電子限定描き下ろし漫画付き
【新死刑法】人が故意に人を死亡させたときは、如何なる理由があろうと死刑とする――。
絵柄も題材も自分の通常運転、性癖だったら選ばないタイプの作品でしたが、とにかく気になって購入しました。
読んでよかった、気持ちがとても揺さぶられた作品でした。
死刑囚を疑似町に閉じ込めて、本人がやった殺人の通りに殺すという新しい死刑のやり方が実施されていて、かつ、それを24時間生中継し、人気番組になっている社会のお話です。
同僚で恋人の警察官、その前に過失とされていた事件含めて2人を殺したとして死刑判決を受けたハンサムな元警察官、織田薫。
淡々と日常生活を送っていますが、早く死にたいと望みながら、深い悲しみ、苦しみを抱えており、ものすごい訳ありなのを最初からひしひしと感じます。
より社会をよくするための死刑制度改定らしいのですが、それをとりまく社会のあれこれが不自然で不健康、非常に悪趣味かつ非情な死刑制度だと感じました。
現実と疑似町での虚構の世界を交えながら話が進んでいくのですが、いろんな立場からの目線、感想があり、迫力があります。
24時間放送番組のタイトル、その番組の脚本家、悪趣味なのに、そう感じていない視聴者と提供側が気持ち悪いです。
読んでいて、ひょっとしてまともなのは、死刑囚と、死刑執行人に選ばれた警察官だけなのかも、と感じさせられるのもすごい世界観です。
多くの違和感を感じ、胸が苦しくなったところで上巻が終わりました。
いやぁ、ずっと気にはなっていたんですよ。
読んだあとに余韻に引きずりこまれて、浮上できなくなる作品ってたまにあるじゃないですか。
で、レビューとかあらすじ読む限りでは、絶対それ系統の作品だったと予感してたんですよ。
だから元気なときに読まなくちゃと思ってたんですけど、元気なときに読んで大きなジョブを喰らうよりは、若干心が疲れているときに読んだほうが喰らうモノが少ないかなあって。
毒は毒をもって制すじゃないですけど!(意味が違う)
と思って読み始めたところ、毒なんかじゃなくて、面白すぎてご褒美でしたね!!
エンターテイメントってこういうことよ!!
って、目をキラキラさせながら上巻を読みました。(前置き長い問題)
死刑囚を閉鎖空間の中へ収監し、24時間ライブでその様子を流す世界線。
さらに自分や殺めたように、自分自身も同じ方法で
決められたシナリオに沿って死刑執行が行われるという、目には目を歯には歯を設定。
織田薫は同性愛者で、2人目はそういった関係にあった恋人だった。
体格が近いというだけで水谷という刑務官の男が織田が手をかけた恋人「渡瀬」として選ばれた。
死刑執行が再現される中、シナリオとは微妙に違う展開に水谷は戸惑う。
やがて、水谷は織田が渡瀬を本当に手にかけたのか、怪訝に思うようになり、、、
織田の死刑執行までのカウントダウンが始まったわけですが、水谷扮する「渡瀬」との穏やかな恋人ライフを眺めていると、このあとに待っているだろうサイアクな結末をどう迎えるのか。
あれこれ足りない想像力を巡らせ、まるで自分が織田担ったかのように、そのカウントダウンを待ち、ドキドキしてします。
だって、織田もそうですけど、明らかに水谷だって短期間ですけど、疑似恋愛の中でなにかしら育っているものがありますよね??
