赤い月の夜、竜人は運命の対に発情し、奇跡が起きる

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表題作竜人と星宿す番

エルドラド,248歳~,森に住む巨大な赤い竜である竜人
ノア,17歳~,エルドラドの生け贄になろうとする孤児

その他の収録作品

  • あとがき
  • 暁の星

あらすじ

「オレを食べてください。お願いします…! 」 「去れ、俺は人間は食わん」
村を守るために巨大な竜エルドラドの生け贄になろうとして拒まれたノアは、
怖い見た目に隠れた竜の寂しさに気づき、放っておけなくて強引に一緒に暮らし始めた。
最初は拒んでいたエルドラドだが、
おひさまのようにニコニコほわほわしたノアを愛して竜人に姿を変え、発情してしまい…!
やがて結婚式を挙げた二人は、不思議にも種族や性別の垣根を超え、子供を授かる。
その子はとても強い力を宿していた…!

【登場人物紹介】
エルドラド/森の奥に一人で住む巨大な赤い竜。
孤独に生きる運命を受け入れていたが…。

ノア/孤児だが村人たちに可愛がられて育つ。
川でエルドラドの体を洗ってあげるのが大好き。

作品情報

作品名
竜人と星宿す番
著者
櫛野ゆい 
イラスト
高世ナオキ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
シリーズ
竜人と運命の対
発売日
電子発売日
ISBN
9784799748633
3.4

(15)

(2)

萌々

(8)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
5
得点
49
評価数
15
平均
3.4 / 5
神率
13.3%

レビュー投稿数5

愛する人と共に生きる喜び

「竜人と運命の対」と世界観を同じくする作品で、初代竜王の両親の物語になります。

村を守る為に、巨大な竜の生け贄になろうとしたノア。
しかし、その竜が、村人が恐れるような残虐な存在では無く、孤独だと気づいた彼は放っておけずに共に暮らし始めるんですね。
やがて二人は心を通わせ、不思議な事に子供まで授かりますがー・・・と言ったものになります。


こちらですね、もうとにかく、めちゃくちゃ面白かったです。
や、あらすじから、ひたすらほのぼの甘々~みたいのを想像してたんですけど、ハラハラドキドキあり、涙あり、感動あり、もちろん萌えありって感じで、こう緩急の付け方がお見事。

初代竜王の両親が主役になるんですけど、ただの人間であるはずのノアが、何故子供を授かったのか?
また、愛する母親を逆鱗狩りで失い、その孤独から竜の姿になってしまったエルドラド。
逆鱗狩りの犯人の正体に、母親の死の真相。
そして、黒幕との対決に、悲しい真実ー。
と言った具合で、あちこちに伏線が張られていますが、これがお見事に回収されてるんですよね。
いや、終盤で全ての真相が明かされますが、こう複雑に絡み合っていたか!と。
そしてありきたりな事しか言えないけど、もう二人が出会ったのは運命でしかないよ!と、深く感動しちゃうんですよ。

うわ~。
ノアとの出逢いを皮肉な運命と取らず、感謝するエルドラドにはホロリとしてしまう。
初代竜王の両親という事もあり、脈々と受け継がれて行く命みたいな、大きなテーマにも感動してしまう。
うん。すごく素晴らしいお話だと思います。
ファンタジー好きさんには勿論の事、二人の恋愛だけじゃなくてプラスアルファで何かが欲しいって方にもオススメだと思います。

ちなみに、このシリーズですが、攻めの溺愛ぶりがテーマと言いますか、お約束なんですよ。
今回の攻め・エルドラドもですね、見事な溺愛ぶりを発揮してくれて、ひたすら萌え転がらせてくれました。

や、そもそもエルドラドですが、すごく愛情深い男だと思うんですよ。
母親が亡くなった悲しみから、竜の姿になっちゃったくらいですし。
一人(一匹)で洞窟で暮らしてたのもね、竜の姿だから居られる場所が無かったのでは無く、愛する存在を作らない為なんですよね。
愛する存在が再び出来た時、失う事に耐えられないみたいな。

これ、主人公であるノアが、そんな彼の孤独を溶かして行くのが素敵でした。
彼は肝が太いと言うか、ハッキリ言って図太いタイプだと思うんですよ。
脅したりすかしたりとエルドラドが必死で追い払おうとしても、図々しくエルドラドの元に居座りてな具合で。
ついでに、けっこう危なっかしい部分もあって。

そんなノアをですね、「こいつは本当に世話がやけるっ」とか言いつつ、エルドラドがついつい面倒を見ちゃうのが微笑ましくて微笑ましくて。
ノアのお兄さんが結婚する事に難色を示せば←(弟はやらん!ってヤツです)、「ノアは真実俺を愛してくれてるんだ!」と、尻尾をバシバシやるのが笑えて笑えて。
一人で生きてくのは、寂しすぎるよね。
再び愛する人が出来て、共に生きる事が出来て、本当に良かったねと。

あと、ノアがですね、わりと暴走するタイプなんですよね。
最初の竜の生け贄なんて、その最たるものですし。
他にもやらかしてるワケですし。
ただ、それもこれも、すべては愛する存在を守りたいと言う強い意思からです。
まぁ、エルドラドは、苦労が絶えないだろうとちょっと同情しちゃうけど。

最後になっちゃいましたが、竜人と言えばオラーン・サラン。
発情しつつも懸命に暴走を抑えてるエルドラドには萌えました。
そんなエルドラドの努力を台無しにする、ノアのなかなかの煽り受けぶりにも萌えました。

それにしても、逆鱗狩りの黒幕の真実が悲しすぎますねぇ。
シリーズ全て既読な為、色々思うところがありますよ。

5

ふんだんに盛り込まれている"癒し"

2020年刊。
『竜人と運命の対』スピンオフ。
今回はジーン達竜人一族の里の初代竜王・リドガルドの両親にあたるエルドラドとノアの馴れ初めから結婚、やがてリドガルドが産まれて…のおはなし。

それにしても竜人って個々に鱗の色が違っていてカラフルだね、ってのが今回の新たな発見だったりする。
元々異形(人外)攻めも好きだったりするので、竜の姿のエルドラドとノアの歴然とした大きさの違いにも、エルドラドが竜人に戻った姿でもまだ体格差があるのにもニンマリした。

この話は、古の頃から既に起こっていた竜人と方術使いの争いが書かれているのにも目がいくが、物語全体のキーワードが”癒し”になるのでは?とも感じた。
母親を亡くした悲しみの末、竜になってしまったエルドラドが懐に飛び込んで懐いてくるノアに心惹かれていく様子もそうなのだが。
ノアの育った村は、他の物語で見かける『異形の者と人間の間に産まれた子供が村人から迫害されて』云々ってのがなく、竜人のエルドラドも二人の間に産まれたリドガルドも分け隔てなく共に暮らしている。
ノアだけでなく、彼の兄夫婦や二人を祝福する村人達の大らかさには読んでいる側も大いに癒された。

実はノアが受け継いでいたとある竜人の逆鱗にも強大な治癒、癒しの力が秘められているらしいのだが、この辺りの秘密はもうちょっとはっきり書かれていても差し支えなかったかとは思う。
ちなみに、シリーズ本編では竜王、竜王妃が受け継ぐ逆鱗は竜人一族にとって命を懸ける程大事なものとなっている。
有力な竜人の逆鱗でさえ強大な力を秘めているとは、道理で方術使い達が長年に渡って執着して争いとなる訳だわ…
おかげで、男の子のノアにリドガルドを授かった神秘にも充分納得できる。

…となると、遠い将来ジーンと陽翔の間にも子供が産まれる可能性、なきにしもあらずだな。

2

運命の対の起こす奇跡

今回は村近くの森に棲む竜人と村長の義弟である孤児のお話です。

独りで生きる攻様が受様と関わる事で遺恨を晴らし未来の希望を掴むまでと
2人の息子が初代竜王となってからの後日談を収録。

受様の生まれた村は流行り病で全滅し、両親も幼い息子を旅人に託してすぐ
亡くなり、受様はその旅人によって隣の村の村長に託されます。村長も息子
夫婦を同じ病で亡くしていて、受様は残された男孫と兄弟のように育てられ
ます。

隣村とは言え受様の村は比較的緑豊かな村、隣村は周囲を砂漠に囲まれた村
で人種も異なります。しかしながら受様は村の一員として他の子供達と分け
隔てなく叱られ、褒められ、愛されて育ちます。昨年村長が亡くなると若い
ながらも聡明で村人の信頼も兄が村長となり、受様も兄を支えてより村の為
に尽力するようになります。

そんなある日、1人の村人の狩りで入った森の洞窟で竜と遭遇、竜は人語を
解し「去れ、さもなくば食うぞ」と村人を追い払ったと言いますが、巨大な
怪物に、いつ何時村が襲われるかわかりません。

村人達が竜対策を話し合う中、誰かが生贄を要求されるのではと言い出し、
受様はそうなったら自分が生贄になると名乗り出ます。村長である兄も村人
も受様が贄になる事を反対し、まずは村長が交渉に行く事とになります。

しかし、大きな竜を満足させるほどの家畜が1等や2頭で済むはずはなく、
小さな村には大打撃です。受様は単身、竜の棲む洞窟に向かい、炎のような
真紅の鱗に覆われた巨躯の竜に「生贄になるのでオレを食べて下さい」と
訴えたのです!!

この真紅の竜こそが今回の攻様になります。攻様は黄金の瞳を光られせて
唸り、受様の村は貧しく、村人への恩を返す為にも自分を食べて立ち退いて
欲しいと訴えますが、攻様は母竜を亡くして以来、何年も前からここにいて
今更人間を襲わないと言い、生贄の受け取りも拒否して、大きな牙をむいて
受様を恫喝するのです。

受様は無我夢中で洞窟を飛び出しますが、唯一の肉親だと言う母を亡くした
という攻様の目は悲しそうで、受様は肉親を失い傷つき、孤独を抱えたまま
1人で過ごしている攻様の事が気になって仕方なくなり・・・

櫛野先生の既刊『竜人と運命の対』のスピンオフで、既刊の攻様一族の里の
初代竜王の両親の恋物語で、竜、竜人、人型と3種の形態が楽しめるもふ
もふファンタジーになります♪

既刊とは時代が違いますので既刊未読の単巻読みも可能です。ただ既刊と
違って男同士で妊娠出産するため、地雷な方はご注意必須かと思われます。

結局受様は攻様が村人を襲わない事を証明するために、攻様の世話係として
攻様と一緒に暮らす事にします。攻様の意思はほぼ無視した強引な同居宣言
でしたが、受様は攻様を寂しいまま1人にはしておけなかったのです。

攻様は再び戻ってきた受様が纏う友好的な気配にびっくりし、受様の宣言は
ただのお節介にしか思えませんが、無遠慮に攻様に触れる受様を振り払う事
もできませんでした。それは攻様が尾を振り払ったら、受様の命が簡単に
消えてしまうかもしれないからであり、攻様が内心で嫌がろうとも受様との
同居生活はスタートしてしまうのです。

この様に2人の関係は受様の押せ押せムードで始まりますが、徐々に攻様も
受様に心を開いていき、やがて母の死の悲しみから失った竜人姿を取り戻す
ほどに受様に惹かれ、2人はお互いを大切な相手となっていきます。

前半は受様事情に寄って物語が進みますが、後半は攻様の母親の敵の影が
見え始めます。そしてその影は受様の命を救った旅人とも絡まり、大きな
渦となって2人に襲い掛かる事になります。

攻様や受様の過去に巧みに隠されていた謎が巧妙な伏線となり、最初のほの
ぼの路線から、敵と対する緊迫の最終決戦、大団円を迎えるまでハラハラと
ワクワクとドキドキが止まらず、たいへん楽しく読ませて頂きました♪

私はこのシリーズの竜人の攻様達の尻尾が大好きです♡ 竜人形態(!?)だと
彼らの表情はなかなか分かり難いのですが、尻尾が見事に内心を代弁して、
嬉しくてフリフリとか、苛立って床ダンとかされるとムフフ笑いが止まり
ません。本作でもそんな攻様が見られて萌え萌えでした ヾ(≧▽≦)ノ

スピンオフが出るたび、タイプの違う竜人が出てきて楽しませて頂いてい
ます。本編続巻を楽しみにしていますが、また新たな竜人カプの恋物語も
期待しています。

1

二段組で読み応えありました!

「竜人と嫁の恋暮らし」だけ読んだ事があります。そちらは物語が動き出すまでが長過ぎたのですが、こちらの作品は全体のバランスも良く、伏線も上手く回収していてとても面白かったです。

母の死を悲しんだエルドラドが竜の姿から戻れなくなりノアを愛した事で竜人の姿に戻れた過程も、ノアがエルドラドの子を妊娠出来た理由も自然で納得できました。

そして2人の子供が産まれて4年後に一気に物語が動き始めます。
新たな竜人の登場に何の不自然さも抱かず、まんまと櫛野先生の筆力に騙されてしまいました。

2人の子供のリドガルドの力にワクワクしたし、エルドラドの深い愛情とノアの身体の中の逆鱗の秘密に涙しました。
逆鱗を集めていた竜人の狂気は恐ろしくも気の毒でもありました。

最後の小編で「竜人と運命の対」のCPが登場したので、そちらも読みたいと思いました。

0

始まり

やっぱり読んどこうかなと購入。あらそうだったの、という竜シリーズの最初に戻るお話でした。読んで良かったわ。本編二段組240P弱+あとがき+二人の子供が大きくなってからのお話9Pほど。ジーンと陽翔もちっぴり出てきます。

一人の村人が近くの森の洞窟の中で竜を見た!と村にあわあわ帰ってきます。この村で竜を見たことはなく、そのうち襲われるのではと恐れる村人たちは「生贄を出して竜に立ち退いてもらえば」と言い出して・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ラジャ(受け兄)、ミラン(兄嫁)、キース(攻めの従兄弟)、リドガルド(攻め受けの子)、シェーシャ(受けの命の恩人、竜人)、悪党。1作目のカプ、ジーン♡と陽翔。

++攻め受けについて

竜人さんって、あんまり大きくキャラが変わんないのかな。受けのことが好き好き大魔神。匂いも全部俺のもの、キースが嗅ごうとしたら怒ってましたよ・・力強い竜人のはずのなのに、受けのことについてだけは心が狭い狭い。しっぽぺしぺしして怒ってます、可愛い。

今回の受けは、健気な一面はありますが、陽キャラな印象が強かったです。馬鹿という訳でもなく思慮深いという様にも感じられず、ごく普通で周りを思いやれるタイプだなという感じかな。子供(リド)が出来て、3人で川で遊ぶシーンが1か所あって、そこの楽しそうな事!攻めのしっぽにくっついて、ぶんっって回して川に飛ばしてもらうというものなんですが子供のみならず、受けまで一緒になってきゃあきゃあ大はしゃぎ。一緒にやってみたいわ・・

攻めも受けもそんなにめっちゃ好きというものではないですが、竜人族を統一したリドガルド王誕生の経緯が読めて、良かったなあと思ったお話でした。

1

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