可愛い猫には旅をさせよ

kawaii neko niwa tabi wo saseyo

可愛い猫には旅をさせよ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神7
  • 萌×223
  • 萌7
  • 中立1
  • しゅみじゃない3

84

レビュー数
10
得点
149
評価数
41
平均
3.7 / 5
神率
17.1%
著者
安西リカ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
ユキムラ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784403525131

あらすじ

王城の魔術師アンリは、王妃さまの命を救うため、
ある日国一番の騎士・バルドーと旅に出ることになり……?
ファンタジック・ロマンス♡

表題作可愛い猫には旅をさせよ

バルドー,国一番の騎士
アンリ,王城で一番年若い魔術師

その他の収録作品

  • 凛々しい騎士には猫が必要
  • あとがき
  • 新しき友

レビュー投稿数10

とにかく可愛いぞー!!

こちら、安西先生初のハイファンタジーで、タイトルや表紙から受ける印象通りの可愛くて優しいお話。
国一番の騎士と、強大な力を持つものののんびり箱入りな魔術師が、共に旅をして西方の黒い森を目指す・・・と言ったお話になります。
えーと、まるでディズニーのおとぎ話みたいな雰囲気なんですけど、上手く伝わりますかね?

若干、展開に都合良さや唐突感なんかを覚える部分もあるんですけど、安西先生の持ち味が良く出た、とても柔らかくて優しい、可愛らしいお話だと思います。

内容です。
その魔力の強さ故に、若くして王城の魔術師団に迎え入れられたアンリ。
病に苦しむ王妃を救う為、国一番の騎士・バルドーと共に、はぐれ魔術師の住む黒の森を目指す事になりますがー・・・と言うものです。

で、こちら、繰り返しになりますが、とにかく可愛くて優しい世界観のお話なんですよね。

そもそも主人公であるアンリですが、魔術師としての実力はあるものの、おやつと昼寝が大好きなおっとりのんびりした性格。
こう、周囲も、一番年若い彼を孫や子供のように可愛がっていてと、愛されて育ったが故の呑気で幼い部分があると言いますか。

今回ですね、そんな彼を次期後継者にと望む魔術師団長により、そろそろ自覚を持って貰わねば!と、この大役を任されって感じになるんですけど。

で、アンリと共に旅をして、はぐれ魔術師・オッドに王妃の病魔の快癒を依頼しに行く事になったのが、穏やかで優しい騎士のバルドー。
アンリとは真逆なんですけど、捨て子の乳児院育ちである彼は、幼くして王城の下働きとなり、そこから叩き上げで騎士になったと言うなかなかの苦労人になるんですね。
その出生のせいで、自分の命を軽く見てしまう傾向ありって所でしょうか。

これね、そんな二人が共に旅をする中で距離を縮め、恋に落ちると言ったお話なんですよね。
安西先生と言うと「主人公の恋する気持ち」や「主役二人が恋に落ちて行く過程」なんかを、とにかくキュンキュンに読ませてくれると言った印象が強いんですけど、今回もまさにそれ!
や、変化が得意であるアンリは、黒猫姿で旅をするんですよ。
バルドーの懐に入れて貰って。
で、眠っちゃったりすると、変化が解けて素っ裸の状態で人間に戻ってしまう。
これね、どこか幼い部分があるアンリは、素っ裸を見られても全然平気なんですよね。
対して、アンリの変化が解ける度に、目をそらしながらローブを差し出すバルドー。
や、アンリ視点ではあるんですけど、バルドーがアンリの素っ裸に動揺しまくりなのが、読者には手にとるようにわかっちゃうんですよ。
読んでて、アンリ気の毒よのう!と、ニヤニヤしちゃうんですよ。

また、こちら、繰り返しになりますが、主役二人が対照的なんですよ。
愛されて育ったが故の、素直さや善良さを持つアンリ。
そして、どこか自分に対して、投げやりな部分があるバルドー。
こう、バルドはアンリの無邪気で天真爛漫な部分に、新鮮な驚きや愛しさを覚える。
また、アンリはアンリで、自分の命を大切にしようとしない彼に、もどかしさや苦しさを感じる。
そんな、二人が互いを意識して行くエピソードと言うのがとても印象的に書かれてまして。
こう、キュンキュンしたり切なくなったりと、めちゃくちゃ萌えてしまう。
ついでに、最初こそ素っ裸を見られても全然平気だったアンリ。
バルドーの事を意識し始めると、急に恥ずかしがるようになるのには、思わず「うふふ」と。微笑ましい~!
はぐれ魔術師であるオッドの意外な正体まで、ハラハラドキドキさせてくれるんじゃないでしょうか。

