電子限定描き下ろし漫画付き
「スクリーン」を食ってしまったキャラ!及川歩のターン。
基を助けるために、という理由で歩と「恋人」になったマネージャーの鴨志田視点。
鴨志田の方は本気も本気、役者としての及川歩にも、個人としての歩にもベタ惚れ。
だが鴨志田は歩の真意がわからない。
鴨志田にしてみれば、歩の心も欲しい。
でも歩は、セックスめちゃめちゃしてるじゃん、と。
2人の価値観というかベクトルの向きがズレてるんですよね。
…という背景があっての、仕事お休み中の歩が復活していく展開。
演出家/映画監督の一ノ瀬との仕事でまたやる気を出していく歩に対して、自分がいては歩の価値が下がる…
そんな風に思うようになる鴨志田。
シリアスな空気感。
でもちゃんと歩は歩の愛し方で鴨志田を愛しているのですよね。
誰にも似てない、誰とも違う魅力を放つ歩。
そんな歩に引き込まれて、全てを賭ける鴨志田。
唯一無二の2人の愛の形があらわれて、思いがけず胸アツ。
描き下ろしのアーニーも最高です。
スピンオフ元も面白かったですが、こちらも面白かった。
「スクリーン」を読んでなくても意味が分からないとかは無いかもしれませんが、読んでからの方が断然楽しいのではないかと思いました。
あゆむ、鴨志田、基、カズの関係性が分かるし、あゆむと鴨志田の付き合い始めた経緯が分かり易いと思うので。
付き合っているのに、とにかくあゆむに愛されている自信がなくて、あゆむの気持ちが自分にあるって分かりはじめたところに刺されるという、なかなか不憫な鴨志田が好きでした。
いい大人が振り回されるBLっていいですよね。
小悪魔な受けも好きなので、このカプは本当に好みでした。
あゆむが死んじゃうパターンの案があったみたいですが、誰も死ななくて良かったー泣
あゆむくんのお芝居にかける情熱と、不器用だけれど確かな愛を感じる1冊でした。
鴨志田さん、不憫ですね……
振り回されても、あゆむくんに着いていく。
最終場面では、何よりも強い覚悟を感じました。
『スクリーン』のカズ&モトキくんカップルも、前半にたくさん登場しております。
相変わらず(?)ますますラブラブになった2人の姿も、見どころの1つです。
『スクリーン』と『あゆむくん』
2冊並べると、2組カップルの違いがよく分かる装丁になっていますね!!
キャンプ先生、面白いですね!!
作品は勿論のこと、先生ご自身がとてもユーモアに溢れている方なのだと、容易に想像出来ます。
カバー下のあとがきで、吹き出してしまいました……
「スクリーン」のスピンオフ作品。
サブキャラクターとは思えないほどの抜群の存在感と、同時収録作ではマネージャーの鴨志田さんを小悪魔的に翻弄していた歩くんのお話ですよ!
とにかく歩くんが可愛くて仕方がない。
村上キャンプ先生の歩くん愛に溢れたアツいコメントの数々に頷いてしまう。BIG LOVE。
攻めの鴨志田さん視点で描かれている今作。
世間に公表済みの恋人で、あれだけえっちもして、一緒に居て。
けれど、始まりが体の関係からな事、元々淡白な歩くんからの直接的な好意の言葉がない事、自分の立場とは?と、関係の危うさに不安を感じている鴨志田さん。
ここがですね、鴨志田さん視点なのが効いているというか、村上先生マジックというか、これだと鴨志田さんの不安な気持ち分かるなあ…なんて、可哀想だとか不憫に思ってしまいがちだと思うんです。
でも、じっくりと読んでみると鴨志田さんも脳内で思っているだけで、直接歩くんに対してきちんと言葉にしていない事が分かります。
下手をしたら「好き」の一言すら言っていないのでは?
