初回限定小冊子&電子限定かきおろしマンガ付版
この作品は前から気になっていたんですが、手に取る機会を逸し、4巻まで出たところで一気に読みました。いやもうなんていうか…すごい。ほんとにすごすぎる。
美しすぎる美麗な絵は言わずもがな。そしてこの圧巻のストーリー展開。特に4巻は過去の伏線を見事に回収し、そして1巻に巻き戻る。
4巻を読んだあとに1巻を読み直すと、全然違うものに思えるんですよね。1巻で見せた篠原のあの表情、あの台詞。どれもがすべて胸に刺さり、言葉もなくただただ、すごい…と呟かずにはいられません。
真犯人から開放され、命を取り留めるも意識不明が続く克哉。そんな克哉を毎朝毎晩、篠原は見舞います。諦めずに毎日声をかけ続ける篠原。泣ける…。
そしてまちに待った意識の回復。その時初めて篠原は克哉…?と名前を呼びます。2人して涙する篠原と克哉。これを愛と言わずして何という…。
真犯人から克哉を守るため、公には克哉は亡くなったことにしてお葬式まで行う。克哉は篠原の家に身を寄せて、篠原との同居が始まる。
夜1人で寝ていると監禁を思い出し震えて眠れない克哉。篠原の部屋へ行き一緒のベッドに潜り込む。大丈夫…と声をかけ優しく抱きしめる篠原。
克哉が意識を取り戻してから、篠原の真っ直ぐな愛に包まれ、克哉もまた篠原に身を委ねる。2人が大変な状況にも関わらず静かに確かに愛を深める様子がわかり、キュンキュンが、止まらない。
克哉は監禁されていたときのことをほぼすべて覚えてるんですよね。犯人の顔以外は。克哉の証言を詳細に報告書にまとめて捜査を続けるも、犯人はかなりの富裕層でガードも堅く、なかなかたどり着けない。その間にも殺人は繰り返され、克哉は自分から犯人を見つけ出すしかないと思い至る。
そこで克哉が提案したのは、克哉がまだNYにいた頃に研究されていた、薬物を用いた記憶操作の手法。監禁される前の記憶に戻し、さらに同じ体験をさせることで犯人の顔を思い出させるという提案だった。ただしそれは、篠原との記憶までも無くしてしまうという、残酷な提案でもあった。
篠原もすぐには受け入れられなくてものすごく苦悩するんですよね…この苦悩している篠原の気持ちが苦しくて、読んでるだけで泣けてきました…。そんな2人の苦悩をあざ笑うかのように止まらない殺人。それでも篠原は提案を受け入れられない。記憶があるのに、忘れられた存在になるなんて、どんなに辛いことだろう…。
4巻では犯人の登場も多くて、黒髪のイケメンでその経済力の凄さも断片的に表現されています。でもまだ謎だらけ。
殺人が続き、もはや社会的に及ぼす影響を危惧した警察上層部から、藁にもすがる思いで、克哉の提案を実施したいと言われたと克哉に告げる篠原。克哉もすでに心は決めていた。でも、ただ…。篠原と抱き合い、篠原の存在が克哉から消去されることを受け入れる篠原に、ひどい男だ、と涙を流す克哉。篠原は、先生が思い出せなくて嫌われても、命をかけて愛するから、と優しく抱きしめる。
ここですね…もう、涙無しには読めないです…あまりにもかわいそうで。あまりにも理不尽で。こんなに愛し合っている2人の気持ちが迫ってきて。
ついに投薬し、記憶の操作を行う日。薬で克哉が完全に意識を失う前に最後の2人だけの束の間の時間を過ごします。ソファに横になる克哉は、篠原に約束を覚えていてほしいと告げます。自分を待っていてほしい…。そんな克哉に優しくキスをして、忘れませんよと答える篠原。篠原の唇に克哉の左手が触れる。
「…ありがとう 愛して、くれて…」
克哉は「愛している」とは言わないんですよね。克哉らしいというか…。この台詞、本当に浅野克哉のキャラクターが完璧なまでにブレずに表現されていて、もう、すごすぎて言葉も出ませんでした…。篠原から受けたたくさんの愛情、篠原への感謝、そして自身の篠原への愛。すべてがこの一言に詰まっていて、ここで私は完全に涙腺崩壊…。篠原は克哉を強く抱きしめ、神にもう一度出会わせてほしいとお願いする。そして克哉の目から涙の雫を指で拭き取り、優しくキスをしたあと、「さよなら」と別れを告げる。
もう、胸が苦しいくらいの別れのシーン。まるで映画を見ているような臨場感。圧倒的な画力と胸に迫る台詞。もう、なんもかんもすごすぎて茫然自失…。
立ち上がり、ジャケットの襟を正したあと、篠原はあの1巻で出てきた連続殺人犯の篠原の顔になって、部屋を出ていく。ここで、ようやく、1巻と繋がるんです…!