が、若干気になる所。
えーと、展開としてちょい都合が良いと言うか、唐突感を覚える部分なんかがあるんですよね。
や、二人がピンチに陥った所で突如出てくる、とある「言い伝え」とか。

これな~。
「国に伝わる伝承」とかって形で、あらかじめ読者に教えておいてくれたりすれば、都合がいいとか唐突だとか感じないと思うんですけど。
要は、伏線が張られてない為、いきなりでビックリしちゃう。
えーと、個人的には全然許容範囲内ではあるんですけど、こういう部分が気になる方はご注意下さいって感じで。

ちなみに、この表題作が雑誌掲載で、ここからバルドー視点での後日談が書き下ろしで収録されてます。
プラス、第三者視点のコミカルなSS。

個人的に、受けにメロメロな攻めの、デレデレした内心と言うのが大好きな為、楽しかったです。
ちなみに、バルドーですが、旅芸人である親に捨てられたんですよね。
この書き下ろしですが、彼の前に実の親が現れ・・・と言う展開。
ページの都合かちょい駆け足ではあるんですけど、二人の愛の強さに萌える、素敵な後日談でした。

とりあえずですね、若干展開としては都合の良さを覚えたりするんですけど、とにかく優しくて可愛くてあたたかいお話でした。
この二人、初恋同士、童貞同士でもあるんですよね。
そんな二人の初々しさにも、ニヤニヤしちゃいました。

12

ひたすらかわいい

かわいくて甘くて優しい、癒し系ファンタジー。
安西さんといえば、普通の男性(だいたいサラリーマン)の日常BLのイメージなので、
ファンタジー?!って意外でした。
でもオメガバースもあるし、超シリアスなサスペンス系?(バースデー)もあるし、
そういえば割と幅広く書かれてますね。

アンリは魔術師としてポテンシャルはあるものの、子供ぽくてやる気イマイチ。
それが、王妃様を救う旅を通して愛を知ったことで、立派な魔術師に近づいていくというアンリの成長譚でもありました。
登場人物が基本みんないい人です。
黒猫もかわいい。
甘くてかわいくて安心して読めるので、
このコロナ禍や暑さでただでさえしんどいのに趣味のBL読書で疲れたくない!という方にはおススメです。

6

ほんわか、かわいい 

ややこしい設定とか難しい用語とか出てこないので、ファンタジーに不慣れな私でも読みやすかったです。
そしてなんと言っても、かわいい。

受けのアンリは魔術師なんだけど、黒猫に変身することができるんですね。
この猫になったときの描写がかわいいの。
だから猫好きの方はすごく楽しめると思う。

で、猫となったアンリを可愛がる攻めのバルドーの様子にも癒されるんです。
最初は猫=アンリだとは知らずに、ただの黒猫だと思っているんだけど、お手製ネコじゃらしをわざわざ持参とかなんか微笑ましくて。
猫好きの人に悪い人はいない!!と強く思いました。

病気の王妃様のために、バルドーとアンリは旅に出ることになるんだけど、バルドーは移動の際は猫となったアンリをふところに入れて持ち運ぶんですね。
なんかそこも微笑ましくて、かわいい。
「黒猫さん」と呼ぶところもかわいい。
肉球ぷにぷに、かわいい。

で、お互いに「バルドー殿」「アンリ殿」と呼び合ってる二人、どちらも童貞どうしで、かわいい。

森に住むと言われている強力な魔術師・オッドとの対決が見ものかと思ったら、あっさり解決したり……と、結構するする〜と解決していくので、ハラハラドキドキ感は正直少ないです。
特に、母に捨てられた恨みを長年募らせてきたオッドが、あんな程度で納得してあっさりと許すかなぁ??と思いました。


バルドーは勇敢な騎士として知られているけれど、それは自分の命に全く価値を見出しておらず死を恐れていないゆえのものなんですね。
一方のアンリは、強大な能力を持っていると言われながらも精進せず、どこか幼く、師に「愛がない」と嘆かれていた子。

そんな二人が出会って、愛を知って、最強になるって素敵だなと思いました。


後半は、待ってました!の攻め視点。
「おれのこいびと、かわいいぃぃ」とかが丸分かりな攻め視点が大好きなので、これは嬉しい。

隣にいるアンリを見つめながら「今日もアンリ殿はこのうえなく愛おしく、そしてお美しい」とか思ってるバルドー。
盛大な脳内ノロケ、サンクス!です。




5

タイトル通り!

