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表題作見初められたはいいけれど

ジョッシュ・ブライス、留学準備で来日した御曹司25
桐島澄人、世話役を任されたリーマン、29

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

底辺から這い上がったエリートと、アメリカの大企業の御曹司──正反対の二人が反発しながら歩み寄る、シンデレラ・ストーリー♡

作品情報

作品名
見初められたはいいけれど
著者
水原とほる 
イラスト
ミドリノエバ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009792
3.4

(35)

(6)

萌々

(9)

(17)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
12
得点
119
評価数
35
平均
3.4 / 5
神率
17.1%

レビュー投稿数12

愛が、人生を豊かにしてくれる

成り上がりのエリートと、大企業の放蕩息子。
正反対の二人が出会って、想いを育て、やがて世界がガラッと変わるー。

こう、タイトルやあらすじだとライトなラブコメをイメージされるかもしれないですが、とても心に響く、あたたかくて優しい素敵なお話でした。
主人公の人生と言うのは、決して恵まれたものでは無いんですよね。
でも、不幸と同じくらい、小さなハッピーは存在してる。
それに気付けると、世界がガラッと色を変える。
そして愛が、人生を豊かにしてくれる。
そんな、シンプルだけどとてもあたたかくて優しいお話と言いますか。

ところで、個人的にハードでダークな凌辱系作品に激ハマりしてた時期がありまして。
当時、水原先生の作品を片っ端から拝見させていただきました。
ガチで、そんじゃそこらの凌辱系なら鼻で笑えちゃうくらい、容赦無い作品を生み出して下さってたものです。
それが、今ではこんな、心あたたまるヒューマンドラマと言っちゃっても言い作品まで刊行されている。
どうしたって作風と言うのは固定されがちな中、素晴らしいと思います。

ザックリした内容です。
10才で両親を亡くし、底辺から這い上がってきたエリート会社員・澄人。
職場で一番下っぱである彼は、取引先の大企業の御曹司・ジョッシュの世話役を命じられるんですね。
苛立ちを押し隠しジョッシュを訪ねた澄人は、女癖の悪い放蕩息子と言う噂とは違い、一筋縄では行かなそうな彼に厄介事の予感を覚えますがー・・・と言うものです。

まずこちら、澄人ですが、成り上がりのエリートになります。
両親を亡くしてから世間の不平等と不条理を嫌と言うほど味わってきた彼は、現在の「大企業の会社員」と言う地位を手に入れる為、それこそ血のにじむような努力を重ねてきた。
えーと、大学の学費を稼ぐ為に、男相手に援助交際って感じで。
その為、現在の平穏な生活に固執してるんですよね。
したたかな面もありつつも、人と深く関わる事が出来なくて心の奥底に孤独を抱えている感じでしょうか。

で、そんな彼の心を開いてゆくのが、アメリカの大企業の御曹司・ジョッシュ。
噂と違い、理知的で穏やかでどこか一筋縄では行かない印象の、魅力的な青年になります。
彼は最初こそ「お目付け役」を派遣された事を、迷惑そうに感じているようだったのに、何故か澄人に興味を示す。
その後、何かと理由を付けては澄人を呼び出すようになり・・・と言う流れ。

で、こちら、ストーリーとしては至ってシンプルだし、特別派手な事も起こらないんですよね。

しょっちゅうジョッシュに呼び出され、イライラしながら駆け付ける澄人。
こう、「平穏な生活」に固執する彼は、仕事を何より第一優先にしてます。
出世どうこうより、与えられた仕事をやり遂げられずに「居場所」を無くす事に恐怖心を持っていて。
そんな彼が、ジョッシュと過ごす時間の中で、徐々に徐々に変化して行く。
こう、追いたてられるように生きてきて、余裕が無いんですよね。
それが、ジョッシュ手作りの料理を一緒に食べ、休みを共に過ごし、体調を崩せばそばで看病してもらう。