まりあげはは、そういう機微が好きなので、まだ名前も付けられない芽吹いたばかりの感情を、この2人とともに読書体験として育てていきたいと思った。
そんなさわりでした。
また、絵も緊張感ある物語にぴったりですし、なにより上下巻の攻め受け対となっているお表紙の作品は、名作が多いのでこちらの作品も絶対に間違いなし!! なドラマティックBLと確信しています。
(まだこの時点では下巻未読)
柳沢先生作品初読みです。
目力がすごいですね。
設定がフィクションならでは。
地下に町一つ作っちゃうって予算どれだけかかってるんだろうと変なことを考えてしまいました。
そのための契約チャンネル、CMの多さですねきっと。
JUST DO ITというチャンネル名が悪趣味というかふざけているというか。
ま、この独特の死刑執行をエンタメにしている時点で悪趣味だし、これが許される世界ってどんなの?となりますが。
24時間LIVE放送って、本当に死刑執行まで放送するんですかね。
独特の空間と設定での2人のやりとりで、言葉にせずとも心の揺らぎが伝わってくる描き方好きです。
イミテイション(シナノ)ゴールドはおもしろいタイトルだなと思いました。
元ネタ?の歌詞は「声が違う 年が違う」「夢が違う ほくろが違う」「ごめんね 去年の人とまた比べている」等で本作とシンクロしますもんね。
その林檎を上手に剥く織田を見て水谷が微笑む。
水谷の笑顔を見て手元がくるい包丁で手を切ってしまう織田。
ここから物語が動き、よりおもしろくなってきました。
絆創膏を貼ってくれた「渡瀬」に織田が「お前」「誰だ?」と言うのがいいし
織田が屋上で見る夢もいい。
織田がキスをした「渡瀬」が渡瀬と違うと思うところもいい。
絆創膏を貼ってくれた水谷を「とても優しい」と思うのも渡瀬との違いなんだろうな。
「俺は今の渡瀬に殺されたい」は水谷ならいいってことで、愛だなぁと思う。
水谷が知りたがるように織田の殺人の動機が気になります。
下巻楽しみです。
余談ですが、薫の好きな映画「ベルリン・天使の詩」で淀川長治氏がヴィム・ヴェンダース監督はキザと言ってのけて爆笑したのを思い出しました。
BLサスペンスという大好物ジャンル、しかもシリアスなストーリーに定評のある先生とあって注目していた作品です。
でもタイトルが重いのでしばらく積ん読してました。。
ようやく決心して読んでみると、そこまで重くなくて大丈夫だった。もっと早く読んでいればよかった。このレーベルにしては各話HではなくむしろHないんですが、お話が面白いので全然良かったです。
サスペンスが大好物なのでちょっと甘めの評価になっているかもしれません。
仮想未来の設定で、殺人罪が確定すると、同じ状況で死刑にされるという結構物騒な世の中になっています。
主人公は、2つの殺人罪で死刑が確定しています。
2つ目の殺人では、パートナーの男性を殺してしまう。動機がわからないまま、同じ状況を作るために全てがお膳立てされた街で暮らしている。街の住人は全て警察関係者。街には見えない境界があり出られないようになっている。。
実際には、全ての殺人に対してこんなに労力をかけられないだろうとは思います。
さて、パートナー役となった警官の水谷は、整形までして役を演じている。しかし、同棲するうちにだんだんと相手の本当の姿が見え隠れし。。
というストーリー。
事件ものとしても面白いですが、二人の関係性がどのように変わるのか、下巻に期待です。
死刑制度が「人を故意に殺したら必ず死刑」というように改変された世界でのお話。
"一殺一死"だなんて上手いこと言うなぁ、と軽い気持ちで読み進めたものの、重たい展開にちょっと苦しくなった上巻でした。
被害者と同じように殺される再現執行だったり、24時間生放送で死刑囚の生活を中継していたり。
現実味のない設定に戸惑いつつ、水谷(渡瀬)と織田のやり取りは先が読めずドキドキする場面も。
水谷が渡瀬を演じている時も、水谷自身で織田を見ているようなところがあって。
その意図はなんなのか?織田が起こした事件の真相は…??
今後の展開がどうなるのか全く読めないのですごくハラハラしたし、冷静な織田を見ていると逆に心がかき乱されるような不思議な感覚になりました。
下巻ではどうなるのか…その結末を見るのがちょっと怖い気もしますが、楽しみに読みたいと思います。