とても可愛いお話です。
ファンタジーとおとぎ話の中間のような優しいお話なので、戦闘場面もありますが気持ち的には読後感もよく癒されます。

個人的にですが、本物の動物→人間に変化して恋をする的なストーリーが苦手(もふもふは好きです)なのですが、今回は魔術師の受けが猫に変幻(人間→動物)するのが得意ということで可愛さと癒され度が爆上がりでした。

オッドとても良いキャラです。

小さなアンリが王城にきた当時の、人見知り先住魔術師達がわたわたと世話をやくストーリーなんかももう少し読みたかったです。

3

可愛らしいファンタジー

魔術師のアンリと騎士のバルドーが王妃さまの病を治すために、隣国の外れに住んでいる人嫌いの大魔術師オッドに逢いに行き、無事に王妃さまの病も快癒して2人が伴侶となるまでの表題作。

晴れて王国公認となった2人がアンリの家とバルドーが育った乳児院のある町に行き院長に挨拶をしに行きます。その時にバルドーの両親と名乗る者が現れたと聞きます。そしてその人物にバルドーが拐われて、アンリが雲を集め雷まで操って助けた書き下ろしの「 凛々しい騎士には猫が必要」

後書き後の魔術師団で新しく下働きとして勤めるロキが、憧れのアンリと知らずに知り合って会話を交わす短編「新しき友」の構成となってました。

魔術師の才能があった為に11歳から親から離されて王城暮らしとなった為に、どこか幼くてのんびり屋のアンリがとても可愛いです。

そして高貴な雰囲気のある騎士なのに、産まれた翌日に乳児院の前に捨てられて7歳で王城で下働きを始めて現在の地位まで登りつめたバルドー。彼は乳児院の院長や王妃に感謝する生真面目な青年でした。

王妃の病の鍵を握るオッドは実は王妃の息子で、自分を捨ててヴァンバルデ王に嫁いだ母を憎んで呪いをかけていましたがアンリとバルドーの働きと王妃からの手紙によって変わり、母子の交流を持ち始めます。
そしてその強大な力でアンリの暴走を止めたりと、アンリとバルドーにとっても大事な友になって行くのです。

まずこの作品には極悪人が登場しないので、誰かが殺されたりとか酷い言葉を投げつけたりとかはありません。
ヴァンバルデの魔術師団は皆内気で恥ずかしがり屋で出世欲も皆無なので1番若輩のアンリが次期魔術師団長でも、妬んだりとかなくアンリをとても可愛がってます。
アンリとバルドーの留守中に新居に家具などを配置したり、バルドーを魔術師の塔に迎え入れた時には皆で合唱したりと心優しい人ばかりでした。

アンリはバルドーと知り合う事によって、自分の努力や考えのいたならさを知って大人になりました。

バルドーもそれまでの自己犠牲的な危うい行動を反省して、アンリを愛する事を知って愛する人を悲しませない為に己を大切にする事を学ぶのでした。

精霊たちのアンリとバルドーに関する噂話にもクスッと来ました。
とても読後感の良い作品です。

安西先生は色々なタイプのお話を書かれていて、どれも違う印象でいつも感心します。

2

あ、確かに

安西さん、ファンタジーは初めてですね。
でも本当に申し訳ないのですけれども「いつもの安西さんのお話でした」が感想(……誤解されるかもしれませんが賛辞です)。

「優しいし可愛い」と言ってしまえば、それはそうなんですけれど、私、安西さんのお話の主人公達ってそれだけじゃない様な気がするんですね。
どっか達観したところがある?
いや、ちょっと違うな。えーと、一番近い言い方はひとつのことで汲々としていない感じがするんですよね、ゆとりがあるとでも言うか。

そして、ひとりなんです。
愛し合っている2人が簡単に溶け合わない。
この辺が単に「かわいーっ!(きゃぴ)」ですませられないような気がして、実はちょっと怖く感じたりもします。

