったー!しょーもない嘘ばっかつく先生に翻弄されてる久住青年。
騙されてることにも気づいておらず、素直に育ったのねーこの子。なんて微笑ましく読んでたら、私も騙されてた!
編集者との関係も、宅飲みのときにチラチラ垣間見えるあの感じが、すごくリアル。
終わり方も余韻を残しててすごく良かったし、カバー下もおしゃれです。
祥伝社さんのツイートによると、カバーの手書き文字は販売部の男性が実際に書いたものだそうですね。
こういうどうでもよさげな細部にこだわってる作品は、だいたい素晴らしい作品ですよ。うむ。
絵柄が好みで気になっていた丸木戸先生。
お話も面白く、今後が非常に楽しみな作家さんがまた増えました!
色っぽい絵を最大限生かした官能小説家という受け。
卑猥な言葉で攻めが思わずボッキしてしまうのも頷ける!
とにかく読んでみて、ストーリーのおもしろさを味わっていただきたいです。
にしてもonBLUEさんは毎回デザインにお金をかけてていいですね…。
一冊一冊が分厚く装丁も拘っているので手元に置いておきたい感が増します。
ポルノグラファーもカバーの細かいギミックが色々楽しいので、ぜひ!