ジョッシュと言うのは、かなり複雑な男なんですよ。
いや、逆にとてもシンプルなのかもしれないけど。
恵まれた環境で、更に才能や容姿にも恵まれていてと、彼の人生は完璧に思えます。
が、その「恵まれた環境」故に、人間の汚さやズルさと言うものを見てきて、心の内には孤独を抱えている。
だからこそ、とても人当たりが良く甘え上手でありながら、人の心の痛みも知っている。
熱を出して寝込んだ澄人に、ジョッシュがかける言葉がとても優しくて。

あなたはとても心が強い、一人で立っていようとする人だ。
でも、辛い時は辛いと言っていい。
声をあげて泣いていいし、そばにいる誰かに頼ってもいいと思う。

これまでどんな事も、一人で乗り越えて来た澄人。
それが初めて、弱さがあってもいいんだと教えられ、ジョッシュに隠した状態で涙を流すのにジーンときちゃって。

と、そんな日々を過ごすうちに、自然と心を通わせ、恋人同士となる二人。
しかし、クリスマスホリデーでアメリカに帰国したジョッシュですが、何故か約束の年明けになっても戻って来ないんですね。
更に澄人ですが、職場の上司からジョッシュの「世話役」を解任され・・・と続きます。

これ、澄人が一度は前向きに愛を信じたからこそ、ちょっと切ないです。
ただ、このエピソードがあったからこそ、澄人が本当に大切な事に気付くのが素敵で。
いや、仕事に生きる男も格好いいんですけど、まずその前に、自分の人生を豊かに生きようとする男も、格好いいと思うのです。
人生で本当に大切ものって、実はいたってシンプルだと思う。
それを守る為に、皆、精一杯生きてゆくんですよね。

ちなみに、二人が身体の関係を持つのは、中盤とわりと早いです。
負けん気の強い澄人が、挑発しちゃってって形ですけど。
個人的に、ベッドでもあくまで強気な受けと言うのは大好物な為、とても萌えちゃいましたけど。

と、とにかくあたたかくて心に沁みる、素敵な作品でした。
ただただジョッシュが与えるだけと言うのでは無く、澄人もまた、ジョッシュにとって光を与える存在だと言うのも良かったです。

8

孤独なふたり

女癖の悪いと評判の取引先の御曹司・ジョッシュ(攻め)の世話係を命じられた澄人(受け)の苦労

たくさんレビューがあるので感想だけ。

両親を早くに亡くし親戚も頼れず養護施設で育った澄人の生い立ちには凄く胸がつまります。
その生い立ちから、人とかかわることを避け、必要以上に普通の生活を送ること
に固執し、そのための努力を怠らない姿勢は感心しましたが、大手企業に勤めそこそこの給料を得るようになっても学生時代からのボロアパートに住み続け節約している姿は痛々しく感じました。

資産家の家に生まれ、将来を約束されたジョッシュもまた持つものゆえの孤独でした。
正反対の生い立ちにもかかわらず、親しい人がおらず孤独なところが同じなのです。
澄人にしたら初めは何を甘えたことをといった気持ちだったのでしょうが、面倒を見るうちに少しづつ自分と同じものを抱えていることに気づかされていき、ジョッシュを受け入れていく過程がすごく自然でした。
気が付いたら好きになっていたというのがすごくよく表現されていたと思いました。


生活に余裕がなく恋の一つもしたことのなかった澄人が、今の職を失っても構わないそれでもジョッシュと一緒にいたいと思ったことは、人並みの生活をすることにあれほど固執していた澄人にとってすごい変化で、何事も熱を感じさせなかった澄人がちゃんと人らしくなったことがすごくうれしく感じました。

やっと二人で生きていくというところで終わったのがちょっと残念でした。
幸いクビにはならなかったようですが、もう少し二人が同棲してからの話を読みたかったです。
これからも、二人で穏やかな生活を送ってほしいですね。

5

苦労人の受けが初めて愛を知る話

水原さんと言えば前は受けが不憫で可哀想すぎてイタタタタ!なお話が多かったですが、最近は自立した大人のおしゃれなラブストーリーみたいなのが多いイメージです。今回もスタイリッシュなイラストなのでそっち系なのかと思っていました。

