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愛したのは 実父の奴隷(いぬ)として生きる少年
表紙とあらすじを見て、この作者の作品は好きなのではと思っていたので、初購入です。
結果、すごく自分の好みでした!
表紙裏も義弟の心情が読めてなんだか泣けた。
オメガバースですけど、オメガの体質が魔女扱いされていて、物語として入りやすい気がします。
とにかく、受が可哀想です。めちゃくちゃ不憫で切ない。クズの主人は最後までクズのままでしたね。
やっと結ばれるところも良かったです。
結末も、なんて洒脱なんでしょう!二人(+おチビ)がどこかで幸せに暮らしているだろうなと思わせてくれます。
単行本のこの厚みに幸せが増しました。
加虐シーンが多くて、もう本当に読むのつらい描写が多いんですけど、レオンの眩しいほどに真っ直ぐな気持ちや行動、ノエを大切に思う気持ちに涙腺崩壊……!
読んでる途中から涙が溢れて溢れて止まりませんでした。
オメガバース作品だけど、α、β、Ωといったバース性が認知されていない世界観のお話で、とても斬新なストーリーだと思いました。Ωの発情期を、"魔女"と虐げて周囲から蔑みを受けるようなシーンがもうツラ過ぎて。奴隷として慰み者になるしかないΩの行き場のなさに胸が押しつぶされそうでした。
父親と離れ、いつか父親に会うことを生きる理由として、レオンの父にどんなに酷いことをされても懸命に生きるノエの姿が清らかで、美しい。父親の奴隷だと分かっていてもノエに惹かれていくレオンの情動にとグッときます。レオンの父に酷くされても、レオンとの秘密の逢瀬がノエの心を救っていく……そんなやりとりにもまた涙が込み上げてきそうになるのです。
バース性のことがまだ人々に浸透していない時代。ときはヨーロッパ辺りの中世〜近世あたりの時代背景っぽくて、その時代の社会的構造みたいなところとうまく絡み合わせて描かれています。
貴族や身分のある者たちの悪い部分が出ていて、胸くそ悪しなのは否定できません。権力にものを言わせ理不尽な要求を迫るとことか、口封じの追手を放つとか、善意団体の裏で性的虐待をしてるとか。身分制度の抗えない嫌な部分と、Ωの行き場のなさとの負のスパイラルが悲劇すぎて、このどうしようもない状況からどのように打破できるのか不安で押しつぶされそうでした。
ああするしか2人が一緒になる道がなかったことがとても悲しいけど、でもこれだけの時代背景の中ではそれが精一杯の抵抗だったのだなと思うと、すごくドラマチックな結末なのは間違いありません。
身分制とかバース性のことが色々描かれていますが、実は家族愛のことが物語のベースにずっとあることもこの作品を読むにあたって気付くでしょう。レオンとエリオットの兄弟愛が、最後の最後にして分かる深い情に胸が熱くなりました。
あんな父親じゃなければ、きっといい兄弟関係が築けていたと思うのに、時代や家庭環境は非情ですね…まぁ、でも父親がまともだったら、レオンはノエに出会えていなかったので、これはこれで良しだったのかも知れないですが。
ノエにとって精神的にも肉体的にも辛いことばかりだったけど、レオンという最愛の人に出会えたことは、神さまからの贈り物だったと思います。それはレオンにとっても言えること。2人の身分を超えた愛の物語に感動で涙で文字が滲みました。
彼らの今どんな生活をしているのか…それは想像するしかないことだけど、最後のカラーの一枚絵が全てを物語っていました。
レオンとノエと、2人の子ども。それにノエのお腹が微妙に膨らんでいるような…?
レオンとノエの顔は見えないアングルだけど、きっと喜びに満ちた表情なのは間違いないと思います^ ^
いつかエリオットと会えると良いなと思いながら、彼らの幸せを願っています。
少しだけスッキリしない点は、レオンたち父親と罪に加担したノースランド卿の苦しみが薄かったこと。後者はお咎めなしってのはある意味リアルだけど、なんだかなぁ…って感じでした。
オメガバースですが、アルファやオメガなどの単語は一切出て来ません。
中世を舞台に、田舎に左遷された領主と、オモチャとして飼われるオメガの少年。腐敗した領主に対して清冽な息子。
父対子と、性に逆らって愛を貫こうとするアルファとオメガの構図です。
ヒートや、番のシステムなどの基礎知識がないと楽しめない部分があるので、最初の解説をまず読むことをおすすめします。
絵が綺麗で、中世の雰囲気があり、イケメン御曹司たちの衣装なども楽しめます。
アルファを狂わせるオメガが魔女として扱われていたという面白い設定です。
この時代背景の物語にしてはハッピーな終わりでありがたい。
特に心に残っている箇所のうちのひとつが恋に落ちた2人が1ページ丸々使って見つめ合うシーン。何回も見てる。とても美しくてときめいてしまった。「お前は父親と生きるんだ」と言いつつ、その表情はもう離れられないほどの執着を覚えてしまってるじゃない……キスもしたことないような男がここまで……!!たまりません。
堅物そうな主人公は人情味もあり、毅然としていて格好良かった。人望もあっただろうに親父のせいで無くなってしまったのだろうか等色々考えてしまう。(関係ないから語られていないのだろうが、欲を言えばもう少し宮廷での過去エピソードでもって奥行きがあったら嬉しかった、…と思ったけど権力争いのドロドロ感が増すならやはり不要か。これでよかったんだな…)
弟の「この男のどこが神なんだ」は胸を打った。彼も世話を焼かれて仲良く楽しく暮らしてほしい。
(2人はこのまま女っ気なく更に何年か経過すると年下攻めと成るのではと邪な考えが止められない…田舎貴族のせいだ…
通常、物語後のイチャラブおまけがあったら嬉しい派だけど、この作品に関しては2人が生きて幸せになっているのが彼の視点から分かっただけで十分満足出来た。とはいえ、いつか作者様が気まぐれで描いてくださったなら飛び上がって喜びますが…!
王道なオメガバースモノ。ただし、まだ『Ω』はじめ、バース性が明らかになっていない世界線で、Ωたちは魔女として扱われています。痛々しい、魔女狩りの描写も。
330ページに及ぶ大作で(それにしては値段がお得!)、出逢いから彼らが幸せになるまでが丁寧に描かれています。ラスト、エリオットにもささやかな幸せが訪れたところがとても良かったです。
レオンは至極優秀だったようなので、バース性を研究して、彼等がΩを救い出す未来があっても良いなあ、と妄想しました。