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表題作王子は黒竜に愛を捧げる

アラン,100歳~,竜人族の王弟で黒竜
エリアス,18歳,コーツ王国第九王子

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

父王の命で竜を探していたコーツ王国の第九王子エリアスの前に、大きな黒竜が現れたことから……? 
「竜は将軍に愛でられる」スピンオフ!!

作品情報

作品名
王子は黒竜に愛を捧げる
著者
名倉和希 
イラスト
黒田屑 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
竜は将軍に愛でられる
発売日
ISBN
9784403525032
3.8

(62)

(18)

萌々

(26)

(13)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
11
得点
235
評価数
62
平均
3.8 / 5
神率
29%

レビュー投稿数11

めちゃくちゃ切ない・・・(TдT)

「竜は将軍に愛でられる」のスピンオフになります。
そちらが大好きな為、発売を楽しみにしていました。
今作だけでも問題無く読めるんですけど、「竜は~」の二人も結構登場するので、既読だとより面白いと思います。

で、名倉先生と言うと、暴走溺愛攻めがお約束ですが、今回もかなりのものでしたよ~。
竜である攻めが、王子である受けの愛らしさに、終始悶えてるんですよね。
もう、溺愛描写が楽しすぎる!

ただこれ、結構切なくもあって。
しかも、愛し合う二人が引き裂かれる系。
互いを想い合うが故に、より切ない・・・。
泣けましたよ。
今回、受けの境遇だったり、彼が背負っているものが、わりと重いんですよね。
そんな受けを全力で守ろうとする攻めにも、切ない心地にさせられて。
二人が幸せになってくれて、本当に良かったよ。
読みながら、気が気じゃ無かったよ!

で、ザックリした内容です。
父王の命令で、竜狩りの為に辺境へ赴いた、コーツ王国第九王子のエリアス。
怪我を負った彼が最期にと笛を奏でていると、大きな黒竜が目の前に現れるんですね。
傷の手当てをし、優しく面倒を見てくれる黒竜・アランと共に、つかの間の幸せで穏やかな時間を過ごすエリアス。
彼と共に過ごす事に喜びを覚えますが、一人後宮で過ごす母親の為に、帰国せねばならなくてー・・・言うものです。

繰り返しになりますが、今回は結構切ないんですよね。
受けであるエリアスですが、音楽の才能はあるものの、王子として求められる騎士の才能はなかったんですね。
その為、王から顧みられずと、寂しい生活を送っていた。
ところが今回、竜を操ると言う野望に取り憑かれた王により、竜狩りへと派遣されてしまう。
しかも、手柄を欲する上官により、無茶な命令を下され、一人辺境で行き倒れかける。
いや、すごく健気でいい子なんですよ。
こんな無茶な要求をされても、後宮に居る母親を思うと、命令に従うしかないんですよね。
もうこの時点で、かなり切ない・・・。

で、そんなエリアスを溺愛するのが、黒竜であるアラン。
前作の受けの叔父になるのですが、竜人族でありながら丸太小屋で人の姿で暮らし、更に人間に混じって働いたりと、変わり者になるんですね。
今回、笛の音に引き寄せられた彼は、そこで見つけた華奢な青年の愛らしさに、心を撃ち抜かれる。
また、怪我を負ってる彼を放っておけずに連れ帰って面倒を見るのですが、二人での生活に心が弾む。
いや、主役二人の両視点で進むのですが、エリアスはアランの格好よさにトキメキ、アランはアランでエリアスの愛らしさに悶えてるんですよね。
毎度の事ながら、溺愛描写がとにかく楽しいよ!と。

で、ここからがシリアス展開。
怪我も治り国に戻るエリアス。
彼の身を案じたアランに持たされた鱗により、再び竜狩りを命じられるんですよね。
で、竜を連れ帰らなければ処罰されるエリアスの為に、共に王都に行く事を決意するアラン。
しかし王都で、捕らえられてしまう・・・。
そこで、自分の身を顧みずにアランを逃がすエリアスですが、流れ矢に当たって重症を負い・・・と続きます。

これ、なんかもう、互いが互いの為を思って、自分を犠牲にしようとするんですよね。
めちゃくちゃ切ない!
めちゃくちゃ切ない・・・!
二人がこんなギリギリの状況で、互いの想いを確かめあい、共に生きようと語るのに、胸がいっぱいになっちゃうんですよ。
無情にも、直後にエリアスが重症を負うに至っては、ショックで呆然としちゃうんですよ。
重症を負いながらも、一番にアランを心配するエリアスにも、全てが憎いと暴走するアランにも、泣けちゃうんですよ!

