• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作完璧な恋の話

組木貴裕
26歳,有能な後輩サラリーマン
森吉慧
28歳,人事部勤務のサラリーマン

その他の収録作品

  • きっとあなたのことだから(書き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

完璧じゃないのに周囲に完璧と目されて後ろめたい思いをしている森吉。
ある日、密かに“本物”の完璧な男と認めていた後輩・組木に告白されて!?

作品情報

作品名
完璧な恋の話
著者
渡海奈穂 
イラスト
梨とりこ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525094
3.9

(81)

(29)

萌々

(35)

(7)

中立

(6)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
12
得点
312
評価数
81
平均
3.9 / 5
神率
35.8%

レビュー投稿数12

タイトルがうまいで賞

世の中に“完璧“というものほど胡散臭いものはないと思ってる読者です。
正直あんまりキュンしなかったのですけどw、でも萌2っていうのは着眼点が面白くていい作品だと思ったからです。攻め受け、どちらも”おまえ恋愛やめろよ、相手がかわいそうだ”的なキャラクターで…ないわーって思いながら楽しく読んでしまったのでした。このいろいろ欠落している人たちの恋愛模様に、とりこ先生のイラストが絶妙マッチング!あと、受け攻め両視点で展開するのがよかったです。

んでもっていっぱい”気づき”があったんですよね。博愛主義者を愛する不毛さとか…、”へー”ボタンが何度押されたかわからないくらい”へー”がありました。一見まともに見えて、非の打ち所がない人たちが抱える異常さ(ってここまで闇深くないけど)を炙りだすのがめちゃくちゃ上手いな~って感心しまくりでした。博愛主義っていうかもはやサイコパスな印象だったんですけど、これは攻めが不憫だ~、、でもこの攻めの潔癖さ、内面的な冷酷さに反して人当りがいいところとか、やべーわー…て。でもヤバさでは圧倒的に受けが勝ってましたw。

このヤバ×ヤバにあって、とっても人間味を感じたのが、攻めの元カレ・笹尾と受けの弟・庸介。このふたりがめちゃ気になります。

書き下ろしはシュール可笑しかったです。恋人と一緒にご飯食べると美味しくて食べすぎるから”糖質制限ならぬ組木制限”とか、あられもない姿で真面目な話してるふたりが本格的にバカップルになっててちょっと安心しました。

1

二人を深堀りするお話?

森吉細すぎでは!?
感想の前にそのことで頭がいっぱいになってしまいました。

久しぶりに現代ものを読むので新鮮でした。
登場人物も絞られており、ひたすら内面を掘り下げ、自分を見つめ、弟や組木の言葉にハッとしたり。

博愛主義卒業か?
やっと森吉が特別な人が出来て恋する気持ちを知りましたね。
ポンコツというかなんというか。こりゃ相手は堪りませんね。

完璧であろうとしすぎるあまり空回ったり、すれ違ったり傷つけたり。
でも恋したら良く見られたいし、相手の許容範囲を知りたいし知ったら守りたいし。
うーん、なんか組木が可哀想な印象が強くて…。

ポンコツ森吉の手綱をしっかり握ってほしいですね。
初めて恋をした男と恋に苦しんできた男かあ。

0

完璧な男とは誰のこと?


八方美人が高じて完璧な男と勘違いされている男と、中途入社で努力せずとも完璧な男(但し潔癖)の割れ鍋に綴じ蓋カップルの話


周りの期待に応えるため努力し完璧な男という評価をほしいままにしている森吉
(受け)。
いつかボロが出るんじゃないかとひやひやしながらも本来の自分を出すことはできず今日もまた人の悩みや頼みをことわることができず奔走しています。
そんな森吉の前に本物の完璧な男が現れます。中途採用で入った組木(攻め)です。
自分のようなハリボテと違って本物は違うと羨ましく思っていたのですが、ある飲みの席でいつものようにお節介を焼いてしまい、結果告白され付き合うことになってしまいます。
お試しのような形で付き合いを続けていくうちに、組木からの好意を心地よく思うようになって、ふいに自分はこんな風に人の特別になろうと努力したことがあっただろうかと自分が酷く欠陥品であるのではと思い至るようになります。
そんなタイミングで組木の元カレ・笹尾が現れて・・・



表題作と書き下ろしの2編で構成されています。
表題作で二人が付き合うまで、書き下ろしは付き合いだしてからの話でした。

基本は森吉視点ですが、要所要所で組木視点に切り替わります。この切替のタイミングが絶妙で、とても楽しく読めました。

二人とも周りから見ると完璧な男なのですが、実のところ森吉はポンコツだし、組木は潔癖だし人間味のある人物です。
森吉は弟妹にまで完璧な人だと思われていますが、末の弟・庸介だけは森吉の八方美人でがんばって取り繕っていることを見抜いていて辛辣な言葉を投げかけています。酷く嫌っているような言動をとっていますが、実際はお兄ちゃん大好きなんだろうなと微笑ましくなります。

組木は両親がそれぞれ不倫をして家庭を壊していったので、浮気がトラウマになっており、元カレとはそれが原因でダメになっています。

笹尾が現れ、せめて浮気したことを謝りたいと言い出し、けんもほろろに追い返す組木をみて可哀想におもった森吉が相談に乗ってしまったことで組木と険悪な関係になるのです。
この笹尾ですが、彼の生い立ちには同情はするけど、どうにも好きになれませんでした。
森吉の中でまだちゃんと恋人になっているわけではないけど、笹尾の方は森吉が組木の恋人であると認識していながら、組木とのあれこれを森吉に話すという行為はふざけているとしか思えない。
組木という上等な男の恋人になり肯定し続けられ自分に自信をもった結果輝いて見えてだからこそ周りからアピールされたとちゃんと理解できていれば、こんなことにならなかったと思うと自業自得としか思えない。ちゃんと反省して今後に活かせているとよいのですが。

