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愛されうさぎととろけるクリームティー

aisare usagi to torokeru cream tea

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表題作愛されうさぎととろけるクリームティー

大神亮,ホテル立て直しのために引き抜かれてきた実業家
ノエル・ブラウン=森野,ホテル「ナーサリーライム」のティールーム責任者

その他の収録作品

  • とある午後のクリームティー
  • あとがき

あらすじ

うさぎ獣人のノエルはある事件をきっかけに、故郷・イギリスから遠く離れた日本で、ホテル「ナーサリーライム」の中にあるティールーム「十月のうさぎ」の給仕長を、獣人であることを隠しながら務めていた。しかし古風で重厚な雰囲気を醸し出すホテルは、長年の常連客以外は足を運びにくいようで、経営は悪化の一歩を辿っており、そんなホテルを立て直そうと、オーナーの的場がアメリカの大手ホテルグループから大神という男を引き抜いてくる。ティールームの方針について対立し、険悪な関係だったノエルと大神だが、お互いの情熱を認め合い、徐々に打ち解けていく。そのうえ、大神の無愛想ながらも優しい一面を知ったノエルは次第に惹かれ始めていき――。

作品情報

作品名
愛されうさぎととろけるクリームティー
著者
高原いちか 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
ISBN
9784344847613
3.7

(8)

(2)

萌々

(2)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
30
評価数
8
平均
3.7 / 5
神率
25%

レビュー投稿数3

海千山千のオーナーにはかなわない


自分の大切な居場所を守るためにがんばる正反対の立場の二人が手を取り合うまで



うさぎの獣人・ノエル(受け)は故郷から離れ、自分を受け入れてくれたホテルオーナーの的場のもとでホテル「ナーサリーライム」でティールームのチーフをしています。
自分の唯一の居場所であるホテルを守りたいノエルでしたが、由緒あるホテルとはいえ、これから生き残る戦略として大神(攻め)という男がアメリカから招聘され改革ののろしが上げられるのです。
イギリスの由緒正しいティールームを維持したいノエルと集客のため大幅にテコ入れしたい大神との間では常に意見対立しあうのです。




少ないながらもさまざまな獣人が存在する世界。
うさぎの獣人は発情フェロモンによって周りを惑わす淫乱な人種だと周りに思われており、それにより起こった拉致事件により、故郷に住めなくなったノエルは恩人の的場に誘われて来日します。自分のような獣人を雇ってくれる場所などなかなかないということを理解しているノエルは獣人であることを隠して、なんとしても居心地のよいこの場所を守ろうと必死です。

大神は狼獣人の母親(近親婚を続けた家系のため精神を患っている)のため母親の居場所として「ナーサリーライム」を守りたいと思っており、「ナーサリーライム」を維持するため改革していかなければと思っています。

オーナーのとりなしもあり少しづつ折り合いをつけていく二人でしたが、フェロモンを抑える抑制剤の効きが悪くなってきたノエルは体調を崩してしまうのです。

大神の母親が狼の獣人だったので大神もそうなのかと思ったらまさかの狐。
狼にしろ狐にしろ兎はおいしく食べられる運命ですが、おいしく食べたい狐に食べられたいうさぎでうまく言って本当に良かったです。


でも、最後はオーナーに全部持っていかれた感じがして笑ってしまいました。
結局まだまだ青二才な二人はオーナーの手のひらの上なんですね。
そして、オーナーの息子のようで二人とも父親がいないのでこれからも可愛がってもらいたいものです。
このオーナー、場の雰囲気が悪くなった時など突拍子もない言葉や行動で皆をけむに巻く得体の知れない人でしたが、本当にいい人で良かったです。
とはいえ、本題のホテルがどうなったかがわからなかったのがちょっと残念。


今回はイギリスの紅茶やティータイムの話がとても詳しく書かれてあってとても勉強になりました。
そして、ホテルのラウンジでもおいしくない紅茶が出たとき、こういうものかと思っていましたが、そうとも限らないのかなとちょっと納得しました。
そして、家で飲む時にアールグレイが美味しくないことが多のにも理由がわかって納得でした。