しかし意外と受けの過去が重かった所が昔の水原作品っぽかったです。その辺あまり生々しくはなかったですが。受けの澄人は幼少時に両親を失い、思春期・青年期に過酷な苦労をして大学を出て一流企業で働いている美形の29歳。人の何倍も苦しい思いをしてきたために人間らしい感情を失ってしまったような悲しい人でもあります。

そんな受けの前に現れたのは4歳年下の受けの会社社長の御曹司ジョッシュ。まだ学生だけど頭も容姿も良くて富もあり全てを持っている人でありながら心を許せる本当の友人は少なく孤独な部分も持っている人。しかし両親や祖父母に愛されて育ったので心は温かい人で澄人に惹かれて彼の頑なな心を少しずつ溶かしていきます。

心を殺して生きてきて涙も抑え込んできたような澄人が29歳で初めて人を愛し涙を流せるようになってきた所に感動しました。これから恋人の前で泣いたり笑ったりもっともっと表情豊かになれるといいなと思いました。澄人の会社の先輩が陰険で性悪だったのに何の報いも受けなかったのは少し残念でした。失脚すれば良かったのに。

4

攻めが素敵ぃ〜!

取引先の御曹司ジョッシュのお目付け役を任命された澄人が主人公です。
どうせしょーもない金持ちのボンボンなんだろ……と思ってたら、ジョッシュは意外性の連続なんですよ。

すっごい知性の持ち主で。
柔らかい人好きのする笑みをたたえながら、飄々としてて。
甘え上手で懐っこいのに、聡いがゆえの孤独を心に抱えている……。

くぅぅ〜たまらん!
私なら秒で落ちてるわ!!

おまけに世界中を放浪して見てきたものを詩情溢れる言葉で語ってくれるとか、そういう人大好きすぎる。

そしてジョッシュの醸し出す大型ワンコ感がたまらん。(基本お行儀が良いんだけど、ときどき強引)
おまけになんでも手に入る御曹司ジョッシュが「ほしいのは、ただ僕を見ていてくれる人なんだけどな‥‥‥」と呟く姿とか、もう胸がきゅきゅ〜ん!としちゃって仕方ない。

受けの澄人は幼い時に事故で両親を亡くして以来、苦労続きの人生を送ってきた人。
だから二人の育ってきた環境は真逆と言っていい。
だけど「知り合いは多いけど友達は多くない」というジョッシュと、生きていくのに精一杯で人間関係の軋轢なんかで悩みたくないからと人を寄せ付けなかった澄人は似ているんですよね。
そんな二人が交差する。

なんていうか頑なにジョッシュを跳ね除けている澄人を見てると、たまらない気持ちになるんですよ。
「人並みの生活」を得るために、心に鎧をまとって生きてこなくてはいけなかったのがわかるので。
でもその堅牢なガードの隙間から、しなやかなジョッシュ成分が染み込んでくるんですよね。

幸せそうに寄り添う二人の姿を早く見たい!
そんな気持ちにさせられる一冊でした。

4

先行き不安だけど

タイトル通りのお話しでした。

御曹司に見初められたはいいけれど、前途多難って感じです。

ジョシュは天才だけど実家を継ぐ気はゼロで、後継者にしたい父親と揉めています。最後もまだ和解しないまま日本に戻って来ていました。前妻との間に兄がいるのに、父親はその子には財産を渡したく無いって流石はアメリカの大富豪だと思いました。

そして桐島はジョシュに何らかの影響を与えたのではないかと、世話係を解任されました。

他者と関わる事を避けて来た桐島は寂しい人でしたが、富豪と天才故に孤独だったジョシュに初めて共感を覚えるんです。

ジョシュは留学を学費が掛からないのに申請し直して、更には投資で稼いだお金で2人で同棲しようと言うところで終わってました。

桐山は幼い頃に親を亡くして、やっとここまで努力して現在の会社にいます。ジョシュと付き合っている事がバレたら左遷されるかもしれません。

御曹司のジョシュと恋人同士になって、時期社長とお金に困らないシンデレラストーリーじゃない点が面白かったです。

3

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