このあと1巻を再読すると、1巻で散りばめられたたくさんの伏線を見事に回収していることがわかります!!そして、篠原の「ずっと君を待ってたんだ 本音が出ると演じるのは難しいね」の台詞…!!
伏線回収の見事さに鳥肌まで立ちそう!!4巻を費やし、パズルのピースがピッタリハマるようなストーリー展開に、度肝を抜かれました!!すごすぎる!!
遡ること20ヵ月前から始まり、出会い、命の危機を経て、篠原と克哉は確かに愛しあい、辛すぎる別れを経験し、ようやく現在地点まで来たんですね。深い…もう、簡単には語れない…深すぎる。
この4巻はもういろんな意味で圧倒的すぎて、こんなに細部まで練られた巧妙で完璧な作品、2度と巡り会えないんじゃないかと思います。1巻〜4巻までの間、浅野克哉はいろんな側面を見せてくれました。このあと犯人とどうやって対峙していくのか、克哉と篠原はどうなっていくのか、待ち切るしかない!(笑)絶対に読み逃すことができないです!!
小冊子は、克哉のいうことはなんでもピュアに信じてしまう篠原のお人好しと、篠原を騙す悪い男、克哉のほのぼのストーリーでシリアスな本編から少し離れて、一休みできる、めっちゃくちゃかわいい短編です(笑)がんばれ、篠原!!(笑)小冊子の克哉はほんとに悪い男ですよ(笑)必見です!
※自分の為の備忘録。時系列が入り組んで難しい、解釈の補助。
▶作者:https://bit.ly/330YZQb
guilt pleasure:マンガ&イラストの咎井 淳と原作のNarcissusによるユニット。
作画 咎井淳(とがい じゅん Jo Chen) 女性 (画風に似た美人)
原作 Narcissus(ナルキッソス)
▶表紙絵
1巻:髑髏にキスをする浅野。髑髏は「死と再生」を意味する。
2巻:篠原と「ペストマスク」。「身を守る薬草を詰めた保護衣」。 Pestisは、粉々にする、滅ぼすの意味がある。
3巻:犯人がタロットの「塔」を持つ。困難や崩壊、失敗や物事の終局の意味。
4巻:切断した頭部に顔を寄せる浅野と蝶。生首=「魔除け」。蝶は「オオカバマダラ」「魂の生と死 」のモチーフ
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PTSD対策 「ムネーモーシュネー」
浅野が考案した方法。連続殺人犯に魅入られた精神科医、浅野は、薬と催眠誘導で記憶を被害を受ける前に戻して、犯人の顔を思い出す計画を提案。「不要な記憶を消去し、目的の記憶=殺人鬼の顔の記憶を取り出す方法」
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あとがきに、【ファンの強い要望を受けてシナリオを変更した】とある。
【1巻の後の予定だと、篠原はあの男に殺される予定だった】・・ファンの感想文を読んで居る。人気の大作家なのに感心。
シナリオ変更後の4巻の篠原の台詞に重みが増す。「俺は呼ばれるまで待つ忠犬」
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★4巻の真相を踏まえ、読み直し:時系列は2巻後半→3巻→4巻→1巻→2巻前半
時系列に並べると混乱するので、発刊順に要点メモ。
1:1巻~2巻前半:
4巻の「ムネーモーシュネー」を受けた浅野に、仕事の依頼が来る。
浅野が依頼を受ける。古い洋館に収容された連続殺人犯の精神分析。犯人はシリアルキラーだと説明を受ける。
浅野は、篠原と面会。(篠原は殺人鬼役)
篠原の誘導で、浅野は夢で記憶を再現して事件を思い出す。
顔が無い男の夢を見る。顔の見えない男に監禁されて犯され、犯人が「愛している」と囁き続ける不気味な夢。
(どうやら犯人は身内に愛されたい資産家のダメ息子?)