そして、笹尾の話を聞くたびに組木が嫉妬しているのに気づいていない森吉には笑えました。


それにしても、森吉の八方美人ぶりは徹底していますが、仕事に忙しく構ってくれない両親の関心を引きたいがため頑張った結果、後戻りできず誰かの期待に応えるようになり今の森吉ができたのだとしたらとても哀しい。
そして、無駄にスペックが高かったことでぼろが出ることがなく今まで来てしまい後に引けないことになってしまっています。
周りの期待に応えることが当然になった結果、自分が人の心がわからないポンコ
ツになってしまっていることに気が付いていない
組木と付き合うことによって自分のポンコツ具合に気が付けて本当によかった。


特に面白かったのは書き下ろしの「きっとあなたのことだから」です。
体重が7キロも増えてしまったと悩み、怠惰な自分は組木に愛想をつかされてしまうのではと焦ったあげく、変な行動をとってしまう。

そして、その態度は浮気した元カレたちの行動に似ている。組木は一瞬浮気を疑うけど、一般人と同じ行動を森吉がするわけがないという変な信頼により、斜め上の行動原理により自分を避けていると確信した組木は「どんなポンコツな理由でも怒らない」と決意するのです。
そして、組木からの圧により避けきれなくなった森吉は組木に愛想をつかされないために「ポンコツはポンコツなりに向上心のあるポンコツであろう」と決意する。
もうこの二人には大笑いです。
完璧な男とは誰のこと?

大体167cmもあって60キロちょっと超えたくらいはっきりいって全然太ってないのに何言ってんだってところから始まりますが。オチも笑えました。
この1週間は一体何だったんでしょうね。
二人の仲が一層深まったってことでいいんでしょうかね。
そして、最後に庸介の落とした爆弾にもびっくり。
最後まで楽しませてもらいました。

2

このシチュエーション大好き!

本物の完璧な男と完璧を装う男の話、のようだが堅物ゲイと凡人の話に見えた。仕事絡みで完璧な人間の定義が自分と作者でズレているんだろうと思った。

攻めの組木はゴリ押しでグイグイ攻める。過去の恋愛事情を語った直後に告白するのはどうかと思ったが、うっかりOKする展開は大好物なので、わくわくさせてもらった。
気持ちを隠さなくて良い状況で好き好きアピール、それを知っていて戸惑う心理描写、ほのぼのエピソードにきゅんが詰め込まれ、恋愛小説の醍醐味を存分に味わえる。
弟のキャラも良い。作中で一番好きなキャラかもしれない。

唐突な攻め視点への変更は、終始目を白黒させている感じで笑ってしまった。ただ、それまで見てきた森吉と組木の内面とは異なる印象を受けたので、この二人をこういう風に作者は書きたかったのか、と確認・修正する作業のよう。説明臭さも気になる。
ここで明かされる、元々視点主だった受けが実はとんでもなく厄介な人間だった~という裏切り(いい意味で)は、とても面白かった。

まとまる過程は受けのターンとばかりにぐるぐるして、これも見ていて楽しい。何かと不安の残るカップルではあるが、爽やかに終わってくれたので良かった。森吉のキャラが軽い感じなので、ドロドロ要素をまるっと綺麗に緩和してくれたのも大きい。

タイトルにもある「完璧」をちょいちょい文中に挟んでアピールしなければ、もっと引っかかることなく楽しく読めた。自己評価は低いのに他者評価は高いと思っている、面倒な心理構造の受け。その程度の仕事で完璧扱い?という描写しかなく説得力不足。細かく書く必要は無いが、レベルが低すぎると、完璧と持ち上げる周囲がただの太鼓持ちに見え、BL特有の愛され主人公感に白ける。

挿絵はイメージにぴったりだった、好き。

3

めんどくさい大人の恋愛でした

初めはですね森吉のポンコツっぷりと言うか人でなしぶりに読んでて呆れてしまったんです。
そして組木の元カレに対するあまりにも凄い拒絶と潔癖ぶりにはドン引きしてしまいました。

それでも森吉が組木の元カレに相談されて、モヤモヤしたり聞きたく無いと思い始めてからは読んでて断然面白くなって来ました。

そして好きだと告白するだけなのに、タイミングを計り過ぎて相手を不安にさせて…。
でも組木も学習していて森吉が斜め上な事を考えているくらいはお見通しで、最後には強引に連れ帰った時には拍手喝采でした。

そして思いを伝えあってからの身体を繋げるまでが早かったです。森吉が組木の元カレの言葉を思い出しそうになって考え無いようにしたりとか、普通の感覚に近くなっているのにも嬉しくなってしまいました。

書き下ろしもやはり森吉が暴走してて、恋する乙女状態で体重を気にしていたのには笑ってしまいました。普段が176cmで52キロって…。ガリガリ過ぎて読んでてまたドン引きしてしまいました。結局は体重計が壊れてて8キロ増じゃなくて2キロ増だったんですけど…。

書き下ろしは流石に糖度が高かったです。森吉が組木不足になるのも良かったし、ベッドでもあんなに積極的になるんだってビックリしました!

森吉の末弟の庸介がとても小気味良いキャラだったので、庸介と彼氏のお話を是非スピンオフで読みたいと思いました。

1

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP