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表題作エンドレスワールド 新装版

イッキ(池田イツキ)
トシミツの元相棒
トシミツのいとこ

同時収録作品エンドレスワールド 新装版

トシミツ
トシミツのいとこ

その他の収録作品

  • Postscript2(描き下ろし)
  • エンドレスサークル ちっぽけがいっぱい前後編

あらすじ

「明日地球が滅んでも別に構わない」なんて思って、自由奔放に毎日はしゃいで喧嘩して過ごしていたイッキは、今はこぢんまりとした町の小さな洋食屋で働いている。そんなある日、偶然店にやってきた龍から「トシミツ」の名を聞き、懐かしく思うイッキ。龍はトシミツのいとこだという。そしてトシミツが死んだと告げる龍。トシミツは自由の象徴だった――同じ想いを抱くイッキと龍は……!? ふたりのその後も同時収録。

作品情報

作品名
エンドレスワールド 新装版
著者
蛇龍どくろ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス ルチルコレクション
発売日
ISBN
9784344845923
4.3

(67)

(38)

萌々

(19)

(7)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
11
得点
288
評価数
67
平均
4.3 / 5
神率
56.7%

レビュー投稿数11

ガツンと心に残る名作

イッキ×峰山さんのお話かと思ったら、あれ?トシミツとイッキってそういう仲なの?えっ、トシミツ×龍!?からのイッキ×龍じゃん!?!?と、カップリングが全然読めなかった。
喧嘩三昧なイッキとトシミツ、2人は腐れ縁のマブダチ。
トシミツがドラッグに手を出していて、イッキにも勧めるんだけどイッキはそれに乗らない。
なんでも、昔マジック〇ッシュルームですごい幻覚を見てしまったからしい。(手を出したことあるんかい!)
どんな内容か聞いてもイッキは言わなかった。
トシミツはやがてイッキから見ても手遅れになり、ついには覚醒剤にまで手を出し、人を殺して刑務所に入った。
人を殺してしまった時点でもう何も庇えないけど、恐怖を抱えながらも自殺したトシミツの最期に、無茶苦茶に好き勝手に生きているように見えて抱えた闇があったんじゃないかと考えさせられた。
イッキの言う通り考えたってトシミツにしか分からないことなんだけど、ぐるぐる考えているうちにシンプルに考えるようになって、自分が自分でいられるうちの後始末だったのかなと思ってる。
あの幻覚で大切な人をあんなふうにしてしまったことも許せなかったし、自分が手遅れだと思い知ったのかなって。
カラスの扱い方がお上手でした。
トシミツの生まれ変わりのような。
大切な友人と想い人が支え合い幸せになってくれてそれを見守って満足そうにも感じられるメリバとハッピーエンドの間のような、どちらも味わえたような作品でした。

とても面白かったし、ドラッグの怖さを描くのもお上手だし、キャラクターも全員魅力的で絵が上手い!
ショーロンポーはぶちゃいくだったりおデブだったりな冴えない三下なんだけど、読み終えてみると味がある。
特に龍は読めば読むほどあのお顔に愛着が沸いて、いいな、好きだなと思った。
イッキとトシミツは2人ともタイプの違う男前でかっこいいし、トシミツの死が繋いだイッキと龍のトシミツの死を背負い合う関係も好き。
...なんだけど、モヤッとしてしまったのが、同じ悲しみ、心の空洞を抱えたもの同士で体で慰め合うこともあるというのは分かるんだけど、イッキは遊んでいた描写があるのでこうなっても受け入れそうだし気にならないんだけど、龍は...どういうことだろうって。
恋?!いつ……?イッキが泣いた時?
あの姿を見て何かしてあげたい、慰めてあげたいって思ったんだろうか。
あと、ショーとポーが外で待ってるんだよね???それでこうなるのはちょっとなぁって思ってしまって。
でも作品全体のテイストには合っているとも思う。
奔放っぷり?破天荒っぷり?アングラっぷり?そういうのと合うなと。
あと、峰山さんのこともモヤッと。
好きだったんじゃないのかなぁ?って思ったので読み返したんですが、うーん、そういうのではなくて憧れだったのかな?
もし好きだったなら、そこからその気持ちを切り替えて龍に行くのが早くてモヤッとする。
面白かったんですよ、面白かったんですけれども!
読解不足かもしれない&好きなのでまた読み返します。

こんな最後の方に書きますが、トシミツと龍は従兄弟で、兄弟のような関係です。
それがあぁなってて両片思いだったので、血縁BL好きとしては嬉しかったです。


『エンドレスサークル ちっぽけがいっぱい』
あれから4年、イッキと龍はあの後すぐに付き合ったのかと思っていたけど、そうじゃなかったらしい。
猫ちゃんも可愛いんですけど、龍が可愛い!!!
こんなに可愛いのはイッキにたくさん愛された結果かな。
これを読むとメリバ感が薄まってハピエン感が強まるというか...読後感が変わってしまうので、読まない方が好みな人もいるかもしれない。
できるなら、少し時間を置いて読むといいと思う。
読めてよかった情報がいくつもあったので私は読めて満足です。
最後にエッ?!?!?!

神と悩むくらい好みなんだけど、上記の通りモヤっと感も少し残っているので萌2で。
書き忘れていたけど、女性との濡れ場があるので苦手な方はご注意を。

Kindle→白抜き

0

不思議な優しさに包まれて涙が溢れる

街の小さな洋食店で働くイッキ。若い頃は「明日地球が滅んでも別に構わない」なんて思い喧嘩に明け暮れていたけれど、今は刹那的には生きていない。
そんなある日一緒につるんでた相方トシミツの従兄弟の龍が現れ、奴は死んだと聞かされて。
トシミツはクスリに依存してたジャンキーで、ロン(龍)を手籠めにしてて、だけどすごく魅力的な奴で。自由そのものだったトシミツは、イッキとロンの中で揺るぎない特別な存在。
同じ痛みを持つイッキとロンが惹かれ合っていくけど、二人の中でトシミツは消えた訳じゃなく昇華して一緒に生きてる。それがすごく自然で泣けるし愛おしい。
洋食店のコワモテ店長峰山さんの存在も沁みる。トシミツは自分が自分でいられるうちに飛んだのだろうか⋯。カラスや猫になってイッキとロンを見守っているのかな。
不思議な優しさに包まれる読後感。これはたまらない。

0

夜明けさんは新装版推奨

そもそも夜明け属性さんはなかなか手を出し難い1冊なのかも(。・_・。)?な、だいぶ感情乱高下作品

旧版をちょっとしたご縁があって昔既読していたのですがやはり強烈というか、読後に渦巻く感情整理が難しかった記憶が残ってます
そこから十数年後に新装版が出るんですけど、夜明け属性ではありながら雑食の私、完全な「怖いモノ見たさ」で再会を果たします

そしてとにかく読んで良かった。。。
新装版、あって良かった。。。‼
って心から思いました(´Д⊂グスン

多分、旧版のままの終わりの方が「世界観」は全うしていたかも知れません
このお話しでしか醸せない空気感があそこにはありました

でも、私のような攻めた内容を見たがる割には結局最後は人生は明るく、優しい世界であって欲しい…という心の臓が強くないタイプにはこの新装版の終わりのイツキと龍を先生自らの筆で描いて下さった事、そしてそれをこの目で見れた事は2人への救い以上に自分自身への救いにもなりました

また新たに忘れられない記憶としてこの作品が自身の記憶に刻まれています

※とにかく色々と取扱いネタにはたくさんの地雷要素になりそうな事がある作品です
ただ、そこを真正面からかなりの現実味と感覚で表現されていると思います
特に女性絡み、ドラッグ(BLやエロ設定で登場する媚薬レベルではなく、まさしく快楽の為の抜けられない方の”ドラッグ”です)の描写は言葉を選ばずに言えば圧巻です…

それぞれ読む方によって「旧版」「新装版」の良さがある作品です
同じタイトルでこんなにも印象の変わる作品もなかなか無いのではないか?と思っています
いつか書きたい、と思っていたレビュー
結局上手くおススメ出来ませんがこの作品でしか得られない感覚がある作品です
おススメしたいか?と言われると悩む作品でもあります
でも、「知って欲しい!」と強く思う作品です

1

退廃的ってこういう…?

私の中にある昔の漫画のイメージにぴったりはまり込む雰囲気を持つ作品でした。軽く30年は超えた昔の別冊系少女漫画誌にありそうな。こういうのを退廃的って言うんでしょうか。
正直作品の感想を言語化するのは難しいです。人間らしいって何なのかなって考えてしまいますね。
これってトシミツに囚われた二人がお互いに穴を埋め合う結末って認識で良いのかな。二人が落ち着いたのは、傷を舐め合うことはしないけど、傷を見せ合ってそれが絆になっていくような関係性。ここがくっつく展開に納得しかないのに、これで良かったのかなあとモヤるのはなんでだろう…。
途中から龍の話になっていき、描き下ろしもほぼ龍に焦点が当てられてます。イツキ視点から始まったのに、最後には存在感が薄くなっていたので、もっとイツキの思いも知りたいと思いました。
萌えとは違う感覚ですが、心に残る作品だったので萌え×2にします。

0

懐古

衝撃作はあくまでも"当時の"衝撃作だったのかなぁと思ってしまったのが少し切ない。旧版もそこそこのタイムリーさで読んだ気がしますが、時代と自分の年齢と作品とがきっちり合うタイミングで読むか否かで衝撃の度合いが変わる。蛇足か否かといえば当時なら蛇足だけど、新装版再販するならこれもありかなと。後日談イッキくんはセクシーお兄さんになっていて大変良かった。それは収穫。特にデコ出しイッキくんの存在がエロス。イッキとロンとチャコの日常を先に読んで、過去編として本編を読むと萌え度が高そうな。

ムショ内のくだりが好きです。
萌〜萌2

0

メリバ?

あらかじめ作品タグでメリバだと聞いていたので覚悟して読んだのですが、本編までの読後感はとてもすっきりしたものだったので驚きました。
イツキと龍が出会えて、トシミツのことを共有できたことが人生では稀有で幸福なことだと思えたからかな。

とはいえ、作品はとても面白かったです。刑期中にトシミツが自死を選んだことは自分勝手で社会的に間違っていると思いますが、散々悪いことをしてきた彼らには今更ですね。そういったお話ではないので…。
続編を含めずとも、幸せで希望のあるお話だと思ったので、「ハッピーエンド」としても良かったんじゃないかなと思える話でした。

2

クスリ怖ぇえな

初めて読んだ作者さんの作品でした。
表紙の男の標準や視線が退廃的でゾクっとします。

始めはイッキと峰山さんのお話かと思ったんですが、違いました。
プロローグはショー・ロン・ポーの3人も本編と違っているので(ロンが長身に描かれてました)、新装版にするときに可能なら修正してくれたら良かったなぁと思います。

ヤクに侵されて死んでしまったトシミツに置いて行かれたイッキとロンのお話でした。
ヤクに蝕まれていく様子もリアルでとても怖い…クスリダメ、ゼッタイ。

そんなトシミツでもそれぞれ別の意味で好きだった2人の男が出会って、悲しみを分けあって、ずっと一緒に居る関係になって…やがて平常心で思い出として語れるようになれてホッとしました。

新装版に描かれた続編は個人的に好きです。
イッキが別人みたいに落ち着いた大人になっちゃってますが、10年あればこのくらい変わるよね人って。

ロンには伝わってなかったもしれないけど、トシミツは彼なりにロンを大事にしてたんですよね。
そんな事を大人になったイッキは感じ取っての、あの涙だったんでしょうね。

作者さんの他の作品も読んでみたくなりました!

0

闇に飲み込まれながらも、結末は光の中に

 旧版を読んだのでそちらに投稿したかったのですが、投稿できなくなっていたので仕方なくこちらに投稿します(なので新装版で新たに収録された部分は読めていません)。ストーリーはとても興味深かったです。ドラッグで破滅の道を進み、本当にあの世へトリップしてしまった1人の男を巡る物語。弟なのに彼を愛してしまった龍、そして、腕っ節の強い者同士相棒のように彼とつるむ生活を楽しんでいたイッキ。そんな2人が彼の死後、ひょんなきっかけで出会い、彼を介して新たな関係を結んでいく。