0

攻めが素敵

初読み作家さまでした。

お話の舞台になっているホテル「ナーサリーライム」と、ノエルが給仕長をしているティールーム「十月のうさぎ」の描写が興味深くて夢中で読みました。

そして反発しあってた2人が思いを通わせ始めた辺りで、攻めの大神のノエルへの溺愛ぶりにキュンキュンしました。

とくにノエルがうさぎ獣人だとバレないように、自らを犠牲にして守る姿と独占欲溢れる言動が普段の大神とギャップがあって素敵だなと思いました。

作者さまはかなりイギリスの食文化やアフタヌーンティーについて調べたと後書きにある通り、その辺もとても興味深く読ませて頂きました。真夜中に読んだのでお腹が空いて困りました。www

大神もノエルも獣人として過去に辛い目にあってますが、悲惨な描写は一切無いので安心して読めます。

彼らの周りの人々があたたかい人達ばかりなので、何度かウルっと来てしまいました。

読後感のとても良い作品でした。

2

ちょっぴり切なくて、けれど心温まるストーリー

初読みの作家さまでしたが、金さんの描かれた可愛らしい表紙につられて購入。

タイトル、そして金さんの描かれた優しい表紙。
ということでほのぼのなお話をイメージして読み始めましたが、うん。ちょいシリアスベースです。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





人間と獣人がともに住まう世界が舞台。
人と獣人は平等。そう叫ばれてはいるが、けれど人の中に獣人に対する根深い差別が存在している、というバックボーンのあるお話です。

主人公はノエル。
その名前から推測できるように、彼は生粋の日本人ではなくイギリスに住んでいた。が、とある事情で彼は日本へやってきて、そこで彼は老舗ホテル・ナーサリーライムの中にある本格的な英国式ティールーム「十月のうさぎ」の責任者として働いている。

ナーサリーライムは古き良きホテルではあるが、それ故に新規の顧客が増えることはなく、少しずつ経営が傾きかけている。そのナーサリーライムの経営のてこ入れとして、オーナーの的場が引き抜いてきたのが大神という青年。

英国式の、古く、けれど由緒正しいティールームを守りたいノエルと、新しい空気を入れてこ入れを図ろうとする大神とで、意見の対立が起きるが―。

というお話。

ぶっちゃけて言ってしまうとありがちなお話ではあります。
はじめは反目しあっていた二人が、少しずつ理解し、歩み寄り、そして恋に堕ちる。バッサリ言ってしまうと、古めかしい少女漫画のような…?と言えば良いかな。

けれど、この王道のストーリーに奥行きを与えるのが、「獣人」の存在。
人から差別され、疎まれ、時に性的な対象となる獣人たち。あらすじにも書いてあるのでレビューでも書いてしまいますが、ノエルはウサギの獣人なんですね。

で、少しずつ見えてくるノエルの秘密とか、過酷な過去とか、彼の境遇に、ぐっと萌え心を掴まれた、そんな感じ。

ノエルは紛うことなき薄幸青年で、薄幸・健気受けさんがお好きな方にはたまらない展開になっているのですが、それだけにとどまらない。大神、という青年の存在があるからです。

イケメンで、優秀で、けれど秘密を抱えているであろう大神の存在が、これまた良きなのです。彼が大切にしている「彼女」の存在も、読者をぐっと捕まえて離さない。

獣人、とか、あるいはノエルの過酷な過去というバックボーンがあるので、基本的にはシリアス展開なのですが、大神×ノエルの2人のBL的な絡みとしては終始ほのぼのです。彼らの恋心が読者に透けて見えちゃってるから。なので、シリアスではありますが、切なすぎず、ドシリアス一辺倒なお話ではなく、そのバランスが絶妙でした。

常に一歩引いたような、ちょっと斜に構えた感じの大神が、ノエルのこととなると途端に余裕をなくし全力でノエルを守ろうとする姿がとにかくカッコいい!

で。

今作品は「本格的な英国式ティールーム」が舞台になっていることもあってか、ティータイムの描写がすごく多いです。飯テロです。ヤバいです。めっちゃ美味しそうです。ノエルにうちに来てサーブして欲しいです。

読みながら、飲みたくなって紅茶を淹れてしまった…。
知らなかった知識もたくさん書かれていて、すごく勉強になりました。

ノエルも、大神も、すごくカッコ良い。
人としての強さを兼ね備えた男たちで萌えがぎゅんぎゅんと滾りました。

過酷な過去を持つ彼らが、お互いという存在を得て幸せになる。
少し切なくて、けれどとても優しく、温かなお話でした。

5

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