★忠犬篠原が飼い主につい漏らす:諦めちゃいるけれど思い出して、哀しい:
「もうこの世にはいないけど ものすごく愛してた人がいた アンタがその人だったら良かったのに… 」
2:2巻後半~3巻前半:
篠原が浅野を担いで犯行現場に行く。
浅野がついに犯人の顔を思い出した所で、篠原が演技の終りを告げる。
演技だと知ると、憤慨しが浅野は篠原を殴る。
篠原刑事が「こんなことを思いつくのは・・」と訳を呟くが、記憶消去後の浅野は反応し無い。
★顔を思い出しても、顔モンタージュで犯人特定の作業にいかない 何故?
3:3巻後半:犯人に浅野が拉致される場面
浅野は、二度目の犯人接触後に拉致される
犯人は「愛してくれ」「愛している」と言いながら暴行を繰り返す。
衰弱した浅野を、真冬に棺桶に入れて放置する。
浅野は死を覚悟するが、篠原に会いたい一念で這いだす。雪の中で力尽き、絶命寸前の所を近隣住民に発見されて入院する。
本人の意識が望んで意識が戻らず昏睡。
4:4巻:篠原が忠犬になる約束 「ムネーモーシュネー」
昏睡したままの浅野を篠原が毎日見舞いに伺う。
殺人鬼から逃れた唯一の生存者浅野が目覚める。
回復すると、「ムネーモーシュネー」を浅野自身に施し、篠原の為に役立ちたいと言う浅野。
「約束を忘れないでください、私を待っていてくださると」と願う浅野に、篠原は応える。
「先生の中から俺が消えたとしても また最初から始められるって信じてます」
「先生が 俺を思い出せなくて 嫌われたとしても 命をかけて・・」
2巻の篠原刑事の言動の意味が変る4巻。
5:浅野は恋多い人:外伝あとがきに作者の恋愛観がある。
「人間は人生の中で色々な人を愛することができます。ある人を愛したからと言ってもう一方の愛が減るということではありません。」
外伝:EQUILIBRIUM -均衡/He Came, After You Left In These Words外伝/FATHER FIGURE
★篠原刑事は報われないかも。作者には、日本的な概念は無い。
たしかに、愛は減らない。(だけど性交の体液交流でキメラが起きる、DNA情報は体内の細胞に残るじゃない?。法医学知ってるならわかる筈)
今後の展開は、アメリカナイズのシナリオになるかも?と思ったら、期待度が落ちた。ファンレターを出すしかない。
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▶ムネーモシュネー(古希: Μνημοσύνη, Mnēmosynē)
ギリシア神話に登場する記憶を神格化した女神。 「 9体の誇神たち」の古い形であるミューズ三女神の第1の女神
▶シリアルキラー
異常な心理的欲求のもと、1か月以上にわたって一定の冷却期間をおきながら複数の殺人を繰り返す連続殺人犯
※参考:
北米のマンガ事情/第24回/「アメリカのコミックス業界で活躍するジョー・チェンの日本デビュー」
※シリーズ全体に対する大きなネタバレを含んでいます。ご注意ください。
初めて神評価つけます!