 トシミツがドラッグに飲み込まれる描写が凄まじく、よくここまで想像力を働かせられるなぁと心底引き込まれたのと同時に、トシミツは少なくとも2人の人間に気にかけてもらえていたわけで、本人が気付きさえすればいつでも孤独から抜け出せたんだという事実がやるせなくて切なかったです。破滅の道に一歩踏み出せば、彼らの声は二度と届かない。残酷な現実。一方で、彼の死に心を乱されながらも、最終的にはちゃんと互いに気持ちが向いてくれたイッキと龍を見れて、爽やかな気持ちになりました。今を生きる2人には、明るい未来が待っていて欲しい。特に、兄に文句も言わず犯され続け、自分の気持ちに蓋をし続けた健気な龍には本当に報われて欲しいと思いました。死者の過去に寄り添いつつ、彼の死を清算して生者に焦点を当てる、という構成が良かったですね。

0

龍は普通にめっちゃ可愛い

作者さんのsugar milkが大好きで以前色々調べていたら、ちるちるでも評価の高いこちらの旧版だけ電子化されていない!!がーん…
そんな事もあり読めていなかったこのタイトル、気になっていました。

イメージではsex drug酒池肉林系かなと思っていたので(実際そういうシーンも)、私はそういうのをあんまりBLに求めていないのでおっかなびっくりな所もありました。
が、プロローグで「あっこれ大丈夫そう!」と。
メインの1人イツキの働く洋食屋の主人峰山さん(もじゃもじゃマッチョおじさん。可愛い)のなんとステキなこと!イツキを拾ってくれた、包容力と男気のある最高の漢なんです。
イツキは過去アリだから回想シーンでめちゃくちゃしてるんです。でも要所で、今は峰山さんの所に居場所があるんだよって見せてくれる演出がされていてこれがいい癒しに。
現在パートはそこに龍という人物も加わって進んでいきます。

過去パートは…
トシミツですよ。
この人イツキのツレで龍の従兄です。
ヤク中です。
キメながらヤリまくってます。
当時中学生のいとこ龍を犯してます。
挙句人殺してムショ入りました。
はい、最悪ですね。

でもね、そこまでの嫌悪を感じなかったんだよなー。龍に関しては(最悪に変わりないけど)龍がトシミツを好きな事分かってたんだろうなっていうのもあるし。
作者さんの人物の描き方が上手いのもあるし、何というか清々しいまでの破滅型というのか。
ただ、個人的には嫌悪も感じなかったかわりに思い入れも無くて最期も感情が乱れる事はなかったんですよね。

でもそれでいいかな、と思います。
きっとトシミツと関わった人にしか分からない何かが彼にはあるのでしょう。
美味しいご飯を食べながら、クサイ飯を食っているだろうトシミツを思って泣くイツキ、散々おもちゃにされながらも憎みきれなかった龍。きっと2人はすごくトシミツが好きだった。
そんな2人が現在出会ってトシミツと関わった者しか分からないシンパシーみたいなもので結ばれて、というのはすごく納得です。

最後に、
エンドレスワールド新参者としては後日談に戸惑いました。
作者さんもあとがきに書いていたように、旧版の終わりのままで完成されていると思ったので。
普段は後日談大好きマンですけど、カラスからもう猫に転生したのか早いよトシミツっって。笑
いや2人のラブラブっぷりは楽しませてもらいましたけど。余韻…
旧版の読者さんはもう充分いろんな思いを寝かせて余韻も堪能しきったから後日談楽しめたのかも、とか思いました。

2

何年経ってもトシミツはずっと側にいる

ほぁ〜凄かった。
心がすり減った感じがします。
疾走感があって読後感もいいのになんだろなぁ……
『エンドレスワールド』の新装版。
元作は、なぜか未読のままここまできてしまいました。

昔連んでいた悪友・トシミツが死んだことを、
トシミツの従兄弟・龍から聞かされたイッキはーー…

ドラッグと殺人の罪で服役していたトシミツと、
懐の広い料理人・峰山に拾われたイッキ。
仲間だったのに対極の立場になった二人の分かれ道ーー
それは、ドラッグをやるかやらないか。
酷い幻覚を見たことがあるイッキは、
それ以来決してドラッグには手を出しませんでした。
しかし、エスカレートして覚醒剤にまで手を出したトシミツ。
ここが二人の人生の分かれ目だったと思います。
人生を変えてしまうドラッグは恐ろしい。