とりあえず、ここから感動の展開。
前作が既読の方は、この後にアランが取る行動に、予想がつくんじゃないでしょうか。
ちなみに、ここから前作の主役二人、アゼルとオーウェンが大活躍だったりします。
そして、傷を癒すエリアスに、そばで見守るアランと、甘く優しい展開。
実は顛末なんかがちょっと都合がいい気がしますし、寿命問題も、力業の気がする。
いや、なかなかここから80年も生きるのは厳しいでしょう、エリアス。
てな感じで。

まぁただ、とても甘くてハッピーなラストの為、個人的には気にならないです。

最後になっちゃいましたが、エッチ時のアランの暴走っぷりにも、笑わせて貰えました。
「可愛い」をアホみたいに連呼してますよ。
いや、幸せになって何よりだけど。

16

庶民派黒竜が愛したのは

まず初めに、こちらの作品はスピンオフ作品です。
単体でも楽しめる構成となっていますが、舞台は前作から30年ほど経った世界。
前作の登場人物達も後半から登場しますので、「竜は将軍に愛でられる」をお読みになってからの方がより楽しめるかと思います。

先日読んだ前作がとても良く、スピンオフの今作も非常に楽しみにしていました。
結果、期待以上の多幸感があふれる良作でした!
切なさあり、シリアスあり、そして名倉先生らしく甘々ありと、盛り沢山の内容となっております。

以下、簡単なあらすじと読後の感想です。
前作は竜人であるアゼルが受けでしたが、今回は攻めのアランが竜人という設定。
こちらのアラン、竜人族の王弟ながら昔から変わり者として有名で、好き好んで人型のまま山奥に丸太小屋を自ら作って暮らし、気まぐれに人間の国で日雇いとして働くなど、好奇心旺盛で庶民的な竜人です。
一方の受けのエリアスは、前作では竜を執拗に狙う隣国として描かれていたコーツ王国の第9王子で、音楽と慎ましく暮らす母を愛する心優しく穏やかな少年。
ある日、騎馬兵として籍を置くエリアスの直属の上官に陥られ、未だに竜に執着をしている国王であり父王から、秘境に赴き竜を捕らえて来いと命じられます。
上官によって秘境に1人向かわされ、途中で怪我を負ってしまったエリアス。
どうせここで人生を終わるのなら最期は愛する音楽を奏でたいと、笛を鳴らしていると目の前に見た事もない大きさの美しい黒竜が現れ…と続きます。


変わり者というよりも、常に自然体で気取らないアランが魅力的でした。
元々人間に対して興味津々なアラン。
エリアスと出会ってからというもの、エリアスという人間がもう可愛くて可愛くて仕方がない。
相手が思わず赤面してしまうくらいストレートな物言いをするのですが、これがまた天然の人たらしなのか?というくらいの真っ直ぐさでですね…
包み隠さないストレートな溺愛ぶりがたまらないですし、竜体時の心の声が可愛い(笑)
終始エリアスに対して紳士的に、時には甲斐甲斐しく優しく愛情深く接する姿がとても良かったです。
黒田先生の描かれるアランがまた素晴らしくて。
竜体のアランも、人型のアランのどちらもすごくかっこ良いんですよ。

エリアスは、第9王子という立場ではあるものの、父王から期待も冷遇もされず無関心のまま放置状態。
けれど腐る事なく、やるべき事はやるという姿が印象的でした。
境遇的には寂しく不憫なものがあるのですが、決して悲劇のヒロイン的ではないというか。
自分の立場を冷静に受け止め、しっかりと考えて行動し、人を思いやることも自然に出来る。
本当にこの父王の子供なのか…?思うほど優しい心を持った王子です。
そんな少し寂しい境遇の彼がアランと出会い、自分の知らない自由な世界を知ってのびのびと過ごす内に、やがて心惹かれていく。
本物の宝石よりも、泉の中でアランが見つけた石の方が今まで見たどんな宝石よりも美しいと大切にしていたり、自由なアランが好きだと、自分のために人間の世界に縛り付けたくはないと自分よりもアランを優先する姿が健気でした。
無意識にアランを翻弄する天然さも良かった。

丸太小屋で交流を深める2人のシーンがすごく楽しげで、読んでいるこちらも「ええ…この後離れなくてはいけないの…」となってしまうくらいでした。
別れのシーンで竜体のアランの鼻先にキスをするエリアスも切ない。
そして、病み上がりのエリアスに無体をしいてはいけないと、毎晩同じ寝台で我慢に我慢を重ねた結果、彼の鎖骨付近にキスマークを残しては、何も知らず虫刺されなのだろうかと疑問に思うエリアスに「…大丈夫だ」と言うアランにクスっとなります。
ここのシーンもなんだか可愛らしくて好きでした。

結ばれるべくして結ばれたような2人。
血の絆を契ったとはいえ、前作の2人とはまた違う条件となるようなので、作中にあったような最期になる事を願っています。
エリアスは健康に長生きをしなくてはいけませんね。

笛の音をきっかけにした出会いから、共に過ごし心を通わせる場面、一時の別れ、そして再会し想いを伝え合ってからの切なくもハラハラとする展開…
と、甘さと切なさのバランスが丁度良く、非常に読みやすかったです。
個人的には前作よりも今作の方が好みでした!
唯一気になるところと言えば、あれほど嫌なやつだった上官のバークスのその後でしょうか。