このお話のアンリもバルドーもそんな感じに思えるんです。
とてつもない魔力を持っていながらそれに無自覚なアンリも、乳児院出身から国一番の騎士になる為に行った身を削る様な努力に価値を見いだせないバルドーも、優しくて素敵で可愛らしいのに、どこか違う感がするのですよ。
そしてこの『どこか違う感』がもたらすものって、そこはかとない寂しさなんですよね。

同時収録作品で、2人が一緒に生きていくことによってその歪さや寂しさを、是正したり埋めていっていることが、とてつもなく幸せに感じました。
大スペクタルではないけれども、良いお話だと思いますよ。

1

こんな魔術師団入りたい

安西先生の新刊がファンタジー?と、意外な題材で驚き。
可愛くてほのぼのとしたお話だったなあ。
ユキムラ先生のイラストがこれまたぴったりで。
ファンタジー作品ではありますが、小難しいカタカナ用語も出て来ませんし、登場人物も多くはないので、普段あまりファンタジーを読まないという方でも読みやすい作品だと思います。
ややライトめのファンタジー作といった印象です。

ヴァンバルデ国では、国を護る重要な役割を担っている魔術師という人々は、謎に満ちた部分もあってか、畏敬の存在なのですよね。
実際の姿はというと、好奇心旺盛だけれど、人見知りの恥ずかしがり屋が多いんです。
もうですね、魔術師たちがとっても可愛らしいんですよ。
10代前半と、まだ幼かった頃に突然魔術師団に所属する事になったアンリ。
もちろん周りは大人だらけなのですが、アンリがお腹を空かせれば、皆がこぞってお菓子を持ち寄り、家が恋しいと泣けば、調子はずれの歌を合唱して泣き止ませようとする…序盤のここだけでもう可愛い。
もっと先輩魔術師たちについて読みたかったくらい。
これは、アンリがいかに猫っ可愛がりされて育ったのかがよく分かる。
こんな魔術師団入りたくなっちゃいますよ。

そんな、周囲の人々にそれはそれは甘やかされて育ったアンリが、病床の王妃を救うために同年代の優秀な騎士・バルドーと共に、王妃の病について何かを知っていそうな「はぐれ魔術師のオッド」の元へ、2人で力を合わせて手探りで旅をすることになります。
まさにタイトル通りというか、アンリが得意とする猫への変化の魔法と猫を上手くかけていて面白いなあと。

猫可愛がりされて育った膨大な魔力を持つ魔術師と、過酷な生い立ちからか、自己犠牲をも厭わない騎士。
真逆のものを持った2人が、旅をしながらお互いの足りない部分に気付いたり、まだ知らなかった新しい世界を知っていく。
まさに学びと成長の物語でした。
いやあ、全て見抜いていた王妃様がすごすぎる。
正反対の2人の気持ちが近付いていく様も自然なものでしたし、何より、2人がすごく可愛くて。
「殿」呼びに萌えてしまうし、お互いを意識してもじもじとする2人もたまらなく可愛い。
気持ちのやり取りや会話が本当に穏やかで可愛いんですよ。
黒猫姿になったアンリを愛でるバルドーの図も微笑ましくて、懐に入れて移動しちゃったり、この辺りの描写もほのぼのとしていて好き。

ちょっと残念だったのが、前半に登場するとある設定。
それまでが良い雰囲気だっただけに、都合の良い設定が突然登場して戸惑いました。
えっ?!ゆっくり育んで来た2人の気持ち…!なんて思ってしまったり。
ただ、その設定のおかげでバルドー視点で語られる後半でのアンリの行動が活きてくるんですけど。
もしかしたら前半はページ数が足りなかったのかなと思いつつ、この設定を入れるのならもう少し丁寧に伏線を張って欲しかったかも。
なので、萌寄りの萌萌評価で。
後半の怒りで覚醒したかのようなアンリは好きでした。

と、やや気になる部分もありましたが、全体的に優しい雰囲気のほのぼのファンタジーです。
手に汗握るお話や、細かなところまで設定が練られた作品をお求めの方はちょっと違うかもと感じるかもしれません。
どこかのんびりとした雰囲気の、読後感が良く可愛らしい作品をお求めの方にはぴったりの作品だと思います。

個人的には、はぐれ魔術師のオッドがとても気になるキャラクターだったので、彼のその後も読んでみたいですし、眷属のカロとの出会いも知りたい。
それから、調子はずれの大合唱でバルドーを迎え、2人の部屋を整える魔術師団が可愛すぎました。

0

怒るとコワイ

安西先生が全力で楽しまれたというファンタジー。ふんわり優しいというのが、私の安西先生への印象なのですが、ファンタジーになってもそのテイストはしっかりある気がするんです。ハラハラどきどきというよりは、やっぱりふんわり優しいお話、雑誌掲載された本編160Pほど+その続き80Pほど+あとがき+おまけ10P。ふんわり優しくってちょっとだけ物足りないかなと思ったので萌にしました。アンリが怒りまくる80Pほどのお話が一番好き。

11歳のころに大魔術士フィヨルテに見いだされ王城の魔術師団に入ったアンリ。国王亡き後、懸命に国を護ってきた王妃の体調があまりに優れないため、精霊たちのささやきで知った「隣国の西にいるはぐれ魔術師オッド」に、優秀な騎士のバルドーと会いに行くことになります。国を一歩も出た事がない上に、先輩魔術師たちに可愛がられてきたお子ちゃまアンリは不安でいっぱいで・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
フィヨルテ、オッド、王妃様、あとは先輩魔導士たちぐらいかな。

++良かったところ

雑誌で読んだ時、正直「安西先生、どうしました?」と思ったんです。予想もしなかった直球ファンタジー。でも安西先生テイストが効いているから、なんだか優しいというか生っちょろい(すいません)。「ひゃあ」とか「ぎゃあ」とかいうスプラッタな要素はなく、アンリが変身した丸っこい顔の黒猫が「ふみゃあ」と鳴いたり、バルドーがやんわり「黒猫さん可愛いです」とニコニコ肉球ぷにぷにしたり。
敵?とも言えるオッドに会った時もすんなり解決気味で肩透かし食らった気分でして。

安西先生だしな、と気を取り直して、本買って描きおろしを読んでみたら。なんとなんとアンリが激おこ(笑)。大魔術師の本領発揮、大暴れ!

でも。そこの挿絵がこれまたふわんとしていて超可愛い、腰砕け、大爆笑。オッドに手伝ってもらって、危ない所だったバルドーのところへ文字通りすっ飛んできたのですが、その姿はだだ泣きしている黒猫ちゃん。もう可愛くって可愛くって、「ああもう可愛いからおっけー」という気持ちになってしまいました。

超シリアスファンタジー、魔法ばりばりのハラハラ系お話を期待されている方はちょっと「あれれ」と思うと思います。安西先生テイストのファンタジーを楽しんでくださいませ。

1

旅を経て2人が得たものとは

今回は王妃の覚えもめでたい騎士と魔術師団の最年少魔術師のお話です。

受様視点で最年少魔術師の受様が王妃の病の快癒のために旅をする本編と
攻様視点で実親だと名乗る人物が現れる続編、新人魔術師視点の短編を
収録。

受様は辻占いを生業にする両親のもとに生まれ、よちよち歩きの頃には
もう魔術の才があると思われていましたが。7才で動物変化して両親を
仰天させます。両親は「やがて王城で偉い魔術師になるのだからそれまで
普通の子のふりをしていて」と言い含めはしたものの、受様の能力をそれ
ほど高いと思ってはいませんでした。

しかし受様は11才になったある日、王城の大魔術師団長が直々に受様を
訪ねて来た事で受様の未来は大きく変わります。魔術師団長は近いうちに
国が大きな試練にさらされる事を予見しており、そのための備えを進めて
いたのです。

魔術師団長の言う大きな試練は翌年の国王の逝去により現実のものとなり
ます。受様もその一端を担う事となった魔術師団による昼夜を問わない
結界と賢妃と名高い王妃の采配にて、国王の死に乗じようと機会を窺って
いた他国勢は鎮まり、今は幼い王子が国王となる日まで皆が見守っている
状況です。

ところがその王妃が病で床に臥せってしまいます。そこで魔術師団長は
王妃の無聊を慰める為に受様に黒猫となって見舞って欲しいと頼まれます。
受様は王妃に遠くからしか拝謁した事しかありませんが否やはありません。

さっそく黒猫姿になって団長と王妃の居室に向かいます。団長に抱かれて
小間使いや侍女達に挨拶しつつ王妃の寝室の前につくと、その日の寝室
警備は凛々しい顔立ちと朗らかな人柄で城内で絶大な人気を誇る騎士でし
た。この騎士こそが今回の攻様です♪