かつて、龍はトシミツの玩具でした。
レイプされていたものの龍はトシミツに恋していて、
そこがとても切ない(´;Д;`)
龍に対するトシミツの感情が何だったかは分かりませんが、
そこに何らかの愛があったのは間違いないと思います。

イッキと龍が出会い、二人はトシミツを思いながら身体を繋げます。
きっと、イッキはトシミツに抱かれていた龍に、
龍はトシミツが信頼していたイッキに、
それぞれトシミツを重ねたんだと思います。

トシミツが最後にドラッグでみた幻覚ーー
それは怪物になった自分自身。
トシミツは最期まで自分を失いたくなかったのでしょうか?
だから、自殺することを選んだ?
それでも間際は死にたくなくて、
でもきっとドラッグはもうやめられないから……
やめればいいじゃん!て思うけど、
それって本当に難しいことなんだと思う。
再犯する芸能人なんかみても、本当にそう思います。


取り巻く人々とともにトシミツの一生を描いた本編。
そして、新装版では10年後のイッキと龍の姿が描かれています。

【エンドレスサークル】前・後編
峰山さんのところで働きつつ、同棲するイッキと龍は、
恋人同士でラブラブです^^
二人は黒い子猫を飼うことになりーー…というお話。

二人が幸せで愛し合っていても、
そこにはいつもトシミツがいるのだと思います。
黒猫・チャコがイタズラに打ったタブレットの暗号⁉︎
そこには⁉︎
黒のイメージだったトシミツは、カラスや黒猫に姿を変えてずっと2人のそばにいるのかも……
ちょっと怖いような嬉しいような、そんなお話でした。

猫に焼き餅を焼くイッキも、相変わらずブサカワな龍も、
とても愛おしいと思える温かい続編でした。
11年の時を経て続編を描いて下さった先生に感謝します。
ただ、続編なんていらないよ!という方もいらっしゃると思うし、その気持ちも理解できます。



7

天上昇華編

バッドエンド、衝撃の、という枕詞で必ず名の上がる作品、それが「エンドレスワールド」。
そんな不朽の問題作が何と新装版として降臨した…!

元々は2008年発表。私が初めて読んだのが確か2014年。当然衝撃を受けました。
冒頭は町食堂のおやっさん・峰山に心底懐いている気のいい男の子、としてのイツキ。
店に来て嫌がらせをするガキ不良たちをぶん殴り、どうやらイツキにも何やら過去がある…
そして店で殴ったガキの一人がイツキを訪ねてきて、物語が動き出す…

よくいる喧嘩っ早い不良。つるんでいるのはイッキとトシミツ。
喧嘩と乱交。そしてトシミツは薬物。
トシミツは覚醒剤と殺人で服役する。
店に来たガキ・龍は、トシミツのいとこだった。
峰山の元で更生したイッキ=イツキは、龍に塀の中のトシミツの様子を尋ねるが…

トシミツという不在を介して体をつなげるイツキと龍。それはトシミツを思い出し偲ぶ儀式のよう。

何しろこの物語で引き込まれるのは、トシミツの体験するバッドトリップ。
正に脳が浸食され闇や無や虚に引きずられる感覚なのだろうか。
正直彼が飛ぶに至る心象風景はよくわからない。
取り乱すわけでもなく、逆にその直前は身も心もクリーンのようにすら見える。
その上、怖くて死にたくないという気持ちが湧き上がっているのに。

ここまでは旧版。そして今また読み直してみれば終わり方はちっとも暗くないんですよね。それどころかイツキと龍の日常はこの頃から暖かく明るい。
さて、新装版としてのその後の2人が読めるのだが…
4年後。ここには幸せ感が漂っている。だって、「こねこ」だよ?
こねこっていうのは、ちっちゃくてあったかくてふわふわで生きてて、つまりこねこが安心して眠る場所はこの世の天国なんだよ?
そしてこれは多分、トシミツなんだ…
シドヴィシャスみたいだった生きてるトシミツ。カラスになって見に来たトシミツ。そして今は2人と暮らすためにこねことしてやってきたんだと思う。
あの「バッドエンドの衝撃作」が天上に昇華したようなそんな物語になった。私は良かったと思う。

5

この作品が収納されている本棚

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