ようは2人とも言葉足らずで不器用。
側から見ればどこをどう見ても相思相愛なのに、言葉にしないだけでこうも拗れそうになってしまう。
やっぱり言葉に出すのって大事ですね。
演技力は抜群だけれど、素の部分がとても分かりにくい歩くん。
かなり風変わりで、胸の内が超が付くほど分かりにくい人なのですが、作中のあちこちで本当にさり気ない鴨志田さんへの愛情表現が見られます。
名前の件といい、たこ焼き屋の件といい、伏線回収が上手過ぎて読み返した。キャンプ先生すごい。
自然と鴨志田さんと一緒に居る未来を思い描いていたという…
鴨志田さんには照れからか全く言わないのに、本人が居ないところでは惚気のように鴨志田さんの話ばかりしている歩くんが可愛い。
うーん、この不器用な愛情表現が可愛くて好き。
ラスト付近のころころと変わる表情がまた愛らしい。
巻き込んで振り回して、それってある意味すごく分かりやすいと思うと言った一ノ瀬さんの言葉がまさに歩くんといった感じ。
どうでもいい人にはそんな事しないですもの。
歩くんという名の魅力的な嵐に出逢ってしまった時点で、鴨志田さんも私たちもすっかりと飲み込まれてしまったのでしょう。
今回も俳優のお仕事描写が絶妙に絡んでいて良かったです。
歩くんに火を付けたのは一ノ瀬さんじゃなくて鴨志田さんのあの一言なんですよね。
稽古中から芝居への熱量がたっぷりだった、基との2人舞台も観てみたいなあ。
アーニーも可愛かったし、サブキャラクターも魅力的で、隅々まで楽しめる作品でした。
あゆむくん、大好きになってしまったな。
それから、カバー下のあとがきの「ネームが通らなかった数十年後の歩くんの最期」まで描かれた版も読んでみたかったかも。
「長生きしてね」の言葉もありましたし、それくらい末長く2人で一緒に過ごすって事じゃないですか…?
NGが出たのも分かりますし、当然賛否はありそうだけれど、そういう幸せな最期の描き方はすごく好きかも。
前作『スクリーン』は既読ながら、内容ははっきりとは覚えていない状態で『あゆむくん』を読みましたが、問題なく楽しめました。
俳優のあゆむは、マネージャーの鴨志田と付き合っています…が、そもそも付き合い始めたきっかけは、良きライバルである同業の夏目基のスキャンダルを隠すため。あゆむにゾッコンの鴨志田と比べて、あゆむからのデレはなく、鴨志田が恋人らしいことがしたいと言えば「セックスはめちゃくちゃしてるじゃん」とあっさり(何が問題なの?的な)。鴨志田は、あゆむは自分のことをどう思っているのか?と常に複雑な気持ちです。
ですが本当は、、、あゆむには情緒がない(笑)だけで、ちゃんと鴨志田のこと、好きなんです!!わかりにくいだけなんですよ!!!!
あゆむは「気を遣う」類のことはしないので、今さらになって鴨志田に下の名前なんだっけ?と聞いたり、演出家である一ノ瀬にめちゃくちゃ懐いてる姿を惜しげもなく披露したり…うわ、鴨志田かわいそう(笑)。あとがきにも書かれていますが、さすが村上キャンプ先生、今作も不憫萌えが炸裂しております。
でも実は、あゆむが名前を聞いたのは、誕生日プレゼントに鴨志田の下の名前を入れるため。基にわざわざ相談して、プレゼントを選んでいたんです。さらに悩んでもう一つプレゼントを渡す始末…かわいい。
一ノ瀬にも、一ノ瀬が恋人にして喜ばれたことを聞いて、それを鴨志田に実践してるんですよ…かわいいいい。
鴨志田と付き合っているというスキャンダル以降、表舞台から遠ざかっていたあゆむですが、一ノ瀬が演出する基との二人芝居の舞台で、復帰することを決めます。稽古場で演技に真正面から向き合う、イキイキとしたあゆむの姿を見て、鴨志田は、もう自分があゆむについていてあげる必要はないと悟り、退職願を書きます。
その後、あゆむが描く将来像に、当然のように自分が存在していることに気付き、退職は思い留まるのですが…書いたからには必ず誰かに見られるのが退職願ですよね(笑)。あゆむに見られるのかと思ったら、一ノ瀬でした。この一ノ瀬が、鴨志田があゆむの側を離れない決意をするための背中を押してくれるんですよね。飄々とした良いおじさんって感じです。既婚です。
ちなみに退職願を一ノ瀬に見られたのは、鴨志田があゆむに執着するファンに刺されて(!)、現場に残されたカバンからはみ出た退職願を、一ノ瀬が回収したからなんです。人が刺されたのに「ちなみに」とか言ってしまいましたが(笑)、あゆむが誕生日にあげたコートのおかげで、鴨志田は軽傷で済んでいます。
こういう、コートが後々役割を果たすとか、あゆむが鴨志田の名前を聞いたこともそうですけど、伏線を回収する描写が、村上キャンプ先生はお上手だな〜と思います。
基との二人芝居の千秋楽を終えたあゆむに、鴨志田はこれまで遠慮して言えなかった言葉をついに伝えて…ハッピーハッピーエンドです。
あゆむのわかりにくい愛情表現が最高でしたし、あゆむとの関係に自信が持てない鴨志田にも共感でき、とても良かったです!
最後、あとがきの「オ◯ブルーさんじゃないんですよ」は、私も笑いました。