塚森専務の恋愛事情

tsukamori senmu no renaijijo

塚森専務の恋愛事情
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×210
  • 萌8
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

70

レビュー数
6
得点
104
評価数
26
平均
4 / 5
神率
30.8%
著者
栗城偲 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784403525155

あらすじ

経営難の子会社に出向し、再建に取り掛かった塚森。本社の御曹司である彼の社内改革は、支持もあれば大きな反発も買い、脅迫状まで送られてきた。営業部のエース・荏原も塚森に不満を隠さない者の一人だ。だが社内プロジェクトで、二人の距離は次第に縮まっていく。そしてある案件を解決した荏原が、褒賞を出したいと言った塚森に「じゃあ、キスさせろよ」と唇を塞いできて…?『社史編纂室で恋をする』前日譚。

表題作塚森専務の恋愛事情

荏原達久,32歳,紡績会社の営業部トップ社員
塚森賢吾,27歳,紡績会社の専務取締役

その他の収録作品

  • 大人同士の恋愛事情(書き下ろし)
  • あとがき

レビュー投稿数6

出来る男×出来る男

「社史編纂室で恋をする」のスピンオフ作品。
前作を読んでいなくても読めるかと思います。
サラリーマン・お仕事描写しっかりめがお好きな方におすすめ。
出来る男×出来る男の組み合わせがとても良いです。
何が良かったって、2人ともきちんと自立した大人の男だったところ。
変にベタベタするわけでもなく、恋愛一辺倒なわけでもなく、仕事が出来る大人の男同士のお話なのが良かった。
年上×年下のはずなのに、あまり年齢差を感じなかったのは、塚森が年齢よりも落ち着いた雰囲気のある人だったからなのかな。
それとも、荏原があまり年上っぽくなかったからなのか、ちょっと不思議な感じ。

経営再建のための社内改革を行う塚森に対して反発心を持つ者がいたり、支持する者がいたりと、お仕事描写がメインの作品です。
栗城先生作品はお仕事描写が丁寧な印象がありますけれど、今作もしっかりと書かれているので、仕事が出来る受けが好きな方はハマるはず。
その合間に描かれる、反発していた攻めと達観していた受けの恋愛模様はいかに?といった感じ。
恋愛に関しては本当にジリジリと進むので、出来る大人の恋が非常に焦ったく楽しめました。

こちら、てっきり塚森は攻め側だと思っていたので、受けなのか!とびっくりしたんです。
そうなのか…と思いながら読んでみると…なるほど、これはこれでありだなあと。
今作は、攻めよりも受けの方が好みでした。
一見すると穏やかで優しげだけれど、情に流されるわけでもなく、あくまでも理性的で仕事も合理的に進めていく、きっちりと仕事が出来る美形な御曹司。
仕事っぷりといい、終始受けがかっこいいんですよ!
スパダリ受けというやつなのでしょうか。
でも、少し癖があるというか。仕事面以外では鈍感な部分があったりして、"不思議ちゃん"とまではいきませんが、感情への疎さとズレっぷりのギャップが可愛らしくもあるんです。
煙草の煙を荏原に吹きかけるシーンがすごく好き。
荏原じゃなくてもこんなのどきどきしちゃう。

ただ、受けの塚森のキャラクターが立っていたからか、攻めの荏原にあまり魅力を感じられなかったことと、脅迫状・暴漢のくだりはすぐに犯人が読めてしまって、動機にもウーン?と思ってしまったり…
少しずつ2人の距離が縮まる様子は良かったのですけれど、これは稲葉がいなかったらくっついていないような気もするので、迷いつつこちらの評価で。
とは言え、カッと感情的にならずに、まずは話し合うスタンスの2人にはかなり好感が持てました。
攻め視点で語られる圧倒的な経済格差の部分はどうするのかと思いきや、そちらに関しても大人な対応と話し合いですっきり。
この辺りに関して描いた作品はあまりないのではないでしょうか?
どちらかに頼って寄り掛かるのではなく、あくまでも1人でも立てる者同士なのがとっても良かったです。
荏原も塚森も掘り下げたらもっと面白い人達なんじゃないかなあ。
2人の恋愛模様の先が見てみたい。

しかし、塚森が可愛くてかっこよくて男前。
攻め経験のある受けが、好んであえて受け側にまわっているという図がたまらなく好きなんだと再認識しました。
みずかねりょう先生のイラストも美麗で素敵。

0

美麗な挿絵での補完が完璧

会社で首切り役となった専務(受け)と成績トップ営業(攻め)の話。
現実でもフィクションでも悪役として立ち向かわれる側で描かれることの多い首切り役を主人公にし、そちら側の視点から描いた点が興味深く面白かった。
受けのキャラ設定も無表情クールで、感情に流されることなく合理的に人員整理を行っていく。たぶんBLキャラとしてはもう少し悩んだり苦しんだりした方が共感を得られるんだろうけど、こういうちゃんと社会人をやっている受けはあまりみないのでとても良かった。自分的にはかなりツボ。
攻めは正義感が強く、受けのピンチにタイミングよく現れる。何よりも挿絵が最高だった。
脇キャラも特に稲葉が魅力的で良い。あと序盤で出て来た、専務のお付きの人っぽかったオジサンも好きだったのに、後半全く出て来なくなってしまって残念だった。可愛いオジサンをくっつけて歩く専務を想像して勝手に微笑ましく思ってたので。

恋愛部分は、稲葉の掻きまわしが重要な役割を背負いつつ低速低温で進む。不器用なわけでもなさそうな攻めの受けへの慎重さと、受けの鈍感さが相まって良かった。受けは他人に対してだけでなく、自分に対しても鈍感っぽかったのも好き。
作中で結構何度も攻めに物理的に助けられるシーンがあるが、変に反発することはなく、逆に頼ったり依存したりすることもなく、精神的に守られている感を出さないのがすごく良かった。専務設定でそんな受け思考だと説得力が消えてしまう。

無表情受けは心理描写もクールだったので、攻め視点が欲しくなるところだが、こちらも最後にきっちり満たしてくれた。
美麗な挿絵での補完も完璧で、作品と挿絵の組み合わせがぴったりすぎた。
正直なところ、小説だけを読むと攻めの魅力に物足りなさを感じる。挿絵をプラスして神作品に昇格という感じ。

2

リーマン

「社史編纂室で恋をする」に出てこられた塚森さんのお話。時間軸としては「社史」より前になります。前作読んでいなくても可能だと思います。みずかね先生ファンとしてはたまらん一冊!イケメンリーマン二人のスーツ姿、タバコ咥えた姿、たまりませーーーーーーーーーーん!攻め受けとも嫌いではないですが、そんなに残らないかもと思ったので、萌にしました。いやでもホント、カッコいい。雑誌掲載分+書き下ろし+あとがき。

三柏紡績の業績立て直しのため、親会社の鷹羽紡績から専務取締役としてやってきた塚森。大規模な人員整理、経営改革の計画を立てたところ、軋轢が生じて、時折襲われたり脅迫状を送られたりしています。営業部トップ社員の荏原は、塚森に対して不信感をあらわにしつつも、再建のためのプロジェクトに参加していて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
小宮(受けにとてもフレンドリーにしてくれる社員)、稲葉(社史編纂室・・の攻め、色々器用な方)、会社の同僚少々。

++以下 より内容にふれる感想

会社再建に来た専務に対する風当たり、揉め事が絡むお話なのですが、うーん、好きだからって、そんな人に傷害事件起こすかなあ?と思う気持ちが少々。私が情に薄いからなのか?ちょっと怖かったです。

攻めは言葉数は多い方とは感じず、優良物件と思いますが、受けに対して優しい様子をたっぷり感じた訳でもないし、なんとなくこの後、受けの尻に敷かれそうな予感。
最後の短編で、ガンガン稼いで収入面でも負けないようになってやる!的発言があったのは、とても好ましかったんですけど。

良かったのは受けかな。
女々しくないです。ただ今まで親族内で色々あったんでしょうね、ちょっとやそっとでは動じない、表情に出ない。いざ色恋シーンになっても「俺が抱かれる側なのかな?」と素で尋ねる!ここ、かなり笑いました。最後の最後に「君に抱かれるのは好きなんだ」とカミングアウトしてるところも、好きでした!

受けが年下だけど、会社的立場は上、収入も上という、なかなか力バランスが難しい二人。ぎりぎりのところで何とかくっつくことが出来ましたというお話でした。
お仕事話も割合楽しめたので、リーマンものがお好きな方に良いのではと思いました。

2

営業部のエースを翻弄する新任専務

今回は傾きかけている繊維メーカー営業部のエースと
経営の立て直しの為に親会社からやってきた新任専務のお話です。

受様視点で経営改革を進める受様の排斥を狙う犯人を捕らえるまでと
攻様視点で本編裏事情を絡めながら後日談を収録。

受様は老舗の紡績メーカー鷹羽紡績の直系親族ですが、社外で営業職を
5年程務めた後、完全子会社である三柏紡績の専務取締役に就任します。

三柏紡績は鷹羽の子会社になる以前から十数年に及ぶ緩やかな累積赤字に
よって大きな負債を抱えており、このままではいずれ破綻すると誰もが
予想できうる状況にあり、その経営の立て直しの為に受様が送り込まれた
のです。

受様が通達した「経営計画」の中には評価制度の見直しとそれに伴う人事、
暗黙の了解で存在していた派閥・学閥制度の撤廃が明文化し、希望退職者
を募り、勤務態度や貢献度を鑑みた整理解雇を行いました。

受様の打ち立てた改革案も大胆で性急であり、一部で大きな反感を買いま
すが、再建計画に正しく理解を示した者の他にも、いわゆる派閥争いに負
けた者等から指示者も現れますが、あらゆる面で前途多難である事は明ら
かでした。

今日は受様に好意的な営業二課長の案内で工場に導入した新しい機械の
視察に行きますが、工場長と受様と同じ年の若い技術職員は笑顔で会釈を
してくれたものの、営業部のエースと呼ばれるトップ社員には眉を顰めら
れるのです。

受様に対してまっすぐに不満の表情を見せる営業部のエースこそが今回の
攻様になります♪ 攻様は受様より5才上の32才ですが、活舌の良さとフット
ワークの軽さ、受様には見せませんが愛想のよさで数年間ずっとトップに
いる男です。

今回の機械の導入は以前の上役や在籍する取締役の推薦でしたが、作業効
率が悪いらしく、公称値と差があり過ぎるとする技術職の資料と攻様の
説明から受様は今後の導入はやめると明言します。

攻様はそんな受様の判断を「いつも見切りが早くて素晴らしいですね」と
返しますが、人員整理をあてこすっている様で棘があります。受様はそん
な攻様の言動を気にしませんが、課長にはかえって気を使わせる結果とな
ってしまいます。

受様は三柏紡績に出向するにあたり、探偵業のような仕事も請け負う「何
でも屋」をする友人に内部調査を依頼、機会関係にめっぽう強い友人は
数名の部下と共に三柏紡績に入りこみ、データ解析を中心に不正などの洗
い出しに尽力してくれています。

受様は人員整理を始めた頃から怪文書や脅迫文が届くようになっており、
数日前には背後から缶コーヒーをぶつけらる事件も起こっています。恐ら
くは内部犯だろうと思われますが、単独犯か複数犯かもわかりません。

今週は脅迫文が専務室のデスクの引き出しに入れられるようになりますが、
受様には心当たりがあり過ぎて特定できず、友人には絶対に独り歩きは
しないようにと厳命されてしまうのです。

果たして受様は再建計画を達成できるのか!?
そして受様を狙う者とは何者なのか!?

雑誌掲載作であるタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で、経営の
傾いた子会社を立て直すために出向した受様が改革を進める中で受け取っ
た怪文書や脅迫の真相に迫る中で攻様との恋愛模様が展開するミステリー
仕立てのオフィスラブになります♪

栗城先生の既刊『社史編纂室で恋をする』のスピンオフにあたり、既刊で
攻様の友人かつ依頼人として登場した常務の若かりし時の話の為、既刊の
前日譚となりますので、本作単巻でも無問題なく読めると思います。

攻様が受様に反発しているのは懇意にしていた上司が人員整理された事に
よりますが、受様とともに仕事を進めていく中で、受様がお飾りではなく
自身もよく働き、上に立つ者としてのシビアさを見せるだけでなく、現場
の社員にも公平な目を向けてくれる人物である事に知っていきます。

そうした中、受様が誰かから狙われている事を知り、受様を守る友人を
恋人と誤解したりしていく中で、受様に対する反発が消え、興味と好意が
増していくのですよ。

2人ともできる大人な男なので、2人のやりとりにすご~く萌えツボを刺激
されました。できる男達だからこその駆け引きなのですよ ヾ(≧▽≦)ノ

再建計画が上手くいくのか、受様を狙う犯人捜査が上手くいくのか、すれ
違う恋はうまくいくのか、ハラハラ&ドキドキ♡ たいへん楽しく読ませて
頂きました。

クールビューテイな受様が大好きなので、既刊カプよりも本作のカップリ
ングの方が好みでしたね。シリーズはもう1本スピンオフが雑誌連載されて
いますので、そちらも早く文庫化されるといいなと思っています。

2

デキる男達の社内恋愛ですよ~!

「社史編纂室で恋をする」のスピンオフになります。
位置付けとしてはそちらの前日譚ですし、主役二人も違うので、今作だけで問題なく読めます。
ちなみに「社史編纂室」の攻め・稲葉が今作の受け・塚森専務の友人で、内部調査員なんですよね。
稲葉、仕事面(スパイ)でも恋愛面(当て馬)でも大活躍ですよ。

ところで、塚森。
彼は攻めだと思われてる方が多かったようで、逆を期待してた私は驚きましたよ。
荏原(攻め)と同じでね、こういうキレイで物静かで気が強くて仕事なんかもデキる男が、組み敷かれるのに最高に萌えるのです。
自分が抱かれる側だと分かって動揺したりするのも、また最高ですねぇ。
いや、いつか、荏原が抱かれる日が来るかもしれん・・・。

内容です。
経営難の子会社に出向して、再建の為の社内改革を行う事になった本社の御曹司・塚森。
シビアで容赦ない彼の改革は反発を買いますが、中でも不満を隠さない営業部のエース・荏原のストレートな言動に、逆に好感を持つんですね。
そんな中、暴漢に襲われた塚森。
荏原に救われますが、そ日を境に、彼の態度は変化してきてー・・・と言うものです。

こちらですね、基本的にはお仕事描写と言うか、働く彼等の日常がガッツリ書かれていて、その中で二人の恋愛が進展して行くと言う形になります。
で、二人のやりとりなんかが、とにかく萌えるのです!

いや、そもそも主人公となる塚森専務がですね、温和で優しげで穏やかな美形なんですよね。
一見。
ただ、実は仕事がとてもデキるタイプで、内心はかなりシビアだし気も強い。

対して、こちらも営業部のエースと仕事がデキる男でありながら、情に熱く真っ直ぐと塚森とは正反対な荏原。

これね、繰り返しになりますが、二人のやりとりと言うのが萌えるのです。

や、荏原ですが、私情を交えず、仕事はキッチリやる男なんですよ。
が、その仕事から外れると、塚森に対してあからさまに邪険な態度。
こう塚森ですが、常に笑顔で穏やかで、なのに腹が読めないと言う、荏原にとってはすごく胡散臭い相手なんですよね。多分。
だから余計、反発していた。
それが、不意討ちでタバコを奪い取って吸った上に、煙を顔に吹き掛けると言った、意外性のある驚きの行動に出られる。
そこで、彼に興味を持って・・・みたいな。

や、個人的にですね、大人の男同士の、こういう駆け引きめいたやりとりだの関係だのが、めちゃくちゃツボなんですよ。
この後も社内プロジェクトで共に仕事をする事で、二人の距離はジリジリ縮んで行くんですよね。
それが本当に大人同士の恋愛って感じで、すごく地味に静かに進んで行く。
が、それが萌える。

また、序盤の邪険な態度から一転、やたら面倒見が良くなっちゃってる荏原と、彼の変化にも萌えちゃって。
や、塚森ですけど、実は社内改革で恨みを買って、脅迫状が届いたり襲われたりしてるんですよね。
で、シビアな性格と思いきや、どこかズレてる部分もあってと危なっかしい彼を、荏原が心配してガードするんですよ。
う~ん。
序盤では悪い方に出てた若干イラっとした情のあつさが、ここではめっちゃ萌えてといい方に出てると。

あとですね、塚森を脅迫して襲った犯人ですが。
もう完全に予想外の人物で、めっちゃ驚きました。
読み返すと分かるけど、伏線ちゃんと張ってあった~!
ちなみに、さすが塚森。デキる男。
犯人の裏をかきと、格好よすぎるんだけど!

と、ここまでが雑誌掲載作で、この後に荏原視点の書き下ろしとなります。
いや、本編を受け視点、書き下ろしで攻め視点って、個人的に大好きなパターンなんですよね。
この書き下ろしで、荏原が結構な溺愛ぶりを発揮してて、終始ニヤニヤしました。
荏原、塚森にかなりメロメロじゃんね。
こちらはひたすら甘い後日談ですので、どうぞお楽しみに。

9

仕事も、恋も。

作家買い。
栗城作品の『社史編纂室で恋をする』のスピンオフ作品です。『社史編纂室で~』の攻めさん・稲葉の友人で鷹羽紡績株式会社の常務である塚森のお話です。

スピンオフ、というか前日譚といった方が良いかも。前作では塚森は35歳でしたが、今作品では27歳。ということで前作の8年前にあたる時系列のお話です。ということで、『社史編纂室で~』の受けくんも登場しませんし、前作未読でも問題なく読めます。

が、できれば、前作も読んでほしいな。理由は後程。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






主人公は鷹羽紡績株式会社の社長の息子である塚森賢吾。
ほぼ彼視点でストーリーは展開していきます。

彼は鷹羽紡績の完全子会社である三柏紡績株式会社に三か月前に出向してきた。が、若干職場で浮いている。

理由は、彼が27歳という若輩者であるにもかかわらず専務という役職にいるから。
そして、今まで三柏紡績が慣例的に行ってきた業務を一新し、大規模な人員整理を行ったから。

三柏紡績は、その古臭い体質により業績は悪化の一途をたどっている。破綻は時間の問題だった。そのテコ入れとして、鷹羽紡績の社長の息子である塚森が投入されたのだ。塚森は仕事をしただけ過ぎないが、彼によって首を切られた古参社員も多く、それ故に脅迫まがいの脅しも受けるに至っている。

人員整理の憂き目にあわず社に残った社員たちも、その若き専務への対応に悩んでいる、というのが現状だった。

中でも露骨に塚森に対し敵意をむき出しにする社員がいる。営業の荏原という社員だ。荏原から嫌われていると知りつつ、それも致し方ないと思う塚森だったが、ある案件を二人でこなしたその夜、荏原から官能的なキスを仕掛けられて―。

というお話。

前作で有能な常務として描かれていた塚森。彼が数年前に成功させたという「武勇伝」のお話なのです。

前作も稲葉と志月の恋の成就だけではなく仕事や横領がらみの謎解きが描かれていましたが、今作品は、三柏紡績の立て直しができるのか、塚森を襲撃している人物は誰なのか、そして塚森と荏原の恋の行方は、という点を軸に進むストーリーです。

前作は志月くんの明るさもあってコミカル寄りなお話でしたが、今作品はどちらかというとしっとり系。塚森も荏原も、どちらも落ち着いた大人の男性として描かれているためかと思われます。

好みはあれど、この二人の男性が非常に男前。ビジュアルもですが、その中身が。

仕事に情熱を注ぎ、信念を曲げることなく立ち向かう。
だからこそ対立もするし、衝突もする。

それ故に「恋愛」というベクトルではなかなか進まない。仕事をしている最中とは打って変わり、モダモダする二人の恋の行方が可愛いのなんのって。

荏原は序盤、塚森に対して非常に辛辣な態度を取ります。その理由も、少しずつ見えてきます。けれど、本当のところは、好みの美人さんにどう接してしていいのかわからんかったよー、というのが本音なのです。

イケメンで、遊ぶ相手に困ることの無かった荏原という男性の、本当の恋を知ったわちゃわちゃぶりが非常に良かった。

そして塚森も。
前作では完璧な、スマートな大人の男性、をイメージしていましたが。
まー、彼も可愛い。

良くも悪くも、自分を客観的に分析できる「出来る男」の塚森さんの、自身に向けられる好意に対してなんと疎いことよ。

で、そんなモダモダCPを陰から日向からサポートするのが稲葉。
昔からいい男だったんだなあ、としみじみ。こんなにいい男が、数年後、9歳も年下の男の子に振り回されるなんてねえ…、とニヨニヨしてしまいました。

ということで前作を読んでいると、より一層今作品を楽しめるのではないかと思われますので、前作未読の方は是非。

栗城さんの描かれる濡れ場ってあまりエロいイメージはないのですが、今シリーズはエロがめっちゃエロい。ドシリアス系の時はエロは抑えめですし、その塩梅が非常に秀逸だといつも感心しています。

そして最後にもう一点。

みずかねさんの描かれるスーツは最高!

と、声を大にして言いたいです。はい。

7

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