ここまで読んで再び1巻から読み直した時の、浅野に投げかける篠原のセリフの奥にあるものが霧が晴れてみるみる視界が開けるように「あぁ、これはそう意味だったのか」と明らかになっていく感覚が気持ちよすぎました。
それと同時に襲ってくる猛烈な切なさ・・・。
1-2巻で篠原がことあるごとに見せていたあの苦しそうな悲しそうな表情は私が想像していたものよりもずっと想像を絶する状況によって作り出されていたものだと判り、篠原の心の中を思うだけで切なさの洪水に溺れそうです(´༎ຶོρ༎ຶོ`)(´༎ຶོρ༎ຶོ`)(´༎ຶོρ༎ຶོ`)(´༎ຶོρ༎ຶོ`)(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
4巻を読み終わったあと自分の過去のレビューを読み返したんですが、1巻のレビューにびっくりするようなことをさらっと書いていてびっくりしました。
「篠原と浅野の会話そのものが萌えるなぁと!この二人本当はどういう関係なの?と思い巡らせながら読む会話ほど妄想を掻き立てられるものはありません。」だってさ。
彼等の関係をまだ知らないうちにずいぶんと冴えた読解力を発揮している数年前の私は、彼らの会話劇に一体何を感じ取っていたんだろう。
もう少し詳しく感想を残しておけば良かったなぁ。
2巻の中盤で物語の時間軸が20ヶ月前に巻き戻されました。
20ヶ月前、2人の出会い
15ヶ月前、2人の特別な関係の始まり
8ヶ月前、浅野の身に起こった凄惨な6日間の出来事
そして───
意識不明の重体で病院に運び込まれ、機械に繋がれてこんこんと眠り続けた浅野が目を覚ましたのは、事件から2ヶ月以上経ったあと。
目覚めた浅野は犯人にされたこと、交わした会話などはすべて事細かに覚えていたが、犯人の顔だけが思い出せない。
浅野が目覚めて2ヶ月半後、これまでと全く違った手口で殺された女性の遺体が見つかる
その3ヶ月後、さらに3人
これらの被害者の殺され方と自分が直接聞いた犯人の言動から、浅野は犯人の殺人行動が母親的存在に拒絶された心的外傷に起因したものと考え・・・
浅野は意を決して、とある計画を篠原に告げます。
浅野がNY時代に参加していたプロジェクトに「不要な記憶を操作する」というPTSD患者向けの治療研究があり、これを自分に実行しようと考えていること。
ただしこの治療には、要らない記憶を精神の最奥へしまい込んでしまえる代わりに、大切な記憶も奪われてしまう可能性があることが臨床で判明しており、これを実行すればおそらく浅野は篠原のことも忘れてしまうこと。
それでも浅野は「犯人の顔を思い出すために」自分の記憶を一度消して、あの凄惨な6日間を再度忠実に再現することを決意し、篠原にその協力者になってもらいたいこと。
そして時間軸はあの1巻へと繋がっていきます。
3巻まで読み終えた時、私はてっきり事件のトラウマによって失われた記憶を事件解決のために「取り戻すための」、あの猿芝居だと考えていたのです。
それがなんということ、、、事実はそんな生易しい話ではなく、篠原の了承を取った上で自分の記憶を消して、浅野は「アレ」に臨んでいたと。
あぁ、だから篠原のあのセリフ、あの表情だったのかと。
ようやくすべてが理解できた1巻のあれこれ。
浅野の記憶を操作する前の2人で過ごせる最後の夜にベッドの中で浅野への愛の言葉を伝える篠原に、泣けて泣けて仕方なかったです。
こんなにも悲しい「さよなら」があるだろうか、、、、、
「今までもこれからも「愛してる」なんて言葉 私には不要です」なんて言っていた浅野が篠原に最後に伝える言葉にも泣けたなぁ。
さて、犯人の顔を思い出したことになるのだけど。
一度操作した記憶は元に戻せないと4巻のラストで説明がされています。
浅野はどうなるのだろう。篠原との日々を思い出せるんだろうか。
どうか2人に幸せな未来を、と願ってやみません。
本シリーズは珍しく電子版の方が修正が薄いのですが、3巻で突然白抜きになってしまって泣きました。
今回は描かれない構図に変更されています。無粋な白抜きにされるくらいならこっちの方が全然いいです!
あと、今回は裏表紙も収録されていました◎
3年ぶりの新刊で前巻の内容を覚えているか不安でしたが、そんな心配も無く一気に「In These Words」の世界に引き込まれてしまいました。
圧倒的な画力と優れたストーリーで、まるで映画でも観てるような気持ちになりました。
浅野が目覚めるまでの篠原も切ないけど、犯人の顔を思い出す為に浅野がとった決断も切なすぎました。
浅野が誘拐される前、2人が出会う前まで記憶を巻き戻すという事は、2人の出会いから愛し合った間の全ての記憶を失う事なんです。
薬で眠る前に浅野が伝えた言葉と、眠った浅野を抱きしめて願う篠原が切なすぎました。
そして眠る浅野を置いて部屋を出る前に見せた篠原の表情!
これが衝撃的だった1巻に繋がる内容だったのかと思うと驚嘆しました。
あとがきに篠原を殺す予定だったとあって、全力で止めてくださった周りの皆様に感謝です。
次は何年後になるか分かりませんがじっと待ち続けます。