両視点もの・ファンタジー・お互いを好ましく尊重し合う2人・紳士的な溺愛攻め・健気でしっかり物を考えられる受け等のキーワードがお好きな方におすすめの1冊です。

7

可愛くて可愛くて

「竜は将軍に愛でられる」が大好きだったので、とても楽しみにしていました。

今回は攻めが黒竜のアランで、受けは前回の敵国の王子のエリアスです。
もう出会った時からアランがエリアスの事を、可愛くてしょうがないって感じなので、読んでてニヤニヤしてしまいました。

エリアスは聡明で健気な王子です。父王に冷遇されていても腐る事も無く、母親を大事にして慎ましく暮らして来ました。
竜に偏執する王の命で竜狩りに行く事になりますが、上官に嵌められて森で遭難するのです。
そこに現れたのがアランなのですが、怪我をしたエリアスを連れて帰って甲斐甲斐しく世話をするんです。
エリアスもアランに直ぐに好感を抱いてました。こんなにお互いに好感を持つなんて順調過ぎると思ってしまいました。

アランの好意で鱗を持ち帰るのですが、王はそれだけで満足出来ずに再び竜狩りを命じるのです。 

再び会えて喜んだアランはもう2度と離れたく無いと思い、エリアスに同行して王の元に行きます。そこでアランは薬草を使って捕らえられてしまいました。

アランは好奇心旺盛で楽観的なので、ちょっと爪が甘い竜なんです。

責任を感じたエリアスはアランを逃そうとした時に流れ矢に当たって重傷を負ってしまいます。愛するエリアスに矢が突き刺さる様子を見て、アランは怒り暴れて城を半壊させてエリアスを連れて飛び立つのです。

瀕死のエリアスを救う為にアランは血の契約を結び、エリアスは徐々に快方に向かいます。
冬が来る前に暖かい場所に移動しようと相談して、2人はアランの甥のアゼルのいる国に向います。 
アゼルと伴侶のオーウェル将軍の屋敷で世話になりながらエリアスは回復します。
そこで父王に代わって兄が国を治めている事、母が無事な事を知るのです。

2人がが初めて結ばれた時のアランの「可愛い」連発に笑いました。もうエリアスが好きで好きでたまらない気持ちが溢れてました。
エリアスの体調が戻るまで我慢してキスマークをしらっと付けていたのにも笑いました。
 

5

心優しい王子と竜族の恋物語

前作『竜は将軍に愛でられる』は未読でしたが問題なく楽しめました。
でも、その後の様子や二人のラブラブっぷりを読むとそちらも読みたくなりました。

小国の王子エリアスは音楽を愛する母思いの優しい第9王子。
けれど父である王の望む「力で支配する騎士」ではない王子は疎まれ顧みられることはなかったのです。
そこへ使えない王子と思われているエリアスを利用して私腹を肥やし武勲を立てようとした貴族の策略で竜狩に行く羽目になることからこの物語りが始まります。

異様に竜に執着しその力を利用して他国を侵略することだけを考え治世も民もそっちのけのしょうもない王とそんな王におもねる貴族ばかりの貧しい国をなんとかしたいと思う王子の葛藤が新たな道を開くことになります。

弱く非力な王子がそれでもなんとかしたいと頑張るところがいいです。

竜狩などしたくはないけれど、側妃である母の身を思えばいくしかない状況。
一人で秘境に追いやられたところで笛の音に惹かれた黒竜アランに出会います。
アランは龍神族の王弟ながら、人里近くに暮らして気まぐれに日雇い仕事をして人間社会を眺めるのを楽しむ変わり者なのです。

そのまま国を出てしまえばいいのに国民や母のことを思えば放り出すわけにもいかず、好意を持った相手を王に差し出すことも、離れることもできない王子の苦悩。
引き裂かれる思いが伝わってきて胸が締め付けられます。

エリアスが弓で撃たれ時のアランの我を忘れた動揺に執着心の恐ろしさを見ました。

4

溺愛BLファンタジー

前作の「竜は将軍に愛でられる」は、竜人王の末王子のアゼルが登場。
今もザルゼード王国に居る設定のアゼル。
この物語の竜人は、前作の竜人アゼルの叔父にあたる、竜人王の弟アラン。

アランは、ザルゼード王国に敵対するコーツ王国の王子、エリアスと会う。
前作と違うのは、竜が成人。
人間のエリアスは、見かけが華奢で発育不全の19才、父親に期待されていない末王子。

エリアスは、老いても強欲な父王から竜人狩りを命じられる。
エリアスに同行する隊の隊長は、勝手に龍退治を仕組んだ悪党。物資を横流しして私服を肥やしている狡い奴。
山奥でアランは、隊長から単独で竜人狩りに行くように命令された。(一人で行って死んでしまえ、ということ)
エリアスは崖から落ちて足をくじいてしょんぼり笛を吹いていたところを、アランに助けられる。
黒竜のアランは、弱弱しく可愛らしくて清純なエリアスが憐れになって、放っておけなくなる。
・・・竜人のアランが、弱弱しいエリアスに一目ぼれ。

黒田屑 さんの丁寧なイラストは、海外の童話の挿絵のような雰囲気で、前作より綺麗。
面白かった。

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