攻様は近衛師長の勇退によって王室会議の席を譲られた騎士で、受様が
会議ではひたすら存在を消す中、攻様は少し年上なだけなのに自然体で誰
の目にも申し分なく「将来の国を背負っていく頼もしい若者」でした。

攻様はすぐ取り次いでくれますが、受様の変化した黒猫に興味津々な様で
にっこりと挨拶された上に喉をくすぐられてペチッと叩いたら肉球を褒め
られ、かなり気に入られてしまいます。

そうしてしばらく、受様は黒猫姿で王妃を見舞る事となりますが、精霊の
噂話から隣国の西にある黒の森に棲むはぐれ魔術師が、王妃の病に関わっ
ているらしいと知る事となります。

団長は件の魔術師の存在を知っており、彼と対するにはそれ相応の覚悟が
必要だと言いますが、王妃の様態を想えば思いつく限りの手を尽くしたい
と攻様とともに件の魔術師へ向かって欲しいと言われてしまうのです!!

しかし、受様は修行をさぼりがちで、先輩魔術師達も最年少の受様を可愛
がって見守っていた事もあり、まだまだ魔術も未熟です。その上受様は
王都からも出た事すらないのです。

果たしてこんな受様が件の魔術師の元まで旅ができるのか!?
そして王妃を快癒に導けるのか!?

雑誌掲載作のタイトル作に後日談を書き下ろしての文庫化で、安西先生の
初ファンタジーは王妃様の病を治すために魔術師である受様が騎士である
攻様と旅をするお話です♪

魔術師団長は受様を攻様とともに旅に出す事で"学び"を得るはずと言いま
すが、王妃はかねてより無鉄砲な所がある攻様を期にかけていて、攻様に
受様との旅で自分を大切にすることを学んで欲しいと考えていたのです。

実は攻様は旅芸人の両親に乳児院に置き去りにされた子供でした。7才まで
に引き取り手がなかった攻様は王城の下働きの口から馬丁となり、騎士団
の使い走りを経て騎士となったのです。

攻様は王妃が多くの乳児院をつくってくれたおかげで盗賊の手下にになった
り、野犬に食われたりせずに育ったのだから感謝して、王妃や国に少しでも
恩返ししたい言います。

受様はたった11才で王城に連れてこられたと被害者じみた気持ちを抱いて
いた自分の甘さを痛感します。そして団長に他からの餅腐れだと嘆かれて
も使う機会がないのだからと使いたいという気持ちさえ持たずにいた事を
反省するのです。

こんな2人の旅の日々でどう変わっていくのか、そして病の王妃を助ける術
はあるのかが鍵となります。2人はそれぞれと関わる事で少しづつ、自分を
変えていき、クライマックスの西の森の魔術師との対決ではハラハラさせ
られましたが、大団円まで楽しく読ませて頂きました♪

ただ、極悪人が出てこない事の良し悪しは考えてしまいました。本作は皆が
基本的に良い人なので、どうしても最後決着が予定調和ぽくあっさり仕上が
っていてちょっと物足りなかったです。

とは言え、タイトルからは受様の成長ものだろう軸は読めるので、宮中策謀
を剣と魔法で解決するようなハラハラ要素は期待しなければ、ふわっとさら
っと読めて読了感は良かったです。

1

可愛いけど物足りなさも……

これは、ファンタジー作品としての面白さを満たしているのでしょうか?
若い魔術師・アンリと国一番の騎士・バルドー。
二人は病に苦しむ王妃を救うため、森に住む強力な魔術師・オッドに会うべく旅をする話です。

道中も熊が出たくらいで、大した事は起きません。
旅を通して互いを想い合うようになるものの、心理描写やエピソードが薄いと感じてしまいました。
オッドとの対峙も、「神の加護」という曖昧な力で解決してしまう物足りなさ。

黒猫に変幻するアンリの姿は可愛く、そこにはとても癒されました。
が、毒にも薬にもならない、〝なんとなくいい話〟としか表現のしようがないです。

後半の『凛々しい騎士には猫が必要』は、孤児だったバルドーの両親が訪ねてくるお話。
しかも、これ、バルドーの親への気持ちを利用した国ぐるみのオトリ作戦。
「神の加護」を蛮族に見せつけるためって……酷いな。
これで完全に萎えました。

4

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